2010年3月2日 2月定例県議会・本会議
一般質問(大要)


1.チリ大地震津波での被害状況と災害復旧対策について

【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。一昨日、大津波警報が出されたチリ大地震津波で7898人が避難され、漁業養殖施設等に被害が出ています。心からお見舞いを申し上げるとともに防災対策に取り組まれた皆さんに心から敬意を表します。また災害復旧対策に全力を挙げて取り組まれるようにお願いいたします。また、現在把握できる被害状況と避難対策など今後に生かすべき課題の検証と教訓についてお聞きします。

【総務部長】
 地震発生後、本県に津波が到達するまで、時間的に余裕があったこと、また、防災関係者の皆様の懸命な努力もあり、おおむね適切な対応をとることができたと考えているところである。
 現時点において、人的被害、公共土木施設被害は報告されていないが、農林水産関係、特に養殖施設においてかなりの被害が生じており、現在も調査を進めているところである。
 今後、発生が想定される宮城県沖地震は、震源が近く、地震被害が生じた後に、しかも短時間に津波が到達することも想定されることから、今回の津波への対応等について、市町村と連携しながら検証を行い、今後の対応に活かしていきたい。

【斉藤議員】
 昨年の総選挙は「政治を変えたい」「国民の暮らしを守ってもらいたい」という国民・県民の熱い願いが、自民党政治を退場に追い込む歴史的な審判を下すものとなりました。今、県民は政治の転換を強く求めています。しかし、発足した鳩山政権は「政治と金」の疑惑にまみれ、雇用の問題でも社会保障の問題でも国民の期待にこたえていないのが現状です。
 民主党籍を持つ達増県政の実態も政権交代があったものの全く変わっていません。知事は知事演述で「危機から希望へ」と「希望」という言葉を三十数回にわたって語りましたが、県民の雇用も、暮らしと経営も、地域医療の問題も危機的な状況がますます深刻になっているのが実態です。
 私は、県民の切実な実態と願いを踏まえ、その打開の方向を示しつつ達増知事の姿勢を正すものであります。

2.史上最悪の雇用状況と抜本的な雇用対策について

深刻な雇用、失業の実態の把握について

 まず、雇用対策について質問します。
 昨年、09年の県内の有効求人倍率は0.34倍で史上最悪となりました。昨年の2月から今年の1月まで0.3倍台の深刻な事態が続いていることもかつてないことであります。日本共産党は奥州市と八幡平市で市民アンケートを行いましたが、「家族に失業者や休業者がいる」と答えたのが奥州市では28.5%、八幡平市でも12.8%という予想を超えるものでした。アンケートには「会社が倒産し、いまだに仕事がなく生活が大変」「失業している息子がいる。働いてもらわないと困るが何も言えない」「週2回の勤務になった。家のローンが払えない」「この先仕事が見つからないと子ども3人がどうなるか不安」「母子家庭だが会社が倒産し職がなく、生活できず絶望している」など切実な声がたくさん寄せられました。私たちはこうした方々のところへ直ちに駆けつけて生活保護の申請や生活確保の取り組みを行ってきました。
 知事に質問します。第一に、深刻な雇用、失業の実態をどう把握されているでしょうか。この間の事業主都合の離職・解雇者、失業者数と雇用保険受給の状況はどうなっているでしょうか。私は、知事自身が失業者や休職者と懇談し、実態と要求を把握して抜本的できめ細かな雇用対策に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 事業主都合の離職者数等を見ると、ピーク時に比べて大幅に減少しているが、いまだに高い水準にあり、依然として厳しい情勢が続いていると認識している。
 私も昨年北上市を訪れ、ハローワークをはじめ、現場の話を聞いたほか、いわてデジタルエンジニア育成センターでは、離職者訓練を受講中の方々にも会い激励したところである。
 また、奥州市のいわて求職者総合支援センターや県庁で開催した年末ワンストップサービスにも足を運び、状況を確認したところだが、今後とも求職者の方々の実情や声を把握しながら、雇用対策にしっかり取り組んでいきたい。

失業者・求職者への対策について

【斉藤議員】
 第二に、失業が長期にわたっており、雇用保険も受けていない失業者が多数を占めています。失業者・求職者の生活を守るあらゆる対策を講じるべきではないでしょうか。失業や収入減少等を理由とした生活保護の申請・受給決定の状況はどうなっているでしょうか。ハローワークや市町村と協力して県内各地でワンストップサービスを毎月定期的に実施すべきではないでしょうか。

【保健福祉部長】
 本県の生活保護の申請件数は、平成20年度は1667件となっていたが、平成21年度は、4月〜12月までの9ヶ月間ですでに前年の総数を超え、1790件に及んでいる。
 また保護の開始件数は、平成20年度は1369件であったところ、平成21年度は、同じく12月までで、これを上回る1452件となっている。
 この保護開始件数のうち、失業などを含む勤労収入の減少・喪失を理由とするものは、平成20年度は250件あり、保護開始件数に占める割合は18.3%であったが、平成21年度は12月までで前年度を142件上回る392件となっており、その割合も27.0%にまで拡大している。
【商工労働観光部長】
 ワンストップサービスについて。これまで住宅支援や生活福祉資金貸付など、当面必要な生活支援策を講じてきたところであり、また、地域共同就職支援センターと求職者総合支援センターでは、就職支援と生活相談などを併せて行い、さらに、岩手労働局や福祉関係機関などと連携しワンストップの生活・就労相談などを実施したところである。
 今後は、地域ごとの協議会設置など、福祉分野と労働分野の窓口の連携を強化しながら、地域の実情に合わせて、相談・支援体制の整備を推進し、失業に伴い多くの悩みを抱える方々に、きめ細かく対応することとしている。
 また、定期的なワンストップサービスの実施についても、ニーズを見ながら今後検討していくこととしている。

県内誘致企業の解雇・首切りの実態、再就職支援について

【斉藤議員】
 第三に、派遣切り・期間工切りなどの雇用破壊の先陣を切ったのが関東自動車や富士通、ソニー、東芝などの誘致大企業でありました。これらの誘致企業の首切り・解雇・雇止めの実態を示していただきたい。また、県が推進してきた自動車産業、半導体産業での解雇・雇止めの状況はどうなっているでしょうか。
 岩手県はこれまで企業の工場閉鎖や合理化による大量解雇の際、企業に対してやむなく退職せざるを得ない労働者の再就職に最後まで責任を果たすよう求めて、それを実施させてきました。ソニーや富士通などの再就職支援の取り組みはどうなっているでしょうか。県としてどのように取り組んでいるでしょうか。

【商工労働観光部長】
 2月1日現在で把握している主な誘致企業の雇い止め等状況は、19社で約3200人と把握している。このうち自動車関連産業では約370人、半導体関連産業では約1800人となっている。
 再就職支援の取り組みだが、現在県南広域振興局において、地元市町やハローワークなどとともに構成する雇用対策推進協議会を通じた緊密な情報共有や要請活動の実施のほか、いわて求職者総合支援センターと各ハローワークによる生活・就労相談と職業紹介のワンストップサービスの取り組みなどにより、退職者の再就職支援に力を尽くしている。

職業訓練の状況と地域職業訓練センターの廃止問題について

【斉藤議員】
 第四に、失業者・求職者の再就職にとって職業訓練を抜本的に拡充することは極めて重要な課題です。職業訓練の状況はどうなっているでしょうか。どれだけ再就職に結びついているでしょうか。とくに職業訓練を受けながら10万円から12万円の生活費が給付される訓練生活支援給付制度は活用が期待されますが、申請者、受給者はどうなっているでしょうか。実態は利用者が少ないのが現状です。その原因は何でしょうか。国に改善を求めるべきと考えますがいかがでしょうか。
 職業訓練をさらに拡充すべき時に、鳩山政権が県内4か所の地域職業訓練センターと北上の情報処理技能者養成施設・コンピューターアカデミーの廃止を一方的に決めたことは雇用対策に逆行する重大問題です。私は盛岡地域職業訓練センターの状況を聞いてきましたが、年間2万7000人が利用し、どのコースも定員を超える希望があり、真剣に訓練に取り組んでいる姿が印象的でありました。政府の廃止の理由と県の対応、政府の回答はどうなっているでしょうか。こうした問題こそ、達増知事が先頭に立って長妻厚生労働大臣に直接廃止撤回を申し入れるなど行動すべきではないでしょうか。

【達増知事】
 今般の地域職業訓練センター等の廃止は、雇用・能力開発機構の廃止も含めた独立行政法人改革の一環であると聞いている。
 これらの施設は、地域における産業振興上、きわめて重要な施設となっていることから、1月14日、国に対し、国が主体となり、今後とも継続して運営されるよう強く要望した。
 これに対し国の回答は、「可能な限りその運営を地方公共団体等に委ねていくべきであると考えている」という回答であった。
 今後は、施設の継続的な利用が可能となるよう、関係自治体と十分意見交換をしながらしっかり対応していきたい。
【商工労働観光部長】
 職業訓練の状況は、今年度、県が実施している離職者等訓練は71コース、1116人で、2月24日現在331人が修了し、うち220人が就職、就職率66.5%となっている。
 訓練・生活支援給付申請等の状況は、2月19日現在、申請者数は、公共訓練、県および機構が実施するものだが、187名、基金訓練、民間教育訓練機関等が中央職業能力開発協会より認定を受け実施するものだが、229名、合計416名となっている。また、受給者数は、中央職業能力開発協会から直接申請者に決定通知が届くことから正確な数字は把握できかねるが、ハローワークにおいて事前に申請要件を確認していることから、申請者の大半が受給していると聞いている。
 給付制度の利用者数は、11月20日現在で78人、1月8日現在で116人、2月19日現在で229人と増加している。なお、要件緩和については、平成21年9月に所得制限について、平成22年1月に未就職卒業者の申請要件についての見直しが行われており、さらなる要件緩和については、当面は国の動向等を注視していきたいと考えている。


新規高卒者への就職対策について

【斉藤議員】
 第五に、新規高卒者の就職対策であります。はじめて社会に出た時に失業することは何としても解決すべき緊急課題です。就職内定状況、未就職者数はどうなっているでしょうか。3月にあらゆる努力を行うべきと考えますがどういう計画と対策になっているでしょうか。
 八幡平市など少なくない市町村がこうした未就職者を雇用した場合、月10万円から20万円、1年から2年間にわたって助成する対策も示されています。どう把握されているでしょうか。県としても積極的にこうした市町村を支援すべきと考えますがいかがでしょうか。また、県や市町村が直接、臨時職員等として雇用する対策はどうなっているでしょうか。

【商工労働観光部長】
 就職内定状況は、1月末現在で、就職内定率84.3%、未内定者は525人となっている。
 一人でも多くの生徒が就職できるよう、各地の就業支援員と学校、教育委員会と連携し、3月いっぱい全力で就職支援を行うこととしている。
 現在13市町村が、高卒未就職者を雇い入れた事業所を対象とした奨励金等による支援を準備していると聞いており、県としては、これらの市町村に対し、経費の一部を補助することとしている。
 臨時職員等については、4市町村が採用すると聞いているほか、県も非常勤職員として50人程度の採用を予定している。


3.岩手経済の落ち込みと中小企業対策、内発型の産業振興について

【斉藤議員】
 つぎに、岩手経済の落ち込みと歪み、中小企業対策について質問します。県民総生産は2000年度の4兆9748億円をピークに好況と言われた時期も一貫して減少し、2008年度は4兆3642億円まで6106億円、12.3%も落ち込みました。一方で誘致大企業は史上空前の利益を上げ、巨額の内部留保をため込んだのであります。ソニーは6年間で7660億円も積み増し、09年3月期では3兆5479億円の内部留保をため込みました。関東自動車も271億円積み増し1017億円の内部留保をため込んでいます。富士通は昨年3月期は減らしたとはいえ6658億円、東芝は1兆4247億円の内部留保をため込んでいます。本来こうした内部留保は労働者の雇用と賃金、下請け中小企業を守るためにこそ使うべきものです。
 達増知事、誘致大企業の巨額の内部留保を活用し、雇用を守り、非正社員を正社員に切り替えるために、下請け中小企業への一方的単価切り下げをやめ中小企業を守るためにこそ活用すべきと強く求めるべきと考えますがいかがでしょうか。下請け単価切り下げの状況を含めて答えていただきたい。
 県内経済の発展を考えるなら、自動車や半導体産業など外需依存・輸出型の産業に偏ることなく、労働者の8割以上を支える中小企業を応援し、地場産業の本格的な振興を図り、農林漁業の再建と合わせ内発的な地域産業の振興に取り組むべきと思いますが県の施策はどうなっているでしょうか。

【達増知事】
 内部留保の取り扱いについては、それぞれ企業の経営判断により決定すべきものと考えている。
 また誘致企業と関連企業との取引単価等の状況については承知していない。
【商工労働観光部長】
 地域産業振興施策についてだが、地域経済を安定的に成長させていくためには、長期的な視野に立ち、県外から安定的に所得を獲得する産業と、得られた所得を県内で循環させる産業がバランスよく成長していくことが重要と考えている。
 そうした考えのもと、「いわて県民計画」において、ものづくり産業の振興のほか、国内有数の生産力を誇る農林水産業、それら農林水産物を利用した食産業、豊かな自然や歴史などを生かした観光産業など地域資源型産業、そして商業、サービス業の振興、次代を担う新産業の育成に取り組むこととしている。
 今後、これらの産業振興施策に積極的に取り組むことにより、中小企業や地場産業の振興に資するものと考えている。


4.県立病院の無床化・民間移管の検証と地域医療について

花泉診療センターの民間移管の状況について

【斉藤議員】
 昨年4月に大迫や紫波など5つの地域の診療センターの無床化が強行されました。花泉診療センターは無床化からわずか半年で県立医療機関としての廃止が、県議会でわずか1票差で決められ民間移管が強行されました。こうした拙速で強権的な進め方はこれまでの県政になかったものでした。無床化と民間移管の強行が県民と地域にもたらしている痛みと矛盾を検証することは今後の地域医療を守る上で特別に重要な問題です。
 花泉診療センターの民間移管の状況について質問します。第一に、民間移管の目的は19床の入院ベットを持つ有床診療所としての医療の確保でありました。その大前提は常勤医師2名、非常勤医師3名の確保でした。現在、民間医療法人「白光」は常勤医師、非常勤医師を確保しているのでしょうか。
 私は2月19日に花泉診療センターを訪ねて調査してきましたが、民間医療法人の常勤医師は決まっていない。現在の患者を責任もって紹介できないということでした。必要な医師が確保できないとしたら民間移管の大前提が崩れるのではないでしょうか。
 第二に、民間医療法人「白光」は、昨年8月25日に公募に応じて申請書を提出しました。その時示した診療所長も他の医師確保の名簿と年齢も、花泉診療センターの廃止条例を審議した1ヶ月後の9月県議会の時点では、診療所長候補を含め5人全員が根拠のないものとなっていました。医師確保について県医療局はこれまでどのような報告を受け、協議してきたのでしょうか。このままでは開業する前に破たんするのではないでしょうか。
 第三に、花泉診療センターの民間移管の進め方が極めて拙速で異常だったことです。無床化から4カ月で民間移管と公募を決めました。公募期間は7月31日から8月25日までのわずか26日間であります。こんな短期間に医師確保を含めて応募できる医療法人があるでしょうか。初めから手を挙げていた医療法人「白光」に決めるためのやり方ではなかったでしょうか。公募の方法にも問題があったのではないでしょうか。
 第四に、医療法人「白光」の応募書類には少なくない不備がありましたが、事業計画・収支計画は提出されたのでしょうか。看護師は月20万円、介護士は15万円と低賃金で、医業収支が赤字となる中で、役員報酬が4610万円と途方もない計画でしたがどうなったでしょうか。
 第五に、花泉診療センターでは併設する小規模特養ホームなどの施設の改修工事が行われています。こうした介護保険施設はあくまで有床診療所の運営が前提だと考えますが、有床診療所の運営ができなくなった場合、10年間継続の条件が満たされない場合はどういう扱いとなるのでしょうか。

【医療局長】
 常勤医師、非常勤医師の確保と医師確保にかかる協議については、法人からは、医師の体制が確定した段階で、報告をいただくこととしているが、最終的な報告はまだいただいていないところであり、できるだけ早く最終的な報告をいただきたいと考えている。
 公募の方法について。今年度開催した花泉地域診療センター等懇談会において、施設の利活用策についてご意見をいただいてきたところだが、昨年6月5日に開催した懇談会において、民間事業者の公募について大方の方向性が固まり、具体的な公募条件や進め方について、一関市との協議のほか、7月29日の懇談会でも意見を伺ったうえで、公募を実施したものである。
 事業計画、収支計画について。今後、一関保健所の診療所使用許可、県南広域振興局の特別養護老人ホーム開設許可、一関地区広域行政組合の介護保険にかかる事業所指定などの手続きが必要であり、これら一連の手続きが終了した時点で、最終的に変更協議を受けることとしている。
 10年間継続の条件が満たされない場合について。継続して事業を行うためには、まずもって、法人において、必要な医師を確保していただくことが何よりも重要であると考えている。事業開始後においては、10年間継続していただく必要があることから、施設の貸主として、施設の貸付契約の更新の機会などに、運営状況を確認していきたい。

県立沼宮内病院の無床診療所化の問題について

【斉藤議員】
 つぎに、県立沼宮内病院の無床診療所化の問題について質問します。県医療局が岩手町や地域住民の要望を受けて、無床診療所化の計画を1年延期したことは評価したいと思います。しかし、民間移管を含めた病院存続の道は厳しいものがあります。
 第一に、病院の存続と地域医療の確保を岩手町に丸投げすることなく、県医療局が協力・支援することが必要ではないでしょうか。とくに、全国でも先進的な岩手町の大腸がんなどの検診体制は民間だけではできないことです。これまで通りの支援体制が必要ではないでしょうか。
 第二に、9月県議会で示された「民間医療機関への診療応援」の検討はその後どう具体化されているでしょうか。
 第三に、県立沼宮内病院の無床診療所化の計画は1年延期となりました。来年度、医師、看護師、検査・検診体制など責任ある体制を講じられるべきと考えますがいかがでしょうか。

【医療局長】
 医療局の支援については、岩手町においては、民間移管に向けた取組を積極的に進めており、医療局としても町の取り組みをしっかり支援していきたい。また町の検診体制については、今後岩手町ともよく相談し対応していきたい。
 民間医療機関への診療応援について。県立病院の医師をメンバーとする「医師の定着支援に関するプロジェクトチーム」や県立病院長会議の場でも、実施にあたって課題等について意見をうかがったところであり、こうした現場の医師の意見も踏まえながら、本年4月からの実施に向け、現在診療応援の対象、民間医療機関との間の手続き、診療応援する医師の服務や民間医療機関の経費負担等について詳細を検討している。
 沼宮内病院の医師の体制について。4月以降も診療を継続するために必要な体制を確保したいと考えている。

無床化された地域の現状と入院ベット復活の方向について

【斉藤議員】
 大迫や紫波、住田、九戸の無床化された各地域では、夜間、土日・休日の救急患者に対応できず、入院もできないために、具合が悪くなっても診療を我慢し、手遅れになる事態も起きています。救急車の出動件数と出動時間が増えています。高齢者の入院期間が長くなり、遠くの病院に入院するために家族が付き添えない、特養ホームの職員がボランティアで病院に駆けつけるなどの事態となっています。知事はこうした地域住民の痛みと苦しみをどう受け止めているでしょうか。
 地域医療は医療関係者と地域住民が力を合わせて守るべきものです。無床化したから後は地域で何とかすればいいということではなりません。県、県医療局としても地域住民、自治体と力を合わせ、協議をして地域医療を守る取り組みを進めるべきではないでしょうか。医師確保の見通しが立ったら入院ベットは復活する方向を示すべきではないでしょうか。

【達増知事】
 私は、地域医療の確保を最重要課題の一つとしてとらえており、奨学金制度の貸付枠を拡充するなど引き続き医師養成に取り組むとともに、地域の中小規模の公立病院においては、地域医療を担う総合的な診療能力を有する医師が求められていることから、現在、育成の仕組みやそのプログラムについて検討しているところであり、平成23年度には育成を開始したいと考えている。
 また、二次保健医療圏のみならず圏域を越えた全県的なネットワークのさらなる充実が必要であることから、ドクターヘリの導入促進などによる救急医療体制の拡充・強化に努めるなど、地域医療の確立に向けて総合的に取り組んでいく。


5.国保・介護・後期高齢者医療制度について

資格証明書と短期保険証の発行状況、滞納状況について

【斉藤議員】
 歴代自民党政治、とりわけ小泉内閣以来の構造改革路線のもとで、社会保障の予算が毎年2200億円削減されました。その傷跡を回復することは貧困の拡大から県民の命と暮らしを守る上で緊急の課題です。
 国保税の保険証の取り上げ・資格証明書の発行は「金の切れ目が命の切れ目」となりかねない冷たい政治の典型です。すでに、厚労省も昨年1月、生活に困窮し医療を必要とする場合は滞納世帯に短期保険証を交付するよう通知しています。中学生、高校生にも交付するように改善されつつあります。保険証の取り上げは中止すべきではないでしょうか。資格証明書と短期保険証の発行状況は、何市町村で何世帯、何人となっているでしょうか。短期保険証が実際は役所に留め置きされている状況とその解消はどうなっているでしょうか。滞納件数と滞納額はどうでしょうか。資格証明書発行の目的は何でしょうか。

【保健福祉部長】
 資格証明書、短期被保険者証の交付状況は、平成22年2月1日現在、資格証明書は25市町村1267世帯、短期被保険者証は34市町村15537世帯となっている。
 短期被保険者証について、連絡しても受け取りに来ない等の理由で、1ヶ月以上未交付となっている状況は、平成22年2月1日現在、18市町村で1562世帯、2525人となっている。県としては、市町村に対し、電話連絡や家庭訪問等により、世帯状況等を把握し、速やかに手元に届けるよう助言している。
 滞納の状況については、平成21年6月1日現在、33535世帯115億円余となっている。
 資格証明書は、国保の被保険者間の負担の公平を図る観点から、災害等の特別の事情がないにも関わらず1年以上滞納している者に対し、納付相談の機会を確保するために交付しているものであり、県としては、市町村に対し、資格証明書の交付にあたっては、一律に交付するのではなく、生活実態など、その置かれた状況をきめ細かく把握を行ったうえで、適切な対応を行うよう助言している。
 なお、資格証明書交付世帯において、医療を受ける必要が生じ、かつ医療機関に対する一時払いが困難である場合には、緊急的な対応として短期被保険者証を交付することができるとされたところであり、その適切な運用について、市町村に対して、今後も助言していく。

特養ホーム待機者解消の具体的な対策について

【斉藤議員】
 介護保険制度が導入されて10年が経過しました。この間、介護報酬が引き下げられ、保険料・利用料は引き上げに、受けられる介護サービスは切り下げられ、入りたい特養ホームには入れない、「保険あって介護なし」の深刻な実態が広がりました。
 特養ホーム待機者解消の具体的な対策について質問します。特養ホームの整備が進まない要因をどう受け止めているでしょうか。低所得者が入居できる多床室の特養ホームはどう整備されているでしょうか。29床以下の小規模特養、50床以上の特養ホームはそれぞれどれだけ整備されているでしょうか、実績と今後の計画を示していただきたい。毎年整備した数を上回って待機者が増加しています。整備の計画を抜本的に引き上げるべきではないでしょうか。

【保健福祉部長】
 介護施設の整備については、各市町村等が策定する第4期介護保険事業計画に基づき整備が進められているところだが、特養ホームの整備は市町村等の保険財政や保険料への影響を伴うこと、また国が告示で示す整備の基本的な指針、いわゆる参酌標準が抑制的な基調で示されていることなどから、市町村等において施設整備に慎重になっているところもあるものと考えている。
 低所得者が入居できる施設の整備状況について。第3期計画末の平成21年3月31日現在における特養ホーム105カ所6382床のうち、比較的入所者の費用負担額が低廉な多床室も設けている従来型の施設は、約70%の76カ所4442床となっている。
 規模別の整備状況について。同じく第3期計画末の平成21年3月31日現在においては、定員29人以下の小規模施設が6カ所144床、30人以上の広域型施設が99カ所6238床、そのうち50人以上の施設が95カ所6100床となっている。
 今後の整備計画について。第4期介護保険事業支援計画において、小規模施設12カ所337床、広域型施設12カ所325床、あわせて662床を整備することとしているが、本年度設置した「介護サービス施設等整備臨時特例基金」については、当該計画期間中に小規模施設約370床の上乗せ整備が可能となるよう基金に積み増しを行うこととしている。
 これらが整備された場合、全体として約1030床増設されることとなり、早期に入所が必要な待機者1022人への対応が可能となるものと考えており、現在、市町村等からは上乗せ分について約250床の整備計画が出されているが、さらに約120床の整備が可能であることから、市町村等に対する働きかけを強化していくこととしている。
 県においては、これまでも施設整備に対する財源措置や参酌標準の廃止などについて国に要望を行ってきたところであるが、待機者が増加していることから、今後とも、常に待機者の状況を把握するとともに、必要な整備が図られるよう引き続き国に要望しながら、第5期計画の策定を進めていく。

後期高齢者医療制度の廃止について

【斉藤議員】
 後期高齢者医療制度は、民主党も総選挙で廃止を公約しました。しかし、廃止は4年後に延期されました。知事、これは公約違反ではないでしょうか。年齢で高齢者を差別し、すべての高齢者に負担を押し付ける後期高齢者医療制度は、直ちに廃止するよう政府に求めるべきと考えますがいかがでしょうか。後期高齢者に対する短期保険証の発行、資格証明書の発行は直ちに中止すべきと考えますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 国においては、後期高齢者医療制度を廃止することとしているが、高齢者医療制度を度々見直すことにより、高齢者の方々に混乱を生じさせてしまうこと、また、システム改修等に時間や多額の経費を要することなどもあり、旧老人保健制度に戻すことなく、新しい高齢者医療制度に直接移行することとしたものと伺っている。
 現在、後期高齢者医療制度廃止後の具体的なあり方について検討を行うため、「高齢者医療制度改革会議」を設置し、新しい制度の平成25年4月施行に向け、議論を進めていると承知している。
 県としては、国における議論の推移を見守りつつ、県民や市町村等関係者から寄せられるご意見や要望を十分踏まえ、全国知事会等を通じて要望等を行うほか、必要に応じて、県独自に地方の立場から、国に対して、要望・提言を行っていきたいと考えている。
 現制度において、短期被保険者証、資格証明書は、保険料負担の公平性を図るため交付しているところであり、特に資格証明書については、被保険者が特別の事情がなく保険料を滞納している場合に、納付相談等の機会を確保するため、交付する仕組みを設けているところだが、その運用については、現内閣の方針として、原則として交付しないことが基本的な方針とされているところであり、岩手県後期高齢者医療広域連合においても、こうした国の方針を踏まえて対応していく方針であると聞いている。


6.35人学級の拡充・学力テスト・高校再編問題について

岩手県の教育方針について

【斉藤議員】
 岩手県の教育方針について、八重樫教育委員長に質問します。自民党政治が終わりを告げてこれまでの教育政策の大きな転換が求められています。私は、これまでの諸外国と比べても異常な高い学費、テストづけの競争主義、校長中心の非民主的な学校運営、先進国にはない40人学級などの問題は抜本的に見直されるべきと考えますが、教育委員長の認識をお聞きします。
 また、教育委員長は演述で金子みすゞの詩を紹介し「みんなちがって、みんないい」「「子どもたちには一人ひとり違った能力があります。可能性があります、その可能性や良さ、夢を見つけ、励まし、伸ばしてあげるのが教職員の役目であり、大人の役目であります」と述べました。全く同感であります。一人ひとりの子どもたちに寄り添って成長・発達を支援することは教育の目的でもあります。私はそのためには、小学校はもとより、中学校でも35人学級、さらには30人学級の実現で子どもたち一人一人をよく見れる、対応できる取り組みこそ必要と考えますがいかがでしょうか。少人数学級の実現こそ教師の多忙化を解消することになるのではないでしょうか。

【教育委員長】
 教育をめぐる諸条件・課題についての議論があることは承知しているが、「国づくりは人づくり」であるといわれているとおり、社会の形成者たり得る人間育成を目的としてきた教育の根幹については、不易のものであると認識している。
 子ども同士が、集団の中で助け合い、学び合いながらともに成長を遂げていく心を大切にしつつ、多くの国民が高い水準の学力を身につけてきた日本の教育は、世界に誇れるものとも言われている。
 現在、複雑多様化する教育現場の課題に対応し、子ども一人一人の特性を伸ばしていくためには、少人数教育も有効な手段であると考えている。少人数教育の2つの柱である少人数学級と少人数指導の利点が、学校現場において十分に生かされるよう推進していく。

35人学級の拡充について

【斉藤議員】
 教育長に質問します。今年度から中学校1年生での35人学級が試行実施されました。当初は教員の加配が不明でありましたがどれだけ加配されたのでしょうか。私は松園中学校での35人学級について聞いてきました。「40人近い学級が27人になって中1ギャップの解消に大きな効果があった」「人間関係のうえでも効果が大きい」とのことでした。試行実施した学校での成果・評価はどうなっているでしょうか。来年度なぜ全面実施とならなかったのか。実施しない市町村の主な理由は何でしょうか。

【教育長】
 平成21年度の試行実施校17校への加配数は25人となっている。
 評価については、「基本的生活習慣の定着」「中1ギャップの緩和」「人間関係の把握」など、学校生活安定の上で効果的であるという結果を得ている。
 全面実施しなかったことについてだが、35人学級編制を実施しない学校については、学校の実情に応じて学習面での効果の高いと言われている少人数指導に重点を置く意向であるため、全面実施とすることなく現場の実情に応じて指導体制を選択的に実施できるようにしたためである。
 なお、実施の比率は、現時点での見込みではあるが、平成21年度には39%、平成22年度には62%となっており、次第に実施の比率が高まってきている。
 来年度については、35人学級編制の対象校の中に、実施する学校と実施しない学校はあるものの、全く実施をしないという市町村はない。

全国学力テストについて

【斉藤議員】
 全国学力テストは来年度から悉皆調査から抽出調査に変わります。変更される理由とこの間の学力テストの問題点をどう認識されているでしょうか。また、来年度抽出調査の実施校と調査対象とならないものの参加する学校は何市町村何校でしょうか。

【教育長】
 調査が悉皆から抽出に変更になったのは、国の予算措置に関わる様々な議論の中で、抽出調査によっても国および県の状況等を把握することが可能であるとの判断によるものと認識している。
 学力テストの問題点についてだが、調査の目的が、児童生徒一人一人の状況を把握し指導に生かすことにあるにもかかわらず、都道府県の平均正答率の順位の比較のみに注目があてられた事と認識している。
 また、来年度の抽出調査の対象校は、小学校127校、中学校108校であり、参加を希望した市町村は18市町村、小学校144校、中学校46校となっている。

「今後の高等学校教育の基本方向(案)」について

【斉藤議員】
 新たな高校再編問題、「今後の高等学校教育の基本方向(案)」についてお聞きします。
 地域での「意見を聴く会」や「住民説明会」、パブリックコメントが行われていますが主にどういう意見が出されているでしょうか。我が党も申し入れを行いましたがこうした県民の意見はどのように「高校教育の基本方針」に反映されるのでしょうか。問われている問題は生徒減少・人口減少時代の高校のあり方、地域と結び付いた高校のあり方であります。貧困と経済格差が拡大する中で一人一人に高校進学と高校教育を保障することであります。決して財政的な効率性で決められる問題ではなりません。小規模校の成果、良さも正当に評価して存続の可能性を示し、子ども・生徒を主人公に地域住民・自治体と協議を深め、合意を形成して進めるべきと考えますがいかがでしょうか。

【教育長】
 「今後の高等学校教育の基本方向(案)」に対しては、パブリックコメント、意見を聴く会や地域説明会などを通じて、2月末までに194の個人あるいは団体から523件の意見をいただいたところである。その意見の主なものは、「学級定員40人について、教育効果の面や少子化を見通して、少人数学級あるいは弾力的な定員としてほしい」「望ましい学級規模を4〜6としていることに関して、地域の高校あるいは3学級以下の学校を存続させてほしい」「県内のブロック間における格差のない学校の配置、あるいは、ブロック内でのバランスに配慮した学校配置をしてほしい」「統合した場合の通学手段の確保や経済的な支援は是非行ってほしい」というものなど多岐にわたる意見をいただいた。現在、いただいた意見の整理を行っており、今後、これらの意見を参考とし、年度内に成案を取りまとめる考えである。
 議員ご指摘の小規模校の実践については、第二次県立高等学校長期構想検討委員会から、「生徒一人一人に対応したきめ細やかな指導ができ、地域との連携により進路や部活動の成果など一定の実績を上げている」などの評価がある一方で、「生徒の科目選択の幅が少なく、多様な進路希望への対応や学習内容の質の確保が難しい」などの課題が示されている。
 したがい、小規模校のあり方を含めた具体的な学校配置等については、来年度およそ1年間かけて、きめ細やかに地域の意見をうかがいながら、その対応について総合的に検討していく考えである。


7.農業問題―戸別所得補償制度と日米FTA交渉について

【斉藤議員】
 鳩山政権は10年産米のコメに限って戸別所得補償制度を実施するとしています。所得補償を拡充するという点では1歩前進でありますが問題も少なくありません。第一に、岩手県の60キロ当たりのコメの生産費は17236円となっています。今回政府の基準では家族労働費を80%に抑え、単価を全国一律にしました。補償の上限は13703円となっています。これでは生産費を賄えないのではないでしょうか。
 第二に、水田利活用自給力向上事業では、あまりにも助成単価が低く激変緩和措置が取られました。これによってこれまでの助成を下回ることはないでしょうか。花巻市などでは助成単価が下回らないよう予算措置をしていますが県としても対応が必要ではないでしょうか。また、激変緩和措置は1年限りでしょうか。今後どうなるのでしょうか。
 第三に、09年産米の米価が下落しています。政府が生産費を基準とする買い入れを行うよう強く求めるべきではないでしょうか。
 第四に、戸別所得補償制度の導入の一方で国の農林水産予算は10年連続で削減され、来年度は1088億円の減額でついに2兆5000億円を下回りました。これでは農林水産業の再生には逆行するのではないでしょうか。県の農林水産予算にどう影響があるでしょうか。
 第五に、コメ余りと米価の下落の中でミニマムアクセス米の輸入は中止すべきです。日本農業に破壊的な打撃を与える日米FTAの交渉は中止すべきと考えますが、知事は岩手の農業と食料を守る立場で行動すべきではないでしょうか。

【達増知事】
 日米FTA交渉について。アメリカとの交渉については、まだ具体的に進めることが決まっているものではないと承知している。仮に、諸外国とFTA交渉等が進められる場合には、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことのないよう行われるべきものと考えている。
 県においては、こうした考えのもと、現在進められているオーストラリアとのEPA交渉において、国内の農業等に大きな影響を及ぼすことがないように進めることを国に提案しているところであり、今後とも本県農業・農村が持続的に発展できるよう提案を行っていく。
【農林水産部長】
 個別所得補償について。平成20年産の本県の米生産費60キロあたり17236円から、実際には支出されない自己資本利子、自作地地代相当額を除いた額が、農家が再生産に必要な額となる。この額と米価格センター入札価格から流通経費を除いた販売価格を比較すると不足となるが、米戸別所得補償モデル事業の交付金の定額部分は、10aあたり15000円、単収換算すると60キロあたり1779円となり、これが補てんされると、再生産に必要な経費がまかなわれるものと考えている。
 激変緩和措置について。現在国と協議を進めており、作物間での単価調整については、県が指定する野菜や雑穀など約30品目の振興作物の単価を可能な限り引き上げるとともに、飼料作物の単価は、現行の助成水準並みとし、麦・大豆の単価は、現行の水準に近づける方向で協議している。激変緩和調整枠については、集落営農等担い手の育成や、地域振興作物の産地化等が停滞することのないよう、地域の実情に応じた加算を可能とする方向で、協議を行っている。こうした協議により、おおむね現行並みの助成水準が確保されることが期待されることから、単価への上乗せ助成は考えていないものである。なお、園芸産地の形成等については、県単の「いわて希望農業担い手応援事業」や「いわての新園芸産地構築支援事業」を活用して支援していく。また、今般の激変緩和措置は、平成22年度も継続して安定的な生産体制が維持できるよう、講じられるものとされており、23年度以降の国の対応は示されていない。
 政府の生産費を基準とする買い入れについて。現行制度では、ご案内の通り政府による米の買い入れは、いわゆる政府備蓄米に限定されており、買い入れ数量は、備蓄適正水準とされる100万トンを基準とするほか、買い入れ方法は、市場からの入札によるものとされている。したがい、生産費を考慮した買い入れは制度上難しく、21年産米の政府買い入れはすでに終了したところだが、米の備蓄制度のあり方については、関係団体等の意見もうかがいながら、必要に応じて国に提案していく。
 国の農林水産予算の減額の県への影響について。来年度の県の農林水産予算については、主に国の公共事業費の削減により前年度を6%ほど下回ったところだが、県としては、平成21年度2月補正予算において、国の追加配分による公共事業を前倒しし、現在の継続事業等に影響が生じないよう、取り組むこととしている。一方、公共事業費以外のいわゆる政策的経費については、「いわて県民計画」に掲げる経営体の育成などの重点政策を着実に推進するため、農林水産分野では、前年度比で19億1000万円余の予算を増額したところであり、本県の農林水産業が持続的に発展できるよう今後も取り組んでいく。


8.津付ダム・簗川ダムの中止・見直しについて

【斉藤議員】
 鳩山政権は「コンクリートから人へ」のスローガンのもと、ダムに頼らない治水対策への転換を進めようとしています。昨年の12月15日には知事あてに、前原国土交通大臣名で「『できるだけダムに頼らない治水』への政策転換に対するご協力のお願い」が出されています。12月25日には大臣会見資料として「新たな基準に沿った検証の対象とするダム事業を選定する考え方について」示されました。簗川ダムも津付ダムも検証の対象ダムとなっています。
 達増知事は鳩山政権のこうしたダム事業の見直し方針をどう受け止めているのでしょうか。新たな検証基準が示された場合どう対応するのでしょうか。簗川ダム事業は来年度大規模事業の再評価の対象となりますがどうするのでしょうか。津付ダム事業については、昨年多くの県民から中止・見直しの声が寄せられましたが、こうした声や具体的な提言をまともに検討することなく「継続」としました。しかし付帯意見では国のダム事業の政策に大きな変更があった場合には随時再評価の要否の意見を聞くとしています。新たな検証基準が示されたなら再評価にかけ見直すべきと考えますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 国の見直し方針は、「厳しい財政状況の中で、国民生活にとって必要なものは何かを考え、税金のムダづかいをなくし、不要不急な事業を根絶するとともに、住民の理解に基づいて事業を進めるべき」という、民主党のマニフェストの精神を踏まえたもので、基本的に国民の利益に資するものと考えている。
 簗川ダム・津付ダムが検証の対象とするダムになっているが、新たな基準が示された場合には、その段階で適切に対応していく。
 簗川ダム建設事業の再評価についてだが、前回評価から5年経過しているので、「政策等の評価に関する条例」に基づき、来年度に再評価を実施するところである。
 津付ダム建設事業については、新たな基準が示された時点で、大規模事業評価専門委員会に報告し意見を聴く予定である。


9.小沢民主党幹事長の「政治と金」問題と県政を舞台とした「天の声」について

【斉藤議員】
 昨年の3月3日、私が一般質問で西松建設のヤミ献金問題を取り上げたその日に、小沢一郎民主党幹事長の大久保公設第一秘書が西松建設の政治献金で虚偽記載をしたとして逮捕されました。6月18日の西松建設の違法献金事件の初公判と12月18日大久保秘書の初公判では、岩手県が発注した公共事業で小沢事務所が「天の声」を出していたこと。談合によって西松建設が国道283号秋丸トンネル工事を23億3000万円で、県立一戸病院新築工事を37億7000万円で、簗川ダムトンネル工事を24億9000万円で受注、県立福岡病院新築工事は清水建設が56億8000万円で受注したと指摘されました。また、県も負担金を出している胆沢ダム建設事業では、事業費2440億円の大規模事業ですが、大久保秘書が「胆沢ダムは小沢ダムだ。忘れてもらっては困る」「(工事を取ったら)5000万円お願いします」と建設会社に脅しをかけ、西松建設からは毎年1500万円の献金を依頼し、受け取っていました。また、赤旗新聞の取材によると下請けに入った水谷建設からは5000万円のヤミ献金を2回に分けて石川秘書と大久保秘書に届けたことを明らかにしています。小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」の政治資金報告書の虚偽記載事件では21億円余の虚偽記載があったとして3人の現・元秘書、現職衆議院議員が起訴されました。小沢一郎氏の政治的道義的責任は極めて重大です。
 問題の核心は、県民の税金を使った公共事業をゆがめてゼネコンから闇を含めて献金をもらっていたのではないかという税金の還流疑惑であります。指摘をされている事業について徹底した調査と検証を行うべきと考えますが、知事はこれらの指摘をどう受け止め対応されるのでしょうか。
 また、鹿島建設などゼネコン各社は、小沢氏のかかわる選挙になると人も金も票となる名簿も出して協力させられていました。2000年の総選挙は達増知事が初めて総選挙に岩手1区から自由党の候補者として立候補した選挙です。ゼネコン53社が約2万1千票の名簿を提出し、人的協力が常駐で80人、電話かけが40人動員させられていました。結果は約9000票差で達増氏が当選したのであります。達増知事はゼネコン丸抱えでお世話になったのではないでしょうか。小沢流ゼネコン選挙の実態についてどう認識されているでしょうか。
 達増知事は、知事選挙の第一声で「小沢チルドレンと呼ばれることは誇りだ」と述べていましたが、いまでも変わりがないでしょうか。小沢一郎民主党幹事長にかかわる「政治と金」の問題について国民の8割以上が説明責任を果たしていないとしています。政治の師と仰ぐ小沢一郎幹事長に国会で堂々と説明すべきと進言すべきではないでしょうか。

【達増知事】
 県営建設工事についてだが、指摘されている事業について、適正な入札、発注が行われたと承知している。
 私の選挙についてだが、私の選挙運動は政党役員を中心に広く後援会役員に参加してもらう形で組織されており、法令にしたがい運動していただいている。また、小沢一郎民主党幹事長からは、特定の有力企業や有力経済人に依存せず、地区後援会を充実・強化して、普通の住民の力を広く結集して選挙に臨まなければならないことを常に指導されていた。 2000年の岩手1区における総選挙においても、地区後援会を中心とした草の根型の運動が成功したと、当時マスコミでも報道されていたと記憶しているし、私もそういう実感を持っている。
 小沢一郎民主党幹事長についてだが、新進党、自由党、民主党と私もともに歩み、岩手から日本を変える改革の政治の道を進み、そして昨年8月30日、政権交代を実現し、現在国政の場、県政の場と立場は違うが、国民、県民生活保障を基本に新しい国づくり、地域づくりを進めていることについて、この上なく誇りに思っている。
 小沢幹事長の対外的な対応については、これまでも党大会や毎週の定例記者会見および特別の記者会見等さまざまな場面で説明されてきていると承知している。


10.県警本部の不正支出問題について

【斉藤議員】
 県警本部の不正支出問題は、総額2億1491万円に及ぶ極めて重大なものです。とくに、46の全部署において発生したことは県警本部の組織ぐるみの不正であったことを示すものであります。また、預け金や差し替え、一括払いは手法としても請求書を改ざんし、納品書を処分するなど極めて悪質なものであり、その総額は4722万円余に及びます。
 公安委員長に質問します。第一に、県警本部の今回の不正支出問題について、どういう法令、規則に反する不正なのか示していただきたい。第二に、全部署にかかわる組織ぐるみの不正が長期にわたって行われていたことについて、公安委員会の管理監督責任を含めてどう認識されているでしょうか。第三に、不正支出で購入したものについて、私的流用が明らかになった一人と懇親会で使用したもの以外は公的に費消されていたとしていますが、公的に費消されていたとする根拠は何でしょうか。本来必要のないものまで購入していたのではないでしょうか。公安委員会として具体的な検証を行ったのでしょうか。第四に、国庫補助金にかかわる不正支出分は加算金を含めて1897万円、国に返還することになっていますが、県費による不正支出分はなぜ返還されないのでしょうか。第五に、公認会計士の第3者による検証は具体的にどう行われているのでしょうか。

【公安委員長】
 はじめに、どういう法令、規則に違反するかということだが、地方自治法第220条第3項および県の会計規則第185条などの関係規定に照らし、問題となり得るものと認識しており、このことを勘案し、県警察幹部職員を含め257人に対して厳正な処分が行われたものと認識している。
 公安委員会としては、県民の良識を代表し、警察行政の民主的運営の確保の観点から、今回の問題については、これまで県警察から調査を始める段階、中間報告のまとめの段階、議会報告の段階など逐次報告を受け、その都度公安委員会として具体的な指示を行ってきたところである。
 「全部署にかかわる組織ぐるみの不正」が長期にわたって行われていたとの指摘だが、むしろ担当者任せで組織的な管理が不十分であったために今回のような問題が起こってしまったものと考えている。今回の問題については、県警察を管理する公安委員会としても、厳粛に受け止めているところであり、今後より一層の管理機能の充実と強化に努めていく所存である。
 公的に消費された根拠についてだが、県警察の今回の調査は、支出関係書類と業者の帳簿類とを突合して支出内容と業者の納品内容との対象作業を行うとともに、関係職員および関係業者からの聴き取り調査を行ったものである。また、納品内容には、備品等が含まれていること、および消耗品であっても一部が残存している可能性があったことから、これらの納入物品については現物確認を行ったものである。こうした調査結果に基づく総合的な判断により、昨年10月14日逮捕された職員が指摘に流用した物品および所在不明物品以外の物品が、公的に費消されたことが確認されたものと承知している。
 さらに、公安委員会として具体的な検証を行ったのかということだが、今回の調査は、約34000件余りの全ての契約内容を突合した上で不適切な事務処理の全容を明らかにしたものであり、県警察から各段階ごとに詳細な報告を求めた上で、公安委員会から適時指示を行い、厳正に調査させたものである。
 県費支出分はなぜ変換されないのかということだが、国庫補助金については、不適切な事務処理により補助金の交付決定が取り消された分を法律に基づいて国に返還するものである。県費分については、出納局等を通じた正規の物品購入と比較し、割高に納入された実態があることから、国庫補助対象経費を含め一定額を職員が負担し、県歳入とされるものと承知している。
 公認会計士の第三者の検証についてだが、今回の調査は、約34000件余の全ての契約内容を突合した上で不適切な事務処理の全容を明らかにしたものであり、また公安委員会としても適時指示を行い、厳正に調査したものであると認識している。
 県警察の岩手県警察会計処理アドバイザー制度は、今後、会計経理に対する県民の懸念を払拭し、再発防止策をより効果的に推進等するため、公安委員会の検討指示を受け、県警察が創設したものであり、今回の調査結果の検証を目的としたものではないと承知している。

県警幹部とパチンコ業界との癒着問題について

【斉藤議員】
 第六に、昨年の決算特別委員会で、昨年2月7日、県警本部の首席監察官がパチンコ業界丸抱えの懇親会に出席していた許認可権限を持つ業界との癒着問題を指摘しましたが、公安委員会として調査し、対応したでしょうか。

【公安委員長】
 昨年の決算特別委員会における質疑の状況や警察官有志の主催による送別会で、かつ完全会費制で行われたものであり、警察行政の公平性を疑わせるようなことはなかった旨、県警察から報告を受けている。
 しかしながら、警察職員たるもの、部外者との飲食にあたっては、無用な誤解、疑惑、不審を招かず、特にも慎重であらねばならぬものであり、厳に軽率な行動を慎むよう職員の指導を徹底する旨、県警察から併せて報告を受けている。
 こうしたことから、公安委員会として改めて調査を指示する必要性は認められないと判断した。

指摘流用で逮捕された職員の処分について

【斉藤議員】
 県警本部長に質問します。私的流用で逮捕された職員は検察で処分保留となったとのことですが、なぜ起訴されなかったのでしょうか。警察の捜査が不十分だったのでしょうか。それとも警察の不正が裁判で公に問われることを回避しようとしたのでしょうか。逮捕された職員は私的流用の内容について全面的に認めていたのでしょうか。

【警察本部長】
 今回の不適切な事務処理問題において、調査の過程で私的流用が明らかとなり、当該職員もそのことを認め、私的流用物品の全額を返還している。
 また、捜査を行い、平成21年10月15日、盛岡地方検察庁に詐欺罪で事件送致している。
 検察庁の処分については、「処分保留」であると承知しているが、警察においてコメントできる立場にない。
 なお、検察庁において、最終的な処分がなされていないことから、処分に影響を与えるようなコメントは差し控えさせていただきたい。


≪再質問≫

・雇用情勢の認識、実態に即した対策について

【斉藤議員】
 知事に対して深刻な雇用問題、県政の最重要課題ということで質問したが、細切れの答弁だった。中身の薄い答弁で大変分かりにくい。こういうのは必ず改善していただきたい。知事に質問したのである。
 それで、今の雇用情勢の認識大変甘いのではないか。09年の一年通しての有効求人倍率が0.34倍というのは統計史上最悪なのである。今日発表された1月の有効求人倍率も0.35倍である。特に水沢は0.26倍とまた悪化した。これだけ1年間にわたって0.3倍台の大変深刻な事態が続いているということは、失業が長期化しているということである。ということは雇用保険がもうほとんど切れている。知事、今失業者が県内でどうなって、そのうち雇用保険をもらっている方が何人なのか把握しているか。そういうところから私たち自身が直接市民アンケートを行って実態も示した。奥州市で行った市民アンケートでは28.5%が「世帯に失業者・求職者がいる」という答えである。すさまじい規模である。生活の土台が断たれている状況になっている。だからワンストップサービスというのは、時々やればいいのではないと。せめて毎月就職の確保と合わせて、今の生活をどう確保するのか、私たちもそういう活動をしているが、行政としてもう一歩踏み込んでワンストップサービスというのを労働局や市町村と協力してやるべきであると提案した。商工労働観光部長が「ニーズをみながら」という答弁をしたが、ニーズははっきりしている。そういった認識では雇用対策はできない。深刻な、史上空前の失業・雇用情勢に対応する対策を県として打ち出していただきたい。

【達増知事】
 さまざまな数字が最悪の数字というような形となっているということは認識している。県では、経済雇用対策本部を立ち上げ、私はその本部長として随時対策本部の会議を開きながら実態を把握して、それに対応する措置を県をあげて、また関係市町村や国の機関、労働関係団体とも協力しながら取り組んでいる。その中で、失業の長期化が貧困の問題になりつつあるということも県として把握しており、単なる通常型の雇用対策ということだけではなく、1つには経済そのものの力を高めていく構造的な対策が求められている一方で、福祉的な貧困関係の対策も必要ということで、それに対しても随時状況を把握しながら県としても対応しているところである。
 ワンストップサービスについては、年末年始に政府の方からも積極的にやるようにということで県としても年末年始に実施したが、今後においてもさまざまな失業の課題、貧困の問題について、必要とする人に必要な支援がきちんといくように努めていきたい。


・誘致企業の首切りと内部留保の活用について

【斉藤議員】
 この派遣切りの先陣を切ったのは誘致企業だったが、先ほどの商工労働観光部長の回答は間違っているのではないか。関東自動車だけで平成20年3月31日時点で期間社員は1243人、派遣社員は107人いた。昨年の8月31日には期間社員は526人で717人減っている。派遣社員は107人全員いない。合わせて824人減っている。その後、若干増産体制になったから250人増やした。しかし824人減らしている。
 富士通は1130人の再配置、基本的には一度首を切り関連会社に派遣などで採用すると。すでに700人が退職を申し出ている。
 ソニーは工場閉鎖で424人の正社員が退職である。
 こういう深刻な事態の中で、こうした大企業は巨額の内部留保をため込んだままで、株主の配当のためには内部留保を取り崩すが雇用を守るためには1円も取り崩さないというやり方でいいのか。私はこのことを知事に聞いた。本来内部留保というのは、こういう時にこそ、雇用や工場を守るために使うべきではないか。株主ために赤字になっても配当はするが、雇用を守るためには1円も使わないというのは世界の非常識だと思う。雇用を守る、工場を守る体力があるにもかかわらず、やらないということに今本当にメスを入れる必要があるのではないか。

【達増知事】
 雇用の維持については、岩手に立地している大きな会社に対して、それぞれ会社のトップに対しても私からも強く求めているところである。


・職業訓練センターの廃止問題について

【斉藤議員】
 あなた方は民主党県連に要請して、口頭で回答を受けたと。こんなことでこの問題が解決できるのか。口頭で回答をいただいたものというのは、「平成20年12月24日の閣議において、雇用能力開発機構の廃止についての決定がなされ、業務および施設について真に必要かどうかを精査した上で不要なものについては廃止するなどスリム化を図ることとされた」と。こういう検討をしたのなら、真に必要なセンターではないか。もし不要なセンターという判定をしたとしたらそれは間違いである。これは知事が厳しく抗議し、先ほど述べたように長妻厚労相に直訴すべきではないか。1つのセンターで2万人を超える方々が毎日職業訓練を受け、6割7割が就職している。失業が大変な時こそ必要な対策で国が責任をもって、こういう訓練は拡充すべきである。こういう問題こそなぜ長妻厚労相のところに行かないのか。
 政府の回答というのはまったく答えになっていない。だいたいこの回答はどこの誰の回答なのか。

【達増知事】
 岩手にとってもっとも良い形になるように、さまざまやり方を工夫させていただきたいと思っている。国の動向、行政改革、しかし一方で地方から働く人本位の力で地域を活性し、そしてそれが日本全体を引っ張っていく―そういう新しい国の形をつくっていくという点で基本的には今の政府と岩手県と基本的な考え方は同じだと思っているので、そういう中でこの職業研修のあり方についても国と地方の適切な役割分担をきちんと定めて対応していきたい。


・労働者派遣の問題について

【斉藤議員】
 労働者派遣の問題は派遣切りで大問題になったが、実は今国会で出されようとしているのは2つの大穴がある。3ヶ月雇用でも1年継続してやれば常用雇用ということで派遣禁止の例外になってしまう。今までと変わらない。26の専門業務について、事務的作業、パソコンを使えば26の専門業務ということで対象外になってしまう。これは全国で100万人いる。岩手県の派遣労働者の実態、登録型、常用型の派遣はどうなっているか。26の専門業務の派遣労働者はどうなっているか。こうした2つの大穴を打開すべきだと思うがいかがか。

【達増知事】
 県としても、全国知事会等を通じて労働者派遣法の改正について国に要請してきたところである。そうした要望も踏まえ、労働政策審議会において、公労使3者による議論、労働現場の実態を踏まえた議論が尽くされて全会一致で答申が出されて、その答申に基づいた法案化が行われつつあると承知しているが、まだ閣議決定が行われていないし、国会審議もこれからであるので、県としてもしっかり県の中における暮らしや仕事を守っていく観点から動きを見守っていきたい。


・花泉診療センターの民間移管について

【斉藤議員】
 大変重大な答弁があった。「花泉診療センターの医師については確定していないから報告はない」と。もう3月に入ったのである。私たちが9月議会で廃止条例を議論したその前提が崩れたということではないか。あの時の申請書の検討は、5人の医師が確保されることが大前提に申請、審査している。もう4月まで1ヶ月を切った段階で医師の確保の見通しがないと。私は花泉診療センターで先生に聞いた。「後任の医師が見えないから4月からの患者を紹介できない」と。「半数以上の患者は地元の開業医に、その他の患者は磐井病院や大東病院、宮城県の病院に紹介している」と。とんでもないことである。計画の一番大事なポイントで、3月になっても医師確保の見通しが示されないという、こういう申請は取り消すべきではないか。破たんが明らかではないか。
 実は2月13日付医事新報に、医療法人「白光」は内科常勤医師の募集をしている。とんでもない話である。前提が崩れたこの計画、申請書は直ちに撤回させるべきではないか。
 医療局は医師確保について履歴書までもらったと言っていた。これは本当なのか嘘なのか。確かめたのか。今までの医師確保の話はでたらめではないのか。
 申請書の中には、事業実施開始日を示すことになっているが、事業開始日はどう報告されているか。特養ホーム・介護施設の場合は3月5日で申請している。できないではないか。そういう変更もされているのか。

【医療局長】
 医師確保がまだ確定していないという指摘について。いずれ我々とすれば、もう工事も始まっている中で、きちんとしたものを出していただきたいというのは我々も同じ思いであるので、できるだけ早く出すように要請している。
 履歴の関係について。事務的にはその後もどういう状況になっているのかやりとりしているが、その中では当時のいただいた方々が、何とかしていただけるという方となかなか厳しい部分と両方あるということで、そういう状況では困るということで最終的なものが早く欲しいということで申し入れをしている。
 事業開始日が12月15日にいただくという段取りで進めていたが、ところがその時点では、当然法人の方からも相談があったが、社会福祉法人の認可の流れ、工事の流れ、そういったものがなかなか「いつまでに」というのが確定できるような状況が我々としてもその時点で判断できないということで、そういったものがきちんと判断できる時点で最終的な判断をさせていただくということで、その中には医師確保は当然のこと、各種の諸手続きなどがあるので、そういったものをきちんとやって、その書類を我々もきちんといただいた上で最終的な事業者としての決定をさせていただくという話をさせていただいており、その考え方で進めている。


・県発注の公共事業における「天の声」問題について

【斉藤議員】
 「コンクリートから人へ」ということで、岩手県発注の公共事業の天の声問題を指摘した。胆沢ダムは県も負担金を出している。実は、あの抵体工事の第1期工事、原石山第1期工事、談合情報が出されて談合情報通りにとった。そのことを指摘したら、国土交通大臣は「この入札について検証する」と答えた。この間の公判で、あれだけリアルに岩手県の公共工事で天の声が出されて、談合がなされたと言われているときに、何の検証もしないということはないのではないか。それは小沢利権に関わるからなのか。それなら「コンクリートから人へ」ではなく「コンクリートから小沢へ」ではないか。
 達増知事が民主党県連の会長時代に、西松のダミー団体から1100万円の献金をもらっていたと6月議会で指摘したが、あなたはこの間どういう対応をしたか。

【達増知事】
 西松建設前社長の公判の判決においては、その政治献金が談合の際の天の声に対する見返りであったという検察側の主張は認められなかったと承知している。
 また、大久保秘書の公判においては、指摘されている政治団体は決してダミー団体ではなく、会社組織とは別にきちんと立てた政治団体である旨元総務部長が主張しているという風にも聞いており、私そのも公判の推移を注視している。


≪再々質問≫

・雇用対策について

【斉藤議員】
 私が知事に質問したことについて答えがなかった。知事からなかったらこういう時に部長が変わって答えなければいけない。
 関東自動車や派遣切り期間工切りの数が違うと指摘したし、労働者派遣の岩手県の実態も指摘した。
 知事、失業が長期化している、そして生活確保の要求が切実だと。私たちのアンケートにも、「希望がなくなった」「自殺するしかない」という声がある。そこまで追い詰められている。だから私は、仕事の確保と合わせて、今ただちに守る対策が必要だと。それで1つの今できる対策としてワンストップサービスを、キャンペーンではなくて定期的にやると。実は奥州の求職者総合支援センターは奥州市と協力して比較的取り組んでいる。そういうことを県内各地で思い切って県が音頭をとってやっていただきたい。
 職業訓練センターは、鳩山政権が国民・県民の期待を裏切るかどうか、このぐらい大事な問題だと思う。これだけ失業者・求職者が大変なときに、訓練を受けたくても受けれない。その施設を廃止するなんていうことはまさに国民・県民の願いに逆行するものである。国と県の考え方は同じではないので、こういうことは地方から声をあげて、悪政に歯止めをかけると。こういう時こそ知事が力を発揮していただきたい。

【達増知事】
 貧困対策的な支援に関しては、ご指摘の通り、市町村との連携が非常に重要だと思う。今後ますます市町村との連携をしっかり深めながら、きちんとニーズに合うように進めていきたい。
 職業訓練の重要性については、政府も県も同じだと思っているが、施設の廃止については県も反対し存続を求めているわけなので、そうしたお互いの違いについてどのような形でセットできるかについては交渉を工夫させていただきたい。
【商工労働観光部長】
 解雇・雇い止めの実態の中で、関東自動車の状況だが、先ほど述べた通り、自動車関連産業では370人と申し上げたが、この中の半分程度が関東自動車のものと聞いている。
 県内の派遣労働者の実態だが、総務省の就業構造基本調査によると、平成19年の労働者派遣事業所の派遣社員は9900人となっている。なお岩手労働局によると、一昨年の10月から今年3月までに実施済み、あるいは実施予定としている非正規労働者の雇い止め等のうち、派遣労働者については78事業所3062人と聞いている。


・花泉診療センターの民間移管問題―医師確保の見通しについて

【斉藤議員】
 聞くに切ない答弁だった。9月議会であれだけ議論したのは何だったのか。この議論は、59年続いた県立医療機関を廃止していいのかと、それについてはあまりにも根拠がないと指摘した。医療法人の信頼性についても指摘した。しかしあの計画の大前提は、常勤医師2人、非常勤医師3人の確保、見込みがあるからということであった。あと1ヶ月を切った段階で、医師確保の報告がないということは信じがたい話である。だから先ほども、始める前に破たんするのではないかと述べた。そしてこの状況で無理して4月にスタートしても、患者は集まらない。何度も裏切られているのだから、そういうところをしっかり見て、必要な判断をしないと本当に深刻な事態になってしまうのではないか。もしまともに運営できないとしたら、県立病院として、県立医療機関として継続するしかないですね?そのことを改めてお聞きする。

【医療局長】
 いずれ医師の体制のものをきちんと出していただいて、それを見て判断させていただきたいと考えている。


≪再々々質問≫

【斉藤議員】
 民間移管できなかった場合に県立として継続するのですねと聞いた。そこまで事態はきている。だいたい今の時点で医師は決まっていないということが異常である。この事態を認識してやるべきである。

【医療局長】
 いずれ新しい体制がスタートしなければ、我々とすれば現在の無床診療所は継続するということで住民に言ってきているので、そういう前提、そういう考え方である。

【斉藤議員】
 商工労働観光部長、あなたからもらった資料で質問している。そういう把握だったら数が違うではないか。

【商工労働観光部長】
 私の手元にあるデータで話しているのでご了解願いたい。