2010年3月10日 予算特別委員会
総務部に対する質疑大要
・中小企業の法人事業税の納入事業者数と比率について
【斉藤委員】
総括質疑で中小企業の法人事業税の納入事業者数と比率について聞いたが、今分かるか。
【税務課総括課長】
法人事業税の申告義務の法人数は、平成20年度において中小企業で申告義務があった法人が20656社である。その中で、事業税の額が発生していない法人数は、13338社であり64.6%である。
同様に、21年度の見込みでは、申告義務のある20449社のうち13919社68.1%が事業税が発生しない見込みの中小企業法人であり、20年度に比較し581社増加する見込みである。
【斉藤委員】
中小業者の深刻な事態というのがここにも示されている。
・防災・津波対策について
【斉藤委員】
チリ地震津波の防災上の課題・教訓を現段階でどう受け止めているか。
【防災危機管理監】
津波で被害に遭わないための最良の方策は避難であるということで、その観点から避難について。公表されているように、避難所に避難した人数については、当日把握できた人数で、避難指示対象人員の9.5%になっている。避難所の他にも、親戚宅等に避難した方々も多数いると聞いているが、いずれ避難率が低かったこと、さらには一度避難した住民が大津波警報が継続しているにも関わらず避難行動を止めてしまったことなどがあり、避難対策に課題があると認識している。
つきましては、避難の実態などについて、内閣府消防庁、岩手大学および市町村と連携しながら意識調査を行い、今後の津波対策に生かすための検証を進めていきたい。
【斉藤委員】
避難対策が最大の課題だと私も思う。県が発表した資料を見ても、例えば普代村の場合は45.3%、陸前高田市は20.3%避難している。沿岸の市町村でも違いがあり、それなりに避難が徹底されたところとしないところの要因も含めて徹底した検証と調査をしていただきたい。
県内避難施設が1780カ所あるわけだが、今回の場合は大変寒い時期の避難ということになった。避難施設の暖房の状態、居住性の問題について、テレビなどに出るのは広い体育館である。また避難施設のアクセスという点では、長い階段を車いすのお年寄りをかついで登るというところもあった。宮城県沖地震の場合は地震発生から20分30分という短時間で有効な避難をしなくてはいけない。そうした場合に、避難施設がそれにふさわしいものになっているのかどうか。もっと身近に安全を確保するようなところがあるのかないのかということも含めて避難施設の問題を考えるべきだと思うがいかがか。
【防災危機管理監】
避難施設については、県の地域防災計画において、給水、暖房施設等を有し、災害時要援護者に配慮の上、長期化に応じたプライバシー確保等に留意の上、市町村が指定するということにしている。これを踏まえ、各市町村においても、地域の実情に応じて地域防災計画に定めながら地区ごとにしている。
避難施設へのアクセスについても、避難場所へ安全に到達できる経路の整備や、代替経路を確保するとしており、市町村においては津波避難訓練等で検証している。今回の津波において一部の避難所で、委員ご指摘のように、寒かったとか情報入手のためのテレビがなかった等の声があるが、今後避難施設等の実態を確認して、市町村の地域防災計画の修正等を通じて市町村と意見交換をしながら指導していきたい。
【斉藤委員】
避難の問題で特に問われたのは、高齢者・災害弱者対策だったと思う。私の知り合いでも、何度か電話したが、その方は高齢者で歩けない。いくら避難指示が出ても残っている。こうした高齢者や災害弱者対策はどうだったのか。自主防災組織の取り組みも含めてどう把握しているか。
【防災危機管理監】
今回の津波被害を受けて、保健福祉部の方で沿岸12市町村を対象に、要援護者の避難等の状況についてアンケート調査を行った。その結果によると、要援護者への避難指示の伝達は、市町村や社会福祉協議会、あるいは民生委員などにより電話やFAX、戸別訪問等により行われた。また避難にあたっても、市町村職員や民生委員、消防団員、自主防災組織などが支援しながらおおむね適切に行われたとのことだった。しかしながら、要援護者の登録や名簿作成が進んでいないというのが現状であり、避難支援が必要な人が正確に分からないというケースがあった。そういったことなどの課題も明らかになったので、今後は市町村の災害時要援護者避難支援計画の全体計画というのがまだ前市町村できていない。そういったことから早期作成、要援護者等の名簿の整備などがまだ遅れている。保健福祉部と連携しながら市町村に要請するとともに、市町村の取り組みを支援していきたい。
【斉藤委員】
補正予算を議会の最終日に提案することを表明したことは評価したい。
平成15年の十勝沖地震津波被害を上回る大規模なものなので、当時の対策を上回る規模でやっていただきたい。財源上の検討はどのように行われているか。
【予算調製課総括課長】
現時点では、どういったものに対して支援を行うべきか、あるいはそれぞれの項目に対してどういう支援の方法があるのか、国のどういった制度が使えるのかといったようなことについてかなり広範な検討を行っているところであり、額あるいは資金の詳細について決まっている段階ではないが、そうしたものを所管部で検討いただいたものを受けて協議を進めていきたい。
・超過勤務手当の支給状況について
【斉藤委員】
先ほど民主党からも質問が出たというのは評価したい。
今年度の各部局ごとの一人当たりの超過勤務手当の支給時間数はどうなっているか。
【参事兼人事課総括課長】
現在年度途中であるので、正確な時間数を申し上げるのは難しいが、2月補正後の最終予算額に基づき超過勤務手当の平均単価を元に算出すると、各部局ともおおむね一人当たり90時間程度となっている。
【斉藤委員】
人事課から資料をいただいた。各部局ごとに言うと、例えば一人当たりで保健福祉部98.2時間分、総務部144.1時間、県土整備部123.7時間。それで超過勤務時間を調べると、保健福祉部は198時間、総務部150時間などである。
超過勤務時間を下回って支給されていることと、超過勤務時間が多いのに手当が少ない。なぜこういうことになるのか。
【参事兼人事課総括課長】
各部局の予算で超過勤務手当を計上しているが、合わせて人事管理費の中に超過勤務手当、これは各部局間でさまざまな要因により突発的に超過勤務が発生したというような場合に人事管理費に予算計上しているということであり、そちらの方から保健福祉部にもさらに配分している。
【斉藤委員】
超過勤務時間の通り支給されていないということ、超過勤務が多いのに、金を握っているところはたくさん出すが握っていないところはいくら残業しても出ないということになっているのではないか。これはきちんと出るのか。
【参事兼人事課総括課長】
先ほども述べたが、機械的に平均給与を使い算出したと申し上げた。それぞれ部局により職員構成が違うので、一律にその数字を比較することは適切ではないと思う。
【斉藤委員】
私は人事課からもらった資料で話している。平均時間で言っている。ズレようがないではないか。
超過勤務時間に対して支給されていないのが実態ではないか。たくさん超過勤務をやっている、見直すべきだが、たくさんやっているところに少なく配分されているのはどういうことか。適正に管理・対応されていないのではないか。
【総務部長】
先ほど総務部と保健福祉部を比較されたので、若干捕捉させていただく。先ほど参事が申し上げた通り、予算の段階以降、緊急的なものに対応するために人事管理費、これは総務部人事課が所管しているわけだが、そこに寄せて超過勤務手当を積んでいる。今後発生する、もしくは調整する必要のために。したがい、見かけ上総務部の予算計上が多くなっているが、それはそういう事情によるものである。
当然超過勤務手当については、縮減に努めるとともにやむを得ず実施した場合については、その適正な支給を図ることは当然のことなので、その通りに我々も予算確保に努め、人事管理上の必要な措置を講じていきたい。
【斉藤委員】
たしかに人事課に人事管理費が4196万円ある。これはこの間ずっと減っているのではないか。その推移を示していただきたい。
【参事兼人事課総括課長】
ただ今情報を持ち合わせていないが、来年度の人事管理費については、本年度最終予算が4196万円だが来年度は1400万円増額し5100万円で当初予算に計上させていただいている。
【斉藤委員】
質問をきちんと通告している。人事課のプール分の推移について。都合の悪いのは答えないと。
超過勤務時間が正確に申告されているとは思っていない。やった分申告されていないと思っているが、申告された分はきちんと支給するということを約束できるか。たくさん超過勤務したが少なく配分されたということがないように、そういう是正を約束できるか。
【総務部長】
超過勤務手当については先ほど申し上げた通り、その縮減に努めるほか、やむを得ず実施したものについて必要な予算措置を講ずるよう引き続き努力しているところであるし、今後とも努力していきたい。
【斉藤委員】
2月補正で1億1000万円も超過勤務手当を出しもせず削減している。これは重大である。しっかりやっていただきたい。
・入札問題について
【斉藤委員】
昨年度、今年度の落札率、低入札の件数と率はどうなっているか。
県営工事では、これは建設業協会のコスト調査結果だが、県営工事を落札しても7割が赤字だという調査結果を出しているが、これをどう受け止めているか。
最低限価格は他県はほとんど導入しているが、最低限価格を導入すべきではないか。公契約条例の制定も検討すべきではないか。
【入札課長】
普通会計における落札率は、平成20年度が81.4%、21年度は年度途中だが4月から1月までのデータで申し上げると83.0%。なお11月から低入札対策の強化を図っている。11月から1月までの落札率は84.7%と上昇してきており、一定の効果はあると見ている。
低入札の発生件数等は、平成20年度は513件で発生率は30.2%、平成21年度は、いわゆる低入札の基準となる調査基準価格を大幅に2回ほど引き上げたので、増加しており、4月から1月までは646件で発生率は47.7%だが、11月から低入札対策を強化したということで、11月から1月までが88件で33.7%と下がってきており一定の効果はあると見ている。
建設業協会のコスト調査結果について。建設業協会においでいただき、かなり詳細な中身を報告、説明いただいた。委員お話の通り、建設業の厳しい現状の詳細をうかがった。個々の具体の工事別の状況もうかがったが、中を見ると低い落札率(60〜70%台)でも黒字になっているものもあれば、90〜95%の高い落札率でもコスト的には赤字になっているものもあるなど、落札率ときれいに並ばないというか、赤字になるときはさまざまな要因が入っているのではないかという説明も受けている。公共工事が大幅に減少しているということを背景として、競争は激しくなっているということであり、落札率の低下、低入札の増加ということがあるので、過度な低入札をしっかり防止する対策をやっていかなければならないと考えている。11月以降は一定の効果は見られるのだが、後の状況も推移を丹念に確認しながら必要な対策は引き続き検討していきたい。
最低制限価格制度については、一律のラインで失格にしてしまうという制度があるので、県としては、競争性も確保しながらしっかりとダンピング対策もやっていきたいということであり、今行っている変動制の失格基準、数値的判断基準による失格、失格した場合のペナルティなどさまざま取り組んでおり、それらを運用しながら必要な改善を行いながら、何とかダンピングの発生を防止していきたい。公契約条例については、野田市が制定したところなので、その運用を十分お聞きし、国も動きがあるのでそれらの動向を十分注視していきたい。
【斉藤委員】
入札制度の改善に取り組んでいることは認めるが、低入札調査というのはハードルを上げると調査件数が増える。そういう意味でいけば、北海道・東北を見ると、最低限価格を導入していないのは岩手と宮城だけである。効果のある対策をしっかりとるべきだし、7割が赤字というのは個々の事業に特徴があるかもしれないが、仕事が少ない、そして買いたたいて、仕事をとっても赤字になっている実態をシビアに見なければいけない。改善できるところはしっかり改善すべきである。
・受動喫煙防止対策について
【斉藤委員】
2月25日に厚労省から「受動喫煙防止対策について」という通知が知事宛に届いている。この中身は、「多数の者が利用する公共的な空間については原則として全面禁煙であるべきだ。また少なくとも官公庁や医療施設においては全面禁煙とすることが望ましい」とかなり厳しい内容だが、県庁全体の受動喫煙対策はどうなっているか。
【総務事務センター所長】
厚労省通知について。平成15年5月の健康増進法施行後、平成17年2月の「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の発行だとか、平成19年6月の「たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン」の採択など、たばこを取り巻く環境が分煙から全面禁煙を求める方向に大きく変化してきたといったような状況があり、今回の厚労省通知はこうしたことを踏まえ、今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向を示したものと受け止めている。
受動喫煙防止対策の今後の進め方だが、これまでに健康増進法、喫煙対策のためのガイドラインといったようなものを踏まえて、毎年5月31日の世界禁煙デー、あるいはこれを中心とする禁煙週間(5月31日〜6月6日)などを中心として、県庁内の喫煙室の閉鎖、たばこ自販機の販売休止、禁煙教室の開催といったようなことなどを、それぞれの職場の実態に即して取り組みを進めてきた。県庁、すべての合庁、出先機関においては、完全に分煙という状況になっており、一部の合庁ではすでに建物内の全面禁煙としているところもある。今回の厚労省通知においては、委員ご指摘の通り、官公庁においては全面禁煙とすることが望ましいとされたところであり、今後は各庁舎における職員衛生委員会においての意見などを踏まえて具体的な対応を検討していく必要があると考えている。
【斉藤委員】
ぜひ全面禁煙に向けて具体化を図っていただきたい。
・私立高校就学支援金交付金について
【斉藤委員】
全国の都道府県の今年度の予算と来年度の予算を比較し、大幅に減ったところで岩手県はワースト4位である。例えば青森は、今年度1億4060万円が来年度1億2748万円、秋田県は6498万円から3623万円、山形県は2億430万円が1億60万円、宮城県は4億100万円が1億4700万円となっている。そもそも岩手県より授業料減免制度が手厚かった。それを基本的に維持しようという対策になっている。岩手県は予算比でやると、84%削減である。この私立高校就学支援金というのは、岩手県の負担を減らすためではないと思う。国が全額国庫でやったら今までの財源を活用して、私学の場合は入学金も高くその他の経費もかかる。基本的には学費無償化の方向に拡充させるということが大事ではないか。
【法務私学課長】
予算額の規模については委員ご指摘の通りだが、実は今回の授業料減免については、どこの県も就学支援金制度を前提に制度設計なされていると思っているが、その中でも各県ごとに各私立高校の授業料そのものの額がかなりばらつきがあり、ちなみに本県の授業料の平均が月ベースで月額1万7000円程度なのだが、この額は全国で一番低い額である。したがい、同じような考え方で制度設計したとしても、本県の場合は県の持ち出し部分の額自体は小さくなる。そうしたことで、各県の実施状況等も聞いているところだが、本県の考え方が必ずしもワーストの部類ではないのではないかと考えている。
今回の支援金の実施により、これまで県の支援を受けていた方々を含めて全ての私立高校の生徒がこれまで以上の支援を受けるということになるので、こうしたスキームで実施させていただきたい。
【斉藤委員】
私は東北各県の話をした。青森県は単独で1億2748万円の予算を計上している。山形も1億60万円。岩手県は1540万円である。
県立高校の場合は全員が無償化である。私立高校の場合には、基本的には半額である。今までの低所得者の場合には手立てがあると。しかし無償化になっていない。その他の入学金や施設整備費などの負担も高い。
私は全国の一覧表を持っているが、下から4番目である。県の負担を減らした額が4番目に多い。岩手県の負担を軽減させる対策ではない。子どもの学費を軽減させるのが対策の趣旨なので、今までの予算はさらに対策を拡充すると。全国の状況をよく比較し、最低ランクではいけないのではないか。
【総務部長】
あくまで本県として今回の国の制度に対応して、どうあるべきかという考え方のもとに制度設計を行ったところである。したがい、今後私学支援のあり方としてどういう風なものがより適切なのか、国の制度に加算してさらにそこを拡充していくのがいいのか、トータルな意味で私立学校の振興を図るためどのような手立てを講じるのか、そういった多方面の検討を行いながら今後私学支援のあり方を含め検討していきたい。