2010年3月12日 予算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑大要


・関東自動車と自動車産業における雇い止め・人員削減の状況について

【斉藤委員】
 08年3月末以来の期間工切り・派遣切りの実態とその後の再募集の状況はどうなっているか。
 3年を超える期間工は正社員に登用するよう求めるべきと考えるがいかがか。
 自動車産業では、昨年2月時点で1800人の雇い止め・人員削減だったが、その後はどうなっているか。

【企業立地推進課総括課長】
 関東自動車08年3月末では、全体で2860人である。同社から聞いている数字で、従業員がもっとも少なくなったのは平成21年8月末で、全体で2180人と聞いている。正社員については約140人の増加、期間社員が約720人の減少、派遣社員が約100人の減少となったものの、その後期間社員を250人増員しているというところである。
 期間社員の正社員への登用だが、これまでも機会ある度に積極的な登用について要請してきている。平成18年度に46名、19年度71名、20年度106名の実績となっており、引き続き今年度も正社員への登用を進めると聞いている。
 自動車産業に関してだが、昨年2月の時点で1800人とお答えしている。その後の状況については、集計にさまざま違いもあるが、当課の把握だが、主な誘致企業においてはさらに約120人の減少があったものの、今述べた関東自動車の150人の復元もあったと把握している。

【斉藤委員】
 本会議での答弁が事実と違うのではないかということで改めて聞いた。1800人からさらに120人の減少ということでいいですね。
 関東自動車の期間工は、2月末時点でも800人いる。この中には3年から5年、それ以上働いている熟練工もいるわけで、募集のときには最長2年11ヶ月なのである。それを越えてほとんど正社員並に働いている労働者が増えているので、ぜひ正社員に登用するよう強くもとめていただきたい。

・富士通、ソニーの退職者に対する再就職支援について

【斉藤委員】
 富士通、ソニーが大量退職者を出した。退職者の再就職の状況、企業の再就職支援の取り組みをどう把握しているか。
 富士通、ソニーは県内にどれだけの再就職の場を確保しているのか。

【企業立地推進課総括課長】
 これまで県としてもしっかりフォローを行うよう要請している。会社側では、就職支援会社を通じて、一人一人最後まできちんと就職支援を行うという回答を得ている。
 県内への就職先の状況だが、富士通としては、グループ会社の株式会社ケアネットが介護事業を立ち上げたほか、富士通アプリケーション開発という会社が北上においてソフトウェアの開発事業所を開設すると聞いている。これら2つの事業所で雇用人数は150人程度と聞いている。それ以外の再就職の状況については、今後我々としても把握に努めるということにしている。

【斉藤委員】
 富士通の1130人の人員削減は、うち700人が退職で県内最大規模である。この再就職の取り組みを全力を挙げてやっていただきたい。そして再配置というのは配置転換ではない。一度首を切ってから、関連の派遣会社に雇用するというやり方なので、今後の取り組みをしっかり県としては把握して再就職に結び付けるようにしていただきたい。

・職業訓練センターの廃止問題について

【斉藤委員】
 地域職業訓練センターと北上コンピューターアカデミーの問題について、3月11日に知事が厚生労働副大臣に要望をしてきたという答弁が先ほど出たので関連してお聞きしたい。
 先ほどの答弁だと、「国の運営の廃止を前提にして施設の譲渡は無償にする」と。そして「施設の譲渡後は、施設や設備の整備に関する経費について、国の支援の仕組みをつくってほしい」という要望ですね。1月に要望したときには、「国による運営の継続」を求めている。わずか2ヶ月後に腰砕けしてしまったのではないか。全国87カ所の職業訓練センターの廃止なのである。全国足並みをそろえて職業訓練について国の責任を追及していかなければいけないときに、岩手県が真っ先に廃止を認めた交渉でいいのか。きわめて残念である。1月14日には、青森県知事や青森市長、八戸市長、五所川原市長の連名まであったが、各県、全国とも協議してやったのか。

【雇用対策・労働室長】
 1月14日の要請を踏まえて、2月15日に国からの回答として、「地域における職業訓練を目的とする施設については、可能な限り地方公共団体等に移譲したい」という趣旨だった。そういった中から、県として地域の置かれている状況、基本的にこれらの施設が職業訓練を行う拠点施設として、それぞれの地域における産業の振興、あるいは労働者等の就業支援を行う上できわめて重要な施設であることから、当該施設の存続が必要であるということで、県としては1つの方法として、今回の国の考え方というのは、独立行政法人の改革の一環であるという受け止め方だが、他方職業訓練の重要性については、国も県もその点においては変わりないという認識をもっており、県としては速やかに職業訓練体制の充実を図ることが重要であると判断し対応した。

【斉藤委員】
 各県と協議してやったのかと聞いた。全国87カ所が対象なのである。県内5地域の職業訓練センター・コンピューターアカデミーは継続することは当然である。96000人年間利用している。当然なのだが、どこが責任をもって運営を継続するかが問われている。だから本来なら全国と連携して、雇用対策が国政・県政の最重要課題だというときに、国が責任を放棄していいのか。許されないことだと思う。国の政策が間違っていると思う。2月15日の民主党県連を通じた回答は、「独立行政法人を取り巻く環境が厳しさを増して、業務のスリム化や予算の縮小が厳しく求められている中、平成22年度末をもって廃止。建物の譲渡を希望する地方公共団体等に対しては当該建物を譲渡することとした」と。業務のスリム化と予算の縮小が前提になっている。これを大前提にしたら、結局地方でお金を出して運営してくださいということにしかならない。こういう回答を前提にして、岩手県が腰砕けの交渉をしたということは大問題である。私は知事に厚労相に直訴すべきと言った。言ったら腰砕けの要望をしたというのではどうしようもない。最終的に、それでも国が廃止を決めたという場合だったら、譲渡の話は最初からあるわけで、その時点で譲渡の交渉をしたらいい。今みんなが国の運営の継続を求めているときに、岩手県が真っ先に譲渡を言い出すということは、きわめて問題だったのではないか。全国の取り組みに否定的な影響を与えることになったのではないか。

【雇用対策・労働室長】
 今回の廃止については、職業訓練そのものを否定的にとらえるものではなくて、独立行政法人改革の一環と受け止めている。先ほど述べた通り、職業訓練に対する重要性については、国も県も変わらないものと認識している。
 そういう中で他県でもいろいろと取り組みがあり、運営継続等の要望もあり、あるいは早く譲渡の条件を示してほしいとかいろんな取り組みがある。そういう中で、関係市も含めた地域の思いとして今回の要望に至った。

【斉藤委員】
 各県と協議したのかと聞いたがまた答弁しなかった。腰砕けでやるなら各県と共同しなければいけない。岩手県が率先して腰砕けの交渉をするというのはおかしい。
 そもそも1月14日、青森県知事や青森市長、八戸市長、五所川原市長の連名で民主党県連に行くこと自体がおかしい。岩手県だけでいくのならまだいいが。他県の連名でなぜ民主党県連に行くのか。最初の交渉が腰砕け、知事が行ったら真っ先に腰砕けの譲渡の交渉をしてくると二重に問題である。
 なぜ地方が危惧してくるかというと、国から移管されたらその施設・建物の維持・管理・修理、今まではコンピューターの設備も国のお金でやってきた。今までどのぐらい国が経費をかけてきたのか。そういうことがなくなった場合に大変なことになるのである。国の施設だから、授業料も安く抑えて県民のために活用できたと北上市長も言っている。みんなそう言っている。そういう状況を把握しているか。

【雇用対策・労働室長】
 機構が設置に際しては負担したということで、原則として地域職業訓練センター、あるいは情報処理技能者養成施設の負担については、最終受託者が負担するという契約の内容になっている。ただし、委員からお話のあった通り、情報処理技能者養成施設については、コンピューターシステムの関係についてはこれまで機構が負担している。これについては、おおむね年間4000万円程度の負担と聞いているので、設置時から価格の変動はあるかと思うが同様の負担があったものと認識している。
 他県との協議の関係については、それぞれ情報交換をしながら、早く無償譲渡で出してほしいなどいろんな対応をとられる県もあったと把握している。要望については、県としてこのような対応をということで対応をとった。

【斉藤委員】
 他県とは協議したが、恐らく今の時点で腰砕けで譲渡の交渉をするという合意はなかったと思う。やってみたら腰砕けで残念である。
 今まで国の施設を県が譲渡を受けたことがあるのか。あるとすれば無償だったのか有償だったのか。

【雇用対策・労働室長】
 職業訓練施設そのものについて、私の記憶では県が直接受けたということはないのではないかと思う。ただし、昔雇用促進事業団時代に、釜石の職業訓練校を釜石市が譲り受けたと記憶している。

【斉藤委員】
 職業訓練施設限定ではなく、国の施設を譲渡した場合に有償だったのか無償だったのかと聞いた。今雇用促進住宅自身が無償ではないと思う。そういう意味でいくと、徹底して交渉して、追い詰めて条件を切り開くということをやらなかったら、結果としてうまくいかないと思う。改めて、今の雇用促進住宅の市町村への譲渡も含めて示していただきたい。

【雇用対策・労働室長】
 いくつかの町・市において、有償で譲り受けているという状況がある。