2010年3月15日 予算特別委員会
医療局に対する質疑大要


・花泉診療センターの民間移管問題について

【斉藤委員】
 3月2日の一般質問、9日の総括質疑でも取り上げた。3月半ばである。医師確保の報告はどうあったか。この間の医師確保についてどういう協議がなされてきたのか。今までの話は嘘だったのではないか。その事実経過をはっきりさせていただきたい。

【管理課総括課長】
 直近では3月11日に現地で打ち合わせをしてきたところだが、最終的な事業内容の確認に向けた協議とともに、医師の体制についても今週末か来週はじめにも報告していただきたいと考えている。

【斉藤委員】
 そんな一言で済まない。8月25日に申請書が出た。そのときに常勤は2人、非常勤は3人で年齢まで出した。3月11日になって、「今週末か来週末に報告してほしい」という話だと。約束したわけではない。あなた方は履歴書までもらっている。今まで提起された医師確保の見通しは嘘だったのか。

【管理課総括課長】
 事務的にどういう状況になっているかということについては、やりとりもさせていただいたが、最終的なものを早くいただきたいということで申し入れをしているところである。

【斉藤委員】
 本当に重大なことである。そんな答弁ではいけない。
 8月25日に申請書が出されたときは、常勤の2人は内科系75歳・県内の老健に勤務、外科系35歳・県外の大学に勤務、非常勤が内科系48歳・県外の病院に勤務、内科系36歳・県外の大学に勤務、内科系37歳・県外の大学に勤務という内容で申請書が出された。そして9月議会で廃止条例を議論したときには、常勤医師は36歳と42歳に変わり、非常勤は67歳・70歳・64歳に変わった。たった1ヶ月で申請のときの5人の医師は皆変わった。9月のときの5人も皆変わってしまったのではないか。医師確保は事業計画のもっとも核心的な部分である。事業計画を審査した大前提は、医師確保の見通しがあるという大前提で審査している。見通しがなかったら申請書は通らない。だから聞いている。2度にわたってあなた方にお知らせした合計10人の医師の見通しは嘘だったのではないか。1人でも確かなものはあったか。

【管理課総括課長】
 繰り返しになるが、現在最終的な事業内容の確定に向けた協議の中で出していただくということでお願いしているところであり、我々としては嘘だというふうには認識していない。

【斉藤委員】
 局長にお聞きする。8月25日申請の5人分、9月議会で議論されたときの5人分について、あなた方から聞いた年齢を示した。9月議会のときにあなた方は履歴書までもらっていると言った。それが大前提で議論され1票差だった。それが全く根拠がなかったら、あの廃止条例は通るわけがなかった。そういう重大な問題である。あなた方が聞いたこの10人に1人でも残っている人がいるか。はっきり答えていただきたい。

【医療局長】
 8月27日の時点で我々も氏名・履歴等詳しく把握しているわけではなかったが、いずれその間に人の異動があったのは我々としても事実であろうと思っている。だからこそ、最終案がほしいということで、それを早急に出していただきたいということでお願いしている。

【斉藤委員】
 事業計画書では1月下旬に事業開始となっている。1月下旬に事業開始ができなかった。そのときどういう報告が医療局にあったか。先ほどの話だと4月にずれ込むという話である。そんな無責任な話はない。1月下旬に事業開始できなかった、申請書通りにいかなかったら応募書類の虚偽にあたるのではないか。

【管理課総括課長】
 事業開始日については当初1月下旬と予定されていた。具体的な期日は、内定の際にも12月15日までに報告をいただくこととしていた。その時点で法人からも相談はあったが、その時点では社会福祉法人の認可とか工事着工の見通しがまだ明確でないといったことがあり、最終的な事業内容の確定にかかる協議の中で開始日を示していただきたいと考えている。

【斉藤委員】
 1月下旬にできなかったときに医療法人からどういう報告があったかと聞いた。報告はあったのかなかったのか。廃止条例は9月議会で決まっている。改修工事も終わった。事業報告書が出ないのは医師確保の見通しがないからではないか。
 介護施設は3月5日開業とあなた方に報告されているではないか。社会福祉法人の認可でそうなっている。これでさえその通りにいかない。だとしたらその後どういう報告があるのか。

【管理課総括課長】
 1月下旬の予定ということで出されていたものについては、内定通知のほうに書いていた12月15日の時点で相談を受けているが、その時点でまだ社会福祉法人の認可も出ていない、工事着工の見通しも明確でないということもあり、最終的な確定にかかるものを出していただくということでお願いした。

【斉藤委員】
 社会福祉法人の認可は終わった。医療法人の定款の一部変更も認可も下りた。改修も終わった。なぜ事業報告書が出ないのか。医師確保の見通しがないからではないか。この期に及んで、5人の医師確保ができると言っていた土台が崩れたとしたら、応募要項に反するのではないか。

※応募に関する留意事項
(1)失効または無効―次に掲げる場合は申し込みが失効または無効になります。
ア、受付期間を過ぎて応募種類が提出されたとき
イ、提出した書類に虚偽の記載を行ったとき
ウ、審査の公平性に影響を与える行為があったとき
エ、本募集要項に違反すると認められるとき
オ、応募資格を有していないことが判明したとき
カ、応募者による業務履行が困難であると判断される事実が判明したとき

この項目に該当するのではないか。医師確保の見通しがなかったら、一番大事な核心的な中身である。1人2人足りないのだったら出せるはずである。1人2人どころではないのではないか。
 この間も紹介したが、医事案内で内科常勤医を2回にわたり募集している。見通しがないから募集しているのではないか。公平性にも反するし、虚偽の記載でもあったと思う。これでは10年継続する信頼性というのは全く今のところないのではないか。
 4月にずれ込むというが、花泉診療センターの職員の人事異動はどうなっているか。

【医師支援室推進監】
 今回の人事配置だが、現在勤務している常勤医師は今年度末で退職予定であり、法人による事業開始日の動向を勘案しながら、基幹病院等からの応援も含め必要な診療体制を検討することとしている。

【斉藤委員】
 もっと正確に言っていただきたい。
 看護師、その他の職員の人事異動も行ったのか。4月からはどうなるのか。

【参事兼職員課総括課長】
 看護師、レントゲン検査等については、現状通り4月は配置している。

【斉藤委員】
 結局見通しがないから切れないということである。
 医療局が決断する時期である。こんなに延ばして、一番大事な医師確保の見通しが8月の段階からなかった。3月半ばになってもそれが出てこない。これでどうして10年間できるのか。
 私は現場の医師から聞いたが、「後任の医師が決まらないから、今病院に来ている患者を紹介できない」と言っている。こんな無責任な話はない。一番重要な医師確保の見通しがないとしたら、応募に関する留意事項に当たるのではないか。見通しがあって延ばしているのか。厳密に答えていただきたい。

【医療局長】
 当たらないと考えている。

【斉藤委員】
 見通しがあってそう言っているのか。ここまで延ばして、人事異動で延ばさざるを得ない。医師は3月末で退職である。こういう医療法人でいいのか。
 医療法人の定款の一部変更で、「診療所長は理事にする」となっている。新しい理事の名前が入って定款が変更されたのか。

【管理課総括課長】
 保健福祉部関係の一連の許認可の関係についても、最終的な事業者決定にあたり、連携をとって確認して進めていきたい。

【斉藤委員】
 定款の変更はもう認可されている。知っているのか知らないのか。大事なことを聞いている。最初の8月25日の報告書ではN医師という診療所長名が書いている。もう9月で医療法人そのものを辞めてしまった。最初の計画のときにあった診療所長名が後は一貫してない。どういう風に診療所長は報告されているのか。

【管理課総括課長】
 最終的な協議の中でいただくものと考えている。

【斉藤委員】
 それも答えられないと。最初の申請書には診療所長名だけは書いていた。それは9月の段階で辞めてしまった。それから一貫していない、そういう医師確保はない。診療所の責任者さえ決まっていないとしたら、どうして業務が遂行できると考えるのか。今医療法人は必死になって医師確保に狂奔しているではないか。ここまで深刻な事態になり、59年続いた県立病院を廃止することはあり得ない。業務遂行が困難だと判断せざるを得ない状況にきているのではないか。そうしなかったら地域医療を守る責任は果たせないのではないか。見通しがあるのか、ないのか。

【管理課総括課長】
 いずれ繰り返しになるが、最終的な事業計画を出していただき、その中で我々のほうでも判断していきたい。

【斉藤委員】
 今来年度予算を審議している。県立病院の花泉診療センターが廃止されるかどうかこれで決まる。これだったら継続審議である。議会を継続して審議しなければならない。あなた方の期限はいつか。いつ最終判断するのか。

【医療局長】
 いずれ、今週末あるいは来週早々に我々としてもいただきたいと。それを見て、市とも相談した上で最終的な判断をし、開始日も決めてそれを目標に関係部局と連携して進めたい。

【斉藤委員】
 それは県議会中と受け止めていいのか。だとすれば、県議会の最終日にもう一度予算特別委員会をやっていただきたい。そうしないとこの問題は解決しない。そこを局長と委員長に確認したい。

【医療局長】
 先ほど来申し上げているように、我々とすればいずれいただくものもいただかないと判断ができないわけであり、それから市との協議をきちんとやらなければいけないと考えている。24日前後の部分については、我々の方で、いつまでにはできるということを今の時点で申し上げられる状況ではない。

【斉藤委員】
 まったく無責任な答弁である。県立病院を無床化し、9月には廃止まで決めた。しかし廃止だけ決めて、民間の受け皿が成り立たないとしたら、地域医療は守れない。
 そういう意味で、この県議会中に決着させるということでやらなかったら、ただずるずる延ばすだけである。厳密には8月からずっと肝心な問題を回避し延ばしている。私はもう決断すべき時期だと思うが、しばらく残すというのであれば、委員長のところで是非この問題が決着するように諮っていただきたい。そうしないと予算に賛成できない。

【予算特別委員長】
 ただ今の申し出については後日世話人会において協議させていただく。

【斉藤委員】
 何の問題も進展しない中で、具体的な問題を聞くが、施設の貸与の料金や医療機器の有償譲渡の交渉は終わったのか。

【管理課総括課長】
 医療機器の貸与やこういった部分のものについては、施設の貸付について1年目は通常の貸付料の4分の1、2年目以降は通常の貸付料の2分の1を上限として貸し付ける。医療機器等については、法人において引き続き使用したいという希望があるものについては、残存価格をベースに耐用年数や適用費用を勘案し譲渡することとしており、必要な医療機器等についてリストアップをお願いしている。

【斉藤委員】
 一般論ではなく、この段階まできてそういう交渉はまとまっているかと聞いている。3月半ばになってそのような話でいいのか。決着がついていないということではないか。

【管理課総括課長】
 必要な医療機器等については、うちの方からリストを出して、法人の方でリストアップをお願いしている。譲渡の価格等について法人の方で検討されていると考えている。

【斉藤委員】
 9月議会で廃止と民間移管が1票差で決まった。それから半年である。そのことすら決まっていない。
 これは医療局としては初めてのケースで、歴史に禍根を残すことになりかねない。

・県立沼宮内病院、大迫診療センターの体制について

【斉藤委員】
 岩手町との具体的な交渉はあるのか。特に検診体制を民間移管に任せるというのは負担があまりにも大きすぎるので、検診体制については医療局が今まで以上の支援体制をとらないと民間移管も進まないのではないか。これは花泉の経験から見ても、最低限のことではないかと思うがいかがか。
 大迫診療センターでは、1日80人ぐらいの外来患者が来ているのだが、入院が今まで15日程度で済んだのが30日かかっているという大変な問題があった。タクシーを運行しているが、診療センターに来ないと乗せない。大迫と遠野の間に外川目という地域があるが、途中で乗せて途中で返してくれればいいのだが、それもやっていないと。どうせやるのなら、柔軟な運行をやるべきではないか。

【管理課総括課長】
 検診体制だが、検診については現在岩手町のほうで個々の検診について、どこの医療機関にしてもらうのか、いつの時期に検診を行うのかといったことを来年度の検診計画を検討しており、今後の検診体制について町とよく相談をしていきたい。
 大迫の患者輸送タクシーだが、患者輸送タクシーは地域診療センターが有床であった場合に、センターに入院する方やその家族が付き添いをする場合のアクセスとして考えたものであるので、センターと入院先の病院を結ぶことが基本であると考えているが、入院先の多様化といったこともあり、地元の市町村からの要望もあり、路線バスの活用も可能にした。バスの利用に際しては、バスの運行ルート上にいる方の利用については最寄りのバス停からの利用も可能にしているところであり、こうした取り組みについては、花巻市からも実施時期について協議しているところであるので、地元の市町村の意見を聞きながら改善に取り組んでいきたい。

・診療報酬の改定について

【斉藤委員】
 600億円の薬価の引き下げがあって実質0.03%である。本会議の答弁で、県立病院の場合には4億円ぐらい改善になるというが本当なのか。

【医事企画指導監】
 今回の改定率は、診療報酬本体でプラス1.55%、薬価等改定率がマイナス1.36%、全体でプラス0.19%とされている。診療報酬本体のうち、入院がプラス3.03%、外来がプラス0.31%と公表されている。
 現段階では詳細な改定内容により試算することは困難だが、平成21年4月から12月までの入院収益と外来収益、薬品等材料収益にそれぞれの改定率を乗じて単純に算定した年間影響額は4億数千万円と見込んでいる。
 後発品のある先発品の追加引き下げで全体の改定率が0.03%ではないかということだが、これは国の予算に関することであり、あくまでも公表された改定内容で積算したものである。

・来年4月以降の医師確保の体制について

【斉藤委員】
 確実に医師が減る病院、例えば千厩病院では、何人減るというので休診とすでに住民に説明されているところもあるが、そこを示していただきたい。

【医師支援推進監】
 現在医局人事等で確定していない部分もあり、具体的な数字は答えられる状況ではない。いずれ来年度においても厳しい状況になると見込んでいる。
 各病院の診療科の体制についても、関係大学の医局との調整を行っている最中であり、今のところ詳細をお示しすることができない。

・7対1看護体制と9日夜勤の問題について

【斉藤委員】
 7対1看護体制とそのための増員はどうだったのか。私のところには、9日夜勤が増えた、恒常的になったという声もきているが、9日夜勤の実態をどのように把握し、その解消策をどう講じようとしているか。

【参事兼職員課総括課長】
 現在、中央病院、胆沢病院、中部病院が7対1看護体制をとっており、来年度の推計看護師数について、3病院で34人程度増員する予定である。
 9日夜勤については、今年度第3四半期までの9回夜勤については、延べ217人となっている。そのうち21年12月31日現在で214人については、翌月以降の夜勤回数を減らすなどしてすでに調整済みである。
 これらの解消策だが、病気の休暇者が発生した場合には各病院において臨時職員を任用するなど対応しているところであり、今後においても臨時職員の確保等により月8日以内を基本としていくように努力していく。

【斉藤委員】
 県医労が職員アンケートをやったら、労働実態アンケートで、「とても疲れている」が62.8%、「疲れている」34.0%、合計96.8%、「休暇が取れない・少ない」が54.8%と。交代制勤務の中で、過酷な状況の中で、定年まで働ける人はほとんどない。こういう中で、7対1看護体制というのは、あくまでも必要な増員を前提にやらないとこうなってしまう。
 来年度新たに7対1看護体制に移行する予定の病院はあるのか。

【参事兼職員課総括課長】
 現在のところ、先ほど述べた3病院の検証を行ってから来年度どうするか決めたい。