2010年3月16日 予算特別委員会
企業局に対する質疑大要
・新エネルギー開発について
【斉藤委員】
新エネルギー開発の検討について、風力発電の問題も、今年も来年も赤字と。この要因は何なのか。毎年赤字ということになると、風力発電の今後の可能性にもかかわってくる問題ではないか。どういう問題を解決すれば新規開発に結び付いていくのか。
【電気課長】
稲庭高原風力発電所のこれまでの赤字の要因については、大きなところでは、落雷による長期停止やその補修費用といったところがあったが、ここ最近は落雷対策といった対策技術も進んできており、落雷に対する強い風車という開発が進んできている。ただ稲庭高原風力発電所については、落雷対策が一部の器機に導入するにとどまっており、その改良のためにはまた莫大な費用がかかるということで、今の状況を適切に維持管理しながら黒字の確保に努めていきたい。ただ、風力発電は風が強すぎても安全のために停止するといった状況もある。そういったこともあり、なかなか結果として黒字に至らない要因はあるが、適切な維持管理をして安定的な供給になるように努めていきたい。
【斉藤委員】
最初に開発した稲庭高原風力発電が赤字が続くということになると、なかなか次に進むというのは大変ではないか。落雷対策は講じてきているが、風況が一番ということになると、風況調査はなんだったのかということになる。
・工業用水道事業について
【斉藤委員】
工業用水道の料金の減免について、今年度補正からすでに行われていると思うが、来年度も1億43万円余が一般会計の負担金として予算化されている。今年度の実績、来年度の受益企業はどうなっているか。減免の条件はどうなっているのか。
【業務課総括課長】
世界的な景気の低迷に伴う生産調整により、平成20年11月以降、工業水道の実際の使用料が大幅に落ち込み、現在も本格的な回復までには至っていない状況であり、一般会計額で措置した負担金を受けて、一律に年間契約水量の10%相当額の減免を行っている。この減免は、県の工業用水を使用している製造業者17社を対象としているものである。平成21年度は、年間で1億43万円余減免したところであり、22年度についても本年度と同じ条件で継続実施しようとするものである。
【斉藤委員】
工業用水道だけ減免措置があるのはちょっと異常ではないか。18社が受益企業で、北上地区の広域行政組合が減免対象外となり17社ということですね。その17社の中には、岩手東芝エレクトロニクス、富士通、シオノギ製薬、関東自動車などという大企業が名を連ねている。関東自動車は1000億円の内部留保をため込んでいる。シオノギも東芝もそうである。体力がある誘致大企業も対象になるというのは減免のしすぎではないか。その他の中小企業についての減免を否定するつもりはない。巨額の内部留保をため込んでいるところまで減免の対象にする必要はないのではないか。特に富士通は1130人の人減らしをする。人減らしをしているところに減免するのはおかしいのではないか。頑張って労働者の雇用を守っているというのならいいが、関東自動車も東芝も人減らしをしている。雇用の維持を条件にすべきではないか。これだったら県民に理解されないのではないか。
【業務課総括課長】
工業用水道の料金は責任水量制であることから、契約水量と実際の使用水量との間には、景気悪化前においても平均で20%程度の乖離がある。ユーザーからは、契約水量の減免要望が出されており、これに昨今の急激な景気悪化が重なり、生産を伴わないコストとなっており、さらに負担が増している。この状況については、どの企業においても同様だと認識している。企業局としては、知事部局の産業振興等の施策を受けた上での対応ということであり、個別企業の財務状況を見た上で、減免の条件を設定するのは難しいのではないかと考えている。
【斉藤委員】
いま経済危機の影響はみんな受けている。工業用水道を使っていない企業でも受けている。県民も所得が減少している。限定されているのは17社だけである。そこに1億円余の県民の税金を使い減免されるには、それなりの県民が理解する条件がないといけないと思う。少なくとも雇用を守るというのは最低の条件ではないか。ましてや財力のあるところまで減免する必要はないのではないか。1億円余の税金を使うなら、もっと困っている人のところに使うべきではないか。
【企業局長】
先ほど来ご説明申し上げている通り、景気悪化する19年度と比べ、かなり使用料が落ち込んでいるという状況で、責任水量制をとっていることから、例えば収益として年間約10億円の収益を得ているが、実際の企業が使う水量が一般水道と同じ重量制で見るとすれば7〜8億円の収入になるところを、責任水量制で料金を徴収することで10億円をいただいていると。生産に直接結びつかない料金として今までも2億円ぐらい多く負担していただいたのに、さらに景気悪化がゆえに1億円の負担増加になってきているといったところに着目し、一般会計のほうで県の政策として、雇用・経済対策として措置されたものとして、企業局もそれに応じて減免するという施策として実施している。我々はやはりユーザーとの関係でいくと、ユーザーが一番求めているのは料金だと聞いている。ユーザーの方では、世界的な競争、国内での競争、同じ企業内での競争というようなことを受け、雇用を守っていくような状況に競争をしていかなければならないというところを支援しており、県として一般会計と連携して施策として実施しているものである。
【斉藤委員】
富士通は、1700人の従業員のうち1130人を再配置という人員削減である。すでにラインを取り払ってしまった。工業用水道の利用の大幅な減少をこれにより生むのではないか。富士通の減少は全体の中でどのぐらいの比率を占めているか。
【業務課総括課長】
特定の法人に関する情報であるので、情報公開条例の非開示要件に該当すると考えるので回答しかねる。
・一般会計出資金、償還金について
【斉藤委員】
1億6696万円余の一般会計出資金の理由・性格、これまでの累積額はどうなっているか。一般会計の償還金が1億6100万円となっているがこの経緯について示していただきたい。
【業務課総括課長】
本県の工業用水道事業は、水源であるダムの建設費負担や、当初の想定通り契約水量が増えなかったことなどから、利用者からの料金収入だけでは毎年の企業債を償還していけない状況にある。そのため、その不足する分について、経営健全化対策として一般会計からの出資により補てんしている。平成22年度当初予算において1億6600万円余の一般会計出資金を計上している。また、経営健全化対策としての一般会計からの出資は、平成3年度から行っているが、平成22年度までの累計額については、27億2900万円余と見込まれる。
償還金について。工業用水道事業の経営健全化対策として、平成6年度と平成8年度に、企業債の繰り上げ償還をおこなったが、その財源として一般会計から24億3000万円余を無利子で借り入れしたもので、平成22年度償還額の1億6100万円余を予算計上したものである。なお、21年度末の一般会計からの借り入れ金の残高は、9億8600万円余で、償還は平成28年度まで続く見込みである。