2010年5月20日
花泉診療所の常勤医師不在問題についての申し入れ(保健福祉部)
【斉藤議員】
この花泉診療所の民間移管の問題は、昨年の9月県議会でも大議論になり、わずか1票差で民間移管が決まるという経過をたどり、3月議会でも、医師確保の見通しが示されないまま閉会すると。その後3月25日に事業計画が出された。医師確保の見通しを踏まえて事業計画は出され契約をされたと言われているが、実際には、4月以降配置された常勤医師の診療所長は、体調不良を理由に全く診察していない。今はほとんど人にも会わない。2名の確保にはならず、実態のない診療所長1名だけである。
現在どういう体制かというと、一週間交代の非常勤医師が1人で対応している。私も直接花泉診療所に行き、患者さんからも話を聞いてきた。地域の医療関係者からも状況を聞いてきた。その点で、常勤医師が事実上不在ということである。こういう民間移管というのは、常勤医師2名、非常勤医師3名の確保が大前提だった。その確証があるかということは県議会で問われたが、結果的には何の確証もなかった。実態もなかった。実際に配置された診療所長は、私が2月議会で紹介した、2月の医事新報で公募した医師である。だからそれまでは誰もいなかったということになる。結局、有床診療所だから民間移管したのだが、常勤医師が不在のために入院患者を確保できないと。民間移管、県の契約自身に重大な瑕疵があったのではないか。
私が聞いたところでは、10月には常勤医師を確保できると理事長は言っているようだが、その根拠は全然示していない。10月に確保するとしたら、10月まで入院患者はゼロということになる。そして、10月の医師確保というのも今までと同じで何の根拠もない。県立花泉診療所センターのときよりもひどい状況に外来の体制はなっているのではないか。
患者さんの話では、「行くたびに医師が変わる」と。今まで永井先生が診ていたときには患者の実態をよく知っていたので1ヶ月分の薬が出たが「2週間しか出してくれない」と。わざわざ2週間ごとに来なくてはいけない。来ても医師が違う。1ヶ月分出してくれと言ったら、「事務と相談してくれ」という信じがたい対応をしている。受付・診療・会計まで大変時間がかかるという事態も解消されていない。そういう点で、事業計画に反する異常な事態について、県は実態をよく把握し指導を強める必要があるということで4点申し入れたい。
1つは、花泉診療センターの医師確保と診療体制について、県として実態を把握してほしい。白光の話を聞いているだけではいけない。
2つ目には、事実上常勤医師が不在で、入院患者を受けられない事態について、事業計画に基づいて県がどう対応してきたのか。この経過と責任を明らかにしていただきたい。「常勤医師確保の見通しがたってから契約する」というのが議会答弁である。違うのではないか。
3つ目は、介護福祉施設の嘱託医師も務めていた非常勤の医師が4月末に辞任を申し出た。岩手日報では、「撤回へ」と書いているが、撤回していない。あれは誤報である。そういう嘱託医師を務めていた医師が、辞任するということになると、そういう介護施設についても必要な体制の確保が求められてくるのではないか。介護施設の問題では、七星会という社会福祉法人が非常勤の理事長と第一理事に新たに報酬を出すと。これが議題になり、理事会を開催しようとしている。県に問い合わせたら「問題ない」と言われたと。私が長寿社会課に聞いたら、「実態に応じてなら問題ない」と。常勤の実態があれば報酬の対象になるだろうが、実態がない。今これだけ混乱しているときに、理事長と第一理事というのが医療法人の理事長で、こういう方に報酬を出すということを理事会で検討すること自身が社会福祉法人としての信頼性が問われる問題ではないか。その点県はどういう対応したのか改めて示していただきたい。
民間移管の大前提は医師確保だった。しかしその見通しはなかったというのが実態として明らかになったので、県と医療局はこの経過を検証し、民間移管の契約が正しかったのか、このことを含めて、再検討を含めて責任ある対応が必要なのではないか。
【石山市議】
結果とすれば、残念ながら予想通りと言えば大変失礼だが、残念な結果になってきているのではないか。
もう1つは、今回の民間移管で、住民自体がどういう考え方になっているかについて、本当にがっかりした、民間移管というのは有床診療所として自分たちが期待した診療所ができたと思っていた。ところが結果的には、いまだに常勤医師が確保できない。毎日医師が変わるということで、とにかく不安でしょうがない。
もう1つは、あまりにも時間がかかりすぎる。早い方で朝7時ごろ受付に出すのだが、結果的にその方がすっかり診療が終わって会計が終わるまで、場合によっては2時3時となる。仕方ないから一旦家に帰してまた薬をとりに来るといったような実態がある。あるいは、とにかく時間が長すぎるので、窓口でトラブルとまでは言わないが、いろんな不満が出ている。「いつまで待たせるのか」とか「前の出した薬でいいのだ」など、窓口対応が時間がかかりすぎるといった不満がたくさん出ている。
また、そういう点で、開業医にかかっている人もいるが、どうして診療所に行くのかとなると、自分がもし入院せざるを得ないことになったときに入院する施設がない、だからどうしてもそこに行き、場合によってはすぐ入院させたいというのが願望である。そういう点では、入院施設があるから、そこにかかって治療したいと。場合によっては入院を即できる体制にしたいという家族もそういう考え方である。だから有床診療所としての役割をしっかり果たしてもらうというのが大前提なので、とにかく入院ができないということ自体が当初の事業計画も含めて全く根本が崩れているのではないか。常勤医師が確保できないこと自体が大いに問題あるが、毎日医師が日替わりで、これではとても信頼して話できない。医師に「私の病状を本当に分かっているのか」と聞くと、「私はある議員の上司の紹介で来ている。細かい話にはのっていられない」といったようなことで断られたと。そういう患者との関係が確保できないことも現実に生まれている。民間移管というのがこういうことかと、ことごとく住民の期待を裏切った。
よく実態を掌握してほしいということと、県が徹底してそれを指導する体制が必要だということである。
【高田政策委員長】
一昨日、地元の医師会の関係者の皆さんと懇談する機会があった。この医療法人については、業界では非常に問題のある、というような話もされていた。
私たちも診療所を訪問したが、懇談させてもらえず残念だったが、患者さんの話を聞くと、結局入院施設があるから安心して行っていると。ところがこんな状況になり非常に不安だと。ある患者さんは、10時に連れていき、昼食を食べ、4時ころに終わったと。行くたびに先生が変わり非常に不安だと。このままの状況でいくと、この病院はもたないのではないかと率直に思った。10年どころか半年ももたないのではないか。
先日、達増知事の記者会見が報道されていたが驚いた。きちんとした指導をして、地域の皆さんが不安のないような状況を作っていただき、県の責任で対応していただきたい。
【保健福祉部長】
お話は承った。
1点目の関係だが、医師確保等実態を把握することということで、昨日段階で医療局の方から現状についてはお聞きしている。だいたい先生方がおっしゃっているような状況かと思っている。今日医療局では、常任委員会で先生方に説明するということになっている。この点については、常勤医師の方が体調を崩しているという話があるので、診療所の監督責任ということもあるので、それについてどの程度どうなされるのかということについては我々としても関心があるところである。一応今のところ、非常勤の医師等で回しているということについて、通常あまりないのではないかというのはその通りだと思うが、医療法上はどなたが診察するかということについては、常時1人以上の方が診察等にあたっていればいいわけで、医療法上は申し上げることはないのだが、法律的には問題ないが、そのような状態については、我々としても注視している。
実際4月以降入院患者を受け入れられない状況にあるということについては、4月に開設したということで、開設2ヶ月目ということも若干あるのかとは思うが、一応有床診療所として許可しているので、もしこの状態が続くのであれば場合によっては来月以降事情聴取をさせていただくこともあるのではないかと検討している。我々としても一般的な医療法上の指導、管理監督上の話として事情聴取はさせていただくことにはなるのではないかと思う。
3点目だが、ちょっと認識が違っており、撤回していないという話もあったが、我々としては撤回されたと受け止めている。いずれ制度上必要な医師であるので、基本的には常時そういう方々が採用されているということは当然の話になるので、それについても十分注視していきたい。
役員報酬の関係だが、業務態様に応じてということがある。まだ詳しいことは承知していないが、一般論から言えば、例えば、理事長専決事項、第一理事、通常は専務とか常務とか言うのかもしれないが、ある程度専決規定とか代決規定ということで、各月々恒常的な業務があるとすれば、業務の態様に応じて報酬を出されるということはあるのではないか。その場合は、社会福祉法人という性格上だが、社会通念上おおむね妥当な額ということは1つの前提になるとは思う。ただ、社会通念上の話なので、いくらが高いなどとは申し上げられないが、月額何百万円となれば当然どうかと思うが、詳細は承知していないが金額的には許容される範囲ぐらいかとは理解している。ただ実際は、毎月の状態としてどのような仕事をされるかということが報酬との関係で多様になってくるのではないか。
最後については、医療局の方にお話しいただいて、医療局と我々のほうでご相談させていただきたいと思っている。
【斉藤議員】
今の答弁で、「来月以降事情聴取する」という話だったので、ぜひやっていただきたい。
実は、診療所長が体調が悪いというのは、所長になってから体調が悪いわけではない。そういう人と契約したと。この診療所長と会った医師は、「話がかみ合わなかった」と。だから診療所長になって体調を崩したのではなく、そもそも診察できない人を診療所長に置かざるを得なかったと。おそらくそうしないと常勤医師がゼロになってしまう。形式的にも。だからその実態として、まともな常勤医師が最初から不在のまま4月にスタートした。これ重大だと思っている。事情聴取されるのであれば、そこも含めてしっかりやっていただきたい。先ほど言ったように、診療所長は、2月に医事新報で公募して採用した人である。それまではゼロだった。
それから、有床診療所として民間移管した。入院ができるというのが住民の要望だったし、それが条件で民間移管した。しかし常勤医師が不在だったら入院患者は置けない。非常勤の医師の契約がそうなっていない。非常勤というのは、外来はやるが入院患者の面倒まではみれない。
理事長の話として、10月以降に常勤医師を確保すると言っているそうである。逆にいけば10月までは確保できないということである。完全なる契約違反で、民間移管の前提を崩す事態である。白光はこの間ずっと医師確保の問題については嘘をついてきた。10月以降の見通しといっても、何の名前も根拠も示していない。去年以来ずっとそうである。だとしたら有床診療所にならないのではないか。最初から分かっていたことだが、1ヶ月の実態を見て、我々も調査し、今回こういう提起をしている。
それから、診療所の実態として、診療所の運営の責任者がいない。事務長もガソリンスタンドの経験しかなく、病院事務の経験がない人である。診療所の運営について知っている人が誰もいない。これ自身が異常なのではないか。そういう点では、事情聴取できっちりやっていただきたいし、あなた方が民間移管するのであれば、そういうところの面倒までみるというのは最低限のことではなかったのか。これは医療局が直接的な責任だが、あまりの異常さに驚いている。
社会福祉法人の役員報酬の話をしたが、施設長からも話を聞いてきた。私たちが13日行った段階で19人入っており、85人申込があるというので今月中には満床になると。これは待機者がいて要望があるので、2階の小規模特養は順調にいっていると見てきた。ただ、理事長の勤務実態は週に1回、月に何度か顔を出す程度である。第一理事というのは医療法人の歯医者なのでもちろん勤務実態はない。スタートして1ヶ月も経たないうちに、役員の報酬を理事会で議題にするという感覚がおかしい。ある人に言わせれば「金目当てではないか」と。そこに経営者としての信頼性が問われる。そういう社会福祉法人のあり方からいっても、そういうことをするなら当初からきちんと計画を出すときにやったらいいではないか。医療法人の収支計画には4000万円の役員報酬というものもあった。信じがたいことである。おそらく、今度の花泉診療所の場合は赤字経営でもちこたえられないと思う。入院患者がいて成り立つのである。外来だってせいぜい20~40人。あのキャパシティでこの外来でももたない。介護施設は確実に入って報酬が見込めるから赤字ということはない。医療は、ましてや入院も確保できないとしたら、財政的・経営的に破たんするのではないか。医師確保と経営の問題は一体だと思う。そういう点できわめて深刻な事態である。
59年続いた県立診療センターを廃止してやったわけなので、そういう責任ある対応が県に問われている。
【保健福祉部長】
いずれ現時点では先ほど述べた通りであり、我々としては実態等について医療局からも話を聞き、我々も全く責任なしとはしていないので、地域医療の関係は包括的な責任があるので、医療局と十分相談した上で対応したい。
【斉藤議員】
非常勤医師の話は、こういうことである。微妙な発言をしたのは事実である。というのは、非常勤の医師が推薦して特養ホームの施設長が配置されたという経過があり、その方には協力をしなくてはいけないという話をしている。4月末に辞表を出してからは、診療所の勤務実態がない。ただ、ゴールデンウィーク中に入所者の体調が悪くなり直接この医師に相談があり、それはきちんと対応している。そこまでは放置できないと。そういうことがあれば対応すると。普通なら診療所だったら診療所長が嘱託医師になればいいだけの話だが、なれないところに異常な事態がある。
それからシルバーヘルスも深刻で、月曜から金曜に配置されている常勤医師は1〜2週間休暇なので。土日も今不在である。そして介護保険の意見書を書かない医師である。入所者が熱を上げたら「看護師が対応しなさい」という医師なので、その辺の実態も合わせて見ていただいてやっていただきたい。責任のない医療法人の運営について、不安と危惧を感じてこの非常勤医師が辞任表明したということが私が聞いた経過なので、そのあたりの打開の方向が示されない限り簡単な話ではないと受け止めていたので、よろしくお願いしたい。