2010年5月20日 
花泉診療所の常勤医師不在問題についての申し入れ(医療局)


【斉藤議員】
 新聞報道でも明らかなように、花泉診療所は4月6日から民間移管されてスタートしたが、実態として、常勤医師が不在、そのために入院患者がゼロという事態が今でも続いている。常勤医師1名となっているが、これはあくまで形式的なもので、診療所長はご承知のように、私が議会で紹介したが、2月に医事新報で募集したものに応募し採用された人で、診察ができない医者である。私が13日に行ったときには出勤もしていなかった。人に会わせられないと。診察もできないし、ましてや診療所長としての役割も果たせないという深刻な事態の中で、現実は大学から派遣されている一週間交代の非常勤医師が1人で対応している。一週間交代なので毎週医師が変わるという事態である。大変深刻な事態ではないか。
 花泉診療センターの民間移管で一番問題になったのは、常勤医師・非常勤医師の確保問題だった。その見通しがないというので、3月議会のときも、議会中には常勤医師確保の見通しを示せなかった、事業計画が出なかった。私の質問に対して医療局長は、「常勤医師の確保の状況を踏まえて事業計画を出してもらう。その上で契約する」と。しかし実際には、公募に応じた実態のない常勤医師1名で、事実上常勤医師不在ということを知った上で医療局は契約したのではないか。医事新報の広告がなかったら全くゼロだったということになる。こういう点でいけば、医療局は、あの事業計画を認め、それに基づき契約したこと自身に重大な問題があるのではないか。
 現実に病院の中では、「行くたびに医師が変わる」、「今まで1カ月出してもらっていた薬が2週間しか出してもらえない」と。これは永井先生が患者の実態もよく知っていてやっていたと思う。おそらく大学の方針で2週間しか出していない。だから2週間ごとにわざわざおばあちゃんを連れて来なくてはいけない。それから、「受付から診察、会計までいまだに時間がかかりすぎる」という状況も解決されていない。事業計画に反する事態が引き起こされて、地域住民が期待した有床、入院というのは残念ながら実現されていない。現状は県立の診療センター以下の実態である。
 そして今の理事長の話だと、常勤医師は10月になったら確保できると言っている。この確たる保障はない。逆にいけば10月まで見通しがないということである。だとすれば10月まで入院できない。10月以降もどうなるか分からない。経営的にも破たんするのではないかと危惧している。
 そうした事態を踏まえて、1つは、花泉診療センターの医師確保と診療体制について、医療局としてどのように実態を把握されているのか。
 2つ目には、常勤医師が不在という事態は、事業計画に反する事態なので、事業計画を踏まえて契約した経過、その後の状況を医療局としてどのように責任を感じているのか。この改善をどう指導してきたのか。
 3つ目は、介護福祉施設の嘱託医師も務めていた非常勤の医師が4月末に辞任を申し出た。岩手日報では、「撤回へ」と書いているが、撤回していない。どういうことかというと、あまりにも運営がひどすぎると。その解決の見通しも示されておらずこれではやっていけないということである。ただ、特養の入所者の中には、ゴールデンウィーク中も体調を崩したりしてそういう相談は受け、そうときは対応している。ただ、毎週金曜に外科の外来と訪問診療もやっていたが、これが今やられていない。これは介護施設にも関わるのだが、外科の体制というのも、だいたい非常勤医師が内科も外科も診るというのでやっているのだが、それぞれ診るような体制になっていないのではないか。
 4つ目は、こうした事業計画に根拠がなかったとすれば、医療局の契約にも重大な問題・瑕疵があったのではないか。そうしたことを検証し、契約の見直しも含めて検討する必要があるのではないか。
 以上のことで、実態を踏まえて4点申し入れたい。

【石山市議】
 実態は先ほど申し上げた通り、住民が期待していた有床診療所、本来開業医に変えてもいい患者さんはたくさんいる。万が一自分が何ともならないとき、ここで入院させてもらえるということでそこに行く。入院施設がそこにあるということがまず最大の安心である。これがめっきり期待を裏切られた。現実問題は機能していない。非常に失望感の中になる。現にそこに来ている患者さんがどんなことをしゃべっているかというと、10時に受付して、昼でも解決できず、1時になっても薬が出ない。そして一旦そのおばあさんを家に送っていって、また来ると。結果的には3時を過ぎてしまい、これほど時間がかかるのかという不満。それから、ある患者の場合だと、待合室で「前の薬でいいんだ」と叫んでいると。いずれとにかく、医者に聞いても「それは事務に聞いてくれ」と。毎日どうして医者が変わるのかという問題についても、これは国会議員と言ったかどうかは分からないが、「議員の上司の関係で頼まれているだけ。細かいことを言われても困る」と。とにかくいろんな不満が増幅している。
 スタートから危ぶまれたが、1ヶ月経過してみても、本当に医療機関として大丈夫なのかという、信頼関係そのものが命に関わる医療機関がこういう不満だらけだと困る。当初約束通り常勤医師をきちんと確保して医療に専念できる、有床診療所として入院できる体制を一日も早く確立すること、この点が最大の住民の関心である。とにかく今や住民にとってみては、せっかく有床診療所ができたと思っても、民間移管というのはこういうことかということまで言われている。そういう点では県の責任は大きい。ただ丸投げしたからいいということではない。医療機関としてどう責任をもっていくのかということが大事なので。
 もう1つお聞きしたいのは、県で万が一民間医療機関として対応できない場合は、県が派遣したいという話もした。これはそういう医師がいるのか。そういう点では今の状況は、県が責任をもって派遣するというぐらいの構えが必要ではないか。

【高田政策委員長】
 この間地元の医師会と懇談した。また開業医にも行き話を聞いた。直接病院に行き患者さんの話も聞いた。こういった調査をした中で、10年どころか、半年ももたないのではないかと。医療局が必要な調査と対策をとらなければ大変な事態になるのではないかという思いをしている。政権交代して多くの国民が期待したような状況である。当初は入院ベットが戻ってきたということで大変期待したが、今は失望と大きな不安が広がっている。
 地元医師会の関係者の話だと、この医療法人は、率直なところまともな法人ではないと。開業医の皆さんも、とてもああいう病院にはお世話することはできない、とても不安だというのが共通した話だった。
 先ほど石山市議も話したように、朝10時前に病院に行き、昼食も食べさせ4時ごろに帰る。毎回医師が違う。薬も処方も違ってとても不安だという状況である。このままいくと患者さんはどんどん減り、半年もたないと確信した。
 そういう中でこの間の知事の記者会見を聞いて、これまでの県議会での議論を聞いていく中で、どうしてああいう会見になってしまうのかと、怒り心頭である。きちんとした対応をしていただきたい。

【医療局長】
 3月末に常勤医師2名確保ということで、最終的に契約するとなったが、こういった形で常勤医師が事実上、いるにはいるが診察できないということで、我々としても残念な状況だと思っている。
 先ほど来の話で、薬の投薬の話とかいろいろあったが、やはり根幹にあるのは常勤医師がいないと。きちんと毎回同じ患者さんを継続的に診てあげられる医師がいないというのは一番の問題なので、我々の方からもいずれ常勤医師の確保を再三お願いしているし、その上で、入院患者を受け入れるということでお願いしているわけなので、その部分については引き続きお願いしていきたい。
 我々としてもこういう状況だったので、できるだけ現場の実態を一定の頻度で診ていかなければならないという認識はもっているので、何度か行って状況を調べたり話を聞いたりしているのでお話したい。
【大槻総括課長】
 医療局の方から調査という形で任意に行かせていただいたのは、連休明けに行かせていただいた。その他に、毎週のようにこちらにも来ていただいたりして、いろいろと状況については把握に努めてきた。
 4月の開業当初、常勤医師1名と非常勤2名の体制でということで、患者数も少なかったということもあり、その後は常勤医師が体調を崩し、なかなか診療できないという状況になっているという話もうかがっていた。
 今日お手元にお配りしているが、外来の患者数の状況等々についても、月末で4月の状況はおうかがいした。一昨日の状況について昨日うかがった。これを見ると、4月については1日平均で34.12人だが5月に入ると54.32人という形にはなっているが、入院患者はいまだゼロという状況であるので、入院患者を受け入れるに際して常勤医師ということが大事な話なのではないかと。この件については、再三医療局から見通しや努力について連絡しているところである。
 それから、新聞紙上でも書いていたが、直近の話で申し上げると、辞表を出した非常勤の医師は、行き違いということもありそういうことになったが、一緒に協力してやっていくという話を承っているようなので、近々復帰されるということで、そうなると、外来の状況は、常勤医師が確保される前の状況で申し上げると、だいたい月曜から金曜までの状況は、金曜日の非常勤が2名という状況で推移するのではないか。

【斉藤議員】
 事業計画が3月25日に提出され、その前提は常勤医師の確保だった。あなた方はそれを確認して契約したはずである。しかし4月からは実際に診察できない、実態のない常勤医師1人しかいなかった。あなた方がだまされたのか。こういう事態だったら契約できなかったと思う。だいたい診療所長は、最近臨床経験なかった医師である。私だって分かっているのだから医療局長も知らないことはないと思う。常勤医師2名確保ということで事業計画を出したがそれは嘘だったと。しかしそのままスタートしたと。あれだけ県議会で議論し、9月はかろうじて1票差で民間移管が決まったのだが、3月のときでさえ医師確保の見通しは示せなかった。そういう中で医療局が契約したということは、あなた方がだまされたのであれば、それはそれなりに対応すべきだし、知っててやったとすれば重大問題である。
 そもそも約束がちがう。診療所長になって体調を崩した人ではない。最初から診察できなかった。おそらく数合わせである。そうしないと常勤医師がゼロになるので。常勤医師がゼロ、診療所長が形式的にもいないということになれば運営できない。常勤医師が事実上不在ということは深刻な事態である。事業計画上にも反しているし、診療所として診療所の運営の責任者は診療所長である。その人が責任を果たせない。
 もう1つは、医療事務に経験のある人がいない。だから事務が混乱する。信じがたい話である。医療法人白光は医療運営の実績もないのに、経験のある人も配置しないで、ガソリンスタンドの経験者を事務長に配置してやれるわけがない。医師の体制、事務の体制という点でも全く無責任である。医療局が毎週のように連絡をとり合ってやっているわりに、なぜこんな無責任な体制になるのか。話を聞いたら、県立病院の事務局長OBも応援に行っていたという話だが、その辺の経過も聞きたい。
 だいたい今の理事長が、10月になれば常勤医師確保できる見通しだと言っている。この発言は二重の意味で重大で、10月までは見通しがないと。それから今までの発言からいけば、10月に確保の見通しの根拠もない。

【医療局長】
 我々のほうには、6月という話もあり10月という話もある。いずれ、1人では足りないという認識のもとに医師確保はやっているということなので、探してもらわないことにはどうにもならないので、それは今一生懸命やってもらっていると認識している。

【斉藤議員】
 去年の9月議会で民間移管を決めたときに、医師の確保は大前提の問題だった。医師の確保は大丈夫というので認めた。私は、そこに疑義があるということで指摘した。しかし、その根拠は私が言った通りまったくなかった。示した5人は全く形跡がない。ここまでだまされて、こういう混乱が起きているということは、医療局の責任はあると思う。
 宮古病院でも残念なことがあったが、医師の確保は一番重大でシビアで、花泉の場合は、喧々諤々議論されてきた問題である。しかし結果的にこうだったということでは済まない。あなた方は医師の履歴書まで見ている。常勤医師2名というがそもそも2名いない。1名も診察できない医師だった。もう1人のダメになった医師も知っている。セクハラ等の問題のある医師である。そういうことは私が調べても分かるので、あなた方医療業界では常識ではないのか。

【医療局長】
 そんなことは私たちの耳には入らないですよ。先生だから入るんですよ。

【斉藤議員】
 医療関係者に聞けばすぐ分かることである。
 それから、6月という話は理事長はしていない。新聞報道はあったみたいだが、理事長が話したのは10月と言っており、その根拠は何もないが。これ自身大変なことである。
 非常勤の医師が辞表を撤回したというのは正確ではない。辞表は撤回していない。ただ、例えば特養の入所者がゴールデンウィークの最中に具合が悪くなりしょっちゅう来ている。それは医師として行かざるを得ない。そういう協力はしている。
 医療法人が責任ある方向を示さなかったら簡単にいかない。
 だいたい診療所を設置すれば診療所長が嘱託医師になって当たり前である。そうならなかったことが異常である。
 土日はシルバーヘルスの嘱託もやっている。ここも出来が悪いという話で言っているのだが、そういう医師しか医療法人白光は確保していない。そういうところにまともな医師確保する見通しがあるのかと私はずっと言ってきたが、結果的にはそうなってしまった。それはシビアに受け止めなければならない。知事は「民間のネットワークで」などと言ったが、そんなネットワークも実績もない。

【医療局長】
 いずれ何とかしてもらわなければ困るので。

【斉藤議員】
 できなかったらどうするのか。

【医療局長】
 今一生懸命やっているところなので。

【斉藤議員】
 去年から一生懸命やっている。

【医療局長】
 出来なかったらというのは仮定の話なので、それはまた別は話である。

【斉藤議員】
 医師確保の問題は、去年の4月から努力している話ではない。本来なら確保してスタートすべきことだったが、そうではなかった。
 医療局は、常勤医師2名というのはだまされたのか。契約したときには2名確保ということだったのか。

【医療局長】
 そうです。

【斉藤議員】
 スタートするときには実態はなかったということか。

【医療局長】
 一人一人会っているわけではないので。我々とすれば、常勤医師2名という話だったので、そういう前提のもとに認めたわけなので、今の状況というのは残念である。

【斉藤議員】
 形式的には医療局はだまされたと。実態としては。
 そういう法人だと思う。周りの評判を聞けば。大風呂敷で。そして、周りの医療関係者との関係・連携がない。だから応援しようがないとみんな言っている。医師会にも入っていない。

【医療局長】
 常勤の医師として、診療ができるような形にならないと、おっしゃる通りである。

【斉藤議員】
 診療所長もあいさつに行けなかったと聞いているが。

【医療局長】
 そのように聞いている。

【斉藤議員】
 一週間ごとに応援しているのは東京女子医大か。

【大槻総括課長】
 そうです。

【斉藤議員】
 医師名簿を見ても出てこないのだが、どこの担当か。同じ医局ではないのか。
 先ほども言ったが、国会議員からお願いされて、上司の命令で来ているとこの医師は言っている。

【大槻総括課長】
 どこの医局に入っているかは確認していない。

【斉藤議員】
 心配なのは、今週1回で応援が来ているのも、いつまで続くかということである。当初は内科・外科それぞれと言っているが、1人体制なので内科も外科も診ている。二重に話が違うのではないか。内科は常勤医が診て、外科は非常勤で、そういう形にもなっていない。大学からの医師は内科か外科か。

【大槻総括課長】
 外科のようだが、内科も診ている。
【医療局長】
 外科の医師が内科を診ても何もおかしいことはない。千厩の院長もみんなやっている。

【斉藤議員】
 そのように目指しているのはいいと思うが、大学はそうなっていない。そうなっていない大学から来ている。総合医を要請する大学から来ていない。専門化された大学から来ているので私は問題にしている。

【医療局長】
 できれば、当初の話は、内科・外科だったので、それはその通りである。原則はその通りなので、それは引き続きお願いは続ける。

【斉藤議員】
 いずれ常勤医は、彼らの言明からいっても、10月にならなければ確保できないということであれば、10月までは入院患者確保できないというのが今の公式の言明である。10月になっても今までの言動からいけば分からない。

【医療局長】
 10月とは聞いていない。
【大槻総括課長】
 今努力していると聞いている。

【斉藤議員】
 そういうことで、医療局の責任に関わる契約があり、事業計画があるから、それに反しているとすれば厳しく対応して、責任持てないとすれば、契約の見直しを含めて対応しなければならない。
 介護施設と違い、患者が来なければ入院患者がいなかったら、経営的にも成り立たない。患者がいても県立病院でさえ黒字にならない。ましてや診療所は診療報酬が低い。

【医療局長】
 早く入院患者をとれるようにしないと、厳しいはずである。

【斉藤議員】
 責任をもって、実態も把握して、事業計画・契約も踏まえて検証し、責任ある対応をしていただきたい。

【医療局長】
 一定の頻度で実態をきちんと把握しながら対応する。