2010年7月5日 最終本会議
請願90号(普天間問題に関する請願)についての総務委員長への質疑(大要)
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。請願陳情受理番号第90号、「沖縄普天間飛行場の早期閉鎖・返還を求め、訓練移転の受け入れに反対する請願」が不採択とされたことについて、総務常任委員長に質問します。
請願では第一に、「普天間飛行場の早期閉鎖・返還を求めて国に意見書を提出すること」を求めています。
沖縄の米軍普天間基地は、凄惨な地上戦が戦われたさなかに、占領され住民が捕虜収容所に収容される中で、民有地が不法に強奪されて町の真ん中に、心臓をえぐられるように作られた基地であります。戦争条約でもあるハーグ陸戦法規にも反する国際法違反の基地であります。本来無条件に返還されるべきものであります。その米軍基地が戦後65年間に渡って居座っていること自身が異常なことであります。
沖縄県民は米軍基地と米兵によって暴行・殺人、戦闘機の墜落など耐え難い苦しみを強いられてきました。今やその我慢と忍耐も限界を超えています。
沖縄県の地元の新聞、琉球新報と毎日新聞による世論調査では、県民の84%が普天間基地の名越市辺野古への移設に反対しています。普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設反対を掲げて、4月25日に開催された県民大会には知事と41市町村の全ての市町村長(代理含む)が参加し9万人の大会となりました。普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設に反対する県民の総意は明らかではないでしょうか。
沖縄県の6月県議会では、仲井間知事は「県内移設は不可能に近い。拒否の選択肢もある」(24日)「ほとんどノーに近い」(29日)と明言しています。
総務委員会の審査では、こうした沖縄県民の総意、後戻りできない怒りと痛みについてどう審議されたのでしょうか。
岩手県は、平成5年の大冷害のときに、沖縄県と石垣島に「かけはし」の種もみを送り、増殖して翌年の種まきに間に合わせるという前代未聞の大計画を実行した経緯があります。これ以来岩手県と沖縄県の交流が強化されました。「かけはし」の名前もこの交流がきっかけとなった名前です。岩手県民こそ、岩手県議会こそ沖縄県民の怒りと痛み、声を我が物として対応すべきではないでしょうか。こうした議論は行われたのでしょうか。
普天間飛行場の早期閉鎖・返還を国に求める請願項目が否決とされた具体的な理由は何でしょうか。
第二に、請願では、日米合意に基づいて沖縄米軍の訓練を全国に分散移転させようとしていることについて、岩手県として拒否するように求めています。
危険な米軍の訓練を全国に分散移転することは、全国を沖縄化させるものであり、自公政権時代以上に許されない中身です。実際、沖縄の嘉手納基地の訓練が全国に分散移転されましたが、嘉手納基地の米軍の訓練は縮小するどころか海外からの部隊が飛来し拡大しているのが実態です。日本共産党は5月25日に県知事宛に沖縄米軍の訓練移転について岩手県として受け入れるべきではないと申し入れを行いました。その場で対応した宮舘副知事は、訓練移転について「受け入れを考えていない」と答えましたが、請願審査で県はどう答えたのでしょうか。米軍の訓練移転について県が受け入れを「考えていない」「想定していない」というなら、この請願は採択されるべきではないでしょうか。沖縄の米軍の危険な訓練の実態と、訓練移転でも変わらない米軍基地の実態についてどう審議されたのでしょうか。この請願項目が否決となった具体的な理由は何でしょうか。
以上でありますが、答弁によって再質問いたします。
【関根総務委員長】
本請願については、請願事項が2項目あるが、請願全体に関して、「当該請願にかかる問題は、外交・安全保障という国レベルの問題であり、政権交代後その解決に向け議論し、努力をしている最中であり、県議会としてこの時点で自らの姿勢を示すのはふさわしくない」、「いずれも外交問題であり、これまでの関係などさまざまあり、また現政権が迷走した経緯もあるなど、あくまでも国政において議論されるべきものであり、県議会の議論にはなじまない」、「世界一危険と言われる普天間飛行場の返還については、早期解決を望むものの、項目2の『訓練移転受け入れ』と項目1の『早期返還』および『基地問題』は表裏一体であり、分離して県議会として判断することは困難であること」等の意見が出され、これに対し、「沖縄県に大きな負担を強いている等、当該請願にかかる問題は負担軽減の突破口の1つとして、また日米地位協定の根本的な見直しを含め国内移設を含めた対応が必要であり、また花巻空港を利用した米軍の訓練受け入れについて問題があることから、採択とすべき」との意見が出されたものである。
委員会においては、起立採決により起立少数で不採択とされたものである。
なお、当該請願の審査にあたっては、本県の基本的な立場についての質疑が行われ、執行部からは、「知事としては基本的に沖縄の負担については理解するものだが、基地移転については国政・国全体の問題として議論を深めていただきたい」、また「これまで本県への移転については想定していない」等の答弁がなされたところである。
【斉藤議員】
沖縄の普天間基地の移設問題というのは、昨年の総選挙でも民主党自身が国外に移設する、最低でも県外だと国民に約束した問題である。それができなかったからといって、この公約が変わるものではない。解決されるものではない。何よりも、米軍についてアメリカ政府は、「地域住民の反対するところには米軍を置かない、つくらない」というのを基本にしている。沖縄県民が圧倒的に反対している、沖縄県議会が超党派で決議をあげている。これだけ沖縄県民が反対しているところに、新たに米軍基地を押し付けるなどということは、日米関係においてもあってはならない。アメリカ政府の言明からいっても許されないことだと思う。決してこれは、安全保障の問題だから政府に委ねるという問題ではない。
民主党は、地域主権を掲げている。地域住民の命と安全に関わる問題は、地域から声を上げるというのが地域主権の考え方ではないか。
実は、普天間基地、米軍基地というのは、国際法に違反して作られた基地である。戦争放棄であるハーグ陸戦法規は、「戦争によって民間の土地を奪ってはならない、財産を奪ってはならない」となっている。地上戦のさなかに占領してつくった、この米軍基地は戦争が終わったら返還されるべきものである。65年間居座り続けること自身が国際法違反そのものではないか。これは安全保障の問題だと言って棚上げされるべき問題ではない。国際法規の観点からいっても無条件撤去を求めるべきではないか。
請願項目の第2項目について。これは臨時の全国知事会まで開かれた。地方に投げかけられた問題である。そもそも危険な米軍の訓練を全国に分散移転すること自体が間違っていると思うが、しかし鳩山前政権のもとでこれは地方に投げかけられた問題である。だとするなら、岩手県は「受け入れない」「想定していない」と言っているわけなので、県議会としてもそれを尊重し、受け入れる余地をつくってはならないと思うが、県当局自身がそのように述べているのに、なぜこの請願は採択されなかったのか。地方に投げかけられた、地域主権が問われる請願項目ではなかったか。
沖縄県民の痛みは計り知れないものである。この間小学校に戦闘機が墜落する、大学にヘリコプターが墜落する、少女が暴行される、そのことによって奪われた命は1200名を超える。
平成5年の大冷害のときに大変世話になった。岩手県だからこそ、県議会だからこそ、これに応えてこの請願は採択されるべきではなかったか。
【関根総務委員長】
先ほどの答えと繰り返しになり恐縮であるが、「当該請願にかかる問題は、外交・安全保障という国レベルの問題であり、政権交代後その解決に向け議論し、努力をしている最中であり、県議会としてこの時点で自らの姿勢を示すのはふさわしくない」、「あくまでも国政において議論されるべきものであり、県議会の議論にはなじまない」、「普天間飛行場の返還については、早期解決を望むものの、項目2の『訓練移転受け入れ』と項目1の『早期返還』および『基地問題』は表裏一体であり、分離して県議会として判断することは困難であること」等、この請願に対し反対する意見が多数を占めた。これらの状況を踏まえ、委員会において起立採決を行った結果、起立少数で不採択とされた。