2010年8月3日 商工文教委員会
県立高校の学科改編に関する質疑(大要)
【斉藤委員】
学科改編等については、おおむね良いと思う。比較的規模の大きい学校、生徒減に対応すると。そしておそらく、886人の減に対して7学級の減という形で、生徒減と比べれば学級減は少ないと。それは今検討されている高校再編の協議を踏まえてということだろうと思うので、地域の議論を踏まえて高校のあり方を考えるという点では、妥当な線ではないかと思う。
それにしても、各ブロックごとの生徒減と比べるとバランスを欠いているのも事実である。特に、久慈・二戸が2学級減を超えるような生徒減の中で、ここには手をつけないというのはバランスを欠いたと思うが、この理由は何か。
もう1つは、岩手中部で、水沢が普通・理数科がくくり募集になった。これは盛岡一高もやったことがあるが、成功しなかった。水沢の場合、くくり募集で2学年になったときに理数科志望というのはどうなっているのか。特色のある学級にはなっているのだが、くくり募集の成果はどうなっているか。
【高校改革課長】
バランスについてだが、率直に申し上げて、そういう面はあろうかと思う。ただ、先ほど例として挙げられた久慈・二戸地区で、二戸地区などは、大変恐縮だが小さな高校がたくさんある。その中で、生徒数の減に対応した学級調整を今の時点でやろうとすることになると、例えば、学校の存立に直接かかわるといったことも当然想定される。そういったことで、今新しい計画に向けての検討をやっているので、特に地域の方々の意見をいただくということをこれからも続けていく。その中の議論を踏まえていきたい。
くくり募集についてだが、今県内で4校理数科のくくり募集がある。盛岡一、水沢、一関一、釜石の4つである。どこでも募集の段階では普通科・理数科1つで募集し、進級に従い科目を選択する。水沢高校では、国との関わりもありいろんな指定をいただいている。そういった関係で、理数系を希望する生徒はかなり多いと聞いている。ただ、その他の高校については、2学年になる際に、理数科希望が40人に満たない状況もあると聞いている。これはいろいろ理由があるかと思うが、詳しい分析は難しい。ただ、全体の生徒数の減少なりということは若干影響があるものと考えている。
【斉藤委員】
4校の2学年になったときの理数科の人数は何人か。
それから、特別支援学校の学科の廃止というのが出された。盛岡峰南高等支援学校。支援学校は、いろんな名前を付けて地域が見えない。本当にこの名前でいいのかと思う。地域に支えられた高校というのが大事である。今回の学科改編・廃止は、改編で中身が変わったということではなかったか。それは今どうなっているか。それから、高等部に対する希望はかなり増えているが、十分その希望に応えられないのではないか。定員をかなり超えて入学している状況にあるのではないか。志望数、入学者数、定員との関係、峰南の実績も含めて。
【特別支援教育担当課長】
校名についてだが、学校教育法が改正されて、従来の盲聾養護学校が特別支援学校になったことを機に、特別支援学校という校名に移行しようということを考え、新校名にした経緯がある。その際、学校に検討委員会を設けて、どういった名前がいいのかということを検討していただいたことを挙げていただいた上で、県で調整を図って定めたという状況である。学校の意見を聞いたということで現在の名前になっている。
峰南高等支援学校(旧盛岡高等養護学校)だが、学科については、従来4学科あった。特別支援学校の普通科は、高等学校の普通科と違い、職業には特化していないという形の普通科である。その他に、家政科、工芸科、農芸科ということで、3つ設置した。やはり特別支援学校の生徒も、それぞれの学科を卒業した生徒が必ずしもそういうところだけに就職するわけではなく、逆に少ないという状況が生まれたので、多様な側面から職業教育をすべきだということで、学科を改編した。
それから、特別支援学校の高等部の定員は、いろんな状況を勘案し、毎年卒業者数を見込んで学級を定めている。職業科を持っている峰南は、そこについてはやはりニーズが高く、今年は定員に対して倍の受験者があった。このニーズにどう対応していくかということは今後の課題である。
【斉藤委員】
峰南は、職業科として、今年は2倍の受験者数があったと。それから、全県的に特別支援学校の高等部は定員を超える入学者になっているのではないかと。それに対してどう対応しているか。おそらく基本的には定員を超えて入学させていると思うが、我々も視察したが、結局教室が足りずに、特別教室を2つに分けたりしてやっている。その辺の実態を正確に答えていただきたい。
【特別支援教育担当課長】
峰南についてだが、1クラス8名の募集である。したがい、4学科あるので32名の定員となる。その定員に対し平成21年度は80名が希望者があった。それに対し42名が入学した。
その他の特別支援学校の高等部だが、高等部を受験する生徒については、いろいろ進路の選択肢が限られているので、特別支援学校で受け入れないということになったときに、次の進路がどうなるかというのが我々非常に気を使うところであり、それは我々の責任でもあると思っている。入学者が多くてもできるだけ受け入れるという形できており、入学者に応じて学級数を増やしているというのが現状である。ただそうなると、ご指摘のように、教室数が足りなくなる状況が生まれてきているのが現実である。これについては、各学校で、どのような工夫で教室を確保できるかということを含め、協議しながら今年の入学者を受け入れている。ただし教員については、きちんとした学級数を定めているので、つまり入学者数に応じた学級数の教員を配置している。
【斉藤委員】
峰南については、これだけ受験者が多いと。しかし結果的には叶えられない。受験者の半分である。これはきわめて異常な事態である。学科改編の特別支援学校では思い切って増やしていくという対応が必要ではないか。学科改編は減らすだけでなく増やすということもやられて当然ではないか。入れなかった残りの半分の方々はどこに行っているのか。
それから、全体の高等部の受験者数、倍率はどうなっているか。
【特別支援教育担当課長】
22年度の受験者数は、全部で260名で、220名が合格している。その40名が峰南の40名である。
希望者が多いことへの対応だが、特別支援学校に入るべき生徒というのは法律で決まっている。したがい、その希望者が特別支援学校に入るべき生徒なのかということを十分に考えて、進めることが必要だと思う。これは人権にも関わってくる問題であるので、希望があるから入れるということはいいのだが、やはり特別支援学校に入るということになると、障害を有していることになるので、果たして特別支援学校に全ての希望者を入れていくということについては、今後国の動向を見ながら考えていかなければならないと思っている。
実際、特別支援学校と県立の高等学校の併願は岩手の場合は禁じていないので、両方受ける条件がある。現に、特別支援学校は1月末までに試験が終わるが、その後に県立高校を受験し、そちらが合格したからそちらに入るという例も少ないがある。そういうやり方もいいのではないかと思っている。その他、私立の高校も受け皿になっているのは確かである。ただ、結果的に特別支援学校に入れなかった生徒は、結果的に他の県立特別支援学校の高等部、県立高校、私立高校に、特別重大な状況がない限り進路が確保されていると、我々の可能な限りの追跡ではそうなっている。
【斉藤委員】
今の答弁は問題だと思う。危機意識が足りないと思う。結局不合格になって、別な高校に入っているから満たされているという認識ではいけない。
改めて聞くが、220人合格しているが、定員に対して何人の合格者か。峰南の場合には、受け皿がないから入れられない。他はかなり定員を超えて入れているのではないか。
【特別支援教育担当課長】
定員は先ほど述べたように、その年の状況を踏まえて学級数を設置しているので、それに基づいてやっている。
前沢では、25人の定員に対して39名入っている。久慈では、11名に対して14名ということで、定員を超えて入っている状況である。
【斉藤委員】
特別支援教育は我々も現場を見てきたが、普通高校の再編と違い、逆に希望が増えていると。これは全国的な特徴である。ある意味でいけば、普通の高校で学びたいという希望と、しっかり面倒を見てもらえるところで学ばせたい思いとがある。普通高校は今弱肉強食で本当に大変である。だから特別支援学校を望むというのが流れである。それに対応できていないというのが現実ではないか。必要なところは定員を超えて入学させている。しかしそれでもそういう希望に応えられないのが今の実態ではないのか。今の学校そのものが対応しているのだが、こういう特別支援学校も学科改編の度に学級増や必要な整備が提起されて当然ではないのか。特別支援教育の位置づけ、危機感、対応が弱いと思う。こういう状況を教育長はどう受け止めているか。
【教育長】
全国的な状況は、高等部のところで急激に増えているということで、中学校を卒業した段階でいきなり特別支援学校に入りたいという状況が出てきて、対処療法的にできる限り入れるという形でやっているが、おそらく将来的にはもう少し最初からどういう支援計画をつくり、どういう風にしていけばいいかという本当の実数を小さいころから追いかけられるような状況をつくっていければいいのではないか。当面のところは、できる限り入れてあげたいということで、高等部を再編したり、そういう対処療法的な面を少しずつ強化していくことと同時に、将来的に特別支援教育は、小さいころから支援計画をきちんと作って人数を把握してというところまで進んでいかないと本当の特別支援教育は出てこないと思う。
本当は一人一人にどういう教育が一番いいのかという観点から、我々はどういう体制を組んでいけばいいのかということを真剣に分析しているがなかなか難しい。どこの県でもそういった状況があるのが現状であるが、対処療法的なものを必ず充実させながら、同時に長期的なシステムを確立していかなければいけないと思っている。