2010年8月3日 商工文教委員会
高校再編問題に関する質疑(大要)


【斉藤委員】
 盛岡ブロックの検討会議を傍聴させていただいた。委員が32名と大部隊で、全体の参加者は70名と報道されていた。発言が3分程度で、一回りして、二回りの途中ぐらいで終わるという物足りないものだった。首長や教育長を集めたわりには残念だった。盛岡の場合は、もっと時間をとるなどの方法をとらないとフラストレーションがたまる検討会議になるのではないか。盛岡ブロックは所帯が大きいだけに論議の進め方は検討していただきたい。
 盛岡の特徴として、過疎地の首長・教育長だけでなく、盛岡地域の教育長やPTAの関係者も「地域と結びついた、地域の実情を反映した高校が大事」だと述べ、その辺が大変特徴的だったと受け止めている。この間、半分以上のブロックで議論されてきたと思うが、この間の議論の特徴、地域的な特徴も含めてどういう検討状況になっているのかを示していただきたい。

【高校改革課長】
 地域検討会議は全県9ブロックあり、現在6ブロックで開催している。さまざまな意見をいただいたが、まず提示した資料の中で、子どもたちが急激に減っていると、地域的な差はあるものの、どこの地域でも子どもは減っているし、それが急激な地域もある。そういった実態をイメージではとらえていたが、数字で示されると実感するという、率直なものを各ブロックでいただいている。
 ブロックの中では、都市的な地域ではないところに立地している高校があるが、規模も大きくはないが、地域とのいろいろな結びつきなり連携なりそういった積み重ねがあると。高校が地域に対して非常に貢献している、逆に地域でも高校を大事に思って支援をしているということで、ぜひこのまま維持して地域の中で期待される役割を担ってほしいという意見があった。一方では、地元の高校が大事という半面、旧市町村単位でどこの高校にその地域から入っているかという資料も示したが、地元の高校に入らずに市街地の進学なりをめざす、就職について専門的な教育を深く学べるといった高校に進学している実態もあるのではないかといったご指摘もあった。
 なにぶんまだ6カ所で、あと3カ所残っている。ぜひいただいた意見を十分に整理し、全体で3回予定しているので、第2回の際の資料で提示するなりということで議論を深めていただければと思う。

【斉藤委員】
 盛岡は検討委員や専門委員が多いわりには、中身的には活発な議論だったと思う。やはり過疎地域での高校教育のあり方を検討すべきと、小規模校でも大きな教育の成果を上げているという発言もあった。あとで葛巻町長にもお聞きしたが、中高一貫教育の成果、もう1つは、進学の問題でも国公立大学に14名入っているという話もあった。地元でもかなり頑張って、地元への就職の場を確保しているとか、検討会議の場では、酪農が盛んなので酪農学科があってもいいのではないかという発言も出た。
 県教委の提示した資料というのは、ほとんど数字的な資料、生徒減の資料である。それはそれで重視しなければいけない基本資料なのだが、地域の中で高校が果たしている役割、小規模校の成果を正当に評価していくというのが今後議論を深めていく上で大変大事なことではないか。伊保内高校も、インターハイで弓道で3位、高校野球でも注目された。そういう点でいけば、子どもたち自身が地元の高校に残って頑張りたいと。それが全国的なレベルでああいう力を発揮するということはすごいことだと思う。そういう意味でいけば、小規模校だからこそ発揮できる地域貢献とか、進学の部分でもスポーツの分野でも、大規模校に負けない成果を上げているのだから、そこにしっかり光を当てて、明らかにしながら議論を進めていく必要があるのではないか。これも検討委員会で出た意見である。地域に1つしかない高校は残してほしいという意見も出た。それぞれの地域は、全面的に地域の高校を支援している。自分たちの町立の高校という思いで支えているのも事実である。そういう点をしっかり把握して、資料としても出して議論を深めるべきではないか。

【高校改革課長】
 盛岡ブロックの検討会議でさまざま意見があった中で、小さな高校でもさまざまな取り組みをして成果を上げているのではないかと、そういったところを評価して、その上で議論を進めてはという意見はいただいた。
 これからまだ3カ所あるが、今まで開催した中でも、おおむね同じような意見をいただいたところである。今回第1回目の検討会議だが、今後2回目3回目、さらには一般の方々、地域の方々を対象にした懇談会も開催予定である。そういったところでの議論も参考にしたいと考えている。そこで、高校がどのような貢献をしているか、地域でどのように支えていただいているかといったような資料を検討していきたい。

【斉藤委員】
 共通して出ているのは、40人学級ということではなくて、30人、35人という少人数学級を検討すべきではないかというのが各ブロックで出ている。それにはやはり国の動きもあると思う。中教審が、義務教育の分野だが少人数学級を正式に提言した。低学年は30人学級を念頭に重点的に教員を配置すべきという提言で、新聞報道では35人学級を軸に検討されているということだったが、小中学校にこういう少人数学級が導入されれば高校にも反映していくわけなので、その辺をきちんと視野に入れて、議論していくべきである。
 もう1つ、検討会議で注目したのは上田高校改革課長の発言で、質問に答えて、「3学級以下を統合のたたき台に乗せることはない」と述べた。「望ましい学級は4ないし6学級としているが、3学級以下を統合のたたき台に乗せることはない。今でも3学級以下の高校は44%もある」と。実質3学級だからといって再編をしていないし、だからといってたたき台に乗せることはないと。この趣旨について改めて。
 それから、「通学事情等を含めて一律に再編は行わない」とも述べた。通学事情で、特別の負担を負わなければ進学できない地域がいくつかある。これも大事な発言だと思っているが、こういう点が今後議論する上で、県の教育委員会が特別に考慮の条件としているのかどうか。大事なポイントだと思うので改めて確認したい。

【高校改革課長】
 40人以下学級について。各ブロックで質問なり意見がたくさん出された。3月に高校教育の基本的方向を出したが、その中でも、その前段で検討いただいた外部の検討委員会報告の表現を変えて、学級定員については国の動向を見ながら、現行法の通りにしていくと改めた。その時点では国の動きから義務教育での例だが、高校教育でも少人数学級の動きがあるのではないかと期待したところである。現在、中教審での分科会での検討内容の一応の取りまとめができたという段階かと存じている。残念ながらその中では、義務教育の方ではある程度の方針が出たものの、高校教育では、例えば40人以下学級とする、これは法律改正が必要だが、そこまで踏み込んだ報告の内容にはなっていない。ただ、現在中教審でも検討の段階なので、国のほうでどう判断するかというのはこれからなので注視していきたい。仮に、国の動きがあった場合には、それに応じて検討を深めていくことになると思うので、適切に対応していきたい。
 それから、3学級以下の高校は44%と非常に多い。平均の学級数も全国的に見ても小さな学校が多い。「3学級以下の高校を一律に検討のたたき台に乗せることはない」と申し上げた。これはいろんな事情もあり、その中には交通事情なり地域振興上必要だと、地域の中での高校の果たす役割を当然考えなければならないので、そういったことも考えた上で、一律に3学級以下は4学級以上の高校に統合していく、そういったことはしないという趣旨で申し上げた。
 また、交通事情を勘案するという発言もさせていただいた。残念ながら県内を見ると、例えば公共交通機関を考えた場合に、そこに高校がなくなると通学が困難な場合が出てくる。そういった際には、当然通学事情も地域の実情の1つとして考え検討させていただきたい。ただ、今現在我々としての案はなく、地域の方々からご意見をいただく段階であるので、個別の話はできないが一般的にはそのような答えになると思う。

【斉藤委員】
 交通事情の問題で、実は今まで統廃合の関係で通学費支援というのをやっていた。ところが久慈山形校は2年か3年で終わりという話を聞いたが、その後どうなっているか。田野畑校の場合は、どういう通学支援になっているのか。

【高校改革課長】
 通学にかかる経費に対しての県費補助について。山形校については、今年で補助を始めて3年目となる。これは久慈市が運営する通学にかかるバス(旧山形村〜久慈駅等)で、一応の目安として3年程度ということで当初補助をさせていただく際にはお話させていただいた。別途久慈市から、この補助の継続についての要望をいただいた。いただいた以上は継続についても検討させていただきたいと思う。また、現在来年度策定する再編計画に向けての検討をさせていただいて、今地域検討会議をやっている。その計画の中でも、通学支援等については、計画の中に盛り込むべきは盛り込むべきだと考えている。それと並行させていただきながら、山形校、具体的には久慈市に対しての補助だが検討させていただきたい。
 田野畑村については、運営主体は保護者の方々が協議会をつくり、そこで本校(岩泉高校)に通うためのバスを走らせている。そこに対して、今年度から2分の1の補助をさせていただいている。

【斉藤委員】
 通学経費の支援ということで、重大なのは3年が目安だと。これだったら通学支援にならない。統廃合のための激変緩和策である。本当に通学支援というのなら、基本的には地元がいらないと言うまで恒常的な支援を前提にしないと、3年程度というのでは通学支援の名に値しないのではないか。今回も基本的方向の中に通学支援というのはある。それは今までの延長線上で、統廃合したら3年程度やるという発想で書かれているのか、恒常的な措置で書きこんでいるのか。
 田野畑の場合は、父母の協議会が運営主体だということで、残りの2分の1は村が支援することになっているのか。なぜ父母の協議会ということになったのか。おそらく父母だと毎年変わることになる。なかなか大変な形態ではないか。ここも3年程度の目安でやられているのか。

【高校改革課長】
 3年で終わりかということだが、これに対してどうするかということについては、現時点ではお答えできる状況にはないが、今地域での検討会議を通じての議論をさせていただいているところで、さまざまな意見があるかと思うので、そういったところを勘案して、その際に、少なくとも「3年打ち切りありき」ということではなく、広く意見をいただいた上で検討していきたい。
 田野畑校について。他団体のからみがあるので抽象的な表現になるが、いろいろと地元との話をさせていただいた。その中で、苦渋の決断という言葉はお使いだったが、募集停止に関して一定のご理解をいただいたところだが、最大の課題の1つが通学費の問題だった。その際に協議会等を開催し、関係者の方々にお集まりいただき、今後のあり方についてお話をさせていただいたが、村役場のほうとPTA、OB会の方々と話をしたとは聞いている。その中で、結果として父兄の協議会による通学バスの運行と決まったと聞いている。我々としては、運営主体にかかわらず2分の1補助をさせていただくので、実質の地元負担については、今聞いている範囲では地元の父兄の方々が出し出しで負担されているのではないかと聞いている。

【斉藤委員】
 通学経費の支援については、高校再編で提起している中身が曖昧だと。基本的には恒常的な支援を前提にやらないといけない。現実問題として3年を目安としてやっているので、その延長線だったら一時しのぎで、本当の通学支援にならない。2回目、3回目議論するときには県の考え方をはっきりさせるべきである。経済的に不利な地域で統廃合を余儀なくされた場合の通学支援というのは、教育の機会均等という点からいっても、きちんと基本的には県が市町村と協力しやっていくという形にしないと、学校がなくなる、通学に経費がかかる、弱い者に犠牲が集中するパターンになると思う。そこはぜひ今後の議論の中で県教委の考え方を明確に示していただきたい。

【佐々木教育次長】
 各ブロックの検討会議でそのようなご意見をいただいているので、一巡したところで、今後の議論の柱立てを考えるということで、各委員の皆様にお話をさせていただいている。そういう中で、通学支援の問題についても各地域に残っているので、まとめた段階で図っていきたい。