2010年8月3日 商工文教委員会
シックスクール問題、耐震化に関する質疑(大要)
・シックスクール問題について
【斉藤委員】
奥州市におけるシックスクール問題でございます。私も7月にですね現地調査に行って参りました。15、16日とですね、被害を受けた父母の方そして学校長、市の教育委員会。こういう方々から実態と対応を聞いて参りました。7月15日でまとめられた児童生徒の健康被害調査によると、74名が症状があったという極めて深刻な事態だったと思うのですよ。県の教育委員会として、この胆沢第一小学校のシックスクール問題の現状をどう受け止めているのか、そしてその対応についてはどう考えているのか、まず最初にお聞きしたい。
【学校施設課長】
今回の胆沢第一小学校におけるシックスクール問題におきましては、委員ご指摘の通り、この調査によれば、74名――全体の児童の数の約2割弱になりますけれども――の児童が、なんらかの体調不良を訴えたということで、そのほか、新聞報道にもありますとおり、シックスクール症候群と診断された児童が結果的に3名出ております。それから3名のうち1名については回復しないということで、転校を余儀なくされ、また残りの2名につきましては、1学期の最後のほうから自宅学習に切り替わるといったような状況でございまして、大変大きな健康被害を発生したものと思っております。
今回の問題につきましては、学校側においても、学校環境衛生基準に定める、いわゆる引渡し時の環境測定――室内空気濃度測定――これを昨年の12月以降順次実施してきたわけでございますけれども、そういった基準以下であったと――6物質が対象になっておりますけれども、すべて基準以下であったということで、何らかのさらに化学物質濃度の減価対策を講じれば、なんとか工事を継続していけるのではないかという認識で様々対策を講じたわけでありますけれども、いずれ結果として、今申し上げたような多大な健康被害を生じたということで、結果としてシックスクール症候群の発症といったものへの理解不足があったという指摘がされてもやむを得ないと考えております。
【斉藤委員】
この健康調査で、私もびっくりしたのですが、回答したのが374人のうち74人が学校の中で生活していて健康に症状がでたと。これが74人で19.8%。それで経過でびっくりしたのが、2月17日の工事の際、接着剤のにおいが廊下や教室に飛散して、これをきっかけに1人が3月5日、シックスクール症候群と専門医に診断をされた。2月17日の工事というのが一つのきっかけになっているのですが、4月21日には2人目の症候群の診断がされて、6月9日に最初の診断された児童が、いわば学校に通えなくなって、一時的に転校を余儀なくされると。こういうことですね。6月24日に切削油と思われる配管工事によって、児童20名が異臭を訴える事故がおきたと、これ以来、連日のように異臭を訴える子どもが毎日のように出ているのですよ。6月下旬から7月にかけて。これはね、健康調査を徹底した結果なのです。その前は良かったということではなくて。いわば登校時に健康調査をやっていたわけだけれども、退校時に聞いてみたら、やっぱり具合が悪くなったというのが出てきて、毎日のように異臭を訴えて、保健室で静養する子どもが出てきているのですよ。6月下旬から7月にかけて。また、子どもの安全が一番守られなくてはならない学校でね、学校に行ったら体調を崩すと、学校に行ったら健康に被害を及ぼす。これは本当に異常なことではなかったのか。結果的には終業式を1週間早める措置をとりました。私は遅きに失したのではないかと、結果的に見れば。というふうに思いますが、この間の市の教育委員会の対応というのは――結果としてですよ――安全管理に不十分さがあったと思いますが、経過を含めて、県教委はどう受け止めていますか。
【学校施設課長】
今、委員からお話のありましたとおり、3月3日に保護者から連絡を受けまして、いわゆるシックスクールの発症ということを確認しましたけれども、その後、奥州市教委、あるいは学校におきまして、各種の対策を講じたという状況でございます。例えば、今ご指摘のありましたとおり、2月19日の工事の際に使用した接着剤。これは階段のいわゆるけりあがりの部分――垂直のビニールシートを接着するための接着剤でございましたけれども、これは環境配慮型の接着剤いうことでございましたけれども、結果的に強い刺激臭があったということで、まずはそういった接着剤については直ちに使用を中止して、代替品を使用してございます。それから土日の作業工程を多くするなど、見直しを行っております。施行箇所については仮囲いの厳重化を実施したり、それから平日に作業をする場合には大型送風機を設置しまして、揮発成分の教室、廊下への進入の防止といった対策をとっております。あるいは春休み中には普通教室の全クラスへ、当初予定なかったのですけれども、換気扇を配置し24時間排気を実施するなど、対策を講じております。シックスクール症候群等を発症した保護者との協議を踏まえてEM菌という乳用微生物なんですけれども、そういった水溶液の散布も実施したりもしてございます。いずれ、その後も順次さまざまに例えば、避難場所としてことばの教室。万が一の場合を考えて、酸素吸入装置、ボンベを配置したり、マスクを配備したり、あるいは市立水沢総合病院からお借りをして、大型空気清浄機を設置するなどなど、対策を講じてきたところでございました。ただ、委員からのご指摘のとおり、特に6月に入りまして、気温があがってくるのとともに、体調を崩す児童がふえてきたということでございまして、7月2日には同じクラスから8名の児童が体調を崩しまして、保健室に行くといったようなこともございまして、市教委においては7月3日、工事の中止を決定したという状況でございました。
【斉藤委員】
私、それを一つの教訓にして、県教委も対応を抜本的に強化すべきだと思うのです。第一にシックスクール症候群に対する認識ですよ。私も現場に行って、市教委も学校現場もやはりシックスクール症候群に対する認識が発生した段階ではほとんどなかった。そのことが対応を遅らせた。結局、7月3日まで工事が続いているのですよ。子どもたちの体調が悪いのが次々に出てもですよ。7月3日まで工事がつづく。大規模改造工事というのは授業しながら工事がつづくということなのですよ。こんな危険な工事はないのですよ。私はそういう意味で、シックスクール症候群、子どもの状況も聞きましたが、例えば普通の病気と違って、10日で治る病気ではないのですよ。一回シックスクール症候群にかかりますと。今でも記憶障害、そういう症状を出しているとか。一回シックスクール症候群にかかりますと、田んぼで草焼きをする。ああいう煙が入るだけで逃げられなくなるのですのね。ある子どもは押し入れに自分の頭をもぐりこませて、避難しているというのですよ。窓を閉めるというふうにもならないというのですね。おかあさんは無理にできないと。だから働いているおかあさんでしたけれども、自分は仕事をやめて子どもの面倒を見なければだめだというそういう訴えもありました。子どもの人生にかかわる疾病なんですね、シックスクール症候群。そしてそれを放置すると科学物質過敏症ということで、ほんの少しの環境の変化有機物等にそういうものに反応してしまう。そういう意味でいけば3名も出たということが異常だし、74名が体調に異常があったといっているのは、ある意味でいけば予備軍をふやしたといってもいいと思うのですね。県の教育委員会として、このシックスクール問題というのをどういうふうに受け止めて、胆沢第一小学校の事件・事故を教訓にして、どう対応を強化しようとしているか。このことをお聞きしたい。
【学校施設課長】
今回の奥州市におけるシックスクール問題につきましては、やはりいくつかの課題があったと考えておりまして、これらの課題を今後の市町村の参考となるようなかたちで、営繕工事における室内工事汚染対策のより実践的な対応例でありますとか、配慮すべき事項などをとりまとめまして、来月予定しておりますけれども、施設整備担当職員を対象とした研修会でそうした資料を配付、説明して、シックスクール問題への知識、理解を深めるとともに、適切な対応がはかられるよう助言してまいりたいと考えております。
具体的には、今回の奥州市の事例を踏まえますと、やはり課題と考えておりますのは、シックスクール症候群発症者が出たにもかかわらず、工事の一時中断、それから原因となった化学物質の原因の究明といいますか、その点が不徹底だったということが最大の課題だったかなと思います。
したがいまして、さきほど申し上げましたとおり、たとえ学校環境衛生基準の6物質、これらが指針値以下であったとしても、そういった化学物質に起因した発症する疑いある児童とか、あるいは発症した場合においては、工事の一時中断と、TVOCという――いわゆる個別の化学物質の測定とは別に、化学物質の総量を調査するというそういうものもございますので、そういう調査の実施などについて助言をしてまいりたいと考えておりますし、今回の問題を受けまして、施工中、施行後の児童生徒の健康観察と健康調査など健康状況の把握の徹底といったこと。それから保護者への情報の提供と協力連携体制の構築ということ、その点も重要だと思っております。それから万が一、化学物質による健康被害が疑われる児童生徒が出た場合の早期専門医療機関への受診の勧奨といったことも徹底していきたいと思っておりますし、今回あさってになりますが、8月5日に奥州市教委においては有識者による対策会議を開く予定になってございます。これはシックスクール症候群とか、化学物質過敏症といった問題については、まだまだ未解明の部分も多いものですから、専門機関といったところからの助言を得る必要があるということで。あさって、県の環境保健研究センター、県南広域振興局の保健福祉環境部の担当課長、TVOC測定を実施した会社、さらには学校医、あと我々県教委ということで対策会議を開きますけど、今後そういった、いわゆる専門的な立場の方々の助言をいただくための対策会議の早期立ち上げということも今後助言していかなければならないと思っております。なお、さきほど申し上げた研修会におきましては、奥州市教委の担当者にも出席いただいて、今回の状況、どういう経緯、経過であったのか、奥州市としてどういう対応をしたのか、そのへんを縷々御説明していただいて、県内の市町村担当で情報共有をしたいと思っております。
【斉藤委員】
さきほどは県教委の対応で、8月5日の市教委の対策会議や来月、県教委としても研修会ですね、県の方向ということでしたけれども、私、胆沢第一小学校の問題については、夏休にベークアウト、いわばストーブをたいて有機物質を最大限出して、休み明けに使えるようにするという話を、私聞いてきましたけれども、先に紹介したように、74名出たというように、ある意味では発症予備軍だと思うのですよ。普通の子どもより体力、免疫力が低下しているという中で、慎重には慎重を期して、再開については考えてほしい。TVOCの検査を私も見ましたけれども、基準値以下といってもかなり高いのですよ。外気と比べれば、本当に二十数倍といった高さですから、外気と比べたら、さまざまな揮発性有機物質があるというのがこの間の調査の結果でした。ひとつは、子どもの安全を第一に、絶対に次の犠牲者を出さないということで、きっちり県としても対応していただきたい。その際、一つ検討課題として校舎が何ヶ月もし使えない場合、県立胆沢高校の校舎が使えないかという話も出ました。私は城北小学校でシックハウスのような状況がおきたときに、再開するのに4ヶ月かかっているのですよ。4ヶ月。ホルムアルデヒドというのは、時間をかけてじっくりでてくるというやつですから、そういう意味で行くと、夏休み中、集中して、排気するというだけではいかないと問題が出てくると思うし、基準値以下だからとやったら、他の物質、様々な問題がありますからね。今までだって基準値以下なんですよ。検査の場合は。6項目以外の物質の可能性もあるし、たくさんの揮発性有機物質が出ているのも事実ですから、私は念には念を入れて、その際、胆沢高校の校舎が活用できないのかということも聞いておきたい。
【学校施設課長】
従前、保護者のほうからそういった御意見があったということで、内々に、奥州市教委から、胆沢高校の廃校舎の活用について、可能性について、打診をいただいた経緯がございます。ただ胆沢高校については実は耐震診断の結果、耐震性がございません。
校舎がいわゆるIS値0.7未満という校舎であることもございまして、私どもしてはそういう耐震性がない校舎をお貸しして、万が一何かあった場合に県としてもその責任を問われるということもございますので、胆沢高校の活用についてはそういうことから、残念ながらお断りした経緯がございます。
【斉藤委員】
わかりました。今後、対策を考える上で、ぜひ私は教育委員会としてシックスクールマニュアルを作成していただきたい。これは東京都の教育委員会が作成しているものです。これはすでに改訂版です。平成15年に一度出して、平成17年2月に改訂版が出ています。埼玉県の教育委員会、これは平成15年版。ホームページに紹介されているものですし。政令市の仙台市もシックハウスも含めてマニュアル、手引きを作っております。シックスクール症候群というのは昨年やっと病名として登録されたのです。医療の病名として登録されたのは昨年なのですよね。だからシックスクール症候群というのは今までもあったのだけれども、医療的にこれに病名がついたのが、まったく最近の話でありまして、しかし今私が心配しているのは、耐震改築・改修が今の時期、かなり集中して取り組まれているのですよ。一番危険なのは大規模改造工事なのですよ。改築の場合は別な場所にきちんと改築されるからいいのですけれども、大規模改造工事というのは授業をしながらやるのですよ。こんな危険な工事はないのですよ。私はある意味で行けば、耐震改築・改修工事が市町村レベルでも集中しているときに、認識を一致させて、進めるためには、この間の教訓を生かした当面の対策というのももちろん大事です。しかし、もうひとつ、東京都や埼玉県や仙台市などでは作成されている、こういうシックスクールマニュアルというものをですよね、ぜひこの機会に岩手県の県教委としても作成して徹底すべきではないかと思いますが、各県のシックスクールマニュアルをどのように把握して、県教委として対応しようとしているのか。
【学校施設課長】
今、委員からご指摘がありましたとおり、全国の悉皆調査はしておりませんけれども、都道府県ですと、東京都、埼玉県、あるいは岐阜県といったような都県でマニュアルを作成してございます。ただ東京都も埼玉県も、いわゆる都立高校におけるマニュアル、あるいは県立学校におけるシックスクール問題に対応マニュアルということで、基本的には自分たちの学校についての対応マニュアルになってございます。それから仙台市、札幌市、旭川市とか、そういったところでもマニュアルを作成していると承知しております。それぞれ何十ページと多いものから、十数ページのものまで様々ありますが、例えば、基本的に引き渡し時の検査とか、化学物質何種類を対象にするかということについては、すべて6種類。やはり文部科学省の学校環境衛生基準これをベースにしている。ただ児童が化学物質に起因して発症する事態が見込まれる場合は、TVOCの実施などもそういうことも検討していくといったような、あるいは指針値を超えた場合も同様でありますけれども、そういう対応についてふれられております。あと、全国全て見たわけではありませんけれども、我々として参考になったのは、実際にいろんな報告書の事例とか、保護者への調査をかける場合の調査書の文面、様式など、実践に対応したような資料がついているということは、実践的なものとして参考になると思っております。
ただ県としては現時点ではマニュアルをつくるかということでございますけれど、現時点では全般的な県、市町村を通じてのマニュアルの策定というものは予定してございません。シックスクール問題について、さらに一層、認識を深めなければならないというのはそのとおりでございますけれども、基本的な知識といったようなものにつきましては、これまでも様々な通知あるいは文部科学省のパンフレットやマニュアルの配布を通じて、周知を図ってきております。例えば、平成18年6月に文部科学省が策定したパンフレット「健康的な学習環境を確保するために 有害な化学物質の室内濃度低減に向けて」におきましては、シックハウス症候群とはなにかに始まりまして、室内を汚染する主な化学物質、あるいは発生源、化学物質の濃度指針値、あと建物整備時おける留意点としては、設計時、換気設備設計時、工事発注時、施行監理時、引渡し時、学校用家具の導入時の留意点、あるいは日常時における留意点ということで、ひととおりそういった留意事項等等はございます。さらに個別具体な対策、あるいは対応の基準ということにつきましては、今後の様々な状況、工事の内容でありますとか、施工期間の長短でありますとか、あるいは今回の事例でもそうでありましたけれども、校舎の配置による換気のよしあしなどの立地環境でありますとか、あるいひゃシックスクール症候群、化学物質過敏症などの発症児童生徒の有無とか、様々に応じて検討され、決定されるものでありまして、個別の対策については各団体の責任において検討実行されるものと考えております。
なお、県としては今後とも市町村に役立つような必要な情報の提供、さきほども申し上げましたけれども県の環境保健研究センターとの連携による支援でありますとか、そういった必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
極めて消極的な答弁でしたね。私はこうした事件・事故があった岩手県だからこそ、全国の先進的な取組みに生かしていくことがこういうことこそ必要なんですよ。東京、埼玉なんかは平成15年ですよ。東京は改訂版までやっているんですよね。これ私が見たって、きちんと整理をされて、それぞれの対応が書かれているし。例えば、施行上の留意点、施行材料の確認、施行方法きっちりと書いてますよ。実はね今回の調査で私本当に驚いたのは、初歩的なミスなんですよ。接着剤のにおいが漏れたというのも、(せっさくゆ)のにおいがもれたというのも、きちんと囲いこみをしていないからなんですよ。事故そのものは極めて単純。なぜこんなことがが、廊下にもれるのか、階段にもれるのかと思うくらいの事故がおきているのですよ。これは完全に施工監理の手抜きですよ。私はそういう意味で行くと、例えば建設業界なんかの場合は元請が受注しても、孫請け、下請けまで業者全体でね、この問題を徹底しなくてはならない。そういう意味でいけば手間隙かかる仕事ですよ。私は本当にこれ以上、どの学校でも被害者を出さないということで真剣な対策を当面の対策だけではなく。さっき私がいったように、今、耐震改築・改修工事がかなりの規模でやられているのですよ。耐震化率なんてまだまだでしょ。71%で。昭和56年以前でみれば半分くらいでしょ。岩手県の耐震化の状況は。これからまだまだ耐震改築・改修はやらなくてはならない。私は特に大規模改造工事というのは見直すべきだと思います。授業中の工事なんてのは、普通あってはならないことですよ。そういうのは夏休みとか、春休みとかに集中してやるということも、今回の教訓も踏まえて、子どもがいるところとは区別してやらなくてはならない問題だと私は痛感してきたんですよね。東京都のマニュアルもベストだとは思いませんよ。ましてや文部科学省は極めてずさんで、6物質だけいうだけでは通用しないのですよ。旭川の発症例をみますと、それ以外の揮発性有機物でした。これは林業総研が徹底して調査をして突き止めたのですよ。文部科学省指定以外の揮発性有機物質だったと。だから、本来6物質以外に対象を広げて調査しないとわからないのですよ。今回のやつもわからないですよ。原因は。私は原因究明まで徹底した検査をすべきだと思いますけれども、そういう意味で行けば、今取り組まれているところもベストとは思わないが、今の事例からいけば、岩手県も教訓を踏まえて東京に負けないような対策を考えていく必要があるのではないか。これは教育長にお聞きしたい。
【教育長】
委員おっしゃいましたように、症例として確定診断ができたのが去年ですので、様々な経過があるんだと思います。いずれ勉強していることは勉強していますので、改善できるところは前向きに検討していきたいと思います。
【斉藤委員】
教育長の答弁は雲をつかむような、具体性に欠けた答弁でちょっと残念でしたが、ぜひ前向きに、やはり今回のこういう事件・事故を生かして、ここを通じて全国で最も進んだ対策をとっているよとそういうふうにすべきなんだと思います。そうしてこそ教訓がいかされると思うので、ぜひそういう方向で。
・学校の耐震化について
【斉藤委員】
全国的な耐震化の状況は73.3%、本県も73.1%と出た。これは推計値ということだが、岩手県の耐震診断の状況、特に昭和56年以前の建物についての耐震化の状況はどうなっているか。小中学校の場合には、災害時の避難施設となる。そういった施設が実際には地震のときに危ないというのでは話にならない。ある意味でいけば耐震化の低いところの対策というのは第一義的な課題と思うがいかがか。
【学校施設課長】
先日、文科省から公表された22年4月1日現在の耐震化の状況だが、耐震化率については、小中学校については73.1%、全国平均が73.3%となっている。対前年度の伸び率は、全国平均が+6.3%となっており、昨年度の経済対策などもあり当該調査は2002年に始め、それ以来過去最大の伸び率であったと言われている。本県は+6.7%の伸びとなっているので、基本的には県内市町村においても耐震化に向けて、努力をしていただいていると認識している。
今年度は、学校数で、耐震管理についてはさまざまな事業があり重複するが、35校で工事を進めている。昨年度の予算措置したものの半分以上が補正予算、いわゆる経済対策で措置しているので、ほとんどが今年度に繰り越しになっているということで、昨年度から今年度に繰り越し分と今年度の当初予算分ということで今耐震化に向けて一生懸命取り組んでいる。
【斉藤委員】
全国調査では74棟が0.3未満で倒壊の危険があると。これは推計値だということで、県教委が把握している、実際耐震診断が行われて、危険な棟数というのは何市町村何校何棟あるか。その解消の見通しはどう把握しているか。
【学校施設課長】
いわゆるIS値0.3未満のものが「きわめて倒壊の危険性が高い」ということで、この間文科省から公表になった棟数としては74棟ということだった。ただこの中には、未診断のものや優先度調査段階にとどまっているもの、そういったものを出現率を乗じて全体として推計値として出しているので、74棟のうち二次診断まで実施して、0.3未満と確定したものは47棟になっている。この解消については、各市町村に照会した回答の結果では、平成25年度までに解消する見通しであると聞いている。