2010年9月3日 商工文教委員会
雇用対策に関する質疑大要


・県内の雇用情勢について

【斉藤委員】
 今の雇用情勢をどう見るかというのは大変大事なポイントだと思っている。
 有効求人倍率が改善されている中身について。この間、北上、水沢、宮古のハローワークを訪問し状況を聞いてきた。
 北上などは有効求人倍率は改善されているが、非正規・派遣が増えていると。正社員の雇用は特に低い。そういう意味でいくと、製造業の生産拡大が正規雇用に結びついていないという話を聞いてきた。この有効求人倍率の改善の中身をどう受け止めているか。
 2点目は、失業の長期化について。総務省の労働力調査だが、349万人の完全失業者のうち、1年以上失業しているのが118万人で33.8%。3人に1人が1年以上である。1年以上ということは、完全に雇用保険が切れているので、深刻な生活危機、貧困ということになっているのではないか。
 私たちは各地で市民アンケートに取り組んでいるが、8月に遠野市で行った市民アンケートでは、「ご家族に失業・休業者がいますか」という問いに対して、26.7%がイエスだと。4世帯に1世帯である。北上市でも23.8%だった。この失業の状況というのは、数字以上に深刻なものがあるのではないか。長期の失業になってくると、求職をあきらめる事態が今起こっているのではないか。そうした状況をどう把握しているか。
 事業主都合のリーマンショック以降の離職者は累積でどうなっているか。雇用保険受給の実人員も示していただきたい。
 そして若年者の失業率が過去最悪だと。大卒の就職率が60.8%で8万7000人が進学も就職もできなかった、10万人が留年したと。うち約8万人が就職のための留年と言われている。だから実質15万人を超えるような規模で就職できなかったということになるが、県内の大学の就職状況も含めて若年者の失業率をどう把握しているか。

【雇用対策課長】
 有効求人倍率の求人の中身について。有効求人倍率は0.44倍ということだが、例えば北上地区では、派遣による求人が前年同月対比で121.1%増で、製造業についても29.7%増ということで、生産の回復にともなう求人増が見られる。
 長期の失業者の状況だが、県内の長期失業者がどのぐらいいるかということは明確な数字がないが、例えば奥州市の求職者総合支援センターにおいて、22年1月〜6月までの間に、生活就労相談をされた方の実数は220名で、1年以上の失業状態という方は38名であった。その方々については、相談回数が頻繁に行われているということで、長期の失業者の方が固定化しているという状況が見られるところである。
 事業主都合の離職者の累計だが、20年10月以降の累計では、61287人である。
 また、雇用保険の実人員は、22年7月の支給実人員は9373人である。
 県内大学の就職内定状況だが、岩手大については93.0%、県立大については94.2%という状況だった。そういった意味で、若年層の失業、職に就けない方々については、ジョブカフェ等でのいろんな支援だとか、あるいは国のトライアル雇用等の制度もあるので、そういった制度を周知するということにより対応していきたい。

【斉藤委員】
 有効求人倍率は改善しつつあるが、中身としては失業の長期化、特に若年層での失業が深刻だと。大学の状況は、岩手大・県立大は90%台だが、盛岡大・富士大が入っていないので、このあたりも聞かないと県内全体の把握にはならないと思う。
 新規高卒者の話が出たが、4月の段階では県内の求人が前年を上回っているが、逆に県外の求人が大幅に下回っていると。ハローワークでも聞いたが、昨年より厳しいというのが認識だった。県内の求人は前年と比べるとプラスなのだが、いわて求職者総合支援センターのセンター長は、「募集枠に満たなくても採用を見送る社が多そうだ。実態は求人数の半分程度だろう」と。こういうシビアな状況になるのではないかということだった。このまま求人が増えていくということでもないだろうし、求人を出しても厳選して採用する状況になってきているという指摘である。新規高卒者の問題については、昨年大変苦労されたが、そういう厳しい認識で今から取り組む必要があるのではないか。


・この間の雇用対策の実績について

【斉藤委員】
 基金事業、産業振興などで現段階で把握している雇用確保の状況。
 新規高卒者の就職対策について。これは新規高卒者の未就職者が1月段階でかなり出るというので、県内市町村が独自に、例えば八幡平市では、市内の中小企業が高卒を採用した場合には月10万円を2年間助成するという積極的な施策がかなりの自治体で実施された。私の調査では、この市町村の取り組みに申請した数が200人規模であったと聞いている。この取り組み状況について。岩手県は今年度予算で、そういった市町村に助成するという予算措置をしているので、県がどういう形でそうした市町村に助成するのか。

【雇用対策課長】
 産業振興施策、基金による雇用創出事業について。産業振興施策については、10月末に上半期の状況がお知らせできると思う。基金事業について、緊急雇用創出事業については、22年度の雇用創出目標2706名に対し、7月末で2278名の雇用、ふるさと雇用再生特別基金事業については、雇用創出目標623名の目標に対し、650名の実績である。
 新規高卒者の就職支援について。我々の方で把握している限りでは、制度を立ち上げている市町村は18あり、これに対し現在対象となる高校生は約200人程度となる見込みである。これについては県として、制度が市町村によりかなりバラバラであるので、公平に市町村に対して支援する観点から、市町村の支援の制度の中身を改善させていただくと、定着支援の部分と就職促進の部分とリンクされた制度になっている。我々とすれば、定着支援は基本的には市町村の部分が大きいかと思うが、就職促進の部分に対して県の支援をするという考え方でいきたい。

【斉藤委員】
 18市町村がこういう危機的状況の中で自ら予算措置して、特に地元に就職を誘導すると。画期的なことだったと思うが、県の支援策を聞くと、定着支援は市町村で県の補助は就職支援だと。せっかく先ほど紹介した八幡平市などは20人の申請、やはり充実してるから3月4月という状況の中で、地元の企業がそういう制度を活用して採用すると。これは素晴らしいことだった。そういうところにきちんと県も分け隔てなく頑張っているところにはそれなりの支援をすることのほうが必要ではないか。特に今年の就職状況を考えればこうした取り組みがまた必要になってくるのではないか。

【雇用対策・労働室長】
 定着支援に対してまったく支援しないということではなく、雇用対策の関係では、全ての市町村をまわり、そういったご意見も十分踏まえて最終的に県として今年度は対応することとしている。
 来春の対応については、県内の動き、県外の動きなども見ながら、昨年度の方法が有効なのかどうかも検証した上で来春の高校生の就職支援ということについて考えていきたい。

【斉藤委員】
 ぜひ前向きに頑張っているところにやっていただきたい。


・ワンストップサービスの実施について

【斉藤委員】
 3月の本会議・予算委員会で一貫して、失業が長期化する中で、雇用と生活は切り離せない、総合的な対策が求められているということでワンストップサービスを県内全ての地域で定期的に実施する必要があるということで求めてきた。どこまで実施されているか、その内容はどうなっているか、今後の見通しについて示していただきたい。宮古に行ったときに、宮古では年内にもう1回やりたいとハローワークでは言っていた。まだ実施できないところは何が問題があるのか。年内にかけて全ての地域で定期化を目指してやられるべきではないか。

【雇用対策課長】
 これまで、宮古・奥州・盛岡・北上、8月は二戸で27日に実施された。二戸については、相談者5名、相談件数15件だった。内容的には、就労相談・生活資金・多重債務等があったということである。
 今後だが、我々としては、そういった失業者の方々の相談の充実という観点から、年内に少なくとも年内に全ハローワーク管内でやっていただくように、労働局に対して申し入れているところであり、労働局も「年内に全ての管内で少なくとも1回はやりたい」という話はいただいている。

【斉藤委員】
 ワンストップサービスは、厚労省参与の湯浅氏も一番強調した課題であった。たまにやると周知されないので、今の失業の状況を見ると定期的な開催が求められる。年内全ての地区でという話があったので、実らせていただきたい。
 そうした中で、生活保護の申請、福祉資金の活用、これは昨年度の実績、今年度の状況はどうなっているか。

【雇用対策課長】
 生活保護については、21年度の実績は、生活保護全体で開始が2023件で、うち収入減が581件、22年度は6月末現在で開始が492件、うち収入減が143件だった。
 生活福祉資金、これは総合支援資金のうちの生活支援費についてだが、これは昨年10月から制度が改正されているので多少変わっているが、21年度については211件、今年度は6月までに117件の決定となっている。

【斉藤委員】
 生活保護もかなり申請開始が改善されてきた。しかしまだまだ制度を知らないということもあるので、こうしたワンストップサービスの開催等も含めてさまざまな制度の周知徹底に努めていただきたい。


・中小企業対策について

【斉藤委員】
 雇用対策でもう1つ大事なことは、県内の常用雇用の89%を支える中小企業の対策である。先ほどの資料では、雇用調整助成金7月は435社で11015人活用していると。これもまた大変大きな役割を果たしてきたと思うが、中小企業が元気にならないと県内の雇用全体として守れない。中小企業対策を抜本的に強化する必要があると思うが、県内の約9割を支える中小企業の雇用、経営安定状況をどのように把握して支援しようとしているか。この間の融資などを含めて示していただきたい。

【経営支援課総括課長】
 本県における中小企業については、県内事業所の98.9%を占める重要な地位だと認識している。中小企業の活動が本県の経済を支えていると言っても過言ではないと認識している。中小企業における経営の改善指導については、県内の商工団体指導ネットワークを通じて、日常の指導・監督を行っており、経営改善のための金融支援についても県単融資制度等を通じて支援している。
 リーマンショック以降の景気回復の中で、リーマンショックレベルまではまだ戻っていないという状況ではあるが、円高等の不安要素を抱える中で、若干持ち直しの傾向があるということで、先行きに期待している。
  金融については、平成22年度の県単融資、経営安定資金の状況だが、融資実績は7月末現在で747件111億円余となっている。前年同月比金額で75.8%で、現時点で中小企業における資金繰り事情というのは落ち着いた状態となっている。

【斉藤委員】
 最近のニュースで金融円滑化法で、融資条件の変更がかなり進んだというニュースがあったが県内の状況は分かるか。

【経営支援課総括課長】
 最新の状況としては県内の数字は手元にないが、最近の発表は、債務者が中小企業者である場合の申込実行状況だが、東北管内の数字で、法施行日から6月末現在までの申込実績が30489件、これに対し実行が25957件、謝絶1058件、審査中が2444件、取り下げが1030件ということで、実行率は96.1%という状況である。

【斉藤委員】
 中小企業同友会の方々にも話を聞いてきたが、中小企業は赤字でも簡単に人員削減をしていない。本当に頑張っている。岩手の雇用を支えているのは県内中小企業なので、千葉県などのように中小企業振興条例なども制定し、中小企業対策を本格的にこの時期に強化する必要があると指摘したい。


・職業訓練施設の廃止問題について

【斉藤委員】
 国の動向はどうなっているか。無償譲渡という通知は来たようだが、その中身について、北上であれば、4100万円のコンピューター設備の維持費、職業訓練センターであれば大規模な改善の修理費など、今まで国が責任をもっていた財政支援が示されなかったら、譲渡しようがないと思う。
 それから花巻にあるポリテクセンターも廃止だと。これは県に譲渡するかしないか投げかけられている。このことについて県はどう対応しようとしているか。
 北上市や盛岡市など4市からの要望の内容と県の対応はどうなっているか。

【労働課長】
 8月12日付の雇用能力開発機構からの通知では、譲渡にともなう譲渡価格の提示についてということで、県内の4つのセンター、北上のコンピューターアカデミーは無償であるという内容だった。施設等の譲り受けの意向確認は、平成22年度の11月末までに行うこととされたものである。まだ、国の支援の大規模改修費用ならびにパソコンのリース料については、明らかになっていないので、今後県として関係市と連携して国による財政支援を引き続き求めていきたい。
 花巻ポリテクセンターの関係だが、ポリテクセンターの県への譲渡という部分については、いまだ明らかになっていないので、譲渡条件等が示された段階で検討させていただきたい。
 8月4日の4市長による地域職業訓練センター関係の知事要望に関しては、独立行政法人雇用能力開発機構からの通知、これは7月27付なのだが、その中で、譲り受け先は土地所有者である地方公共団体とするとされた。そして、センターが地元市長の強い要望により、地域の中核的なところに設置されたという経緯があること、また地域の同様の施設についても、地元市が施設を設置して地元の職業訓練法人に管理等を委託している状況にあること、近年市町村合併が進み中心市の役割よりも広域的な役割が期待されていることから、施設所在の市で譲り受けていただくことが適当であるということで回答させていただいた。譲り受けの大規模改修費用についても、県と関係市が一緒になって国による支援を求めていきたいという回答を知事からさせていただいた。
 4市の要望の内容は、地域職業訓練センターが広域的に利用されていることに鑑み、県において譲り受け、職業能力を開発を実施する施設として運営することという要望内容だった。
【雇用対策・労働室長】
 ポリテクセンター花巻については、運営している雇用能力開発機構の廃止が23年度末で閣議決定されたと。これの受け皿として、高齢障害者雇用支援機構というものが今後引き継ぐという方向で、これについて今年の5月、国において要項を作った。これについては、ポリテクセンターについて、例えばだが、都道府県において職業訓練を何割受ける場合にはこのぐらいの助成をするという要項の中身が記載しているが、この関係についてそもそも厚労省からお知らせは一切ない。また、国会においても審議がなされていないので、このことに関して県としてどう対応するのかということについては現段階ではお答えできる状況にはない。

【斉藤委員】
 国の動向はきわめて問題だと思う。ポリテクセンターの問題については、法律案要項というのは、3月23日にとりまとめられ、本来なら通常国会に法案が出される予定だった。この法律案要項の段階でも、引き受ける職員比率に応じて譲渡価格を決めると。そしてその後、国の一定の財政支援は2年間に限るとなっている。無責任な話である。具体的なことはそれ以上示されていないが、大事なことは示された。こうしたやり方はきわめて不誠実で、国の職業訓練の責任を放棄するものである。
 今回の職業訓練センター、北上コンピューターアカデミーの問題でも、私が3月の本会議・予算委員会で取り上げたときには、職業訓練センターの重要性は国も県も同じ認識だと言っていたが、認識が違う。国は切り捨てである。単なる地方移管ではない。補助を止めるのだから。今回の職業訓練センターだって譲渡されなければ廃止である。譲渡を前提にしていないのである。国というのは職業訓練に対して責任を持っている。予算措置、財源を含めて。それを一方的に深刻な雇用情勢の中で廃止するというやり方は無責任である。そういう立場で国の悪政に対抗しなければならないのではないか。

【雇用対策・労働室長】
 職業訓練のあり方については、国もそれなりの責任をしっかりもつべきだと思っており、我々地方としては、地域の産業状況などを踏まえて、機動的に職業訓練を実施していく、地域の実情に応じた職業訓練を実施していくといった役割もあると考えている。国においての職業訓練センター等の廃止については、行財政改革の一環として取り組んできたということで、地方における職業訓練の重要性、国における職業訓練の重要性までを否定したものではないという認識に立ち、これまで対応してきた。

【斉藤委員】
 職業訓練事業については、国の後退というのはきわめて深刻だと思っている。この後退を食い止める、職業訓練事業というのはこういう雇用情勢のもとではもっと拡充されるべき課題だという立場で対応していただきたい。
 具体的な話をお聞きするが、北上コンピューターアカデミーの実態・実績を聞いてきた。入学者の5年間の出身の内訳は、北上28%、胆江21.5%、花巻15.1%、盛岡15.3%である。まさに広域的な役割を果たしている。土地を北上が持っているから北上市に譲渡だという風には絶対にならない。これだけ広域的な形で岩手県の担い手を育成していく施設である。そういう実態から見たら、北上市が受けるということの合理性に欠ける。胆江の職業訓練センターもそうである。胆江管内は半数弱である。北上や一関管内からも来ている。そういう職業訓練センターの実態からいけば、国の通知は土地所有者が原則として譲渡の対象になっているが、各市長が求めているように、国の責任、県の責任がもっと明確にされるべきではないのか。そして3月11日に知事が厚生労働副大臣に会ったとき、廃止撤回の旗を真っ先に全国に先駆けて降ろしてしまった。廃止撤回の旗を降ろすのなら県がこの事業継続に責任を持つのかと思ったらそうでもない。十分な関係市との協議はなかったと聞いてきたがいかがか。

【労働課長】
 北上コンピューターアカデミーの学生が主に県南広域から入学していることについては、アカデミーが県南地域の情報処理技能者養成の拠点として定着していることを示すものと認識している。アカデミーはこれまでも、職業訓練法人北上情報処理学園が適切に運営してきたところであり、施設の所有とアカデミーの運営は分けて考えるべきものと認識している。
 また、無償譲渡の方針が早すぎたのではないかということだが、地域職業訓練センターの国の廃止方針については、現時点においても覆る見込みはないことを考えると、3月時点の国の方針を的確に把握して適切に対応してきた結果で、無償譲渡がなされたと考えている。
 3月時点の要望に関しても、関係市と十分意見交換の上で要望内容を決定し、知事要望とさせていただいた。

【斉藤委員】
 とんでもない話である。6月に全国市長会は、「職業訓練センターの国の責任による運営」という決議をあげている。これにはもちろん盛岡市も奥州市も一関の市長も参加している。6月の段階である。全国は「とても受け入れられない」と。だいたい譲渡と言っても、あなた方の説明に中身がない。11月までに回答しろと言っても、財政支援も示されないでどうして回答ができるのか。
 例えばポリテクセンターは対象が県なので、県の動向を日経新聞が5月の段階で調査した。「受け入れるとする県はゼロだった」と。受け入れないが26府県、未定が20道府県である。財政的な支援がなければ受け入れられないのである。ポリテクセンターで2年間しか補助しないとなったらその程度の補助ぐらいしか出てこないのではないか。国の責任が明確になった段階で無償譲渡が良いか悪いか出てくる。中身のない無償譲渡など廃止である。こんな中身のない無償譲渡について、全国に先駆けて廃止撤回の旗を降ろした。そして北上・奥州と聞いてきたが、3月の段階は十分な議論がなかったと言っている。知事が厚労副大臣にそこまで言うのだったら、県がもっと責任をもって対応すべきだったと思うがいかがか。

【雇用対策・労働室長】
 我々としては、関係市との会議・打ち合わせをもって、これまで国による継続運営を求めてきたということだったが、国および県連を通じた要望の回答結果を踏まえ、各市ともまずは条件に移る時期ではないかということから、県だけではなく、関係市の名前も入れ、すべて了解をいただいた上で、3月11日の要望にいたった。各市とも議会中だったということで関係市長はご一緒できなかったが、知事が代表で厚労福大臣に会って、まずは無償で譲渡していただきたいと。それから譲渡後の支援について新たな制度を創設する等の財源措置をしっかりとっていただきたいといったことについて要望したところである。これについては、関係市からも十分な理解をいただいたと思っているし、この方針に沿ってまず第一段階の無償譲渡が実現したものと考えており、今後の引き続きの支援については、関係市とともに対応していきたい。

【斉藤委員】
 無償譲渡は資産価値の算定でそうなった。譲渡の基準も示されたので。財政支援は全く不明。財政支援が全く不明な無償譲渡は意味がないということである。これでは、県も市町村も全然判断できないという状況である。職業訓練を強化しなくてはいけない、希望が多いというときに。
 職業訓練の昨年度、今年度の実績、職業訓練生活給付金制度の申請・受給の実績を示していただきたい。
 雇用能力開発機構が廃止されることになると、雇用促進住宅もこれは3分の1が廃止ということになっているが、県内の入居状況、廃止・譲渡の状況はどうなっているか。

【労働課長】
 生活支援給付金の状況だが、4月以降7月22日現在で、申請件数は805件と聞いている。
 雇用促進住宅の入居状況だが、緊急対策関係の入居状況については7月末現在で46戸が入居している。廃止決定した住居の譲渡を受ける自治体は、岩手町、一戸町、陸前高田市、雫石町がすでに譲渡を受けている。また大槌町が今後譲渡を受ける予定だと聞いている。

【斉藤委員】
 職業訓練の実績についても聞いたので後で示していただきたい。
 雇用促進住宅も、市町村別に状況示していただきたい。雇用で46戸入居したのは分かるが、雇用促進住宅というのは、若い世代が入居している。これは公営住宅に位置付けられ、街の中の一番良い場所にあり、まちづくりにとっても重要で、特に貧困化している若い世代にとっては、必要な住宅だと思っているので、その状況について後で詳しい資料をいただきたい。

【雇用対策・労働室長】
 一般の離職者等を対象とした再就職訓練では、64コース1044人の訓練を実施し、最終的な就職率は62.0%である。また、主として不安定就労者等を対象として、3ヶ月の座学、1ヶ月の職場実習をクリアすれば、デュアルシステム訓練、このコースで7コース72人の訓練を実施し、就職率は76.1%となっている。
 今年度の訓練の実施状況については、まだ途中段階だが、離職者訓練については、募集493人に対して応募が716人、最終的には348人の受講でスタートしている。全体の計画は1267人である。
 雇用促進住宅の市町村別の状況だが、所管する雇用振興協会からは、地域別の公表は控えていただきたいということだったのでご了承願いたい。


・誘致企業のリストラについて

【斉藤委員】
 富士通の退職者、再就職の状況はどうなっているか。県内での新規事業の状況も含めて。
 ソニー千厩テックの退職者の再就職状況について。
 関東自動車の状況について、生産拡大が雇用拡大に結び付いているのかどうか。期間社員の状況とこの間の正社員への登用はどうなっているか。
 リーマンショック以降の自動車・半導体関係の人員削減の状況はどうなっているか。

【雇用対策課長】
 ソニーについてだが、退職者数で423人、求職登録者が366人で、7月末現在で約半数が再就職した。
 富士通は、離職者数727名、求職登録者数で599名、うち4分の1が再就職していると聞いている。
【企業立地推進課総括課長】
 リーマンショック後における雇い止め等の状況だが、平成21年3月の時点で県全体の調査をしたものがあり、その後は我々の通常の活動の中で主な誘致企業の情報収集の中でまとめたというものであり、本来同じ性質の数字ではないので合計するのはどうかと思うが、雇い止めの全体像ということで述べると、主な誘致企業と一部地場も含む県内全体としての合計は約8600人である。うち誘致企業は約7800人ということで、うち自動車関連産業については約1940人程度、半導体関連産業については約2580人程度という状況である。
 関東自動車の関係だが、6月議会の時点で正規が1670人、期間社員が760人で計2430人と述べた。8月31日現在で、正規1520名、期間社員750名で計2270人だが、うち他工場への応援に170名が行っており、正規なのでその分も含めると1690名、計2440名となる。

【斉藤委員】
 ソニーは50%、富士通は4分の1が再就職の状況だと。若干の改善はされているが、3月に知事に質問したときに知事は、「万全を尽くす旨の回答をいただいている」と。保課長からは、「会社側では就職支援会社を通じ、一人一人最後までちゃんと就職支援を行うという回答を聞いている」と。何度も強調するが、アルプス電気やアイワのときにも、最後の一人まで再就職に責任をもって県が努力したという到達点があるので、富士通の25%というのはかなり危機的な状況である。去年の10月末から退職しているので雇用保険が切れる。その点からいくと、本当に大企業の雇用を守る責任が厳しく問われていると。
 富士通は県内2つの事業をやると言っていた。介護事業所と富士通アプリケーションというコンピューター関係で150人ぐらいの雇用を創出するという話だったが、これはどうなっているか。

【企業立地推進課総括課長】
 この度の富士通の再編計画の中で、本県への新たな就職の場ということで、富士通アプリケーション開発株式会社については、すでに北上市において110人の体制で創業開始している。介護保険事業、富士通の関連会社であるケアネットという会社が奥州市内において52名の再雇用という形で事業をスタートしたと聞いている。

【斉藤委員】
 関東自動車の場合は、4年5年と期間工で頑張っている労働者が少なくない。本来正社員にこういう方々こそ優先して登用されるべきだと思うが、期間工から正規への登用の状況を改めてお聞きしたい。

【企業立地推進課総括課長】
 平成20年度の実績で106名、昨年度は厳しい経営状況の中だったが10名の実績である。今年度もできるだけそういった形で登用を進めたいと聞いている。


・労働者派遣法の問題について

【斉藤委員】
 雇用問題は県政の最大課題で、生産の拡大・回復状況があるにもかかわらず、残念ながら雇用にまで結びついていない。不安定雇用が拡大している。
 国会ではこれは廃案になったが、労働者派遣法の抜本的改正、最近厚労省でも、有期労働契約研究会が報告書を出して、有期労働契約というのは厳しく規制されるべきという内容だった。労働者派遣法には大穴があり、2ヶ月3ヶ月の短期雇用でも繰り返し1年を超えれば対象にならないと。本当にヨーロッパ並みに、働くなら正社員が当たり前という労働法制の抜本的な規制強化が求められていると思うが、この動向、全国知事会を通じてどんな要望を県はやっているか。

【雇用対策課長】
 労働者派遣法の動向だが、国会においては衆議院において継続審査中という形で聞いている。
 全国知事会からの要望について、内容については、「労働者派遣法については問題があるので、正規労働者と非正規労働者の均等処遇に向けた法的整備について議論を着実に進めていただきたい」と要望していると聞いている。