2010年9月22日 議会運営委員会
教育委員の選任にあたっての質疑大要
【斉藤議員】
教育委員の責務、選任のプロセスについて改めて聞きたい。教育委員会、教育委員の責務、役割はどうなっているか。
【宮舘副知事】
教育委員会は、教育行政における重要事項、教育方針を決定するものである。地方教育行政の組織と運営に関する法律の第23条に照らして、その管理、執行すべきということが具体的に定められている。
【斉藤議員】
具体的に聞いたのである。
【宮舘副知事】
法律にかなり項目があるので、いずれにしても、教育行政における重要な事項、基本方針を決定していくとなっている。
【斉藤議員】
選任のプロセスと教育委員たるべき基準はどうなっているか。
【宮舘副知事】
具体的な任命にあたっては、教育委員会制度の委員とされている、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映といった視点を踏まえ、任命候補者の活動歴であるとか、年齢構成、性別、地域バランス等を勘案し、教育委員としての活動意欲、さらには教育委員会の意向等を総合的に勘案し知事が決定し議会に提案するものである。
【斉藤議員】
地教行法第4条第1項ではどうなっているか。
【宮舘副知事】
「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する」となっている。
【斉藤議員】
今のところが一番大事だと思う。
「教育に関わる議案については教育委員会に意見を聞く」とあるが、これは人事案件もそうか。
【宮舘副知事】
人選については、教育委員会としての意見を勘案しながら、最終的には知事がその責任のもとで、個別に判断し決定している。
【斉藤議員】
地教行法第29条では、「議会の議案を議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならない」となっている。人事案件はどうなのか。正確に教えていただきたい。
【総務部長】
教育委員の任命にかかる議案については、これに該当しないこととされている。
【斉藤議員】
では今回の選任にあたって、素案、原案はどこで作ったのか。
【総務部長】
教育委員会の意向を十分に勘案させていただき、その考え方を事務局としても是として最終的に知事が判断したものである。
【斉藤議員】
教育長にお聞きするが、今まで教育委員会の意向と違った選任があったか。
【教育長】
最終調整がなされて選任されているので、そういう意味ではないと申し上げたい。
【斉藤議員】
最終調整前はどうか。
【教育長】
さまざまな対象者がいるので、意見交換をすることはあると思う。
【斉藤議員】
これまでの任期の平均は6年で、3期以上は1人だったと。この1人はいつ、どなただったか。
【教育長】
昭和36年3月〜昭和45年9月までの9年7月、金田忠吉さんである。
【斉藤議員】
だとすれば、しばらく3期やってる人はいないと。2期8年間務めている坂本さんを、さらに今までに例のない形で選任する具体的な理由を改めて聞きたい。
【教育長】
提案は知事部局が行うわけだが、委員の任命にあたっては、教育委員会制度の委員とされている、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映といった視点を踏まえ、任命候補者の活動歴であるとか、年齢構成、性別、地域バランス等を勘案し、教育委員としての活動意欲、さらには教育委員会の意向等を総合的に勘案し知事が決定し議会に提案するものである。
特に、教育委員会から参考意見として申し上げたことについて、来年度から順次完全実施される学習指導要領の改定において、道徳教育を充実し豊かな心の育成を重点的に行っていくとされているが、特に坂本氏については、発言内容から「命を大切にする教育の重要性」について強い信念をもっているということで、豊かな心という曖昧な表現よりも、命を大切にする努力を進めなければならないと再三教育委員会議でも発言されていることを考えれば、坂本氏は本県の教育を推進する上で必要な人材であり、今後一層貴重な助言をいただけるものと期待している。
【斉藤議員】
今の程度では、これまで例のない3期の選任の理由には当たらないと思う。
4年間の教育委員会議の議事録を精査した。知事、副知事は読んだのか。
【宮舘副知事】
私は見ておりません。
【斉藤議員】
3期目ということになると実績が問われる。議事録を読むと、率直に言って発言回数が少ない。内容も建設的・積極的な提言が少なかった。命を大切にする教育としてどういう発言をしているか。
【教育長】
もともとクリスチャンであるので、プライベート的な話はできないのだが、そういう意味で人を愛する心、いのちを大切にする心という識見の中では、生まれ育った生い立ちなどさまざまなところを経験しているので、そういう意味では識見の高い方だという風に考えている。
【斉藤議員】
4年間の議事録を見たが、そういう発言は率直に言って見当たらない。発言回数も決して多くない。3期にわたってこの方を特別に選任しなくてはいけないという理由は当たらないと思うがいかがか。
【教育長】
ここは議員との見解の相違があるが、議事録で同等のことを取り上げてということでもないのだろうが、非常に不登校問題だとかさまざまなところで心砕いて発言していただいている。
【斉藤議員】
この方が不的確だとも不適切だとも思わない。しかし、今まで県の教育委員は平均6年で、ほぼ2期である。この10年間は3期以上はいない。昭和36年以降ただ1人だけである。だから、この段階で3期目の選任をするというのは、得難い、特別の人材ということではないか。そういう視点からいくと、少なくともこの4年間一番の実績と言えば、教育委員会議での発言である。ここが最高の意思決定機関なので。そういう意味でいくと、今まで例のない3期目の選任という風には会議録を見る限り特別の理由が見えないのではないか。
もう1つは、この間の経歴から見ても、特別に3期選任をしなくてはならない理由はない。
先ほど一番大事だと言ったのは、教育委員の選任のところで、「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する者」と。岩手県の教育行政の最高機関なので、それなりに幅広い人材の登用を知事も教育委員会も考えるべきではないか。
【教育長】
本県の教育行政推進上、同氏は意欲の面、年齢比、あるいは今後なお一層活躍が期待されますし、女性の登用、あるいは県北沿岸部からの選任という地域バランスにも配慮するということもあるので、同氏の再任が適当と考えたものである。
【宮舘副知事】
教育長からお答えした通り、知事、副知事としてもそういった観点から今回坂本氏をお願いしたいということで提案させていただきたい。
【斉藤議員】
もちろん不適切、不適当だとは思わない。ただ、教育、学術、文化とした場合、もっと幅広い人選を行うべきではないか。例えば、専門家、大学関係者、今までいた。船越さんが教育委員長をやった。そういう幅広い人材の登用を考えるべきではないか。全体として今の教育委員会は小粒になっているのではないか。
議事録を見ても、もっと突っ込んだ議論がなされてもいいのではないかと思うがいかがか。
【教育長】
教育委員会制度というものは、どちらかというと専門家よりも普通の感覚、住民の感覚を持った方たちを政治的中立の中で教育行政に対して意見を言う、あるいはチェックしていくという風になっているので、大学関係者などの登用については、その問題―例えば高校再編問題、教育基本対策の問題、入試問題の方向性など専門的な知見を有さなければならない関係については、それぞれの会議をもってその方向性を見失わないようにしている。
【斉藤議員】
教育、学術、文化に関し識見を有する者といった場合、全て専門家で構成すべきとは全然言っていない。そういう方が入って当然ではないかという趣旨である。教育長がどんどん答弁するが、任命権者は知事なので、見解を副知事に答えていただきたい。
【宮舘副知事】
現在6人の教育委員がいるが、それぞれの識見を有する方々が教育委員になっていると認識している。