2010年10月8日 本会議
議案と請願不採択に対する反対討論
日本共産党の斉藤信でございます。議案と請願不採択に対する反対討論を行います。
議案第28号は、県営住宅の家賃滞納者に対して訴えを提起することに関し議会の議決を求めるものであります。
今回の対象者についても独自に調査しましたが、経済的な困難な状況が推察されます。また、県営住宅を退去させられるなら、さらに生活困難に陥ることが予想される状況であります。県としてもっと丁寧に滞納者に対して対応し、分割払い等の解決は可能と考えられるケースと思います。県のさらなる対応を求めるものであります。
議案第30号は、岩手県公会堂の指定管理者をいわてNPOフォーラム21に指定しようとするものであります。
今回の新たな指定管理者の指定は、いわてNPOセンターの不正と指定管理者の辞退によるものであります。それだけにこの間の教訓をふまえた選定が求められる事案であります。
今回指定管理者に指定されたいわてNPOフォーラム21には、副代表理事に部長級の県幹部職員と理事に4人の県職員が含まれています。14人中5人、理事の3分の1以上は県職員という構成は県丸抱えの組織と言うべき実態であります。
また、いわてNPOフォーラムの目的、事業の実態は、「NPO、市民等へのNPO活動に関する情報収集と提供及びネットワーク促進に関わる事業、行政との連携によるNPO支援のための調査研究及び政策提言と推進に関わる事業等」となっています。行政との連携によるNPO支援を目的にしながら、自ら行政の公募に応募し事業を取ったのでは自らの団体の目的にも反するのではないでしょうか。さらに、選定結果の得点は第2位とわずか1点差の293点、第3位とも3点差であります。県民からみて極めて分かりにくい選定結果と言わなければなりません。
県として県民から疑問の声が出ないような慎重で明瞭な選定こそ求められていると考えるものであります。
次に、請願陳情第92号、子どもの医療に関わる施策の拡充を求める請願が一部不採択となりました。不採択とされた項目は、第2項目の「細菌性髄膜炎ワクチンの自治体での公費助成を求めるものであります。細菌性髄膜炎は乳幼児に重い後遺症を引き起こし、死亡に至るおそれが高い重篤な感染症であります。その原因の多くは、ヒブと肺炎球菌によるものであり、すでにワクチンができWHOも定期接種を推奨しているものであり、定期接種している国では、細菌性髄膜炎は大幅に減少しています。ワクチンの接種は本来国が責任をもって実施すべきものであります。国が行わないとしたら県民の命を守る立場から県として実施すべきであります。
第3項目は、「子どもの医療費無料の助成を小学校6年生まで拡大すること。所得制限を外し、自己負担、窓口負担をなくすこと」を求めるものであります。全国的には、北海道や群馬県など9都道府県が入院の場合、小学校卒業または中学校卒業までの医療費助成を実施しています。所得制限なしが14件となっています。県内市町村では宮古市など16市町村が小学校卒業以上の医療費助成を実施しています。うち高校卒業までは一戸町、中学校卒業までが8町村となっています。小学校卒業までの医療費助成は全国の先進的な都道府県ですでに取り組まれており、県内でも大きな流れとなっているものであります。
少子化、人口減少が進む中で、子どもを大切にする県政の実現は県民が強く求めている重要課題でもあります。不採択にすることは県民の願いに背を向けるものと言わなければなりません。
請願陳情第87号と88号は、花泉診療所についての請願であります。その内容は、常勤医師の確保と事業計画で明記された常勤医師2名と非常勤医師3名の確保を求め、事業計画通りの診療所の運営を求めたものであります。
請願提出後、7月中旬に常勤医師1名がやっと配置され8月からは入院患者も受け入れるようになりましたが、民間移管の前提となった3月末提出された事業計画では、常勤医師2名、非常勤医師3名が確保されたとしていました。ところが4月以降7月までは常勤医師は事実上不在となったのであります。非常勤医師も2カ月ごとに変わり、先週、今週は地元の非常勤医師1名しか出勤しない状況となっているのであります。いまだに事業計画に反する事態となっていることは重大であります。外来患者も9月の実績は701人で1日平均31.9人と常勤医師が不在だった5月の801人、1日平均44.5人と比べて減少していることは患者離れというべき状況を脱していないといわなければなりません。
4月の民間移管に移行したその時点から事業計画に反した事態が起こったことは、医療法人白光の信頼性を失う不誠実な事態と言わなければなりません。
県医療局と保健福祉部は、責任をもって指導し改善を図るべきであります。事業計画に反した花泉診療所の改善と県の指導を求めた請願を数の力で不採択としたことは許されないことであります。
請願陳情105号は、労働者派遣法の抜本改正を求めるものであります。その内容は、@製造業への派遣を全面的に禁止すること、A専門業務の内容を見直し、限定すること。B日雇い派遣を禁止すること。C「常時雇用」を「期間の定めのない雇用」とすること。D「均等待遇」を明記すること―であります。
これらの多くは民主党の政策にも示されているものであります。ところが政府が提出した労働者派遣法の「改定案」は財界の圧力に屈して、製造業への派遣禁止では「常時雇用」と言う短期雇用を繰り返し1年以上であれば禁止の対象外とする抜け穴をつくりました。その結果、製造業派遣と登録派遣の禁止の対象となるのは18万人で全体の16.7%に過ぎません。専門26業務を禁止の例外とすれば、その半数に当たる「事務用機器操作」45万人が対象から外されます。まさに大穴の「改定案」になっているのであります。
現在の雇用危機の最大の問題は、労働法制の規制緩和によって非正規雇用が労働者の3分の1以上にまで広がり、経済危機の中で派遣、期間工などがバッサリ使い捨てられたことにあります。「働くなら正社員があたり前」の労働者派遣法の抜本改正こそ求められているのではないでしょうか。この不採択に強く反対するものであります。
以上申し上げ、私の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。