2010年10月13日 決算特別委員会
総務部に対する質疑大要


・昨年度の県財政の状況について

【斉藤委員】
 県税収入が184億円余減収となったが、うち法人事業税が127億円余減収となっている。先ほどの議論では、地方法人特別税の分が42億5千万円の納付が国にあったということだった。そうすると、法人事業税の減収はそれを除くということになるのか。また納付された分はどういう形で岩手県に返ってきているのか。
 県の滞納整理機構の滞納の内訳と差し押さえ、競売処分の状況はどうなっているか。

【税務課総括課長】
 法人事業税のうち、国に納付した法人特別税は、譲与税として県に配分となるので、地方法人特別税分を除いた、平成21年度の法人事業税の決算額は、対前年度比で−30.6%となるものである。
 滞納整理機構については、平成21年度における岩手県地方税特別滞納整理機構の対象整理額は、個人県民税を含む個人住民税をはじめとした市町村税の総額で、合計8億2600万円余となっている。整理対象額のうち、公売等の処分で徴収したものは、4300万円余、任意の納付があったものは8800万円余であり、平成21年度末において差し押さえ継続中のものが9900万円余となっている。

【斉藤委員】
 法人事業税が127億円減収だから、特別税の分を除けば減収となるのか。それがどのような形で、どのような考え方で地方に戻ってくるのか。

【税務課総括課長】
 平成21年度の地方法人特別税として国に納付した分が42億5100万円ある。各地方から国に納付されたものから、各県に地方法人特別税として譲与税として譲与されるが、平成21年度の本県の地方法人特別譲与税は67億4900万円であるので、差し引き24億9800万円の増だが、ただ法人事業税の決算において、地方法人特別税の42億5100万円の影響を差し引いても−30.6%となるものである。

【斉藤委員】
 公債費だが、決算の説明書を見ると、48ページでは1110億8238万円余、54ページでは1111億4023万円余となっているが、これは矛盾がないのか。
 
【予算調製課総括課長】
 公債費だが、目的別と性質別で若干数字が動くということで、特段矛盾しているものではない。
 
【斉藤委員】
 目的別と性質別で額がわずかに違うと。しかし支出だって同じではないか。なぜ額が微妙に違うのか。

【予算調製課総括課長】
 基本的に、返している額は同じだが、例えば、北東北3県で共同発行している北東北未来債の事務経費だとか、一時借入金の利子について、それが入っている、入っていないという部分で数字が違っているものである。

【斉藤委員】
 いずれにしても、莫大な公債費がこれからどんどん増え続けると。前年比で約86億円余増えている。今後どれだけ増えていくのか示していただきたい。
 県債残高は普通会計ベースで1兆5072億円となっている。県民一人当たり約114万円となるが、県債残高が以上に膨れ上がった、県財政の危機的状況の主な原因は何か。

【予算調製課総括課長】
 公債費の見通しは、今後、新発債をどの程度発行するかにもよるが、今年度と同程度発行したと仮定した場合、毎年40億円から60億円ずつ公債費が増え、平成26年度または27年度に現在の公債費の水準が1300億円から1400億円台までいきこれがピークになるのではないかと大まかに想定している。
 県債残高が多額になっている理由としては、平成9年前後に国の景気対策に伴い、公共事業を行ったところ、社会資本整備が立ち遅れていた本県において、その整備を行う好機として国の経済対策にあわせて、前倒しで公共事業を実施したことにある。
 近年の地方財政の悪化に伴い、必要な歳出規模を補うため、国は国債を発行、地方は臨時財政対策債を発行するという形で財源の手当てをしてきたので、臨時財政対策債の分が増えている。あわせて本県については、毎年借金の返済に充てる財源が少ないということで、借入期間が長く、少しずつ返すということで県民負担を少なくするという考え方で借り入れを行っており、残高が増えているものである。

【斉藤委員】
 県会議員になって16年目だが、決算額が一番高かったのが平成12年の9348億円だった。平成21年が7259億円で77%。一方で、県債残高は、平成7年に7599億円が、平成21年は1兆5073億円と2倍になっている。さらに普通建設事業費は、平成9年が3769億円で今は1219億円と3分の1になった。そして主要三基金は、平成8年が1564億円あったのが今は256億円と6分の1になっている。予算も3分の2に減っているが、借金は倍に増えて、建設事業費は3分の1に減って、基金は6分の1に減った。こういう深刻な財政危機というのは、いま課長が言ったことが大体正しいと思うが、整理して言うと、1つは、前倒しの公共事業ではない。予算の規模を超えた公共事業をやりすぎた。2つは、借金を返すときに、三位一体改革で地方交付税を一気に減らされた。手当されるべき財源が来なかった。3つ目は、この十数年来ずっと景気が悪く、税収が入ってこない。労働者の賃金、農林漁業も衰退した。この3つが県財政危機の主な要因だと思うが部長はどう考えているか。

【総務部長】
 予算調製課総括課長と斉藤委員が申し上げたことは、おおむね一致していると思われ、私もそのように考えているところである。
 県債については、一般的に20年償還なので、発行したときから返すまでに長いスパンがある。委員ご指摘の通り、国からの交付税総額が大幅に減り、本県の財政がきわめて厳しい状況にある。他県に比べて本県のつらいところは、償還のピークが平成26年から27年ということで、もう少し辛抱しなければならない期間がある。ピークを過ぎれば、計画的に財政運営できる時期がくると思われるが、もう少し苦しい期間が続くと思われる。

【斉藤委員】
 部長も、議場の雰囲気も大体この点は一致しているのではないかと思うが、国の財政も大変だが、県の財政が危機に陥った原因が大事である。原因が明らかになったら解決の方向が出てくる。ムダな大型開発が大きな要因だとしたら、今こそ公共事業が減っている中で、ムダなダム建設など真っ先に見直さなければならないと指摘したい。


・人件費の減額、超過勤務の実態について

【斉藤委員】
 人件費が82億円減額となっているが、その内訳はどうなっているか。人勧の影響分、その他の要因について。
 人件費が大幅に減額する中で、超過勤務の実態調査と確認、手当の支給はどうか。

【人事課総括課長】
 人件費の減額について。人件費は前年度と比較し、82億円の減額となったが、主な要因は、職員数の減や給与のマイナス改定並びに退職者数が昨年度より少なかったこと等によるものである。うち給与改定分としては、約42億円と試算している。職員一人当たりの減収額は、昨年度の給与改定により、行政職の平均で17万5千円の減額となる。
 昨年度の知事部局における超過勤務手当の支出決算額は、一般会計及び関連特別会計の合計で、9億6800万円余、対前年比で8.4%の減となっている。なお、知事部局の職員にかかる年間一人当たりの平均超過勤務時間数は114.0時間、対前年比で5.0%の減、年間一人当たりの平均手当支給額は27万7000円余、対前年比で5.9%の減となっている。

【斉藤委員】
 大幅に県職員の賃金が減少するなかで、超過勤務手当はきちんと出すべきである。
 選挙管理委員会は、昨年は年間602時間の超過勤務だった。警察本部は355時間だった。これはきちんと出ているか。

【人事課総括課長】
 それぞれの任命権者のもとで、事前命令、事後確認をきちんと行い、実績に基づいた超過勤務手当が支給されていると認識している。

【斉藤委員】
 私は個別に聞いた。602時間も残業している部署がある。しっかり手当が出ているかと聞いている。

【人事課総括課長】
 選挙管理委員会、個別の超過勤務理由について現在手元にないが、選挙関連事務だとか、突発的な業務による超過勤務手当ではなかったかと推測している。

【斉藤委員】
 今年も参院選があった。去年も総選挙があった。これは決まっていた。これだけ残業するなら必要な人員配置が必要だったのではないか。後でもいいので本当に出したか示していただきたい。私は出てないと思う。
 警察は、355時間のうち6割も出していない。これは警察本部長が認めている。これは重大だと。


・チリ地震津波への対応と避難調査の教訓、対応について

【斉藤委員】
 2月28日にチリ大地震津波があり、避難行動に関するアンケートというのが、県と岩手大学が共同で調査された。拝見したが、大変詳細な教訓に満ちた調査だったと。例えば、避難は当初の新聞報道とは違って60.8%が避難されたと。避難しないというのが35.6%あったと。今度の調査結果を踏まえて、どういう問題が明らかになっているのか。その打開策、解決策をどう取り組んでいるか示していただきたい。

【防災危機管理監】
 アンケート調査結果の分析において、課題として、正しい知識に基づかない自己判断、要援護者に対する避難支援、避難施設の居住環境、きめ細やかな情報の提供および日ごろの防災活動などが避難行動に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。
 この結果を踏まえ、県としては、小中学校の先生を対象とした津波防災講習会の実施などによる津波に関する正しい知識の普及・啓蒙を行うとともに、県内自主防災組織間の連絡会議の設置などによる自主防災組織の育成強化を図る。あるいは、指定避難施設のさらなる居住環境の改善など、沿岸市町村と共同しながら課題のクリアに取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 調査のまとめでもそう提起されている。調査結果を見て、行政が責任をもつ分野がある。特に、要援護者に対する避難支援、避難したくてもできなかった人が16.7%いた。病気だったり、病気の高齢者をかかえていたり、これはきちんと周りの支援がなければ解決されない問題である。
 もう1つは、避難施設の居住環境が悪く、行けなかった、またはすぐ帰った。これは、暖房施設がない、情報施設がないなど。宮城県沖地震というのは切迫しているので、こういう教訓を活かして、どう進めようとしているか。

【防災危機管理監】
 要援護者に対する避難支援は、現在、保健福祉部と連携しながら、各市町村が要援護者避難支援計画の全体計画を今年度中に策定することとなっており、さらに個別計画も作成することとしている。したがい、保健福祉部と防災担当部で連携しながら早急に進めていきたい。
 避難施設の居住環境について、暖房施設や警備がないとか課題が明らかになった。すぐに改善できない課題だが、各市町村と連携しながら、できるところから改善できるよう努力していきたい。


・受動喫煙防止対策について

【斉藤委員】
 今年の2月に厚労相は、「受動喫煙防止対策について」という通知を出して、「官公庁は全面禁煙が望ましい」と提起していた。県庁として、この通知を踏まえてどのように全面禁煙に取り組もうとしているのか。全国の状況も踏まえて示していただきたい。

【総務事務センター所長】
 県庁を含む県の各庁舎については、完全分煙を実施している。県内の4カ所の合庁では、庁舎内の全面禁煙に取り組んでいる。
 本年2月に厚労省から受動喫煙防止対策の通知が出され、官公庁は全面禁煙が望ましいとの方向が出された。
 こうしたことから、県としても職員安全衛生管理委員会において、職場における受動喫煙防止対策について調査審議してきた。9月の委員会で職員の意識調査、全国の取り組み、各委員の意見を踏まえ、「岩手県職員受動喫煙防止対策基本方針」をとりまとめた。
 全国、東京都を除く46道府県においては、すでに20府県で完全禁煙に取り組んでおり、8割の県が完全禁煙の方向で現在検討しているところである。
 9月にとりまとめた基本方針の内容は、「本庁舎、合庁および単独庁舎の屋内並びに公用車内は、全面禁煙を基本とする」こと、また「庁舎敷地内への喫煙場所の設置等、受動喫煙防止対策の具体的な内容については、地区衛生委員会の意見等を踏まえながら、各庁舎管理者がそれぞれの庁舎の実績に応じて適切な措置を講ずるもの」としたところである。
 この方針を踏まえ、10月から各所属が保有・管理する公用車は全面禁煙としたところ。このほか、庁舎内の全面禁煙に向けては、来年4月からの庁舎内全面禁煙の実施に向けて、各庁舎において課題を検討している。各庁舎管理者で、検討を進め、必要な措置を講じることとしている。
 県としては、受動喫煙防止対策の一層の推進に努めていく考えでいる。

【斉藤委員】
 4月からいよいよ県庁舎は全面禁煙と。公用車は10月から全面禁煙を実施しているということで、これは世界の流れ、全国の流れだと。議会棟を含めてこれは実施が求められていると考えるものである。


・入札制度の改善について

【斉藤委員】
 昨年度の落札率が82.2%で、低入札が48.9%だという実態が明らかになった。一方で、県内建設業者の経常利益率が−2%前後で推移していると。東日本では最低だと。こういう状況の中で、最低制限価格を導入するのは当たり前ではないか。全国の状況を示していただきたい。なぜ最低制限価格の導入に踏み出せないのか。
 もう1つは、労賃単価が下がっている。公契約条例の制定も考えて、下請け・孫請けまで賃金を保障するということをしないと、犠牲が結局下請け・孫請けまでいってしまう。そういうことも含めて、安ければいいということではないと。適切な事業、地元の業者も育成し、適切な仕事がやられるというレベルにしていかなければならないと思うがいかがか。

【入札課長】
 最低制限価格制度の導入状況は、全国47団体のうち41団体が導入している。
 特に1億円以上の工事については、下請け等への圧迫がないか調査し、事後的に支払い状況も把握しながら、防止に努めているところである。最低制限価格に限った話ではないが、導入も含めて、検討していく。