2010年10月18日 決算特別委員会
企業局に対する質疑大要


・工業用水道決算について

【斉藤委員】

 初めて累積欠損金が解消されたことは率直に評価したい。
 工業用水道料金の一部免除について、これは経済対策、雇用対策を名目に行われたが、審査意見書の2ページを見ると、注水の状況の平成21年度の年間総給水量実績というのは前年度とほとんど変わらなかったのではないか。あまり経済状況の影響はなかったのではないか。減免する理由はなかったのではないか。 
 経済、雇用環境の改善と言うのなら、どれだけの効果があったのか明確に示されなければならない。雇用環境はあまり改善されていない。特に自動車・半導体は。企業を助けるだけではないのか。

【業務課総括課長】
 20年度の10月ごろに経済不況が始まり、実際に影響が出たのが11月ごろであるので、そういった点からはそれほどの差はないというところである。
 雇用状況については、こちらでは具体の数字は把握しておらず、全体の雇用の面から判断している。

【斉藤委員】
 審査意見書を見ているのだが、平成19年度の年間総給水量の実績は1569万、20年度は1556万、21年度は1553万である。20年度がそれほど落ちたわけでもない。あなた方が言うように、経済的な影響を受けて大きく落ち込んだということではないのではないか。
 それから、自動車・半導体が誘致企業では一番雇用破壊を行った。自動車は1800人、半導体は2600人と言われている。1億円も減免した効果はほとんど表れなかったのではないか。企業の体力からいって、東芝や関東自動車の場合は巨額の内部留保を持っている。中小企業であれば減免の意義はあると思うが、体力のある企業を減免する理由はなかったのではないか。さまざまな経済活動で、中小企業は大きな影響を受けたが救済されている企業はない。バランスを欠いたのではないか。

【業務課総括課長】
 監査意見書の年間総給水量というのは、料金のもとになる契約水量であり、これについてはそれほどの差は出ていない。
 減免の件についてだが、企業局としては、知事部局の産業振興などの施策を受けた上で対応を行うものであり、個別企業の内部留保だとか財務状況を見た上で減免の条件を設定するのは難しいのではないかと考えている。

【斉藤委員】
 監査意見書で言われている年間総給水量実績というのは、契約水量で実際供給した量ではないということか。だとすれば、表現をもっと正確にすべきである。契約水量と実績というのはどのくらい乖離があったのか。
 企業の経営状況を分からないで減免を行ったと。1億円というのは売り上げの1割である。1割まけたというのは大盤振る舞いである。これは知事部局からの要請だったということなのか。

【業務課総括課長】
 給水量は、契約水量ということで、実際に使わなくても基本水量というものを契約しているので、基本水量のことを言っている。実際に使われた水量ではない。
 実給水量については、意見書の中には出てこないが、19年度は1172万6千トン余、20年度は1095万3千トン、21年度は1085万トンとなっており、実給水量については、19年度と比べて20年度・21年度は下がっている。
 減免の金額については、知事部局の方からこういった対策のために工業用水道の減免をしてもらいたいという要請を受けてやったものである。

【斉藤委員】
 給水量はそれほど大きく減っていない。1億円も減免する理由はない。水を使っていないというので減免したのではないか。1億円の減免が知事部局の要請だということは理解したが、実態はそういうことだと。


・電気事業決算―新エネルギー開発について

【斉藤委員】
 稲庭風力発電で、供給電力量、電力料金そのものは若干改善されたようだが、今までの設備投資も含めてペイをしているのか。黒字に転換しているのか。まだそこまでいっていないのか。
 新エネルギー開発については、地球温暖化防止が全地球的な課題になっていて、岩手の資源を生かした木質バイオマス発電などの取り組みに意欲的に企業局は取り組むべきはないかと思うが、どのように検討しているか。

【電気課長】
 稲庭高原風力発電所の21年度の運転状況だが、風況は過去平均並みだったが、落雷により損傷したブレードの補修工事や軽微な故障による運転停止が発生したことなどにより、売電電力量、売電料金は、計画の92.5%にとどまっている。最終的な損益は250万円余の赤字となったが、主たる要因は、ブレード補修工事に795万円を要したためである。今までの累積としては、まだ黒字にはなっていない。
 今後の風力への対応だが、現在は最近開発された風況シュミレーションソフトを利用し、過去の風況観測地点における比較的風況の良かった地点について再評価を行っている。また、国が導入をめざし検討を進めている再生可能エネルギーの動向や補助金制度の動向、あるいは東北電力の補修条件を見極めながら採算性等を含めた開発可能性の調査検討を進めたいと考えている。
【経営企画課長】
 バイオマス発電等について。バイオマス発電については、企業局においてもこれまで調査・研究を行ってきており、19年度には市町村における導入事例を基に、木質バイオマス発電の事業化の可能性を検討した。その結果からは、木質バイオマス発電には採算性に大きな課題があり、発電にかかる費用が売電による収入を大きく上回ることから、事業化は困難と考えている。
 現在国で、再生可能エネルギーの全量買い取り制度の導入が検討されており、バイオマス発電も制度の対象となる予定だが、一方で建設費などに対する補助制度の廃止も検討されていることから、これらの動向を注視していきたいと考えている。
 なお、企業局としては、バイオマスの利用促進を図るため、一般会計で行っているペレットストーブの導入に対する補助事業やバイオエタノールに関する研究開発などの事業に、繰り出しによる支援を行っている。