2010年10月18日 決算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑大要


・中小企業対策決算額の推移について

【斉藤委員】
 中小企業対策の5年間の決算額の推移を示していただきたい。どれだけ減少しているか。減少している理由は何か。

【副部長兼商工企画室長】
 過去5年間の中小企業対策関連決算額だが、平成17年度:471億8714万円余、18年度:477億7126万円余、19年度:491億6474万円余、20年度524億4885万円余、21年度:622億1934万円余となっており、全体として伸びている。理由としては、いわゆる金融対策といったものが伸びた理由と考えている。
 金融対策額を除くと、平成17年度:52億686万円余、18年度:45億3035万円余、19年度:84億3232万円余、20年度:55億7367万円余、21年度:38億7781万円余となっている。19、20、21年度と決算額が落ちているが、19年度の決算額の中には、単年度事業であった、いわて希望ファンドの組成にかかる事業費45億円程度が含まれている。20年度についても、いわて農商工連携ファンドの組成にかかる事業費20億円余が含まれており、これらがそれぞれの年度で事業が終了されたといったことが事業費の減少の理由と考えている。

【斉藤委員】
 融資を含めれば、この間経済危機があったので中小企業予算・決算は増えている。
 しかし融資を除くと特に昨年度は38億7千万円余でこの5年間で最低である。


・県内中小企業の実態について

【斉藤委員】
 県内中小企業の実態をどう把握しているか。調査しているとすれば、実態、課題はどう把握しているか。県内中小企業の果たしている役割をどう認識しているか。

【経営支援課総括課長】
 本県の中小企業は、全企業数の99.8%を占める存在であり、本県の経済活動や地域社会を支える重要な役割を担っているものと考えている。

【斉藤委員】
 中小企業が事業者数の99.8%、常用雇用で89%を占める。この中小企業が元気にならなかったら、地域経済も地域づくりも進まないと思う。


・千葉県の中小企業振興条例について

【斉藤委員】
 総括質疑で、知事に対し千葉県の中小企業振興条例の内容・意義について聞いたが、知事はよく分かっておられなかった。きわめて残念である。
 千葉県の中小企業振興条例は、全国のもっとも進んだ条例と言われている。この制定過程、内容、意義について岩手県はどう認識しているか。

【経営支援課総括課長】
 千葉県では、中小企業が抱える経営上の課題を明らかにし、産学官民の果たすべき役割や基本的な取り組み方法を示すため、中小企業団体との勉強会で地域の現状や課題について意見交換を行い、その結果を踏まえて、学識経験者を交えた研究会で検討し、平成19年3月に条例を執行したものと聞いている。
 条例の内容だが、中小企業施策の基本理念、基本方針、その他の基本となる事項を定めている。具体の施策の実行については、別途定める実施計画で実行していると聞いている。

【斉藤委員】
 千葉県の中小企業振興策はもっとも参考になると思って聞いているが、制定過程で、県の担当課が1年に42回地域勉強会を開催し、延べ900人の中小企業家から意見を聞いたと。それを受けて中小企業振興策を作成している。これが千葉中小企業元気戦略という90ページを超える中小企業の総合的な施策としてまとめられている。その根拠としてこの条例が作られ、毎年この元気戦略事業計画の実施状況が決算、予算が公表されている。
 特に条例の中身で岩手県も参考になると思うのは、「小企業に対する施策を総合的に推進する」という立場が前文で明記され、第二条では、「地域づくりによる地域活性化と中小企業の経営刷新を相乗的に進める」と地域づくりの中で位置付けられている。そして、施策実施上の配慮規定は、県のさまざまな事業を考えるときに、中小企業にどういう影響があるか、どういう効果をもたらすか、検討される状況が明記されている。これはヨーロッパの中小企業憲章の中身でもある。
 こうした岩手の経済、雇用を支える中小企業を総合的に振興する上で、千葉県の中小企業振興条例の制定経過や内容を参考にし、行政、中小業者、学者が協力して条例の制定や総合的な施策の策定と推進に取り組むべきではないかと思うがいかがか。

【商工労働観光部長】
 中小企業が大事であるという認識は全く同じであり、千葉県の手法等、参考になるところはたくさんある。いずれ、多くの中小企業からきちんと意見を聞いて、進めていくということが一番大事だと思っており、この点は千葉県と全く共通の認識を持っているので、今後とも中小企業振興に努めていきたい。