岩手県知事 達増拓也 様

2010114

日本共産党岩手県委員会

委員長 菅原則勝

県議会議員 斉藤信

盛岡市議団団長 庄子春治

 

簗川ダム建設事業の再評価にあたっての申し入れ

―今こそ、ダムに頼らない治水対策への転換を

 

簗川ダム建設事業は5年ごとの再評価にかかるとともに、簗川ダムと津付ダムは国による「ダム事業の検証にかかる検討」の対象となっており、ダムに頼らない治水対策の検討が求められています。

簗川ダム事業は、昭和534月(1978年)に県単費による調査事業として着手され、平成44月(1992年)に建設事業として採択されて進められてきました。「先にダムありき」で進められて事業です。平成13年(2001年)の大規模事業再評価の際、340億円の事業費が670億円(その後530億円に)に大幅に増額したことから多くの県民に明らかになった事業であります。

ダムは、上流下流の広範囲にわたって環境、水質、生態系に影響を与えるものであり、本来最後の手段として検討されるべきものです。とくに簗川・根田茂川流域は貴重な自然環境が残されている地域です。岩手レッドデータブックに掲載される112種の重要種の動植物等が生息しています。簗川上流にはサクラマスが戻る清流であり、今年9月に開かれた鮎の状態で河川水質を競うコンテストである「清流めぐり利き鮎会」(高知県友釣連盟主催)では準グランプリに選ばれるなど全国に誇る清流です。地域住民にとって「宝の川」です。

治水対策についても、1997年の河川法改正を前後して、流域全体を考慮した総合的治水対策、河川環境を重視するダムに頼らない治水対策に変わってきています。また、簗川の特性をふまえた治水対策が必要です。

今回の簗川ダム事業の再評価と検証に当たっては、こうした課題と経過をふまえた徹底した検証と審議が行われるように申し入れるものです。また、多くの県民に簗川ダム事業の再評価と検証の内容が示され、県民の意見をふまえた審議と検証が行われるよう住民討論会の開催も行うよう下記の通り申し入れます。

1、 ダム建設が簗川・根田茂川流域の貴重な自然環境、河川の水質、生態系に与える影響を検討し、大規模な環境破壊となるダム建設を見直すこと。移植などの配慮を行うことから「環境等の状況及び環境配慮事項」について再評価では「a」と評価されていることは全く不当であること。

2、 ダムに頼らない流域全体を考慮した総合的治水対策を検討すること。その際、河川改修事業費等を過大に積算せず、現実的な対案を検討すること。

3、 簗川の特性を生かした治水対策を検討し具体化すること。根田茂川流域が簗川流域の2倍以上を占め、洪水のピークを調節している簗川の特性、0.9qから上流は基本的には掘り込み河道であること、3.9qから上流は低位農地であること等の特性をふまえた治水対策を検討すること。最も重要なことは、北上川合流地点から約1q付近の堤防の強化・破堤しにくい堤防の強化を実施すること。

4、 簗川ダム事業の再評価と検証の内容については、広く県民に明らかにし、県民の意見をふまえた再評価と検証を行うこと。そのために、県として、熊本県でも実施した「住民討論集会」等を開催すること。

以上