2010年12月6日 商工文教委員会
35人学級の拡充に関する請願に関する質疑(大要)


【斉藤委員】
 35人学級の拡充を求める請願という重要な請願が出された。
 やっと文科省が8カ年計画で、小学校・中学校の35人学級を実施するという立派な計画を打ち出した。普通こういう計画というのは、政策コンテストにかかるような性格ではないのだと思う。定数改善の計画なので着実に毎年やっていかなくてはならない計画、それが手法としては民主党の政権としてはまずいやり方。各省庁の予算を1割カットして、余った分で新規特別枠をやると。だいたい1割削減したら通常の仕事はやれない。そういうやり方が問題だったと。そして政策コンテストでB評価だった。1850億円の思いやり予算はA評価である。軍事より教育である。
 少人数学級は中学校1年生で「試行」ということだが、この間の成果をどのように受け止めているかお聞きしたい。

【小中学校人事課長】
 少人数学級について、小学校については、「小学校生活の入門期であり、特に基本的生活習慣の定着や人間関係の把握など、学校生活の安定についてきわめて効果があった」という報告を受けている。
 中学校については、「中一ギャップの緩和、学級づくりなど中学校生活の安定と適用に大変有効である」という報告をいただいている。

【斉藤委員】
 そういう性格からすれば、確実に小学校3・4年生、全学年に計画的に拡充すると。中学校1年生でも試行を2年やったので、2年やったら本格実施である。そういう基本方向でいいか。

【小中学校人事課長】
 2年目の試行についての各市町村あるいは学校のアンケートを実施している。その結果を踏まえ、次年度以降のことを考えていきたい。

【斉藤委員】
 この間少人数学級を実施している小中学校を訪問して聞いてきた。小学校ではこういうショッキングな話を聞いた。実は今の小学校6年生は、小学校1年生で35人学級を実施した学年である。いわば、小学校1年生で35人学級、翌年は2年生まで拡充され今6年生だと。小学校1年生2年生は大変良かったと。ところが3年生になって40人の学級になり、落ち着いたクラスがここで崩れたと。そしてそのまま崩れをもち直さないで小学校6年生まできてしまった。これは盛岡に近い小学校の話である。
 3年生4年生という時期は、よく「9歳の壁」といわれ、子どもが急速に成長する時期で、学力の差も出始める時期、だから9歳の壁というのは昔は不登校が出始める時期で注目されたが、35人学級を拡充してくると、その9歳のときに少人数から多学級になると。これは一刻も早く確実に3年生4年生に拡充することが子どもたちに行き届いた教育にとっても本当に必要だと。
 中学校1年生については、盛岡市内の中学校に行ったときには、「中一問題が解決した」と。そのぐらい効果があると。ただ中二が今「中二問題」だという話も聞いてきたが、中一の問題については、12月中旬にそういう調査がまとめられるということだが、おそらく去年の成果とそれほど変わらない積極的な内容が出てくると思うが、そういう拡充の方向は確認していいか。

【小中学校人事課長】
 国の情勢等も見ながら考えていきたい。

【斉藤委員】
 国の情勢が一番難しい。
 実は、35人学級に本当に必要な教員増の経費は184億円である。それを小学校1年生の全教員分を特別枠で要求したので財務省の怒りを買ったと。私はこの政策コンテストの仕組みそのものは大問題だと思う。岩手県も一度そういうことをやった。しかし、本来なら184億円ですむ要求を2247億円も要求して怒りを買って、既存の枠内で対応しなさいと。184億円分というのはどういう見通しか。

【教職員課総括課長】
 この政策コンテストに絡む話、それから来年度の定数改善に対する予算措置がどうなるか、加配で措置している分が来年度どうなるかということについて、例えば今年並みのあるいはそれを拡充した加配の状況についてどうなるかということについて、内々文科省とは協議を進めているところだが、現時点での文科省の回答は「どうなるか全く不透明である」と担当者からも言われており、我々の方でどのようにという風にはお答えしかねる。

【斉藤委員】
 今までの定数改善の取り組み、今回は学級編成の基準の見直しは30年ぶりだということだが、今まで学級編成の基準、定数改善で6カ年計画とか8カ年計画を出して、予算の付き方で進み具合が分からないということはなかったと思う。やるんだったらその分きちんと予算が拡充されてきたというのが今までのやり方だと思うが、予算のあるなしで左右されるような取り組みではないと思う。
 小学校1・2年生については、定数の枠内で対応してきたと。定数が減らされるということはないと思うので、小学校1・2年生が措置されれば、その分が拡充の方向にあたるのではないか。問題は加配である。加配がその見返りに大幅に減らされることになれば、中学校1年生の場合は影響を受けるかもしれないと。しかしまだ中学校1年生の段階なので、これを後退させることがあってはならないと思うがいかがか。

【教職員課総括課長】
 加配の状況についても不透明が状況があるが、我々としては極力現状から後退することがないような対応ができるような配分を国と協議しお願いしていきたい。

【斉藤委員】
 今回の請願は、国が新たに35人学級を国の制度として実施すると。その機会に県が今まで独自にやってきたことについては、一歩でも二歩でも前に進めるというのは大事な基本方向だろうと。
 3項目目について、6月議会で一度あげていると。これは大変大事なものだったが、これはOECD並に30人以下の学級というかなり中長期的な目標である。今回請願で出されている項目は、文科省が決めた計画をしっかりやってほしいという請願である。こういう請願の中身であるので是非通していただきたい。
 1項目目も2項目目も、これは国の動向でなかなか微妙なところはあるが、請願の性格というのは、採択されてから2年3年経ってから実施したということも実際ある。しかし県にそういう拡充を求めるということが今の教育をめぐる状況、子どもたち・父母の切実な要求に応える方向だと思うのでぜひ請願に賛同いただきたい。