2010年12月8日
最終本会議・議案と請願陳情の一部不採択に対する反対討論


 日本共産党の斉藤信でございます。議案第7号、第9号、第10号に反対の討論を行います。
 議案第7号と第10号は、特別支援学校・特別支援教育に直接従事する職員及び養護教諭等の調整額を1.5から1.25に削減しようとするものであります。
 この削減額は、義務教育等教員特別手当で、1人当たり年間約2万8千円、特別支援学校の職員の場合は年間4万2千円の削減となるものであります。総額では4億4500万円の削減となります。期末勤勉手当の削減で教員1人当たり8万1千円の削減がすでに決まっています。今回の調整額の削減と合わせると義務教育で10万9千円、特別支援学校で12万3千円の削減となるものであり反対します。
 期末勤勉手当の削減の際述べましたが、教員は平均月34時間の残業・超過勤務をしていますがほとんど手当が出ていないのが実態です。残業手当の完全支給こそ実施すべきであります。
 議案第9号は、県立沼宮内病院を廃止して無床の診療所としようとするものであります。
反対する第一の理由は、歴史に逆行する地域医療の切り捨てだと言うことであります。
 県立沼宮内病院は、昭和29年5月に、当時の沼宮内町が病院敷地をあっせんするなどの強い誘致によって内科、外科、産婦人科を診療科とする32床で開設された病院です。その後2度の全面改築によって平成14年に現在地に移転し60床の病院として運営されてきました。県立病院が開設された56年後に、新築したばかりの病院が無床診療所化されることは、多くの地域住民にとっては考えられないことでありました。まさに歴史に逆行する地域医療の切り捨てであります。
 第二に、県立沼宮内病院は、入院して治療できる地域で唯一の病院としてかけがえのない役割を果たしてきました。
 地域で入院できるということは、高齢者にとって、また介護施設の入所者にとってもかけがえのない役割と安心感を保障するものであります。今後高齢化が進む中で、高度の医療・救急医療だけではなく、慢性期の医療に対応した地域病院の役割はますます必要となると考えるものであります。
 地域医療のモデルといわれる藤沢町民病院の佐藤院長は、「地域医療は医師と住民が共同してつくる文化だ』『高齢化が進む中、保健と福祉の支えなくして、住民本位の地域医療はあり得ない』「地域医療は患者の人生に長く寄り添うことが必要だ」と述べています。
 第三に、岩手町は全国一といわれるがん検診の取り組みを行っています。平成18年には保健文化賞も受賞しました。こうした地域のがん検診を支えてきたのが県立沼宮内病院でありました。これまでは、一次検診、精密検査から手術、治療までを行ってきました。こうした取り組みを支えるのが県立病院としての役割ではないでしょうか。無床診療所化となれば、手術ができなくなるのではないでしょうか。
 全国に誇るがん検診体制と医療と保健の連携により、年間1000万円の医療費を削減しています。こうした取り組みを強化し県内外に普及すべき取り組みではないでしょうか。
 第四に、現在は医師不足の状況ではありますが、医学部の定員も拡大され、県と医療局の奨学生も拡充されています。少なくとも10年後には一定の医師を確保する見通しが出てくるのではないでしょうか。
 未来永劫にわたって入院ベットをなくしてしまうことなく、医師確保の見通しが出てくれば入院ベットを回復するべきだと考えます。
 県立病院の創業の精神は「県下にあまねく医療の均てんを」であります。この県立病院の創業の精神に立って地域医療を守るべきであります。
 今、旧沢内村の生命尊重行政が大きな注目を受けています。「人命に格差があってはならない」『国がやらないなら沢内村から実施する』として1960年に全国で初めて老人医療費の無料化を実施したのが深澤まさ雄村長が進めた生命尊重行政でありました。
 私は、県立病院の創業の精神と全国に誇る沢内村の生命尊重行政を今こそ県政に取り戻すべきだと考えるものです。
 請願陳情第113号、「35人学級の拡充を求める請願」は、「国に対して、学級編成基準を早期に改善し35人学級を実施するよう意見書をあげる」ことを求める項目については採択されました。これは極めて重要な意義をもつものです。しかし、県に対して、「35人学級を小学校3、4年生に拡充すること」「中学校1年生での本格実施と、2年生以上への拡充を求める」項目は不採択とされました。
 私は、この2項目の不採択に反対をするものであります。
 小学校1・2年生と中学校1年生での35人学級の取り組みは、県教委の調査でも「少人数学級の場合、人間関係の把握や安全面・健康面の管理がしっかりでき、学級集団のまとまりを築くという点で有効である」としています。中学校1年生では「生徒理解、生徒把握に非常に有効である。中1ギャップの緩和についても効果的であるという回答が多かった」としています。
 今、子どもをめぐる状況が貧困と格差の拡大、いじめ、不登校の問題など複雑化している中で、少人数学級による1人1人に行き届いた教育を進めることは、県の教育行政にとって最も重要で緊急の課題となっています。35人学級の拡充を求める請願を不採択とすることは、県民と子どもの切実な願いに背を向けるものと言わなければなりません。
 35人学級の実施については、文部科学省も昭和55年以来、30年ぶりに学級編成基準を見直し、来年度から8カ年計画で小学校、中学校の全学年に35人学級を実施し、小学校1・2年にはさらに30人学級とする計画を示しました。これは、国民の強い願いと運動にこたえた画期的な計画でありました。しかし、来年度からの実施について、特別枠の政策コンテストでB判定とされ、「一部減額して予算化」「文部科学省全体の予算から財源をねん出する」との条件が付されました。
 学級編成基準の見直し、35人学級の実現が政策コンテストで財源が削減されることは異常なやり方だと指摘しなければなりません。一方で米軍に対する「1859億円の思いやり予算」はA判定とされ満額予算化される見通しです。まさに国民の願いに背を向けたやり方だといわなければなりません。軍事より教育にこそ国民の税金を使うべきであります。35人学級の来年度からの実施を強く求めるものであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。