2011年2月24日 2月定例県議会・本会議
一般質問(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。任期最後の一般質問となりますので、達増民主党県政を検証しつつ、切実な県民の願い・要求を実現する立場で具体的な提言を含め達増知事に質問します。

1.菅内閣の政策と岩手県政について

 一昨年の政権交代で国民が民主党政権に寄せた期待は、幻滅に、そして怒りへと変わっています。岩手県では増田前知事以来4期16年間にわたって民主党県政が続きました。卒直に言って自民党政治と全く変わらないどころか、自民党政治の先取りの県政ではなかったでしょうか。達増知事は定例記者会見で菅民主党改造内閣について「政権交代反対内閣だ」と発言していますが、具体的にどういう政策が変更されたと受け止めているのでしょうか。また、民主党岩手県政の実態について自民党政治とどこか違うことがあったのか示していただきたい。

【達増知事】
 一昨年実現した政権交代は、「国民の生活が第一」という民主党マニフェストが多くの国民に支持され、地方を重視し、格差社会を食い止めようという民意が反映された結果と認識している。
 一方、昨年の参院選において民主党マニフェストが一部修正されたことや、現在の内閣が重点に掲げて進めようとしている、消費税増税、TPPの強行は、むしろ国民の生活や国と地方との格差拡大につながる恐れがあり、政権交代に際して示された民意に反することになると懸念している。
 また、岩手県政において、私は知事就任以来、県民の「仕事」と「暮らし」を守るべく、地方切り捨て、格差拡大型の市場原理優先の国の政策が長く続いたこと等から生じた人口流出や地域医療の崩壊といった岩手の危機を直視、これを希望に変えていくため、「希望創造プラン」「いわて県民計画」に基づき、雇用環境の改善や地域医療の確保、子育て支援、県北沿岸振興などの対策を県民の視点、地域の視点で重点的に推進してきたところである。
 
 
2. 雇用・就職難打開について

・誘致企業の従業員数の推移、新規求人数、退職者の再就職状況について

【斉藤議員】
 具体的な県政の課題について知事に質問します。第一に、深刻な雇用と就職難打開の実態と取り組みについてであります。
 昨年1年間の有効求人倍率は0.43倍と前年より若干改善されたとはいえ、極めて低い状況にとどまっています。党市議団とともに実施した盛岡市民アンケートには「長男が失業中」「30代の息子がリストラにあい、国民年金などは親が代わりに払っている」など深刻な実態がたくさん寄せられました。「家族に失業者がいる」と回答があったのは25.4%、実に4世帯に1世帯という状況です。3人に1人が1年以上の失業という状況です。雇用を確保する課題は暮らしを守る上でも貧困を打開するうえでも緊急重要な課題です。
 リーマンショック以来、工場閉鎖や解雇、雇止めなど雇用破壊の先頭に立ったのは、これまで利益をあげ、巨額の内部留保をため込んでいた誘致大企業でありました。大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせることが一番の問題です。そこで具体的に質問します。@大企業はすでに黒字に転換し業績を回復してきています。誘致企業における従業員はこの4年間でどう推移したでしょうか。新規求人数はどうなっているでしょうか。ソニー、富士通による退職者の再就職の状況はどうなっているでしょうか。

【達増知事】
 誘致企業のうち、従業員数の多い上位10社については、平成19年2月時点では約12400人、平成23年2月現在では約9800人となっている。また、これらの企業の平成23年度の新規採用予定人数は74人と聞いている。
 ソニーイーエムシーエス千厩テックおよび富士通セミコンダクター岩手工場の離職者については、1月末現在で、ソニーでは9割台後半、富士通では7割台後半の方々が再就職したと聞いている。

・非正規社員の正社員登用への取り組みについて

【斉藤議員】
A非正規雇用の拡大が雇用者報酬、県所得減少の大きな要因となっています。県内のトップ企業である関東自動車では正社員と同じ生産ラインで働いている期間従業員が約30%、750人に及んでいます。6カ月雇用でいつ首切られるか不安を持ちながら、4年、5年、さらに8年も働いています。優先して正社員に登用すべきと考えますが、今年度、そしてこれまでの正社員化の取り組みはどうなっているでしょうか。誘致企業における非正規雇用の実態をどう把握されているでしょうか。

【達増知事】
 関東自動車の正社員への登用数は、平成18年度から21年度までの4年間で233人、今年度の登用は現在検討している段階と聞いている。
 誘致企業における非正規雇用の実態について、正式な資料はないが、先ほど申し上げた従業員数の多い上位10社について聞き取りしたところでは、従業員数約9800人のうち非正規雇用は約1700人となっている。

・ワンストップサービスの取り組みについて

【斉藤議員】
B昨年1年間の有効求人倍率は0.43倍と低く、県内失業者は3万数千人に及んでいます。3人に1人以上は1年以上の長期の失業者となっています。再就職の取り組みと合わせて生活の確保対策が求められています。昨年は県内すべての地域でワンストップサービスデイの取り組みが行われました。その実績はどうなっているでしょうか。今後も定期的に実施すべきと考えますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 岩手労働局によると、今年度はこれまでに、県内10カ所のハローワーク管内で、延べ15回の「ワンストップ・サービス・デイ」を実施し、相談者は219人、件数は502件となっている。
 ワンストップ・サービス・デイについては、来年度も実施することとされている。


・就職未内定者への支援について

【斉藤議員】
B高校卒業予定者の就職内定率は12月末で84.4%となっています。未定者が527人もいます。4年制大学の場合は就職内定率が59.6%にとどまっており、744人が未定です。専修学校も59.2%となっています。社会に出る第一歩が失業者だったということにならないように、あらゆる手立て、対策を講じるべきと考えますがどうなっているでしょうか。

【達増知事】
 今春の高卒予定者のうち、内定を得られていない生徒については、学校や各広域局に配置している就業支援員、さらにハローワーク等が連携して、現個別支援事業や求人開拓に全力で取り組んでいるところである。
 大学および専修学校の卒業予定者については、1月末現在でおおむね70〜80%が内定していると聞いている。未内定者については、専修学校では、各校が引き続き求人開拓や就職支援を行い、大学等では、大学と国の就職ジョブサポーターが連携して個別支援を行っている。
 県でも、ハローワークと連携して、合同面接会を追加開催するなど、就職に向けた支援を強化していく。


3.住宅リフォーム助成と中小企業対策について
 
・住宅リフォーム助成事業の実施について
 
【斉藤議員】
 第二に、住宅リフォーム助成事業の実施で中小零細企業に仕事を増やし、常用雇用の89%を占める中小企業対策の抜本的強化について質問いたします。
 知事に質問します。9月県議会において住宅リフォーム助成事業の実施を求める請願が、全会一致で採択されたことについてどう受け止め、取り組もうとしているでしょうか。宮古市の住宅リフォーム助成事業は、1月末現在で2億7千万円の補助金で2707件、11億9000万円を超える工事高、経済波及効果は20億円を超える成果をあげ、全国から注目されています。県レベルでは、秋田県が1月末現在で、19億3400万円の補助で13656件、294億円の工事高となっており、経済波及効果は500億円を大きく超える規模となっています。深刻な不況と仕事不足の中で、末端の大工さんや業者に仕事を増やし、住宅改修という県民の願いにもこたえる、まさに地域経済活性化の起爆剤の役割を果たしていると考えますが、知事はどう受け止めているでしょうか。岩手県としても直ちに実施すべきではなかったでしょうか。

【達増知事】
 助成制度の創設に関する請願が昨年の9月議会において全会一致で採択されたところであり、重く受け止め対策を検討していく必要があると考えている。
 住宅着工が大きく落ち込んでいるなか、住宅の質の向上や地域経済の活性化を図る観点から、リフォーム需要を喚起していくことは重要なものと認識している。
 リフォーム助成制度については、秋田県や宮古市などで積極的な助成制度が設けられているところだが、各県や市町村における動向なども踏まえながら、その効果について幅広く検討を重ねた上で、総合的な観点から判断すべきものと考えている。

・具体的な中小企業対策と中小企業振興条例、公契約条例の制定について

【斉藤議員】
A県内の中小企業は、事業所数で99.8%、常用雇用者数で89%を占め、地域経済のまさに主役であります。しかし、74%が赤字となっており、経営、販売、技術支援と企業間の連携を含めた総合的な支援が必要と思います。ところが中小企業対策の来年度の予算は融資を除くとわずか38億円余、予算総額の0.6%となっています。当面予算の倍増が必要ではないでしょうか。千葉県の取り組みに学び、中小企業振興条例の制定で、総合的な中小企業振興の戦略と具体的な対策を当事者とともに策定すべきではないでしょうか。また、県として公契約条例を制定し、時給1000円以上を確保し、県が発注する事業でワーキングプアを解消する取り組みを行うべきではないでしょうか。

【達増知事】
 予算については、財源が限られていることから、「選択と集中」という観点で、効果的な施策を選択し編成に努めてきており、中小企業対策においても、企業の自立的な成長や発展を促す施策を中心に予算を重点配分している。
 中小企業の支援にあたっては、中小企業が抱えるさまざまな課題やニーズに応じた個別の支援が効果的であることから、予算事業による支援に加え、県や支援機関の職員が企業現場に頻繁に足を運ぶなど、きめ細かい支援も行っているところである。
 中小企業振興条例については、中小企業は多分野・多業種にわたることから本県ではこれまでも、自動車産業、半導体関連産業、観光産業など分野別に振興計画等を策定し、個別に施策をてんかいしてきた。
 今後においても、中小企業の多様なニーズに対応した実効性のある施策の展開を図っていくためには、必ずしも条例という形にとらわれず、企業の状況に応じて丁寧に対応していくことが重要と考えている。
 公契約条例については、全国的には野田市および川崎市が制定していると聞いている。
 労働者の適正な賃金が確保されることは重要なことと考えているが、発注者として、関係当事者間で決定される賃金その他の労働条件に対し、どのように関与していくかについては、検討が必要と考えており、先行2市の運用状況や国の動向を注視していきたい。


4.高すぎる国保・介護・子どもの医療費助成について
 
・高すぎて払えない国保の実態について
 
【斉藤議員】
 第三に、高すぎる国保の問題、介護保険、子どもの医療費助成について質問します。
 市民アンケートでは、「今、暮らしのことで困っていることは何ですか」の問いに、収入の減少(42.7%)、国保税の負担(41.6%)、医療費の負担(40.0%)という答えでした。とくに国保税が高すぎるという答えは75.7%でした。「給料が安くアパート代、生活だけで大変なので国保にも入っていない。熱が出ても病院に行けません」(34歳、女性)、「保険証がなく、病院にも行けない状態です」(62歳、男性)など切実な声が寄せられています。
 県内の国保税加入世帯の平均課税所得は89万円(平均所得額は122万円)で国保税額は14万7千円、負担率16.56%であります。盛岡市の場合は課税所得が91万円で国保税は約16万円、負担率17.57%となっています。滞納世帯は全県で30277世帯、14.2%、盛岡市の場合は8656世帯で21.1%にもなっています。先の国会で志位委員長の質問に対し菅首相は「負担感としてはかなり重い」と答弁されています。知事に質問しますが、高すぎて払えないのが実態だと思いますが、知事はどう認識されているでしょうか。

【達増知事】
 近年の医療の高度化や高齢化の進展等により保険給付費が増加している中で、厳しい経済状況や雇用情勢により県民の収入が伸びない状況にあることから、県民の国保税に対する負担感は年々増しているものと認識している。

・広域化支援方針および保険証の取り上げ、差し押さえ等の実態について
 
【斉藤議員】
 最大の問題は、国が国庫負担を大幅に削減したことであります。ところが、岩手県は、昨年5月の国の通知に基づいて、国保の広域化支援方針を策定し、収納率をあげるための方策として、「夜間における電話催告や訪問徴収」「コールセンターによる督促」「滞納処分の適切な実施」「保険証取り上げ、資格証明書の適正な交付」など、県民の命をさらに脅かすような方針を決めました。このいのちを脅かす無慈悲な方針は撤回すべきではないでしょうか。払えない国保税を滞納すれば保険証を取り上げる。さらに給与や年金まで差し押さえるような命奪うやり方を直ちに中止すべきと考えますが、保険証の取り上げ、差し押さえの実態を含め知事の答弁を求めます。

【達増知事】
 県においては、市長会・町村会からの要請を受け、保険者規模別の収納率の目標等を定めた広域化等支援方針を策定したところだが、この策定により、市町村の収納率向上に向けた取り組みが促進されるほか、収納率の低い市町村への国庫支出金の減額措置が解除されることから、この支援の方針は、国保財政の安定化に資するものであり、撤回する必要はないものと考えている。
 なお、この支援方針においては、病気や失業等によって納税が困難となった被保険者には適切な配慮を行うこと、また、被保険者に加入世帯全体で支え合うことの必要性を十分に理解してもらいながら、収納対策を進めていくことについて明記しているところであり、その趣旨を踏まえ推進していただくべきものと考えている。
 資格証の交付世帯数は、平成23年2月1日現在、874世帯(前年比393世帯減)となっており、滞納処分については、平成22年6月1日現在、差押件数4824件(前年比185件減)、差押金額16億3千万円余(前年比1億5千万円増)となっている。
 この支援方針においては、資格証の交付や滞納処分にあたっては、被保険者個々の生活実態などをきめ細かく把握して対応することとしており、県としては、この支援方針に沿って市町村に適切に助言していく。

・国保税の引き下げについて

【斉藤議員】
 高すぎて払えないとするなら払える国保税に引き下げることこそ必要ではないでしょうか。国民健康保険法では、都道府県の役割について「国保事業の健全な運営に向けて必要な指導」を行うとされています。国庫負担の復元・増額を求めつつ、県独自にも1世帯1万円の引き下げを実施すべきではないでしょうか。21億円あれば可能です。市町村と負担し合えば約10億円で引き下げを実現できます。競馬事業の破たんに330億円の税金を投入しましたが、「ウマより人の命を」の取り組みが必要ではないでしょうか。

【達増知事】
 国保税の税額については、保険給付費の状況や収納率等に応じて、市町村自らが責任を持って設定すべきものであることから、県の単独補助による国保税額の引き下げを行うことは適当ではないと考えている。
 県としては、今後も国保法に基づき、県の財政負担を着実に行うとともに、市町村からの求めに応じて助言等を行うことにより、国保財政が適切に運営されるよう支援していきたいと考えている。
 国庫負担の増額については、被保険者や地方公共団体の負担が増加し、家計や国保財政を圧迫している状況にあることから、国の公費負担割合を拡大し、これらの負担の軽減が図られるよう国に要望しているところであり、今後も引き続き要望していく。

・介護サービス利用料の実態、保険料・利用料の軽減について

【斉藤議員】
A介護保険が実施されて10年が経過しました。その結果は昨年3月末現在で5974人の特養ホームの待機者であり、介護サービス利用料(費用額)は全国最下位という実態です。在宅サービスは限度額の46.8%しか利用されていません。まさに「保険あって介護なし」の実態ではないでしょうか。こうした実態の要因をどう認識しているでしょうか。必要な介護サービスが受けられず介護殺人事件まで引き起こされています。花巻市は介護者の実態調査をふまえ、介護者を支援する介護相談員を配置していますが、県は介護者の実態と要望をどう把握しているでしょうか。保険料・利用料の軽減策と合わせてこうした具体的な対策が必要ではないでしょうか。

【保健福祉部長】
 特養ホームの整備については、市町村等の保険財政や保険料への影響を伴うこと、また昨年度までは国が告示で示す整備の基本的な方針、いわゆる参酌標準が抑制的な基調で示されていたことなどから、市町村等において施設整備に慎重となっていたところもあるものと考えている。
 また、居宅サービスの利用が低調な理由としては、山間地が多く、サービス事業者、サービス利用者とも訪問・通所にかかる移動コストがかかるなどの地理的な要因や、要介護者の家族が自ら頑張るという気持ちがあり、他人を家に入れたくないという意識的な問題なども考えられるところである。
 介護者の実態については、介護保険事業支援計画を策定する際に、介護保険の保険者である市町村からヒアリングによりお聞きしているほか、県高齢者福祉・介護保険推進協議会の各委員から実態をうかがい、また介護支援専門員協会などの関係団体や介護をしている家族の会、介護保険事業者との意見交換の場や、県内で開催されるセミナー、シンポジウムの機会を通じて関係者から実態と要望をお聞きするなど、その把握に努めているところである。
 介護者の負担軽減の具体策については、保険者である市町村等が地域の実態を把握し、実情に応じた対応をしていくことが基本となると考えており、議員からご紹介の花巻市が実施している取り組みについては、各市町村等に情報提供を行ったところである。
 県としても、ショートステイやデイサービス事業所の拡充を図るほか、小規模多機能型居宅介護事業所などの地域密着型サービス拠点の整備を推進していきたいと考えている。

・子どもの医療費助成の拡充、窓口負担の無料化について

【斉藤議員】
 B少子化が進行しています。こうした時こそ「子どもを大切にする県政」「子育てするなら岩手県で」といえる県政の推進が必要です。子育ての経済的な負担が若い世代の一番の悩みです。子どもの医療費助成を県として小学校卒業まで拡充すべきではないでしょうか。4億円あればすぐに実現できます。全国では中学校卒業までを助成の対象にしている県が5県、小学校卒業までが5県となっています。群馬県は入院、通学とも中学校卒業まで実施しています。窓口負担の無料化、現物給付も切実な要求です。全国では33県が現物給付を実施しています。窓口負担の無料化に踏み出すべきではないでしょうか。

【達増知事】
 乳幼児医療費助成制度の対象の拡大や、自己負担の撤廃には、多額の県費負担が見込まれるところである。
 したがい、近年の社会保障関係経費や県立病院等事業会計負担金等の増嵩により、県予算における新たな政策的経費の確保は大変厳しい状況となっており、こうした県財政の状況から考えると、直ちに実施することは困難であると考えている。
 現物給付化については、国の制度において、市町村の国保に対する国庫支出金が減額される仕組みとなっていることから、市町村や医療関係団体と協議した上で、平成7年度から償還払い方式としているものである。
 なお、昨年11月に市町村に対して、改めて現物給付化についての考えを照会したところ、現物給付は望ましいが、現在の厳しい財政環境のもと、減額措置が継続されている中で、福祉施策の充実を図るためには、現物給付化は慎重に考える必要があるとの意見が大勢であったところであり、県としては引き続き国に対して減額措置の撤廃を要望していきたいと考えている。


5.県立病院・診療センターの無床化と地域医療の確保について
 
・花泉診療センターの民間移管について
 
【斉藤議員】
 第四に、県立病院・診療センターの無床化と地域医療の確保について質問します。
 達増知事は、地域住民の切実な声と県議会での請願採択にも背を向けて、土下座までして診療センターの無床化を強行しました。昨年12月県議会では県立沼宮内病院の4月からの無床化も決めました。異常な強行・強権的な進め方でした。とくに花泉診療センターについては、無床化後、半年もしないうちに医療法人白光に民間移管を強行しました。医療法人白光は、民間移管が提起された時には常勤医師2名、非常勤医師3名を確保しているとしていましたが、全く根拠がありませんでした。昨年3月25日に民間移管の事業計画書がやっと提出されました。その内容は常勤医師2名、非常勤医師3名を確保したとされていました。しかし、4月以降7月まで常勤医師は事実上不在という異常な事態で民間移管が強行されました。現在でも常勤医師は1名のみとなっていますが、事業計画に反する事態ではないでしょうか。現在の外来・入院患者の実績を含め、こうした民間移管の進め方についてどう反省しているのか示していただきたい。

【達増知事】
 花泉診療所の患者数は、医療局が法人から聞き取ったところによると、1月の外来患者数は1日平均34.6人、入院患者数は1日平均13.4人となっている。
 花泉診療所の開設については、有床診療所の運営という地域の意向に沿って進めてきたものであり、当初、常勤医師が診療に携われない時期があったものの、7月には現在の常勤医師が着任し、その後入院患者も徐々に増加するなど、地域の入院施設として定着してきているものと認識している。
 現在、法人においてさらなる常勤医師の確保に向けて取り組んでいると聞いているところであり、引き続き医療局において常勤医師の確保を要請している。

・地域診療センターの無床化による影響について

【斉藤議員】
 また、5診療センターが無床化され、土日、祝日は医師不在となりました。地域住民の不安は大きなものがあります。入院患者がどう移行されているか、外来患者の動向はどうなっているかを含め無床化の影響について示していただきたい。

【医療局長】
 外来患者数について、病床休止直前の平成21年3月と今年度1月末までの1日平均患者数を比較すると、
紫波:平成21年3月が72人に対して今年度は56人、
大迫:平成21年3月が92人に対して今年度は83人、
住田:平成21年3月が64人に対して今年度は59人、
九戸:平成21年3月が64人に対して今年度は60人、
となっている。
 また、地域診療センターを受診し入院が必要な患者については、その入院先を紹介しており、今年度において1月末までに入院先を紹介した患者数と主な入院先は、
紫波:入院患者数が31人で、主な入院先は盛岡赤十字病院、県立中央病院、
大迫:入院患者数が72人で、主な入院先は県立遠野病院、県立中央病院、
住田:入院患者数が41人で、主な入院先は県立高田病院、県立大船渡病院、
九戸:入院患者数が37人で、主な入院先は県立軽米病院、県立二戸病院、
となっている。
 今後も、地域診療センターの入院については、二次保健医療圏の基幹病院等を中心に、他の病院とも連携しながら受け入れ先を確保していく。

・県立沼宮内病院の無床化について

【斉藤議員】
 県立沼宮内病院の無床化は、1年間延期されたとはいえ、4月から強行されることになりました。病院から無床化に一気に移行されるのはかつてないことであります。県立沼宮内病院は昭和29年5月に、地元の強い誘致を受け36床で56年前に設立された病院でした。さらに平成14年には20億円をかけ60床で新病院が建設されました。新築されてまだ10年もたっていない病院を無床化することはあまりにも無責任な対応といわなければなりません。これまでの歴史と経過に逆行する無床化についてどう受け止めているでしょうか。
 岩手町のがん検診体制は保健文化賞を受賞するなど全国に誇る取り組みです。毎年4000人以上の大腸がん検診など、胃がん、乳がん検診を沼宮内病院で対応してきました。しかし、今年度は乳がん検診が実施できなくなりました。地域病院の役割として全県に広げるべき取り組みだと考えますが無床化はそれに逆行するのではないでしょうか。今後、がん検診体制の後退とならないよう特別の体制が必要と考えますがどう対応されるでしょうか。

【医療局長】
 当病院は、本県の危機的な状況にある医師不足等の事情を考慮し、平成23年4月から地域のプライマリケア機能や外来機能を担う地域診療センターに移行することとしているが、19床の病床については休止することとしている。
 現在、岩手町では、地域の一般入院ベットを確保するため、民間医療機関との協議を進めているところであり、医療局としても町と相談しながら民間移管に向けた取り組みを支援していきたいと考えている。
 ガン検診体制については、岩手町からは「県森推進体制維持のため欠くことのできない臨床検査技師および診療放射線技師についても確保し、「岩手町方式」の検診にかかる連携体制を維持すること」という要望もあることから、必要な医療技術者を配置するなど、所要の準備を進めているところである。
 なお、検診事業等の公衆衛生活動における地域病院の役割については、関係市町村との連携を図りながら、それぞれの地域の実情も踏まえ適切に対応しているところである。


6.TPP問題と農林水産業の振興について
 
・TPP交渉参加に断固反対し、県民とともに運動の先頭に立つべき
 
【斉藤議員】
 第五に、TPP問題と農林水産業の振興、地域経済の問題についてお聞きします。
 TPP(環太平洋連携協定)が原則とする「例外なき関税撤廃」を実施すれば、食料自給率は40%から13%まで激減する。農林水産業の生産額は4兆5千億円減少し、350万人の失業が出ると農水省自身が試算しています。岩手県の試算によれば、農業生産は約6割、1469億円の減少、コメは95%、乳牛は100%、肉牛は61%減少するとしています。水産業でも191億円、サケ・マス類が63%、日本一のワカメが93%減少するなど壊滅的な打撃を受けるとしています。農業農村の果たしている多面的な機能は県内でも3020億円余に及びます。農水省の試算から推計すると、1400億円近い県土と環境の破壊をもたらすのではないでしょうか。製造業の製品出荷額の第1位は食料品産業で3582億円となっています。地域経済への影響も大きなものがあります。
 達増知事は知事演述で、「環太平洋パートナーシップ協定に関しては、国の動向を注視しながら、本県農林水産業の振興が損なわれることのないよう、対応してまいります」と述べました。大変歯切れの悪い、あいまいな姿勢だといわなければなりません。菅内閣は6月までにTPP参加を決めようとしています。岩手の農林水産業、地域経済に壊滅的な打撃を与えるTPP交渉参加には断固として反対し、県民とともにその運動の先頭に立つべきではないでしょうか。
 自国の食料は自国で生産するという「食料主権」は世界の大きな流れになりつつあります。「食料主権」という立場に立った貿易ルールの確立こそ強く求めるべきではないでしょうか。

【達増知事】
 TPP協定については、協定の内容そのものに関する根本的な検討を前提とし、地域の声も反映した国民の合意が得られるまで、十分な時間をかけて慎重に検討することが必要と考えている。
 こうした考えのもと、今後とも国の検討状況等を注視しながら、適時適切に国に対する提言などを行う必要があると考えている。
 なお、貿易ルールの検討にあたっては、食料安全保障の確保、食料自給率の向上など、国内農業・農村の振興について十分に配慮されるべきものと考える。


・農林水産業予算の増額について
 
【斉藤議員】
 農林水産業は、岩手県の基幹産業です。また、県民、国民の安全で安心な食料の安定的供給という国民の命を守る課題であり、国の安全保障に関わる課題でもあります。ところが、この12年間で県の農林水産業の予算は1396億円から658億円に半分以下に激減しています。これでは農林水産業の振興どころか衰退予算というべきではないでしょうか。再生産が可能な価格保障と所得補償の予算の抜本的な増額を柱に見直すべきではないでしょうか。

【農林水産部長】
 農林水産関係予算の減少については、公共事業費の削減によるものがもっとも多く、このほか従来県予算を通じて行っていた国庫補助事業が関係団体への直接補助となったことや、時限的に創設していた貸付金の終了などによるものである。
 こうした予算の状況にはあるが、市場価格が著しく低落した場合に、生産者に対して補給金を交付する価格安定制度の実施に必要な予算の確保に努め、生産者の経営に及ぼす影響の緩和に取り組んでいるところであり、平成23年度当初予算案には、県単独事業として新たに日本短角種を対象とした制度の実施に必要な予算を盛り込んだところである。
 また、23年度において、国は農業者戸別所得補償制度を本格実施させるなど、所得補償制度を充実させることとしており、これらの国の政策を十分に活用しながら、本県農林水産業の振興を図っていきたい。
 
・農業の担い手育成対策について

【斉藤議員】
 先に発表された農業センサスでは、農業就業人口はこの5年間に23852人、20.9%も減少しています。新規就農者に対し月15万円、3年間支援するなど農業の担い手育成に本格的に取り組むべきではないでしょうか。
 
【農林水産部長】
 本県農業の将来の担い手となる新規就農者を育成するためには、就農から経営の自立・発展に至るまで、発展段階に応じた継続的な支援が重要である。
 このため、これまで@技術習得に向けた農業大学校での研修の実施や緊急雇用創出事業等を活用した先進農家における実地研修への支援、A資材・施設等の初期投資に対する無利子の就農支援資金の融通や、担い手育成基金事業による助成、B経営の安定に向けた農業改良普及センターによる経営指導や青年農業者のネットワークづくりへの支援などを行っている。
 今後とも、市町村等関係機関・団体と連携し、新規就農者の経営が早期に確立されるように支援していきたい。
 
 
7.35人学級の拡充、高校再編問題について
 
・35人学級の拡充について

【斉藤議員】
 第六に、教育の課題について質問します。
 国が30年ぶりにやっと小学校1年生のみですが35人学級編成に踏み出しました。1人1人の子どもに行き届いた教育を進めることは最も切実で重要な課題です。国が35人学級に踏み出した今こそ、県として35人学級を小学校3年生・4年生に拡充すべきではないでしょうか。中学校1年生での全面実施と2・3年生への拡充に踏み出すべきではないでしょうか。そのための学級増と教員増、財源はどうなるでしょうか。これまでの35人学級の取り組みの成果を含め示していただきたい。

【教育長】
 国では、小学校2年生以上については、来年度以降の予算編成において検討するとしている。
 本県独自に35人以下学級を拡充するためには、学級増に見合うだけの教員採用とそれに伴う財源確保が必要であり、国の計画が不透明な段階における先行実施は難しい状況にある。
 中学校1年生の35人以下学級は、平成21年度から市町村教委の選択により試行的に実施しており、来年度は対象校のうち約8割の学校が実施する見込みである。試行も来年度で3年目を迎えることから、全面実施については、成果と課題を踏まえ検討していきたい。
 少人数学級を小学校3、4年生へ拡充すると、約60の学級および教員増、中学校2、3年生に拡充すると、約80の学級増約120人の教員増が見込まれる。
 財政負担については、小学校1年生35人学級に伴う財源措置は見込まれるが、一部を少人数指導加配から振り替えるため、現時点で全体の財政負担の状況を把握することは困難である。
 35人以下学級を全面実施している小学校1、2年生においては、児童の健康・安全面における管理や学級集団のまとまりを築くこと、基本的生活習慣の定着に効果が認められている。中学校1年生においては、小学校と同様の成果に加えて、中1ギャップの緩和、不登校や問題行動の抑止が挙げられている。

・高校再編問題について

【斉藤議員】
 次期県立高等学校整備計画の策定について、教育委員長は「地域の実情を十分に踏まえ、いただいたご意見を参考にしながら総合的に検討してまいります」と述べました。私もこの間のブロック別地域検討会議を傍聴するとともにその議事録を読ませていただきました。共通した意見は、高校でも少人数学級の実現を求めるもの、地域と結び付いた高校の存続、だれでも高校教育を受けられる教育の機会均等の保障を求めるものだったと受け止めていますが、十分踏まえるべき「地域の実情と意見」をどう受け止めているのでしょうか。また県教委は「小規模校を切り捨てることはない」と述べています。具体的にどういうことでしょうか。

【教育長】
 今年度、県内9ブロックで「地域検討会議」を3回、「地域別懇談会」を2回開催したが、地域のセンター校の機能の維持、小規模校の存続、専門学科の充実、さまざまな課題を抱える生徒への対応などの多くの貴重な意見をいただいているところであり、それぞれの地域の実情と将来等を見据えたご意見と受け止めている。
 また、各ブロックにおける学校の配置のあり方については、1学年3学級以下のいわゆる小規模な学校を一律に統合等の対象とすることなく、将来見込まれる生徒数や通学の状況、またそれぞれの地域における産業構造や振興方針など地域の実情等を踏まえ、さらに地域の皆さま方からいただいたご意見を十分参考にしながら、総合的に検討していきたい。

・国連子どもの権利委員会の勧告、目標達成型の学校経営について

【斉藤議員】
 昨年の5月に、国連子どもの権利委員会は日本政府に対して3度目となる最終所見・勧告を出しました。その内容は「高度に競争主義的な学校環境が、就学年齢にある子どもの間のいじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退及び自殺に寄与しうることを懸念する」と指摘し、「過度に競争主義的な環境が生み出す否定的な結果を避けることを目的として、大学を含む学校システム全体を見直すことを締約国政府に勧告する」というものであります。教育委員長はこの勧告をどう受け止め、対応されるのでしょうか。政権交代によって学力テストは抽出調査となりましたが、結果的には小学校で68.9%、中学校では80.2%が参加する結果となりました。テストをしないと落ち着かないという異常な事態となっているのではないでしょうか。一部の数値目標で教育を進めようとする目標達成型の学校経営も教育の原理とは異質の市場原理主義を教育に持ち込むもので見直すべきと考えますがいかがでしょうか。

【教育委員長】
 国連子どもの権利委員会の勧告について。これは「児童の権利条約」に基づき、児童の生存、発達、保護、参加などの権利の実現、確保などのさまざまな観点から締約国の取り組み状況全般について勧告を受けているものである。
 議員ご指摘の内容については、平成20年の日本政府報告書の中で、「基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図るとともに、それらの知識を活用し、探究する力を育成する観点から学習指導要領の見直しについて検討していること」、「子どもたちが社会において十分にその個性や能力を伸ばすために必要不可欠の基礎を培うものであり、競争的な性格により悪影響が生じるとの指摘には当たらない」と説明しているものの、昨年5月、勧告が出されたものである。
 国が報告した通り、本県としても勧告のような「過度な競争主義的な環境」にはないと認識しているが、今後とも国の動向等を十分に踏まえながら、適切に対応していきたいと考えている。
 目標達成型の学校経営について。義務教育9年間を通して、児童生徒一人一人の基礎・基本の確実な定着を目指し、「知・徳・体」のバランスのとれた児童生徒の社会的自立を促すために行っているものであり、目標値の達成のみならず取り組み過程を重視しながら実施しているものである。したがい、議員ご指摘の市場原理主義として競争をあおるために行っているものではないと認識している。
 ちなみに、学校や保護者のアンケート調査を実施したところ、学校経営の改革や家庭と地域の教育力の強化などに効果があること、学校や子どもの理解が深まり家庭と地域の具体的な協力体制に効果があることなどについて回答が多くあった。
 今後においても、学校・家庭・地域の連携・協働を基盤にし、児童生徒の個性と能力に応じた特色ある開かれた学校づくりに引き続き取り組みながら、より一層充実を図っていきたい。


8.県財政の破綻とムダと浪費の大型開発の見直しについて
 
・簗川ダム、津付ダム建設事業の見直しについて
 
【斉藤議員】
 第七に、県財政の危機的状況と不要不急の大型開発の見直しについて質問します。
 県の借金、いわゆる県債残高は来年度末で1兆4600億円、予算総額の2.14倍となります。09年度の普通会計決算では1兆5千億円を超え、決算総額に対する比率では全国第2位の深刻な状況です。借金返済の公債費は来年度1186億円余で、今後1400億円まで増え続ける異常さです。
 県財政の危機を招いたのは、予算の規模を超えて大型開発・公共事業を推進してきたこと。小泉内閣の三位一体改革による地方交付税の大幅削減、地域経済の衰退による所得の減少と減収ではないでしょうか。だとするなら、ムダと浪費、不要不急の大型開発は抜本的に見直すべきであります。知事に質問します。「選択と集中」と言いながら、530億円の簗川ダムも164億円の津付ダムも推進するというなら、何を見直すのでしょうか。
 簗川ダム建設事業は、簗川の特性から言って人口が集中している下流域の堤防の強化と4キロから上流は農地であることをふまえて河川改修で十分対応できるものであります。ダム建設によって貴重な自然環境と住民の宝である川の生態系を破壊すべきではありません。津付ダムは、残事業費で比較しても河川改修の方が経済的と県の試算でも出ています。わずか10分の1の流域面積しかない気仙川の支流にダムを建設する合理的な理由はないといわなければなりません。熊本県の知事は、自ら専門家と地域住民の意見を聞き、「球磨川も地域住民の宝だ」として国のダム建設の中止を決断しました。大阪府知事も最近、ダム本体工事まで進んでいた槙尾川ダムの中止を決断しました。知事は、自ら簗川と気仙川の現場を見たことがあるでしょうか。自らその妥当性を検討したことがあるでしょうか。

【達増知事】
 治水対策の手法については、河川改修やダム、遊水地などさまざまな手法があり、社会的な影響や経済性などを勘案し、それぞれの河川の特性に応じ、最適な手法により進めてきたところである。
 今回、ダムの検証要請が国からあったことから、合わせて示された検証の手順に従い簗川ダムと津付ダムの検証を行ったところである。
 この検証の中で、複数の代替案を立案し、安全度やコスト、環境への影響など7つの評価軸により評価し、その内容を大規模事業評価専門委員会で審議いただき、県の評価は妥当との答申をいただいた。
 これを踏まえ、県としての対応方針を決定したところである。

・花巻空港整備事業について
 
【斉藤議員】
 花巻空港整備事業は、12年前利用客が当時の52万人から90万人に増加し、ジャンボ機でアメリカ西海岸等に直接飛行できるように大型誘導路等を整備するために行われた事業でした。しかし、当時でも国の補助事業の対象とならず、事実上県単独事業として進められてきました。その結果は利用客が35万人に20万人近くも減少し、ジャンボ機どころか今飛行しているのは50人乗り、76人乗りの超小型機であります。目的も計画も破たんしたのに321億円の整備事業だけが実施された。まさにムダ遣いといわれても仕方がないのではないでしょうか。この結果をどう認識されているでしょうか。

【達増知事】
 いわて花巻空港は、産業振興や観光振興、国内外との地域間交流などにおいてきわめて重要な役割を担っているものと認識している。
 本年夏に見込まれる平泉の世界遺産登録を契機とした国内外からの観光客の増加に対応した受け入れ態勢の充実を図る観点から、空の玄関口である花巻空港のハード・ソフト両面における整備を着実に進めていく必要があると考えている。
 
・小沢事務所による「天の声」問題について
 
【斉藤議員】
 県財政の危機的状況の要因に、大型開発・公共事業の推進がありました。その背景には小沢事務所による「天の声」、談合によるゼネコンへの発注とその見返りとしての表・裏の政治献金があったのではないでしょうか。2月7日の小沢一郎元秘書の政治資金報告書虚偽事件では、胆沢ダム建設事業の下請けに入った水谷建設が、小沢一郎氏側から1億円を要求され、04年10月と05年4月に、2度にわたって5千万円の入った紙袋を小沢元秘書に届けたと明らかにされました。赤旗新聞では、水谷建設の当事者、会長が証言をしています。岩手県発注の公共事業でも小沢事務所が「天の声」を出し、清水建設や西松建設が県立病院や簗川ダムトンネル工事等を受注していたことも明らかにされています。ことは税金の還流疑惑であります。国政はもとより、県政の場でも徹底的に究明されるべき問題だと考えますが、知事は小沢一郎氏の強制起訴、元秘書の事件についてどう認識されているでしょうか。小沢氏が出した4億円の出所とその後の金融機関からの4億円の融資は偽装工作だったのではないでしょうか。

【達増知事】
 ご指摘のゼネコン疑惑に対しては、一連の裁判の起訴事実には含まれておらず、司法上の問題にはなっていないと理解している。
 また、石川議員の弁護側が証人として申請した水谷建設元会長の採用が決まっていることから、水谷建設にかかわる問題も疑惑を晴らす形で明らかになるものと考えている。

・1400万円の知事車購入問題について
 
【斉藤議員】
 県財政が危機的な状況の下で、1400万円の知事公用車を購入したことが県民の驚きと怒りを広げています。東北各県の知事公用車は400万円から500万円程度ですが、知事のムダ遣いといわれても仕方がないのではないでしょうか。知事は県民の声をどう受け止めているでしょうか。
 
【達増知事】
 知事公用車の購入は、すでに更新基準に達していた公用車について、知事の職責等を勘案し、特に安全性を重視する必要があったこと、また、県の重要施策の1つである地球温暖化対策を推進するという観点から、国の政策に呼応し、全額国庫負担による「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」を有効に活用し行った。
 
 
9.県警の不正経理問題とサービス残業の根絶について
 
・県警の不正経理問題について
 
【斉藤議員】
 次に、県公安委員長に質問します。第一に、2億1500万円に及ぶ県警の不正経理問題についてお聞きします。昨年12月27日、県警元交通規制課庶務係長の時期に架空の物品購入表を作成し、県費36万円余をだまし取った詐欺罪に問われた元県警職員に、盛岡地裁は懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。この判決をどう受け止めているでしょうか。また、この職員の不正流用は127点327万円でありました。本人はすべてを認め全額返還されましたが、なぜ、36万円余だけの詐欺罪での起訴となったのでしょうか。横領事件だったのではないでしょうか。

【公安委員長】
 元警察職員が有罪判決を受けたことについては、大変遺憾なことと受け止めている。
 公安委員会としては、一連の不適切な事務処理問題を重く受け止め、再発防止対策が徹底されるよう、より一層の管理・指導を行っていく。
 なぜ36万円余だけの詐欺罪での起訴となったのか、また横領事件だったのではないかとの質問だが、事件の捜査にあたっては、法と証拠に基づいて捜査を行い、立件できるものは立件したと、県警察から報告を受けている。

・裏金工作を苦にして失踪した会計係長の問題について

【斉藤議員】
私は、昨年3月の予算委員会と10月の決算特別委員会で、裏金工作を苦にして2月15日に置手紙を置いて失踪した会計係長の問題を取り上げました。残念ながら4月15日、宮古沖の海上で遺体が発見されました。公安委員会として必要な調査と対応はされたのでしょうか。

【公安委員長】
 お尋ねの件については、平成22年4月15日に遺体で発見されたとの報告を受けている。
 なお、プライバシーの関係もあり、詳細は控えるが、議員ご指摘の置手紙は発見されていないという報告を受けている。

・県警職員のサービス残業問題について

【斉藤議員】
 第二に、県警職員のサービス残業問題について質問します。現場の警察職員は県民の安全を守るため、日夜仕事に取り組まれています。県警の調査でも昨年度超過勤務時間は職員1人当たり平均で335時間となっています。一方で超過勤務手当の支給は194.4時間となっており、140.6時間が不払い労働時間、いわゆるサービス残業となっています。じつに超過勤務の42%が不払いです。これは社会的犯罪行為となりますが、公安委員会としてどう認識しているのでしょうか、なぜ是正しようとしないのでしょうか。

【公安委員長】
 超過勤務については、本来予算の範囲内で命じることが原則だが、一方、第一線の警察業務においては、事件や事故に即時対応しなければならず、昼夜を分かたず勤務に従事している職員が多数あるという特殊性から、やむを得ず超過勤務が必要となる場合もあると承知している。
 公安委員会では、こうした警察業務の事情についても勘案しつつ、今後とも職員に適正な処遇が図られるよう引き続き督励していきたい。

 
10.知事の政治姿勢について
 
【斉藤議員】
 最後に、知事の政治姿勢について質問します。2月6日投票となった陸前高田市長選挙で日本共産党の党籍を持ち、「やさしさと活力に満ちた市政」を進めた中里長門市政の継続を訴えた市長候補が、小沢一郎氏まで現地入りし民主党丸抱えでたたかった候補に1100票以上の差をつけて勝利しました。陸前高田市政はこの8年間で33億円も借金を減らし、民生費は県内13市で第1位の福祉の充実と投資的経費でも第2位に位置し地元に仕事を増やし、漁業や農業の担い手支援にいち早く取り組むなど、地方政治のあり方を示す成果をあげてきました。知事も民主党推薦候補の応援に駆け付けた様ですが、今回の結果についてどう受け止めているでしょうか。また、八幡平市や久慈市でも知事が応援した市長候補が敗北しています。知事の対応としてよかったと考えているのでしょうか。

【達増知事】
 陸前高田市長選挙の結果は、市民の民意が示されたものであり、その結果を踏まえて県と陸前高田市との連携をしっかり進めていきたい。
 また、他の市長選挙への対応についてだが、行政の長として公正中立、不偏不党であることを貫いていれば、政治活動については自由であるとの考えは現在も変わっていない。


≪再質問≫

・TPP問題への対応について

【斉藤議員】
 菅内閣の変質というのは、まったくその通りで自民党とどこが違うのかと私もそう思っているが、実はその変質は政権交代の直後から起きている。いわば鳩山内閣が、普天間基地の問題についても後期高齢者医療制度の問題についても、例えば今回私が提起した国保税の問題についても、国保税については9000億円投入するというのがマニフェストである。ほとんど政権交代した鳩山内閣自身がそれを実行できず、財源を確保できず1年も経たずに辞めてしまった。菅内閣になったら、それを公然と修正したというのが実態である。
 先ほどの消費税の話はその通りだと思うが、TPPについても09年もマニフェストにも昨年の参院選のマニフェストにもない。こんな公約違反なやり方はない。知事はもっと明確に批判すべきである。
 小沢問題だとどんどん発言する知事が、TPP問題は本当に歯切れが悪い。農水省の試算でも岩手県の試算でも、岩手県の農林水産業は壊滅的被害である。コメは95%がダメになる、乳牛は100%である。
 IBCで「TPP激震」という報道があった。葛巻の酪農家は、6000万円借金して畜舎を整備したと。こういう方々がTPPに参加したら借金しか残らない。これだけはっきりしている、そしてそれに対して何らの対案も示していないときに、「時間をかけて慎重に検討」ではないと思う。
  食料自給率を50%に上げる、木材自給率を50%に上げると言ったのは政府である。これは全く逆行するではないか。どこから見ても無法・無謀なTPP交渉の参加については、岩手県の知事としてなぜ反対と言えないのか。

【達増知事】
 TPPへの参加というのは、条約あるいは取り決めの内容が確定しているのを受け入れる、受け入れないということではなく、その内容自体が交渉によって決まるということで、論理的に突き詰めると対象がはっきりしないものについて反対・賛成を明確にすることは難しい。
 一方、先ほども申し上げたように、強行はけしからんと思っている。


・大企業の雇用を守る責任について

【斉藤議員】
 岩手県の雇用対策の要をなす問題は、誘致企業、とりわけ大企業の雇用を守る責任だと思う。先ほど答弁を聞いたら、上位10社だけでこの4年間で2600人従業員が減っている。業績は回復しているが雇用は回復していない。そして来年度の新規採用はわずか74人だと。就職難の一番の問題もここにあるのではないか。
 ソニーが870人の工場を一方的に閉鎖した。実はソニーは、去年の3月末決算でも3兆4000億円の内部留保を持っていた。富士通は1130人の解雇・再配置をやった。富士通は8568億円の内部留保があり、去年の3月末は1910億円内部留保を増やしている。内部留保を増やしながら、戦後岩手で一気に正社員を1130人首切った会社はないのではないか。こんな異常なことを、体力・財力のある誘致企業が行ったことが岩手の雇用問題の最大の問題だったのではないか。この内部留保も貯め込んでいるソニーや富士通や関東自動車や東芝―こういうところに雇用の拡大を強く求めるべきではないか。特に岩手県のトップ企業である関東自動車は750人(30%)がまだ期間工である。関東自動車全体では、非正規の割合は16%である。岩手工場の非正規の率が倍である。ところが岩手工場はプラチナ賞をとるぐらいの優秀な工場である。優秀な仕事をしながら非正規は2倍、30%も非正規がある。6ヶ月雇用を更新して4年5年8年という使い捨てのやり方は改善しなければならない。トップ企業というのは、岩手の模範になるべき経営、雇用対策をすべきである。この点を知事が先頭になって、自動車、半導体の誘致を岩手の産業政策の柱としてやってきたのだから、ここにきちんと雇用を守る責任を果たさせることが必要ではないか。

【達増知事】
 誘致企業・大企業が責任を果たすべきと強く求めるべきということについては、その通りであり、私からも個々の企業、あるいは企業団体に対して雇用の拡大と非正規の正社員化について求めているところであり、県全体としてもさまざまな機会をとらえて求めている。


・住宅リフォーム助成事業について

【斉藤議員】
 請願の採択を重く受け止める、対策を検討すると答えたが、私がリアルに紹介した通り、宮古の取り組みは全国から注目をされて、全国から視察が殺到している。隣の秋田県は290億円を超える仕事をわずか1年間で、末端の中小零細業者に増やした。その経済効果は500億円である。それを受けて、山形県は来年度6億3000万円の予算で県の住宅リフォーム助成を実施すると。奈良県もやると。今は県レベルでも広がっている。
 不況で赤字が中小企業の74%も占めているときにこそ、地元に仕事を増やす、効果が明確なそういう取り組みを請願の採択を受けて実施すべきではないか。ここまで示しても知事は住宅リフォーム助成事業の効果について今後も検討しなければいけないのか。これは効果がはっきりしているのではないかと思うが、なぜ踏み込めないのか。
 また、具体的に6月の補正に向けて検討しているのかどうか。

【達増知事】
 新たな助成制度を創設するということについては、実施規模、対象、実施時期等について総合的な観点から慎重な検討を行う必要があるものと考えている。


・国保税の滞納、資格証・短期証等の実態について

【斉藤議員】
 「負担感が増している」という答弁だった。健康保険と比べると、国保税の税額は同じ所得で2倍である。低所得者が圧倒的、年収200万円以下が8割である。こういう方々が働いている人の倍の国保税を課税されている。盛岡の場合は21%が滞納していると。高くて払えないというのが実態ではないのか。
 ところが、滞納すると保険証を取り上げられる。滞納世帯が30277世帯だが、資格証の発行が874世帯。短期保険証は15571世帯で計16445世帯が正規の保険証を取り上げられている。ひどいのは、短期保険証の留め置きというのが2473世帯、4024人もある。留め置きというのは保険証が届いていない無保険である。資格証も窓口全額負担である。留め置きと合わせると、3347世帯が窓口全額負担しなければならない。まさに病院にかかれない事態である。こういう事態を放置していていいのか。直ちに保険証を交付すべきではないのか。資格証や短期保険証を発行しても収納率が上がらなかったというのが実態ではないか。
 安心して納付相談ができるような条件をつくっていくということこそ大事ではないか。

【達増知事】
 国保税が高いという実感が岩手県内でも出ているということは答弁した通りで、市町村との連携、県から国に対して負担の軽減につながる要望をきちんとしていくことが重要と考えている。


・国保税の滞納処分の状況について

【斉藤議員】
 深刻な問題は、国保税の滞納者に対する滞納処分の状況である。
 平成21年度は4824件(16億3300万円)の差し押さえが行われた。平成18年度は3479件(12億1500万円余)だった。1.34倍増えている。達増県政の時期に、財産差し押さえが1.34倍に増えた。
 そしてその中身も変わった。4年前は給与差し押さえは若干あったが、今やほとんどが給与差し押さえ、年金まで差し押さえている。4年前は年金の差し押さえはなかった。NHKで16万円の年金が差し押さえられて自殺に追い込まれたという報道があった。年金というのは生活費である。本来10万円の生活費というのは差し押さえできない。扶養者がいればさらに4万5千円ずつ、生活費を支えるためできない。年金まで差し押さえることは、まさにこれに反するやり方ではないのか。
 私のところにも具体的な相談がたくさんあった。国保というのは、納期限を過ぎると4.5%の利息がつく。1ヶ月過ぎると14.6%の高利がつく。サラ金国保である。こうやって滞納が10万円でも延滞利息が9万円だという人もいる。サラ金国保から抜け出せない。命を守る国保が命を奪う国保になっているのではないか。こうした実態を知事自身がしっかり調査して是正すべきだと思うがいかがか。

【達増知事】
 先ほど答弁の中で申し上げた適切な配慮を徹底させていくということだと考えている。


・特養ホームの待機者について

【斉藤議員】
 来年度は1007床整備すると。この改善された点は評価したいが、第4期計画では、全然整備が足らない。21年度〜23年度、実際に入所できる、オープンされるベット数はいくらか。まったくこの第4期計画の中では5900名、早期入所の1200名というのは解決できないのではないか。

【保健福祉部長】
 昨日答弁申し上げたのは、22年3月末での市町村で把握している早期入所が必要だという自宅待機者が1235人いると。来年度の予算が伴う事業整備まで行われれば、23年度末までには1231床の整備が行われるという答弁をした。
 我々としても、この介護保険事業は3カ年の計画であり、いずれ市町村のほうにはできるだけ3カ年均てん的に整備を行っていただきたいという状況があるが、これまでも3年周期でいうと、どうしても最終年度に整備を行うという状況が傾向として出ている。その原因としては、3年目に整備をすると、その3年間の計画の中では、いわゆる計画を設定している介護保険度に跳ね返らないということで、実施計画を前倒して整備するという考え方でやっていることから、これまでも3年目に整備が集中しているという状況になっているものと考えている。
 できるだけ我々としては、3年間で均てん的に整備を行っていきたいと考えているので、次期計画策定時においては、その辺の要請を市町村に改めてしていきたい。


・国連子どもの権利委員会の勧告について

【斉藤議員】
 教育委員長は政府の見解を述べて回答にしてしまった。政府がそのように国連子どもの権利委員会に報告しても認められなかったというのが勧告の中身である。NGOが膨大な報告をしている。日本の高校生が直接発言している。それを踏まえての勧告である。
 そういう発想では、上意下達で文科省の報告しか見ていないのではないか。

【教育委員長】
 全部勧告の中身を熟知しているわけではないが、要点を理解した範囲において、特に私が心に留まったのは、過度な競争ということについて、もしそういうことがあれば子どもたちの人格や生き方についても多大な影響を及ぼすということについて、あってはならないと思っている。
 ただ、その部分を読んだときに、岩手の子どもたち、岩手の教育については、そのように指摘される過度な競争、それで人格を歪めるようなことは、完全にないとは言わないが大方はのびのびと暮らしているのではないか。そういう意味で、受験競争とかさまざまなものが子どもたちの成長に歪を犯しているということはないという思いで、先ほど答弁をさせていただいた。
 勧告のような事態が散見されるような場合は、国の報告は報告としながらも、岩手においてそういうことにならないようにやっていきたい。


・県警の超過勤務手当について

【斉藤議員】
 42%(140時間)不払いである。毎年である。これは社会的犯罪行為である。それを放置していることが問題だと指摘している。
 県警本部長にお聞きするが、140時間の不払い残業というのは平均していくらになるか。
 2月補正予算の説明が昨日あったが、超過勤務手当を出していないのに773万円減額すると。こんなことが許されるか。42%出していないのになぜ減額するのか。

【県警本部長】
 職員の超過勤務の時間数および時間単価には個々に差があることから、一概に算出しかねる。
 2月補正については、今年度の超過勤務手当の予算については、警察本部においても他の部局と同様に、当初予算計上後の欠員や人事異動などの要因などを踏まえ必要な補正を行ったものである。
【公安委員長】
 超過勤務については、本来予算の範囲内で命じることが原則であるが、これに相当する手当を支給すべく、不要不急な超過勤務の抑制、業務の効率化・合理化など最大限の努力を払っているが、深夜早朝の事件・事故への対応など警察業務の特殊性から、やむを得ず超過勤務が必要となる場合もあると承知している。
 公安委員会としても、昼夜を分かたず勤務に従事している職員が多数あることも承知しており、こうした事情を勘案しつつ職員に適正な処遇が図られるよう引き続き督励していきたい。


≪再々質問≫

・TPPに参加した場合の試算の受け止めについて

【斉藤議員】
 
知事は「強行はけしからん」と述べた。大事な答弁だと思う。
 国や県の試算の結果をどう受け止めているか。食料自給率が50%という政府の方針と今度のTPPは全く逆行すると。これは明確に答えていただきたい。やはり食料供給県の知事は発言すべきである。決まってからは遅い。決まらないようにたたかわなければならない。

【達増知事】
 TPPについては、日本政府として、いかなる内容の条約としてそれに加盟するかということが一切明らかにされていない状態なわけだが、岩手県としては、いわて県民計画の中で、農業政策についてもきちんと岩手としてはこういう農業・農村をつくっていくべきという政策を明らかにしているところであるので、きちんと日本の食料供給基地として、食と農の緑豊かな岩手という、それを損なうような内容であればそれに対してはきちんとモノを言っていくという姿勢で臨むべきと考えている。


・国保税―財産差し押さえの実態の調査について

【斉藤議員】
 異常な滞納処分の状況をリアルに紹介した。この国保広域化支援方針の前書きは、まだまともなことを書いている。「被保険者をめぐる経済状況は、一層厳しい状況にあることから、この支援方針の推進にあたっては、病気や失業等によって納税が困難となった被保険者には適切な配慮を行う」と。しかしこれは前書きで、こうなっていない。10万円そこそこの給料の人の給与まで差し押さえている。10万円だったらこれは差っぴけない。年金を差し押さえたら生活費がなくなる。そういう事態が今引き起こされて、そして12〜13万円の収入なのに分納で3万円ずつ払っているという事態もある。
 この深刻な財産差し押さえの実態を知事も調査を命じていただきたい。

【達増知事】
 保険という仕組み、被保険者がお互いに助け合っていざというとき、病気になったときに助け合うということが原点だが、昨今の景気や雇用の低迷の中で、被保険者同士の助け合いが負担感も多くなってきているという中で、1つはしっかり県と市町村が連携して被保険者同士の協力ということをうまくやっていくということ、また被保険者同士の強力だけで乗り切っていくのが難しい経済情勢ということもあるわけなので、国に対して負担の軽減につながる措置を要望していくことが重要であると考えている。
 また、被保険者同士の協力ということの中でさまざま差し押さえ等の問題がありうるわけだが、そこは適切な配慮を徹底していくことが肝心と考えている。


・国連子どもの権利委員会の勧告について

【斉藤議員】
 これは3度目の勧告である。実態を踏まえた勧告なのでしっかり受け止めてやっていただきたい。

【教育委員長】
 岩手だけで独自にできないこともあるが、先ほどのご意見・励ましをしっかり受け止めておきたい。