2011年2月28日 商工文教委員会
雇用・就職難打開問題等に対する質疑(大要)


・地域職業訓練センター、北上コンピューター・アカデミーについて

【労働課長】
 11月末までに、すべての関係者が振り払い申請書を提出させていただいた。これに対して、1月21日付で機構から関係市に対して譲渡にかかる承認通知書があったところである。
 財源的な支援策については、地域職業訓練センターと北上コンピューター・アカデミーについては、施設の修繕については激変緩和措置として23年度から25年度までの3カ年は国が全額負担、激変緩和措置終了後の修繕はこれまで使われてきた認定職業訓練事業費補助金の制度を適用するという予定になっている。
 それぞれの施設に対しての財源的な負担については、地域職業訓練センター、北上コンピューター・アカデミーとも26年度以降について、これまでの認定職業訓練校に補助してきた補助制度と同様の制度により支援がなされる予定となっている。
 それから北上コンピューター・アカデミーの就職状況については、2月末現在で70.2%となっている。

【斉藤委員】
 譲渡の問題については、結局地域への押し付け・しわ寄せにしかすぎなかったと結果としてはっきり言えると思う。
 北上コンピューター・アカデミーの就職状況が70.2%ということで、ここはいつも90%を超える高い状況だったので苦戦しているという印象を受けた。

・雇用・就職難打開の問題について

【斉藤委員】
 一般質問でも取り上げたが、誘致企業の上位10社で、4年間で2600人余の従業員が減ったと。業績が回復しても雇用が回復されておらずきわめて重大だと思うが、ここにはソニーの870人の工場閉鎖分が入っているのかどうか。
 それから上位10社の新規採用がたった74人だと。ここが一番の問題だと思う。誘致企業というが、やはりこういうときに一番体力・財力のある企業が業績を回復させたら、採用を増やす、雇用を増やす、非正規を正規にするなど取り組んでこそ誘致企業の役割が果たされるのではないかと思う。そうした取り組みがきわめて不十分ではないか。

【企業立地推進課総括課長】
 ソニーイーエムシーエスは、現時点では存在しないということで、その分の数字は除いた数字である。
 新規採用が少ないという指摘だが、それぞれどの会社も忙しく仕事はしているが、リーマンショック前に比較すると、非常に経営環境は厳しくなっている。例えば関東自動車等についても、トヨタグループの中ではもっとも厳しい経営ということで、今季も黒字が出せるかどうか厳しい状況である。そうした世界経済との関連で非常に厳しいということがあり、なかなか採用に結び付いていない現状があるが、ただ我々としては、ことある度にそういった面での要請はしており、中には知事が直接お願いに行くケースもある。そういった意味で、雇用増については、新規採用等について継続的に要請している。

【斉藤委員】
 2600人の中にソニー工場閉鎖分は入っていなかったと。そうすると厳密には3470人というのが減数ということになる。
 関東自動車は、4年間で233人を期間工から正規に登用してきたが、今年度の実績を聞いたら「今年度の登用は検討している」と。まだゼロだということではないか。せっかく今まで積み上げてきた正規への登用がここで断ち切られたら大変である。実際に現場で働いている労働者から、「会社の中ではあと2年は正社員に登用しない」という話がされている。これは正式な文書ではなく確認はできないが、そういう話がされていると。せっかく今まで厳しい中でも6ヶ月雇用の期間工を正社員化してきた。それは評価するものであるが、今まだ30%・750人が期間工である。6ヶ月経ったらいつ首を切られるか分からない。それが4年5年、長い人は8年も働かされている。今年も必ず期間工の正社員化が今まで以上に実現されるように強く知事が働きかけるべきだと思うがいかがか。岩手県最大の企業なので、模範を示すような対応をやっていただきたい。

【商工労働観光部長】
 会社自体としては、どんどん正規にしたいという意向はある。ただ、あくまでも産業というのは経済の動向により左右される、会社自身も会社自体の経営計画の中で判断していかなければならない。我々からは、知事がお会いする度に、あるいは副知事が会社訪問する度に正規への登用というのは強く求めているし、そのスタンスは変わらない。自動車産業を育てるという点でも、今後も委員の方からも長い目でご支援いただきたいと思うし、我々も強く働きかけていきたい。

【斉藤委員】
 ぜひ途切れないように、期間工の比率が3割で750人もいるので、この改善のために県もぜひ特別の対応をしていただきたい。

・未就職者に対する支援について

【斉藤委員】
 去年の就職難のときに、未就職者の支援事業が18市町村でやられた。この実績、県の補助はどうなったのか。
 盛岡商工会議所や水沢職業認定協会、中小企業団体中央会それぞれが職業訓練をしながら正規へ登用させる取り組みも行われたが、この実績はどうなっているか。

【雇用対策課長】
 12月末の段階で、今回の2月補正の編成時に、18市町村に照会したところ、その時点で利用見込み数が131名と聞いている。この後まだ確定があると思うので、その分も含めて補正を若干させていただいている。
 商工会議所等での支援についてだが、盛岡商工会議所について申し上げると、当初の受講生21名中就職決定者が13名、水沢については9名の受講生中9名が就職決定、中央会については、当初の実習生が52名で21名が就職決定したと聞いている。

【斉藤委員】
 県の補助はどういう基準でどう出されるのかと質問した。例えば八幡平市のように、月10万円を1年間補助するとか、一時金で20万30万などの例があった。私は高いレベルで補助すべきだと思うし、去年の3月末は高卒の未就職者は約200人いた。それに対応するように、市町村が地元の企業が採用した場合にそういった補助制度をつくったということはきわめて積極的なことだったし、その結果12月末で131人が企業に採用の見込みがあることは、一定の役割を果たしたのだと思う。だからそういうところに補助するというのを県も予算化した。これは大変大事なことだと思う。
 就職難問題で、高卒の就職状況は改善しているようだが、求人が3、4年前の半分の中で、まだ十数パーセント未定だというのは安心できない事態だし、卒業式もある。あと1カ月しかないと。一人たりとも未就職者を出さない3月の取り組みがきわめて重要である。
 大学の場合も、70〜80%という答弁があったが、これは去年の最悪時と同程度である。去年はどうなったかというと、全国的には87000人が未定だった。そして一時就労・アルバイト・その他が10万人、留年が72000人である。これを足すと大変な数になる。岩手の実態は分かるか。例えば去年の3月末で、未就職者が何人だったのか。一時就労や就職のための留年は何人だったのか。去年の深刻な状況の域を脱していないので、そこの把握・対応を示していただきたい。

【雇用対策課長】
 県の補助については、市町村との話し合いの中で、生徒一人当たり単価5万円を補助すると。これはおおむね市町村等の中で、公平な取り扱いをするということで、これまで制度をもっていたところがおおむね一人あたり10万円程度の補助をしていたということで、その2分の1にあたる5万円程度を補助するという考え方である。
 今春卒業の未就職者への対応だが、昨年度から実施しているが、すでに高校在学中から学校を通じ、未就職となる見込みの高い方については、ジョブカフェ等への登録を誘導して、その後本人の希望等をカウンセリングした後で、それぞれに合った職業等への選択、あるいは職業訓練を紹介するというような仕組みを現在ハローワークとも連携しながら進めている。
 大卒については、昨年の最終的な就職状況については労働局から公表になっていないので把握していないが、いずれ大学等との就職担当者の会議も先日開催し、残っている方については一義的には大学の就職担当課の方で継続的な支援をすると。県においても、ジョブカフェ等への誘導をしており、それから3月2日、15日に大学生の未就職者を主に対象とした合同面接会を開催する予定であり、この中で何とか就職していただけるように努めていきたい。

【斉藤委員】
 大卒の未就職というのは去年過去最悪で、今年はそれを上回るのではないかという状況で推移していると思う。あらゆる手立てをとってやっていただきたい。
 よくミスマッチと言われるが、根本は大企業が採用を大幅に減らしたということである。もう1つは、ミスマッチというのなら、県内の優良企業とのマッチングにもっと県が力を入れて、県内就職を希望する学生が多いわけなので、そのあたりの取り組みも必要なのではないか。

・労働委員会の委員の選任について

【斉藤委員】
 先ほど労働委員会審査で聞いたら、10月から改選をされたと。労働者委員は連合が5人独占している。こんな不公平なことはないと思う。
 連合ができる前は、実は県労連と同盟は3:2だった。このときの組織率は4:1である。いま、連合、いわて労連、その他、これは3:1:1である。20年間労働者委員を連合ができてから5人全てが独占するというのは全く不公正な選任ではないか。なぜこういう結果になったのか。選任基準、検討経過を含めて示していただきたい。

【労働課長】
 選任基準については、労働組合法の趣旨に則し、労働組合から推薦された者の中から適任と考えられる方を総合的に知事が判断して選任している。
 判断基準については、その時々の被推薦者について、総合的に判断している。

【斉藤委員】
 全国で連合が独占しているところ、していないところはどうなっているか。

【労働課長】
 現在、宮城、埼玉、千葉、長野、大坂、和歌山、高知、京都、滋賀など11都府県で12人の労連系の委員が任命されていると承知している。

【斉藤委員】
 中央労働委員にも全労連推薦の委員が任命されている。岩手の方が全労連系の組合員数の比率は多い。連合がつくられる前は3:2で県労連と同盟の委員は選ばれていた。戦後の労働行政というのはそのようにしてきた。
 岩手県から、いわて労連に対して女性の委員を推薦してほしいと要請した。いわて労連は女性の委員を推薦した。しかし今回女性の委員は誰もいない。女性の委員がいないということは、男女共同参画の観点からも問題である。女性の比率を3割5割に高めようというときに、あなた方がわざわざ推薦して、しかしそれは選ばれない。女性は誰もいない。これが不公正でなくて何なのか。

【労働課長】
 委員の任命にあたっては、労働委員会制度の規定にある労働組合法の趣旨および任命手続きに則して行うべきものと考えている。
 女性の登用を積極的に行うという観点からのみ任命することはできないものである。推薦があった方々全員の職歴、労働関係経歴、労働組合における活動状況などを総合的に勘案して判断した結果であると考えている。

【斉藤委員】
 部長にお聞きしたい。労働者委員は、いわば労働者、組合員の構成比率で選ばれる。3:2というのは逆にいけば構成比率以上に選んでいた。ところが連合ができてから20年間独占している。これを不公正と言わないで何と言うのか。全国はすでに11都府県で組合員の構成に応じて全労連推薦の委員が選ばれている。岩手県はそこと比べたら労連の比率が高い。
 そしていわて労連は、女性の委員を推薦してほしいと岩手県から要請された。当然だと思う。女性の比率を高めるのは男女共同参画、いろんな審議会の委員で女性の登用を上げていくのは当然の要請だったと思う。しかし結果的には女性は選ばれていない。これは男女共同参画からいっても、あなた方の要請からいっても県の方針に反するのではないか。
 そしておそらく現場は公正にしようとしたが、知事の総合的判断で結局連合の独占になってしまったのではないか。知事が連合から推薦されているなどということでこういうことがあったら、これは全く不公正な行政である。選挙のときに推薦されることはあっても、行政は公平でなくてはならない。やはり労働組合の実態・公正に基づいて、県民の誰が見ても公正だと思われるような行政をすべきだと思うが、そういう点でいくとこの間の検討経過、知事の総合的判断、どこで連合独占という判断がされたのか。

【商工労働観光部長】
 労働課長が答弁したように、委員の選任については、まず法に基づき手続きをきちんとやると。それから委員としてふさわしいかどうか総合的な判断ということで選定している。
 どこに所属するかどうかというよりは、総合的な判断の中でこういう結果になってきたものと思う。
 女性の委員については、どこの団体に対しても、女性の委員を推薦してほしいということをお願いしていると思うが、単に女性だからということで優先順位が上がるものではなく、これも総合的な判断で結果として今回は女性が入らなかったということで、決して特定の団体にだけ女性を推薦したということはないものと聞いている。
 いずれ委員については、公正な手続き、知事の総合的な判断によって選ばれたものと受け止めている。

【斉藤委員】
 今の答弁だと、いわて労連推薦の方はふさわしくなかったという話である。そんなことはないと思う。雇用・失業相談で年間500〜700件の相談をしているのはいわて労連である。まさに今労使で、リストラや賃金未払いといった問題をローカルセンターとしてやっているのは実績から見てもいわて労連である。
 そして女性を推薦してほしいという要請に応えて女性を推薦した。他からは女性は出なかった。連合にも要請したかもしれないが、連合からは出なかったのである。やはり結果が大事である。20年間、それ以前とは違って連合が独占しているということは、県の選任、労働行政としてはきわめて不公正である。そういうことでは県民の理解は得られない。