2011年2月28日 商工文教委員会
教育委員会に対する質疑(大要)


・シックスクール問題について

【学校施設課長】
 校舎使用再開後に新たなシックスクール症候群が発症した、体調を崩したという事例はないと聞いている。
 原因究明についてだが、奥州市においては、シックスクール症候群発症の原因を究明する、あるいは市の対応策の検証、さらには今後の再発防止に向けてのマニュアル策定に向けての提言をいただくという目的のもとに、第三者委員会、正式には奥州市シックスクール症候群調査委員会を11月に立ちあげて、これまで5回ほど現地調査を含めて会議を開催している。その報告書についてはまだ取りまとめられていないが、会議そのものは終わったようだがこれから文書でいろいろやりとりをして報告書をまとめるという段階である。我々が会議の審議の状況でうかがっているところでは、接着剤などが原因でないかという話があったので、廊下や掲示板クロスなど校舎の4カ所から接着剤のサンプルを採取し、専門業者で分析をしていただくといったようなことなどもしたようである。結果としては、仕様書通りの接着剤であったといったようなこともあり、いわゆる個別の原因物質の特定というのはなかなか難しいのではないかというような状況になっている。

【斉藤委員】
 発症した場合には、すぐ治らないというか、深刻な問題で、これは教訓にしていかなければならない。
 原因究明が進まないが、ホルムアルデヒトとかトルエンと言っているのは時代遅れである。それ以外の物質でシックスクール症候群が発症しているというのが全国的な新しい問題である。そういうことも含めて調査すべきである。国が指定した物以外のところで発症しているというのが今の新しい問題だし、胆沢第一小学校もそうだと思う。TVOC検査をやっているので、そこで全体の有機化合物のデータが出るわけだから、そういうことも含めた徹底した究明をすべきである。
 環境保健センターの専門家に聞けば、それはすぐできると。そういう今の科学技術の水準にはあると話しているので、本来は早い時期にできたのだと思う。それをやらずに過ぎてしまったということは、3月にシックスクール症候群が発症して7月まで放置してしまった。ここに一番の問題があったのではないか。
 今のレベルにふさわしくきちんと対応していただきたい。

・教職員の多忙化について

【職員課総括課長】
 我々も平成21年度に、職員団体の方も含めワーキンググループを設置して、多忙化の改善策について検討して提言をさせていただいた。その際に、例えば現場でどういったことが忙しいのか、多忙化の原因になっているかということで、その改善策として、例えば校務文書見直し、あるいは部活の休業日を設定する、発出文書厳選といったことを提言させていただいたが、具体的に現場でそれがどのように多忙化の改善に役立ったかというのはなかなか把握はできていない。そこで、何に時間を取られているのか、どういうことにメスを入れるべきなのかということで、現場からの要望等もあり、実際に時間外勤務の状況、時間を全部チェックしてみようということで、23年度から現場の教職員の皆さんに協力をお願いすることにしている。どういったことに時間がかかったのか、各職員がどれだけ時間外勤務をして、その業務内容はどうだったのかというのを全部登録してもらうと。今パソコンが行き渡っているので、簡単にワンタッチで時間を入力して、我々が考えられる業務の中身をABCDと並べて、Aの業務でどれだけかかったというようなチェックをしてもらい、それを学校ごとにまとめて全体をまとめていくということで、こういったことはもっと改善の余地があるのではないかということを実際の数値でチェックして検討していくと。そういったことを登録することにより、現場の皆さんも教職員自らが改善の余地についての認識、改善策への取り組みについての資料にできるのではないかという趣旨も踏まえ、23年度から業務時間の把握をお願いしようということで、今具体的なやり方を現場の皆さんに説明し、一緒に取り組んでいく考えである。

【斉藤委員】
 県立総合教育センター中学校教員調査というのを紹介した。17日に教育研究発表会までやられている。
 来年度、どの業務にいくら使っているか調べるというのは、今さらという感じを受ける。教員の多忙化が問題になり、あなた方が報告書まで出して、だいたい実態は分かっている。業務が多いということと先生が少ないということである。根本的なメスを入れようとしないから、調査ばかりになって解決に結びつかない。
 例えばこの教育センターの調査でも、部活動で時間がとられ、宿題の準備も授業の準備もできないと。もう1つは、部活動で子どもたちが疲れているから宿題を出しにくいということが報告されている。部活動の問題については、地域のそういう専門家を積極的に活用するとか。あとは中学校も少人数学級にして先生の負担を減らすと。負担を減らすという抜本的な方向に踏み出さないと進まないのではないか。
 部活動に先生が携わっているというのは、日本的な教育のあり方だと思う。諸外国ではない。しかし子どもの成長にとってはクラブ活動が大きな役割を果たしているというのも重要な側面なので、日本的な教育の特徴・特性を生かしながら、しかし思い切って専門家を活用できるところ、地域の方々を活用できるところは活用していく方向が必要ではないか。

【佐々木教育次長】
 2月中旬に総合教育センターで行われた県の教育研究発表会で、委員ご指摘のような研究結果を提示した。総合教育センターの調査結果では、問題になったのは、子どもたちの15〜20%が平日4時間ぐらい部活動、それに引き続くスポ少活動があり、かなり長時間毎日活動しているという実態が昨年度の調査で分かっていた。この部活動に引き続き、同じ場所でスポ少に切り替えると。そのときに地域の指導者が入るときもあるが、教員が引き続き指導者として6時を境にその後スポ少の指導者という形で活動している事例が2割程度あった。そこのところで、なかなか家庭学習や課題の準備、チェックの時間がとれないというアンケート調査だった。
 このことについては、シンポジウムを開催したわけだが、パネラーからはいろんな意見があったが、いずれ運動部の場合には2時間から長くても2時間半ぐらいが適当ではないかと。中学生であれば6時〜6時半ぐらいには下校するというのが適正ではないのかという意見をいただいた。ただ、やはり全国大会等に進出する部活動を持っているような学校は、保護者や地域からの期待も大きい、子どもたち自身もやりたいということがあり、最初から全部押さえつけていいのかという意見もあり、やはり学校と保護者との話し合いをきちんと行うことにより、科学的なスポーツ活動になるように、県教委ならびに市町村教委はそういう話し合いをサポートしていくことが必要だという提言もいただいた。
 我々としても、その方向で各学校を指導した上で、保護者の皆さんとの話し合いをしていただけるようにサポートしていきたい。

・スクールカウンセラーについて

【生徒指導担当課長】
 配置状況については、今年度国の補助事業とした小学校6校、中学校126校に配置し、週1回・年間35回という配置である。他に、巡回校として中学校61校、これは年6回の訪問となっている。高校1校、これは県立杜陵高校に配置している。また県の単独事業として、高校カウンセラーを県内高校10のエリアに分けて10名配置している。よって、中学校・高校にあっては、すべての中高においてスクールカウンセラーを活用できる体制を整えている。
 待遇についてだが、非常勤職員ということで、非常勤職員の取り扱い要領に基づいて、給与については報酬ということで実施しており、交通費については費用弁償という形で実施している。先ほど述べたように、多い方で週1回、複数校かけ持つと2つ3つということにもなってくるが、おおむねそういう形で他の職業と兼ねている方々もいるような状況にあり、現在非常勤職員ということで対応させていただいている。

【斉藤委員】
 結局待遇が悪いから、別の仕事をせざるを得ない。教員OBがやっているところもあるので、例えば教員OBの場合は、地域の中学校だとか高校に行くのは良いと思う。しかし若手の専門的な資格を持った人たちは、一関に行ったり宮古に行ったりしている。
 そして非常勤待遇だというが、実際には請負である。こういう貴重な専門家を専門家としてどのように活用するかというのは、2種類あるので一律には言わないが、実態を含めて、これから需要が高まる分野で効果的で適切な対応を検討すべきではないか。

【生徒指導担当課長】
 委員ご指摘の通りだろうと考えている。なかなか本県は専門家というか、臨床心理士の方のニーズというのも限られているので、そういう方々とも連携をとりながら十分今後の対応については検討していきたい。