2011年3月1日 2月定例県議会・本会議
議案に対する反対討論


 日本共産党の斉藤信でございます。議案第82号、83号に反対の討論を行います。
 この二つの議案は、津付ダム建設橋梁工事とトンネル築造工事の請負契約に関し議決を求めるものであります。
 津付ダム建設事業は、「できるだけダムに頼らない治水対策」を求める国の検証対象ダムとなり、11月15日に大規模事業評価専門委員会に諮問されたものです。ところが、津付ダム橋梁工事とトンネル築造工事の入札は、再検証、再評価の審議が行われているさなかである12月2日と3日に行われました。本来再検証、再評価の結果を待って行われるべき事業です。
 津付ダム建設事業は、県の再評価案でも、ダム+河川改修が総事業費165億円、河川改修事業費が93億円となっており、ダム建設の方が72億円も過大となるものであります。また、河川改修を行った場合、付け替え工事を継続する事業費は26億円と試算されており、道路事業費を加えてもダム建設の方が46億円過大となるものです。深刻な県財政の危機的状況の下で、新たなムダ遣いを行うべきではありません。
 また、ダム建設による自然環境の破壊と河川の生態系の破壊も重大です。大規模事業評価専門委員会が県にまとめさせた「気仙川治水対策比較表」においても、ダム建設が環境、生物に与える影響は甚大なものがあると明記されています。動物への影響では、ほ乳類で6種、鳥類で26種、爬虫類で2種、両生類で2種、魚類で3種、昆虫類で14種、底生動物で4種の重要種が確認されており、クマタカの環境保全措置やその他の環境配慮が必要と指摘されています。植物でも重要種は28種の環境保全措置、環境配慮事項が必要となっています。自然環境と気仙川、大股川の生態系は地域住民の共有の財産であります。
 ところが、今回の検証にあたって、まともな環境への影響も検証されませんでした。地域住民には説明会も開催されず、一部流域住民だけの説明会に限定したことも問題です。
 津付ダム建設事業の再評価、再検証に対する態度は、達増知事の姿勢を問う重大な課題でしたが、自ら検証する立場がなく、ムダなダム事業を見直す絶好の機会を放棄し、県財政の危機的な状況の下で、さらなるムダ遣いを進める姿勢を示したものです。
 私の一般質問でも紹介したように、熊本県の蒲島知事は、2008年9月に、本体工事だけを残した国の直轄ダムである川辺川ダムの建設中止を決断しました。その理由は「球磨川そのものが、かけがえのない財産であり、守るべき『宝』なのではないかと思いいたった」というものです。大阪の橋本知事も最近、本体工事が始まっていた槙尾川ダムの建設中止を決断しました。その理由は、専門家を入れた委員会での検討の結果、河川改修の方が費用が少なく、環境への影響が小さいことが明らかになったことでした。
 今こそ、ダムに頼らない治水対策へ、流域全体で受け止める治水対策へ転換を図るべきであります。津付ダムの建設は中止し見直すべきであります。
 以上申し述べ、議案第82号、83号に対する反対討論といたします。ご清聴ありがとうございました。