2011年3月3日 予算特別委員会
議会事務局に対する質疑(大要)
・政務調査費にかかる訴訟について
【斉藤委員】
昨年11月19日の盛岡地裁の判決内容と対応について。判決で違法支出とされた主な事例はどういうものか。
県が控訴した理由は何か。県議会の意向はどのように把握したのか。
県民の目線で、本来なら返還して政務調査費の改善を図るべきではなかったか。
【議会事務局長】
盛岡地裁の判決で違法支出とされたものの主な事例だが、金額の大きい項目で述べると、1点目は違法な人件費、2点目は親族・関連会社からの事務所借上げ費、3点目は按分率50%を超える事務所費(内訳は電話料金等の通信費が主なもの)の3点である。
控訴した理由だが、議員がいかなる政務調査活動を行うかは、議員の自主性が尊重され、政務調査費の使用にあたっては議員の広範な裁量が認められているとされているが、一審判決では、議員の裁量が限定的にとらえられているものがあること、今後政務調査制度をより適切に運営していくとの観点から上級審での判断を仰ぐことが必要であると考えたことが理由である。議会の意向については、会派の代表者会議を開いていただき確認させていただいた。
本県訴訟で争われているのは、平成17年度の政務調査費についてであり、使途基準から見て明らかに逸脱しているものはないものと考えているところであり、どのような調査研究活動経費に政務調査費を充てるかについては、使途基準の範囲内で議員個々の広範な裁量に委ねられていると解されているものである。さらに、政務調査費の事務処理マニュアルは、議員が政務調査費のより適切な執行に資するよう運用の目安として定められているものである。このような観点から見て、明らかに違法な支出とされるものはないと考えている。また、今後の政務調査費制度をより適切に運用していくことからも、上級審の判断を仰ぐべきとの判断がなされ、控訴したものである。
【斉藤委員】
私もこの裁判記録を全部読んだ。盛岡地裁の判決というのは、1件1件厳密に検討して、違法と認定するもの、そうでないものと分けている。ですから、オンブズマンから指摘された4000万円前後の問題については、423万円に限定して違法支出だと。
その中で例えば、けやきの会の会費というものがある。これは小沢一郎氏の政治活動を支援するという会費が複数あるし、飲食を主とする懇談会費・懇親会費、これは今の政務調査マニュアルでも該当にならないものである。かなり厳密なものだったのではないか。
昨年提出された政務調査費を見ても、まだまだ政務調査マニュアルから見て問題だというものがあるのではないか。本来これは自浄作用で発揮すべきだし、私たち税金を使っている身からすると、やはり県民の目線で、少しでも疑惑を持たれているようなものは改善して見直すという姿勢が大事だと思う。
本来、控訴せずに自主的に返還して、政務調査費のあり方は抜本的に改善すべきだったと指摘しておく。
・県議の海外視察について
【斉藤委員】
全国の都道府県議会の一番新しい動向はどうなっているか。実施しているところはどれだけあるか。
海外視察を岩手県が中止した場合、どれだけの予算の削減になるか。
【議会事務局長】
全国の動向は、平成22年6月の長野県調査による結果によると、実施中が28都道府県、休止・自粛中が19府県となっている。実施中の28都道府県のうち、平成21年度に実際に海外視察を行ったのは19県であると聞いている。
海外視察を中止した場合の削減額は、平成23年度当初予算で見ると、当初予算に12人分・1080万円を計上しており、この額が節減額となるもの。
【斉藤委員】
民主党も4年前は、海外視察を中止という公約を掲げた。これは残念ながら4年間で中止できなかったのはきわめて残念だった。こういうものこそ自ら襟を正してやるべきだったのではないか。
・県議の報酬削減について
【斉藤委員】
知事部局は、給与条例で引き続き幹部職員の場合は、給与並びに手当の削減というのが出ている。県議会がどう対応するのかというのも問われたと思うが、これは代表者会議で検討されたと聞いているが、どういうものだったか。
我々が住民アンケートを実施した中で、2つ大きな意見があった。1つは、議員の定数を削減すべきだと、そして報酬が高すぎると。定数というのは、広い岩手県土の中で簡単に削減すべきではないと思う。同時に、報酬の問題について見れば、県民の目線からいったら2割程度の削減は必要ではないかと。全国的な動向を含めてそういった検討が必要な時期になっているのではないかと思うが、2割削減した場合にどれだけの節減となるか。
【議会事務局長】
代表者会議においては、平成23年度の議員の報酬に関する検討が行われた。23年度の知事・副知事の特例減額および現在行われている議員報酬の特例減額の状況、あるいは東北各県の実施状況をもとに検討している。その上で、各会派の意向も確認いただき、改選後の協議に委ねることが確認された。
2割削減した場合の額だが、議員定数48人で積算すると、報酬総額が約4億4500万円になるので、2割削減すると年間約8900万円が節減される。