2011年3月3日 予算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)
・県立大学看護学部での養護教員の養成について
【斉藤委員】
県立大学の看護学部で、養護教員の養成をやめるのではないかというので、不安の声が新聞でも出ていたが、養護教員の養成について県立大学はどう取り組まれるのか。
【管理課長】
県立大学では、看護学部に養護教諭1種免許を取得できる教職課程を設けており、引き続き養護教諭養成課程を継続するものであると聞いている。
・県財政の状況について
【斉藤委員】
県債残高、後年度負担比率、基金残高等の決算額の総額に対する比率、全国的な順位はどうなっているか。
県税収入、地方交付税収入が来年度は増えることになっているが、21年度の決算では、県税収入184億円減、法人事業税が127億円減となっていた。22年度の見込みも含めてどのように推移するか、来年度どこまで増えるのか示していただきたい。
そして厳しい財政状況の中で、事業の選択と集中だと。これは具体的に、何を選択して何に集中するのか、どういう予算になっているのか。
【予算調製課総括課長】
県財政の全国的な位置づけだが、委員からは決算総額との比較ということだったが、例えば、貸付金など身の丈と比べてやっているサービスがかなり上限があるので、標準財政規模という一般財源の標準的な規模と示されているものがあるので、それとの比較で申し上げる。当初予算額でいくと、当初予算の規模は全都道府県中、標準的な財政規模に占める割合で申し上げると、大きい方から23番目ぐらいの中位。県債残高の標準財政規模の比率は、大きい方から5番目、財政調整基金および減債基金の基金残高は大きい方から24番目であり、今年度の負担比率として、県民の実質の今年度の負担の状況を示す平成21年度の将来負担比率は高い方から3番目という状況である。
【税務課総括課長】
県税収入の平成22年度決算見込みについては、総額1008億円を見込んでおり、平成21年度前年決算額に比較し、49億円の減と見込んでいる。
法人二税は、平成22年度決算見込み167億円と見込んでおり、21年度決算と比較して役12%の減と見込んでいる。
平成23年度の県税収入は、個人県民税等で減収が見込まれるものの、企業収益の一定の回復により、法人県民税・事業税の増収が見込まれるところであり、平成22年度当初予算と比較し、2.5%増の1400億円と見込んでいる。
法人二税の増収については、各企業の中間決算の状況や、大口企業への個別照会をもとに見込んだものであり、特にも、機械。電気機械等の製造業において増収となる見通しであることから、平成22年度当初予算と比較し33億1200万円、22.6%の増加となる。
【予算調製課総括課長】
地方交付税等の予算計上について。平成22年度当初予算との比較だが、国の経済対策の一環として交付税原資が1兆3000億円ほど、国税収入の増に伴い交付税の原資が増えたこと、そのうち3000億円を22年度中に各地方公共団体に交付する、残り1兆円を22年度から23年度にまわし、23年度の交付税の原資にするという措置が取られた結果、本県分の交付税としては、およそ30億円が追加交付されたということがある。
こうしたことを踏まえ、2月補正の額として、交付税52億円ほどの増を見込んでいる。
23年度の見込みについては、23年度の地方財政対策の結果として、国の一般会計からの別枠加算の維持や繰越金の活用等により、地方交付税総額が増額となった。また23年1月25日に開催された「全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議」において、総務省より示された普通交付税の推計にかかる留意事項等を勘案し、22年度当初予算と比較し2.6%増の2268億円を見込んでいるところだが、総額として臨時財政対策債が大幅に減少する見込みであることから、県税収入と地方交付税等と臨時財政対策債の合計では、約46億円の減少を見込んでいる。
選択と集中の具体的な内容について。県としては、政策分野のどこを削るというよりは、1つ1つの事業を地道に削ったというのが回答であり、予算の作り方としては、来年度どういう事業が必要なのかということについて、知事をはじめ副知事および関係部局長で何度も協議を行い、既存事業のスクラップにより生みだすなど、予算要求の段階から選択と集中を図りつつ、予算査定の段階においても、要求がなされた全事業について、その必要性、緊急性等をさらに精査して予算編成を行ったところである。その上で、予算計上した主な事業としては、骨格予算ではあるが、県民の仕事と暮らしを支えるために必要な事業や、平泉の関係や「いわてデスティネーションキャンペーン」に向けた取り組みなどにかかる予算を計上したところである。
【斉藤委員】
岩手県の財政状況というのは、予算調製課長の回答でも「県債残高では全国5番目」と。今年度負担比率では全国3番目と。
実は総務省が「都道府県の姿」ということで2010年版でまとめているものがあるが、これは決算総額費で地方債権残高の割合は全国2位である。大変厳しい県財政の状況だと思う。そこで具体的な選択と集中を聞いたが、よく分からなかった。
・滞納整理機構の取り組みについて
【斉藤委員】
滞納整理の実績とその中身、処理状況、その中での国保税の滞納の比率とその処理、生活費まで差し押さえ処分をしているのではないかと思うがいかがか。
【税務課総括課長】
平成22年度における滞納整理機構の整理対象額は、個人住民税や国保税等の市町村税の総額で、今年度の市町村からの引き受けが4億500万円余、前年度からの繰り越し分が3億5500万円余あるので、計7億6000万円余となっている。
この整理対象額のうち、平成22年11月末において差し押さえの看過により徴収したものは、1900万円余、任意の納付があったものは6200万円余であり、納付制約中のものが8100万円余、差し押さえ継続中のものが8600万円余となっている。
滞納整理機構の引き受け分の、22年度11月末現在の未納額は5億8500万円余となっており、うち国保税は2億3500万円余となっており、未納額に占める国保税の比率は約4割となっている。
滞納整理機構では、個人県民税を含む、個人住民税などをはじめとした、市町村税の大口滞納事案や徴収困難事案を集計し整理しているが、複数の税を滞納している者から徴収した税の振り分けは、市町村ごとに市町村長が行っているため、処分徴収した金額の国保税への配当については把握していない。
給与や年金などについては、国税徴収法の規定の例により、生活の保障の配慮から一定の金額までは差し押さえができないこととされており、滞納整理機構においてはこれまでこうした差し押さえ禁止財産を差し押さえたことはない。また、滞納処分の実施にあたっては、滞納者の個別的・具体的な実情を踏まえて、滞納者の生活を著しく困窮させる恐れがときなどにおいては、その執行を停止することができるとされており、個々の滞納者の状況も踏まえて県においては適切に対応してきているものである。
【斉藤委員】
総括質疑で、給与や年金まで差し押さえしていると紹介した。給与を会社で差し押さえするから生活費を差っ引ける。年金は振り込みでなされ、預貯金になり全部生活費を含めて差し押さえになるのではないか。
2月2日のNHKの特集で、16万円を差し押さえられてゼロという実態があった。そういうことはないのか。年金の場合はどのように生活費が確保されるのか。
それから、もう1つ例で、自動車税を滞納していたと。派遣労働者で8万円そこそこ。預金通帳は残金ゼロ、生活費がまったく無くなってしまった。こういう差し押さえは間違いだと思うがいかがか。
【税務課総括課長】
総括質疑でもお答えしたが、1人あたり10万円だとか、生計の同一親族がいる場合に1人あたり4万5000円を超えた額というのが差し押さえ禁止額として計算し、それを差し引いた上で差し押さえ可能額を計算する。
年金も、この給与の例に準じて差し押さえ可能額を計算した上で処分をしているものである。
自動車税の事例があったが、県ではそういった事例はないものと認識している。個々の滞納者の状況を踏まえて、適切に生活困窮者等に対しては、さまざまな納税相談だとか財産調査などを行った上で、分割納付等も認めた上で対応している。
【斉藤委員】
自動車税の問題は、盛岡振興局の例である。それで生活費がなくなってしまったのである。年金は振り込まれた段階で生活費が引かれるのか。
【税務課総括課長】
年金についても、預貯金の例に準じて、生活費だとか生活の維持のための費用も認められているので、そういった計算を行った上で、差し押さえ可能額を計算している。
自動車税の例については、生活困窮者に対してそういった滞納処分をしていたということであれば、それについて調査した上で適切な対応をさせていただきたい。
・県庁施設の全面禁煙の取り組みについて
【斉藤委員】
県庁は来年度から全面禁煙に取り組むと。その取り組み状況はどうなっているか。
【総務事務センター所長】
昨年9月に職員安全衛生管理委員会において決定した「岩手県職員受動喫煙防止対策基本方針」に基づき、すでに実施している庁舎を除き、県庁をはじめ各地区合同庁舎と単独庁舎においては、各庁舎管理者において建物内全面禁煙に向けて準備を進めているところである。
この結果、4月には、遠野地区合庁を除くすべての庁舎において建物内全面禁煙を実施する予定である。
遠野地区合庁については、敷地内に新たに喫煙場所を設置することについて、諸事情から調整がつかないため、引き続き庁舎内完全分煙を継続して受動喫煙防止に努める予定である。
・防災対策について
【斉藤委員】
ちょうど昨年のチリ大地震津波から1年、岩手・宮城内陸地震もあった。こうした教訓を踏まえて来年度の防災対策はどう取り組まれるのか。
この間、去年のチリ大地震津波のさまざまな教訓や問題点として、公的避難所への避難率が低かった、車での非難がおおかった、避難所の運営に問題があった、防災教育の必要性などが指摘されているが、来年度の取り組みを示していただきたい。
【防災危機管理監】
チリ津波や岩手・宮城内陸地震への対応の教訓を踏まえ、県としては、地域防災計画の修正を行うとともに、地域防災力強化プロジェクト事業の一層の展開を図りながら、地域防災力の強化に取り組んでいる。
内陸地震では、職員の参集状況の改善や、DMATとの連携について地域防災計画に取り入れて、訓練も重点的に行うということをしている。また、ヘリコプターの運用についても運用調整要領を整理した。
それから、災害対策支援室の体制強化を図った。これらは、内陸地震の教訓を踏まえ、逐次、防災計画等により改善している。
またチリ大地震津波においては、アンケート結果で、避難所から帰った方もいた。これは津波に対する正しい知識が不足しているということで、正しい知識の普及、啓蒙をより図るように、そういう対策を推進している。
そして、自主防災組織率の高い方が避難率もいいということで、お隣、ご近所を誘い合いながら、避難をしたということもあり、自主防災組織の育成強化を図っているところである。それから、要援護者の支援体制の整備も保健福祉部と連携しながら実施している。
車での避難についてだが、これは我々としても問題意識をもっており、車で逃げたら危険ということを正しく認識させる必要があるということで、徹底させたい。
避難所の居住環境の整備についても問題となったが、逐次市町村と連携しながら整備を進めている。なかなかこれは予算上の都合があり進まないところが現状である。