2011年3月4日 予算特別委員会
秘書広報室に対する質疑(大要)
・秘書広報室のトップマネジメントについて
【斉藤委員】
知事のトップマネジメントとは何か。それを秘書広報室はどう支えてきたか、具体的に示していただきたい。
【秘書広報室長】
知事が政策の判断に直ちにできるような環境づくりをしていくということで、そういった意味でのトップマネジメントを支援するのが我々の仕事だと思っている。
そのためには、情報をいち早く収集していくかということで、さまざまなところから情報収集している。
また、県が進めている政策についても、大いに情報発信して理解してもらうと。県民の方々、県外の方々にも理解してもらうということで、情報発信を積極的に進めている。
さらには、知事と各部とのパイプ役を十分に果たすということを考えて取り組んでいる。
【斉藤委員】
機能は分かった。情報収集、情報発信、各部とのパイプ役。この1年間でそういうことをやって、知事は具体的にこういうトップマネジメントを発揮したというものはあるか。
【秘書広報室長】
我々は、そういった3つのことを取り組んできて、さまざまな形で知事は施策の前進が図られたと考えている。
これだというものについては、すぐには思い浮かばないが、新しい計画に基づいたそれぞれの事業が前進していると考えている。
【斉藤委員】
すぐに思い浮かばないということが問題である。トップマネジメントでの具体的成果がすぐ出てこないといけない。
県庁の職員や県民から聞いて、達増知事の姿が見えないというのが圧倒的感想である。知事が何をやりたいのか、やろうとしているのか。県民に見えない、県職員に見えない。トップマネジメントが発揮されていないからではないか。あるのはツイッター、つぶやきである。つぶやき県政である。つぶやいたって県政は動かない。
やはり岩手の県政をどう動かすか、つぶやきではなく骨太でやらなければいけない。骨太で県政を推進する、それを支援するのが広聴広報課ではないか。
トップマネジメントというときに、知事の定例会見というのは大事である。しかしこの知事の定例会見で、小沢問題について異常な暴走がある。残念ながら改めて指摘したい。例えば昨年8月30日の会見で、「いま小沢一郎さんが日本の総理大臣ではないということはとても異常なことだと私は思っています」―これは異常な発言だと思う。10月8日、検察審査会から起訴議決を受けたとき、「検察の暴走という形で逮捕・起訴に当たらないような人たちまで逮捕・起訴された」と。これは検察批判である。三権分立である。ましてや行政の長が、このように三権分立を批判するというのは異常なことではないか。1月31日に小沢氏が強制起訴された。いま各種の世論調査で、「小沢一郎氏は議員辞職すべき」というのは50%以上、「離党すべき」は20%以上である。やはり国民・県民の世論から知事はかなり乖離しているのではないか。それをトップマネジメントの場で毎回発言するというのは、最悪のトップマネジメントではないか。昨年の決算でも指摘して、秘書広報室として適正に支援する必要があるのではないかと指摘した。そういう協議を知事としたか。
【秘書広報室長】
知事の発言については、記者会見で記者からの質問に対して、政治家としての知事自身の考え方により対応されたものと考えている。
【斉藤委員】
定例会見というのは「知事」としての会見である。知事の姿勢・立場が一番表れるのである。だいたい想定問答はあるのだから。強制起訴されたら必ず聞かれる、それにどう答えるかというのは知事任せではないのではないか。もっと英知を結集して的確にやらなければいけないのではないか。まったく小沢問題については、知事の独走・暴走なのか。
【秘書広報室長】
政治家としての知事自身の考えによる対応だと考えている。
【斉藤委員】
それについては、協議もしていないのかと聞いている。議会で取り上げているのだから。そういうことがこれから続いたらまずいと。マイナスのイメージだけ広がると。国民世論が7割8割、国会で説明をしない小沢氏に対して「議員辞職すべき」「離党すべき」というのが世論である。そういうときに、それに挑戦するような異常な発言が続いているということについて、県政にマイナスだと思う。県政の問題として聞いている。あなた方はそういう立場で知事と協議していないのか。
【秘書広報室長】
政治家としての知事自身の考えにより対応している。
協議については、我々としてはしていない。
【斉藤委員】
県議会の議論を踏まえてやっていただきたい。県政の問題として取り上げているので。知事の定例会見というのは「知事」の会見で、分けて政治家個人の会見をしているわけではない。そして知事の定例会見というのは一番のトップマネジメントである。ここで知事が何を発信するか、それを県民は見ている。異常な発言しか届かなかったら、あなた方の情報発信などというのはマイナスしか届かない。情報発信が台無しになっているとは思わないか。
【秘書広報室長】
我々としては、岩手県のさまざまな資源について、大いに県内外に情報発信・PRしている。
そして、さまざまな記者会見での、記者からの質問に対して、知事が政治家としての知事自身の考えを答えているものである。
【斉藤委員】
県政の問題として、こういう知事の暴言というのは是正すべきだと。これは県政にとってマイナスの発信だと。秘書広報室の機能を失ってしまうという問題だと指摘した。
1月1日の知事の行動については、この間も議会で議論されてきた。私も大変異常だと思う。1月4日の定例会見で、「『自治体代表できました』とあいさつしましたら、『おおそうかそうか』という言葉を交わしただけである」と。知事は自治体の代表として行ったのか。
【秘書広報室長】
1月1日の行動については、知事の判断で東京に行ったものであり、我々はその中身については詳しく承知していない。
【斉藤委員】
これは知事が個人で休暇をとって行ったということではないか。「自治体の代表としてきた」というのは何か。自治体の代表だったら、災害対策に全力を集中するというのは当然である。1月1日というのは、一番被害が大きかったときである。交通止めにしても、沿岸の暴風波浪の被害にしても、一番被害が大きかった。そのときに休暇をとって、小沢一郎氏の新年会に行っていた。そしてその発言も問題だと思う。これは定例会見の発言である。事実と違うではないか。自治体の代表なんかで行ってはいないのではないか。
【秘書広報室長】
1月1日の出席されている方々や中身については承知していない。
【斉藤委員】
知事が定例会見で言っている。承知していないということはないではないか。知事の会見をまとめているのは広聴広報課ではないか。それを読んで質問している。定例会見という公式の場で知事が述べた。あなた方はそれをまとめてホームページに載せた。私はその事実について聞いている。
【秘書広報室長】
1月1日の行動については、政務ということで上京されたものであるので、どういった出席の方々なのか、どこでやられたのかというのは我々は承知していないので答弁しかねる。
【斉藤委員】
知事の定例会見で公式に述べたのだから。私は知事の会見は正しくないと思う。休暇をとって私的に行ったということだと思う。
・1400万円の知事公用車、副知事車の使用状況について
【斉藤委員】
この問題については、今でも県民から驚きと怒りの声が寄せられている。県民が本当に今収入が減少して、大変な状況の中で、1400万円の知事公用車を購入するなどということについて、これは姿勢の問題として驚きと怒りが広がっている。先日も岩手日報の「声」の欄にも載っていた。
県にはそういう声は届いていないか。
【広聴広報課総括課長】
県政提言を通じて、公用車の問題については届いている。11件ほど寄せられた。
【斉藤委員】
知事のトップマネジメントは知ること、県民がどこでどう困っているかというのだったら、その感覚と完全にかけ離れているのが1400万円の知事公用車だったと思う。
この公用車は実際にどう使われているのか。自宅マンションと県庁との通勤の使用状況、それ以外はどうなっているか。
【秘書課総括課長】
昨年2月に更新して以来、本年2月末までの間、レクサスの稼働日数は281日となっている。うち県庁と通勤のみに利用した日数は44日となっている。その他の237日については、出張等の公務によって利用されている。
【斉藤委員】
副知事車も3500ccと基準を超えたものを購入してしまった。これも高かった。今副知事車は2台になっているが、副知事車の使用状況はどうなっているか。
【秘書課総括課長】
更新した副知事車の使用実績については、平成21年12月に更新して以来、本年2月末まで、稼働日数が148日となっている。公務を行った日が314日あるので、稼働率とすれば47.1%となっている。
上野副知事の公用車の使用状況だが、昨年9月に就任して本年2月まで6ヶ月経過したが、稼働日数は87日、公務を行った日が136日なので、稼働率は64%となっている。
【斉藤委員】
臨時交付金を使ったから、高い車を買ったという理由は通用しないと思う。知事自身が知ることだと。県民がどこで困っているかだと。この県民の思いに応えた県政運営というのが知事として一番大事だと。
東北各県の知事公用車は400〜500万円弱であるので、この落差も大きい。
・岩手情報発信強化事業費(2200万円)について
【斉藤委員】
「黄金の国いわて」のコンセプトは、岩手のイメージにも県民の感覚にも合わないのではないか。岩手が発信すべき、今まで「イヌワシの国」だとかいろいろ言っていた。しかし「黄金の国」というのは、金ピカで今の深刻な経済状況、県民の生活苦の状況から見たら、これは全国的な状況でもあるが、岩手を発信するコンセプトとしては、かみ合わないのではないか。
【広聴広報課総括課長】
「黄金の国いわて」については、素晴らしい自然、高品質で安全安心な農林水産物、各地で伝承される民俗芸能、伝統工芸、実直で勤勉な人材など、豊かさと信頼を表明しているものであり、本県のイメージとして使っているものである。
対外的イメージとして、強いインパクトがあり、訴求力があり、本県を象徴するイメージコピーとしてきわめて定着してきていると認識している。
【斉藤委員】
定着しているとは全然思わない。今の情勢の中で違和感を感じる。
特に、平泉の世界遺産登録が大きな山場である。いま世界遺産登録で、平泉で一番目指しているのは浄土思想である。黄金の国ではない。平泉の問題から見ても、こういう押し出しというのはミスリードしてしまうことになると思う。平泉の魅力という点でいっても。「豊かさと信頼」というが、「黄金の国」では、岩手の豊かさ、自然とか農林水産物とか食料品など出てこない。本当にどういう反応があるのか。
【広聴広報課総括課長】
平泉だけを象徴しているものではなく、県全体のいろんな物が持つ輝きといったものをイメージしているものである。
反応については、「黄金の国」については、例えば県外でいろんなイベント等を行い、さまざまなパンフレットを置くと、一番最初に無くなっていくのが「黄金の国」のパンフである。そういう意味からいうと、対外的には非常によく目につくという意味で訴求力が高いと思う。具体例で申し上げると、民間レベルでも「黄金の国いわて」を活用し、販促をしているという例がある。一例を申し上げると、ハウス食品のカレーの宣伝で、ゴルフの石川遼さんが出ているCMがあるが、去年の7月〜8月にかけて、岩手の夏野菜を活用した、「黄金の国いわて」の夏野菜カレーということで、CMを流していただいたという例もあり、またはヤマザキ製パンで県産の山ブドウを使ったパンや和菓子のパッケージに「黄金の国いわて」のシールを貼ったりということで、PR効果は非常に高いと考えている。
【斉藤委員】
おそらく、ディスティネーションキャンペーンで新しいスローガンが定まっていくと思うが、私は県民の実態・感覚に合ったものを是非今後改善する機会があれば改善していただきたい。