2011年3月8日 予算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑(大要)


・長期失業者への対策について

【斉藤委員】
 昨年全国では、失業者は334万人のうち、1年以上の失業者が121万人、前年比で26万人増加した。県内の失業率、完全失業者、長期失業者の状況をどう把握しているか。長期失業者への対策はどうなっているか。実績を含めて示していただきたい。
 全国では、正規労働者が25万人減少し、非正規が34万人増加しているが、県内の状況はどうなっているか。

【雇用対策課長】
 総務省が公表している労働力調査の結果だが、昨年10月から12月までのモデル推計値で、県内の失業率は4.6%・約31000人程度と推定されている。
 長期失業者への対策だが、今般23年度予算においては、いわて求職者個別支援事業ということで、県内2カ所にセンター的な拠点を設けて失業者それぞれの状況に合わせた生活の立て直しから就労までの支援を継続的に支援するという体制をまず組むということで対応していきたい。
 失業者の数の変化について、先ほどのモデル推計値で述べると、昨年10月から12月までの推計値で、失業者が31000人、その前の四半期で7月から9月は33000人と推計されており、そういった点では昨年の第三四半期と第四四半期を比較すると、2000人が減っているという状況である。

【斉藤委員】
 労働力調査で言ったのは、昨年1年間の平均で聞いている。
 長期失業者が3人に1人以上というのは岩手も同じだと思う。この対策がどうだったかと聞いている。個別支援事業というのは対象はわずかである。少なくとも1年以上の失業者は1万人以上である。これらに対する対策がどうとられてきたのかと。1年以上失業になると収入が断たれる、生活の土台がなくなっているわけなので、生活再建策はどうなのか。生保の申請、決定状況はどうなのか。

【雇用対策課長】
 失業者への支援についてだが、体制面としては、これまで県として相談対応の窓口を設置するということで、盛岡と奥州地区に求職者総合支援センターを設置し、ワンストップでの生活・就労相談を行っている。その中身とすると、第二のセーフティネットということで、国の制度だが、例えば生活福祉資金の貸付だとか住宅手当、訓練生活支援給付といったセーフティネットにかかる失業者の方々への給付の事業を、こういったワンストップサービスの相談窓口で情報提供し、それぞれのサービスが受けられるような支援をしている。また、昨年度については、ワンストップサービスデイということで、これまでは2つの拠点が中心だったが、県内各地でもいろんな相談があるということで、昨年10カ所のハローワーク管内で、延べ15回のワンストップサービスデイを開催し、失業者の方々への相談に対応してきた。
 これに加え、先ほどの事業をすることにより、全体として長期継続的な支援をする体制が整いつつあるという状況である。


・電気機械製造業分野の落ち込みについて

【斉藤委員】
 岩手県県民経済計算の速報値が2月に出た。それを見ると、製造業の落ち込みが大きい。特に電気機械製造業の落ち込みが大きいが、製造品の出荷額や従業員の推移はどうなっているか。なぜ落ち込んでいるのか、対策はどうなっているか。

【企業立地推進課総括課長】
 電気機械製造が19年度約5500億円であったものが、20年度には約4400億円となっており、1100億円の減となっており、20%の対前年比減ということになっている。
 若干データは異なるが、我々でおさえている工業統計調査によると、県内の電気機械機具製造の県内の製造業全体に占める割合が8割であるということから、この減の要因というのは、誘致企業が平成20年度秋以降の世界的な景気低迷の影響で大きく生産を落としたためと分析している。
 これに対して、どのようにリカバーしていくかという対策だが、残念ながら即効的に回復させるというのは困難だが、本県のものづくり産業のあり方として、地場、誘致を問わず企業間の結びつきを強め、世界的にも拠点として通用していくということを通じて、景気変動に左右されない足腰の強い産業構造を構築するということが重要と考える。そういった観点からさまざまな支援をしていく。

【斉藤委員】
 全体として、県内総生産の落ち込みの主要な要因と。これは統計調査課でもそういう分析をしているようだが、平成12年のIT不況、20年のリーマンショックと、このことを考えると、岩手の経済の主役である中小企業、地元と密着した地域経済の内需循環型の経済を本格的に進めなければいけないと思う。


・中小企業対策について

【斉藤委員】
 中小企業対策予算は、融資を除くと38億円余である。事業所数で99.8%、常用雇用で89%を占める中小企業対策予算がわずか38億円でいいのか。本当に不十分な対策ではないのか。雇用対策にもならないのではないか。
 中小企業の実態と要求を県として把握しているか。この間、中小企業訪問をやっているので、示していただきたい。

【経営支援課総括課長】
 中小企業振興にあたっては、日常的な中小企業訪問だとか、商工団体との情報交換等を踏まえて、本県の産業集積の促進やものづくり産業の好人材の育成、次世代産業の育成など企業の自立的な成長や発展をうながす施策を中心に予算計上して事業を進めているところである。

【斉藤委員】
 具体的に聞いた。訪問件数、出された実態と要求はどうかと。事業所数で99.8%、常用雇用で89%を占める中小企業対策予算がわずか38億円でいいのかと。
 緊急補償が3月で切れる。これはきわめて重大な影響を与えるのではないか。今まで緊急補償でかなり持ちこたえてきた。今までの実績とこれへの影響について。
 そして、中小企業振興条例を県として制定し、中小企業者と一緒になり、実態把握と中小企業振興策を打ち立てていく必要があるのではないか。今の政府も、中小企業憲章を打ち出した。あらゆる課題、中小企業の利益を考える、理念とすれば素晴らしいことである。県として、独自に中小企業の位置づけ、振興策の基本ということを考えていくべきではないか。

【経営支援課総括課長】
 中小企業の訪問件数だが、これは我々職員の日常活動でやっているが、数字としては把握していない。事業を実施する上で、日常的に訪問しながら活動を続けている。
 現在、リーマンショック以降の厳しい状況の中で、中小企業においては、資金繰りの支援の要望、最近の経済の回復方向に向けての新たな取り組みへの支援など、そういったところの要望があると考えている。
 緊急補償だが、3月末をもって期限が切れる。来年度以降の資金繰りについては、国の方で小口保証制度の100%保証の実施、セーフティネット補償については引き続き継続すると。これは3年間だが、そういう措置をとるということになっている。
 緊急補償の実績だが、1月末の累計で、保証協会が承諾した件数が11670件である。金額にして、1570億円余となっている。今年度は、需要が一巡したということもあり、70%から80%台の実績で推移している。
 今後、中小企業の資金繰りにたいしては、既存の経営安定資金の一般枠、あるいは円高対策枠、原油高対策というものが残っているので、これらの枠を有効に活用していただいて、経営安定に取り組んでいきたい。
 中小企業振興条例については、本県の中小企業は、多分野・多業種にわたっているので、これまでも自動車関連産業や半導体関連産業など、分野別に振興計画を策定し、個別に施策を展開してきた。今後においても、中小企業の多様なニーズに対応した実効性のある施策の展開を図っていくということであるので、必ずしも条例という形にはとらわれずに、企業現場での支援活動、関係団体等の情報交換などを通じて、中小企業の生の声を聞きながら、企業の状況に応じて丁寧に対応していくことが重要と考えている。