岩手県知事 達増拓也 様
2011年4月8日
日本共産党岩手県委員会
委員長 菅原則勝
県議会議員 斉藤信
東日本大震災の救援・復興対策についての第二次申し入れ
東日本大震災から1カ月が経過しようとしています。被災者の救援・復旧に全国の支援を受けながら取り組まれていることに心から敬意と感謝を申し上げます。巨大地震と津波による被害は「国難」というべき戦後未曽有の規模に達しています。4月7日現在、死者3,699人、行方不明者4,422人、避難者数は378ヶ所に50,202人となっています。多くの被災者が、心身ともに深い苦しみのふちにあり、先の見えない不安のもとにおかれています。
県民が、政治的立場の違いを乗り越えて力を合わせ、国の総力をあげてこの大災害を乗り越えるとともに、復興の取り組みを進めることが求められています。
この間の現地調査と被災自治体・住民の要望を踏まえ、現時点で以下の課題について早急に取り組まれるよう申し入れます。
記
1、 未曽有の大災害にふさわしい被災者救援の取り組みを
1) 避難所での二次被害を防ぎ、いのちと健康、生活を守る対策を講じること
@ 暖かい食事と暖かい部屋、入浴、洗濯、水と燃料の確保を行うとともに、プライバシーが守られる簡易テントなど避難所での生活環境の改善を図ること。
A 障がい者や要介護高齢者などの避難者は、福祉避難所への移行を図ること。
B 乳幼児や妊婦さんにたいし子ども保育室を設置するとともに、安定した一時避難場所への移行も進めること。
C 内陸部の一時避難場所への移動に当たっては、弱者優先の立場から丁寧に進めるとともに、避難者の不安に答え被災地との連絡・結びつきを大切にすること。
D 避難所では避難者による自主的運営を重視し、具体的な要求に行政が機敏に対応できるようにすること。
2) 通所避難・在宅難民への対応を強化すること。
@ 通所避難・在宅難民の実態を把握し、食料や物資の支援ネットワークを構築すること。とくに避難場所に来れない高齢者等への支援を行うこと。
A ガソリン・灯油などの無料配布など供給体制を構築すること。巡回無料バス等の運行を行うこと。
3) 希望者全員が入れる仮設住宅の建設を
@ 希望者全員が入れる仮設住宅を建設する立場を明らかにし、随時、進捗状況を公表すること。
A 仮設住宅には必要な生活用品を整備すること(日赤は32型液晶テレビ、290?冷蔵庫、7kg洗濯機、電子レンジ、炊飯器、電気ポットの6点セットを寄贈する方針)。
B 集落・コミュニティーの維持を基本に、できるだけ集落に近いところに中小規模の仮設住宅の建設に取り組むこと。自力仮設住宅建設への補助を行うこと。
C 住田町が独自に整備している地元木材を活用した住田式仮設住宅を、仮設住宅として位置づけ、その普及・拡大に取り組むこと。
D 50戸以上の建設の場合は集会所、ケア付き住宅などの建設を進めること。仮設住宅で理容や小売りなどの商売もできるようにすること。
4) 雇用促進住宅・公営住宅など安定した避難所の確保について
@ 県内2000室の空き室がある雇用促進住宅について、国が責任を持って電気・水道・ガスや風呂等の設備を整備し活用できるようにすること。
A 県営・市町村営住宅、民間住宅直借り上げなどの積極的活用を図ること。
5) 医療・保健・介護の支援体制の継続強化を図ること。使用不能となった県立高田病院や大槌病院、山田病院のベット回復のため、無床化した住田診療所等のベットの活用も図ること。
6) 生活資金の確保と被災者支援制度の周知徹底を
@ 当面の生活資金の確保を特別に重視し、義援金・見舞金の第一次支給を行うこと。被災者生活再建支援法に基づく支援金の早期支払い(一時金)を求めること。
A 被災者の医療費無料、生活支援制度や福祉資金等の貸し付け、各種の税・保険料の減免制度、雇用保険、特別な融資制度など活用できる被災者支援制度を周知・徹底すること。
B 災害弔慰金・災害障害見舞金の支給を速やかに行うこと。
7) 被災した学校の仮校舎の確保、仮設校舎の整備を図り、学校の再開に万全の対策を講じること。子どものケア、就学援助、進学保障などの特別の対策を講じること。
保育園・幼稚園・学童保育の復旧に取り組み、特別の支援を強化すること。
8) 被災地域への後方支援基地として大きな役割を発揮している遠野市の取り組みを県としても位置付け、連携と活動の強化を図ること。
9) 効果的で積極的な救援ボランティアの取り組みを進めること。
2、 生活再建・地域社会の再建こそ復興の土台―住民合意で復興に取り組むこと
1) 生活再建のための個人補償・被災者生活再建支援法の抜本的拡充を国に求めるとともに、県としても上乗せ補助を行うこと。半壊・一部損壊も保障の対象とすること。
2) 水道、下水道、電気、ガス、通信、交通の確保などライフラインの早期復旧に全力で取り組むこと。国の全面的な支援・資金でがれきの撤去、廃棄物の処理を行うこと。その際にはアスベスト対策など安全対策を徹底すること。
3) 漁業の再建へ、国家的プロジェクトの導入を国に強く求めること。
@ 船の確保、漁具、養殖施設、漁港の整備、漁協の立て直し、水産加工施設の再建などに一体として取り組む国家的プロジェクトで漁業の再建に取り組むこと。
A 全国的な支援で船の確保、漁協による船の確保など共同の取り組みを支援すること。
B 漁港の整備や湾の清掃、がれきの撤去など被災漁民のための就労事業を実施すること。
C 農林業の被害調査を行い早急に対策を講じること。
4) 中小企業・自営業者に対する思い切った支援と補償で雇用と地域経済を再建すること。
@ 中小企業の債務返済は、3〜5年凍結し、長期の無利子融資制度の実施など、従来の枠を超えた特別の対策を国に求めるとともに県として実施すること。
A 雇用調整助成金、未払い賃金立て替え払い制度などを要件と手続きを緩和し従業員の雇用を守る対策を拡充すること。
B 被災者・失業者のための就労事業を大規模に実施し、地元で雇用を守る対策を講じること。内定取り消し、解雇等への対策を強化すること。
5) 被災自治体に対する職員の派遣を機敏に、思い切って行うこと。
6) 復興プランの作成と新しいまちづくりに当たっては、専門家や住民の知恵と総意を結集し、住民合意で進めるようにすること。
3、 不要不急の事業を見直し復旧・復興財源の確保を
1)2011年度県予算を抜本的に組み替え、復旧・復興のための大規模な補正予算を編成すること。その際、簗川ダムや津付ダムなどの不要不急の大規模事業を凍結し見直しを検討すること。
2)国に復旧・復興のための国家的プロジェクトの実施を強く求めるとともに、地方交付税の大幅増額など地方財源の確保を求めること。
3)従来とは別枠の「震災復興国債」の発行を求め、244兆円に上る内部留保をため込んでいる大企業に引き受けさせるように求めること。
4、 福島原発事故への対応と原子力政策の抜本的な転換を
1) 県内における放射能検査地点を増やし、情報を積極的に公開すること。
2) 国内の原子力発電の総点検を求め、原発の新増設を中止するとともに原子力政策の根本的転換を求めること。
3) 自然エネルギー・低エネルギー社会への転換を進めること。
以上