2011年5月27日 災害対策特別委員会
質疑(大要)


・避難者の生活環境の改善について

【斉藤委員】
 繰り返しこの問題を指摘してきたが、何がどう改善されているのか。
 厚労省は、食費を一日一人あたり1010円から1500円に上げた。避難所設置経費も一日当たり300円から1000円に上げた。そもそも、岩手県の実態はどうなっているか、このことも含めて、避難者の入浴回数が増えたのか、食事の改善はされたのか示していただきたい。

【保健福祉企画室企画課長】
 避難所の実態調査の1つとして、内閣府が実施している避難所実態調査とうのがあるが、直近では5月9日から13日の間で第二回目が行われている。その中で、温かい物がまったく提供されていない避難所は、前回(4月20日〜4月24日)5ヶ所あったものが、今回の調査では解消されている。これまで、自炊が可能となる炊き出しセットの配布だとか、調理ボランティアの確保・支援等を行い改善に努めてきた。また、日本栄養士会、県栄養士会、県内外自治体の協力を得て、栄養士を派遣し、避難所等での食生活や栄養相談指導等を実施しており、適正な食事回数、食事内容、必要な栄養量の確保について、訪問時等に随時指導している。
 入浴については、全体の約4分の3に当たる182ヶ所で、週に数回以上入浴が可能であり、残り62ヶ所は週に1度入浴が可能との回答である。入浴できない避難所は、前回調査時から解消されている。自衛隊による支援だとか、入浴施設へのバス移動などを主体に取り組んでいるが、市町村担当者等と相談するなどして、引き続き改善に努めていきたい。

【斉藤委員】
 温かい食事というのは、一日一回以上出ているところが78.0%、おにぎり・パンである。いま二ヶ月半も経って、おにぎり・パンではいけない。1500円となっているので、最大限栄養のある食事が提供されているかどうか確認すべきである。
 そして栄養調査をちゃんとやっていただきたい。宮城県は、1500キロカロリーしかとっていないと。岩手県は栄養士会の協力を得ているようだが、抽出調査でもいいので調べるべきではないか。もう2ヶ月というのは避難者にとって限界を超えている。5月までに仮設住宅の入居が可能なのは6750戸なので、5千人以上はまだ残るということである。
 入浴については、週1回程度しか入れない(シャワーを含め)人が25%もいる。これからだんたん暑くなるときに、劣悪な状況である。毎日入って当たり前という手立てを早急にとっていだたきたい。一日一人あたり1000円の範囲内で避難所の経費というのがあるので。この経費はどの程度使われているのか。

【保健福祉企画室企画課長】
 食事の改善について、経費の引き上げが行われたことから、栄養バランスに注意するとか、調理ボランティアの負担を軽減する等の観点から、弁当の供給を拡大してきているところである。栄養士による調査においては、摂取栄養量等の聞き取りを行なっており、その集計等については、今後行われると聞いており、聞き取り時点で明らかに劣悪なものについては改善を指導している。
 入浴については、水道の復旧が遅れている地域での支援が低調であり、既存の入浴施設へのバス移送による入浴機会の提供などによるしかないところがあるが、そういったところでの利用がなかなか遠慮されている方もいると聞いている。なお、シャワーなり簡易の風呂の設置については、給排水等の事情もからんでくるので、なかなか直ちに改善に至らないところもあり、そういったところについては、市町村の担当者とよく協議して、いずれ改善に向けて努めていきたい。

【斉藤委員】
 あとでいいので、1500円の基準でどの程度の実態になっているのか、1000円の避難所経費でどの程度の実態になっているのか示していただきたい。
 4分の1が週一回の入浴ではいけない。水回りや水道の状況というのは分かっていることなので、75日間経っているので。本当に限界を超えて避難生活している方々に当たり前の、人並みの生活環境を保障するということを最優先でやっていただきたい。


・仮設住宅について

【斉藤委員】
 民間にどの程度発注されたのか、在来木造建築でどの程度建設されるのか。
 13000戸の用地を確保したと。目標から見ればあと1000戸である。やはり地元の人たちは、できるだけ地元に近いところを希望しているがミスマッチも置きつつある。民有地も含めて、5戸でも10戸でも地元に近いところにきめ細かく、最後の努力がいま求められていると思うがいかがか。

【建築住宅課総括課長】
 5月に公募を選定した結果、2500戸の供給可能な事業者について選定させていただいており、おおむね2500戸の発注ができるという状況である。この公募事業者は、ほとんどが在来木造の従業者ということになっている。
 地元に近いところに建設ということだが、いま現在、最終的な用地の確保に努力しているということだが、一方で各地区ごとに地元に近いところに建てて欲しいということで、5戸10戸という希望も出てきている。そうした地元の希望にも沿って、できるだけ近いところに建設を進めていきたい。


・医療支援、福祉対策について

【斉藤委員】
 医療チームがこの間50チームから40チームぐらい入っていると思う。5月末までというのが多いと思う。実際に大船渡に入っている民医連のチームは、半年ぐらいは継続支援する予定だったが、開業医が復活して、医師のチームは5月で引き上げると。本当に他の地域を含めて必要な地域はないのか。医療支援チームは6月以降どうなるのか。仮設に入ったときに、また新しい医療需要が出てくると思う。一人暮らしでケアが必要な方々など。こういう訪問医療・看護も必要になってくると思うが、仮設が建った段階での医療支援はどう考えているか。その見通しはどうなっているか。
 山田町の福祉避難所で、2ヶ所今月で閉鎖すると。19人が廃止されたホテル―ガス・水道のないところに移動させられるというのである。これは本当に許してはいけない。あらゆる手立てをとって、きちんとした対応をとるべきである。そしてその理由に、福祉避難所に対する国の交付金が低すぎると、職員二人分しか出ないというのである。これではとても施設をやっていけない。そして今まで抱えている入所者もいるので、福祉施設が問題だというよりも、福祉避難所に国の手立てももっと拡充するし、本当にガス・水道もないようなところに移動することがないような手立てをとっていただきたい。
 県立山田病院の仮診療所だが、地元で聞いてきた話だが、医師4人体制で仮診療所に移行すると。これは本当なのか。これは大槌を含めて、仮診療所はどういう形で進められるのか。

【医療推進課総括課長】
 医療支援チームの今後の見通しだが、全国各地から医療支援をいただき、4月上旬には最大50チームから支援をいただいた。現時点では約30チームが活動している。今後については、発災当初のある程度大変だった状況が落ち着いてきたこと、地域の医療機関も診療再開してきたことなどにより、徐々に地域の先生方にバトンタッチをスムーズにしていく段階だと理解している。
 今後仮設診療所ができてくる。いま避難所を中心とした医療が主だが、今後、避難所から仮設住宅での医療提供という形になってくるものと考えている。あわせて、今は巡回診療、もしくは避難所での拠点での支援をいただいているが、ある程度診療機能を持った仮設診療所に拠点を置き、そちらにも来ていただくという形、あわせて地域の医療ニーズを踏まえた保健師や他のチームと連携した巡回型など、そういったものを地域の事情に応じて進んでいくものと考えている。こちらの状況は、各地域によりニーズがさまざまである。また医療の復興の程度もさまざまであるので、各地域とよく競技しながらスムーズな移行、切れ目のない移行を進めていきたい。したがい、ある程度被害が大きかった地域については、6月も外部から支援をいただきながら、スムーズな移行を進めていきたい。一方、医療支援、心のケアなど、今後も長期継続的な支援が必要だと考えている。
 県立山田病院、大槌病院だが、いま医療局の方で体制を検討している。まだまだ医師の人事の話というのは高度な調整が必要な部分もあるので、ご理解いただきたい。
【県北・沿岸定住交流課長】
 福祉避難所の関係だが、山田町から相談があり、現在希望者の状況等を確認し、移動先の方と内容を詰めている。整い次第、一時移動という形で仮設住宅入居までの間、そちらに移っていただくということで検討を進めている。


・復興対策について

【斉藤委員】
 全体として岩手県は、前向きの提案を国にしていると評価している。
 ただ、5ページのところで、「三陸沿岸の復興は復興道路の整備から」と。三陸縦貫道の必要性は否定しない。認めるものである。今度の災害でも大事な役割を果たしたと思う。ただ、これから三陸沿岸の全体の復興をするときに、三陸縦貫道が最優先なのか。それよりは、国道45号線であり、JRであり三鉄ではないのか。特に45号の場合は、どういう形で復興するかというのは、それぞれの市町村のまちづくりに関わる中身を持っている。そういう意味では、この45号線、JR、三鉄を早く復旧させると。これが最優先ではないのかと思う。そこをもっと打ち出す必要があるのではないか。
 2つ目に、何といっても産業の振興は水産業である。私も10の漁協を回って話を聞いてきた。もうすでに漁民は、海のがれき撤去も含めて海で働いている。海で働けば元気が出ると。そして漁協を核に、少ない船で共同で作業して、三陸の海の再建を果たしたいと。ある漁協の組合長は、「漁業は永遠に不滅だ」と言っていた。そういう意気込みがあるときに、早く手立てを打たないと、来年入る収入も入らなくなると。その一番のポイントは、共同の養殖施設の整備に対する補助がないことである。これは今やらなければ間に合わない。ワカメにしても、今やらなければ来年の収穫ができない。秋サケもそうである。そういう意味で、国の二次補正というのは、早く出ないと意味がない。もし、国の二次補正が遅れるのなら、県が先行してそういう予算化をすると。6月8日に臨時議会があるのだから、県が先行してそういう養殖施設への補助制度を導入して、国があとからついてくると、このぐらいのことをやらなかったら、本当にいま漁民の何とか復興させたいという意欲に応えられないのではないかと思う。国の動向と県の対応はいかがか。

【政策監】
 三陸縦貫道などの復興道路について、国の二次補正に向けて緊急的に行う考え方については、国の復興構想会議も、緊急提言を行うということであるので、最優先、重点的な事項として申し上げた。
 国道4号線およびJR、三鉄については、重要性は十分理解しているが、市町村のまちづくり計画と関わりが深いと思っている。これは、高台に移すのか、堤防のような形で高くするなどの考え方があるので、直ちに復旧という考えはできないということがあるので、暫定的にというか、優先すべき事項として高規格道路について要望している。
【水産技術センター副所長】
 養殖施設の整備だが、本県の場合は漁協が一括整備し、共同で利用する方式など、漁協を核とした共同利用施設の整備を推進していく考えである。
 その中で、国の一次補正については、個人の養殖施設の復旧は対象になっているが、共同利用施設の整備については、激甚災の関係の残存価格等もあり、満足な補助にはなっていない。そのため、これの活用する道もあるのだが、なかなか漁協として整備が厳しいということで、まず一方で国に要望することはしっかりしつつ、本県としてどのようなことができるのか検討している。

【斉藤委員】
 5月25日付の新聞で、「三陸漁協の再編検討、施設集約し機能強化」と。漁協を回ってみても、「漁協の集約化ではない」と。それぞれの漁協が漁業と結びついているので、きちんと地域ごとにやってもらわないと困るということだった。宮城の集約化みたいなことになるととんでもないことなので、その辺りの考えをきちんと聞いておきたい。
 それから、共同の養殖施設だけではなく、議論になったように、冷蔵庫にしても何にしても一次補正では何の対応もできない、補助率も低い。激甚災は、去年のチリ津波のときもほとんど使われなかった。使えなかった。本当に今回の大災害にふさわしい抜本的な施策を国に求めるし県も取り組むという風にしないと、せっかく再建しようとしている意欲に水をさしてしまう。今やらなかったら一年間棒に振ってしまうというサイクルが漁業にはあるので、できるだけ早く「県は漁業を守る」メッセージを出すということが重要である。

【水産技術センター副所長】
 漁協の集約化だが、我々も漁協を集約するようなことはまず考えていない。まず漁業者が漁業を再開していくことに対して重要な役割を果たすのが漁協だと思っている。本県の漁業の場合は、沿岸漁業の小規模経営体、あるいは養殖業の小規模経営体があり、漁協が漁場を管理して漁業者を指導しながら成り立ってきた経緯がある。今回も、漁業者が漁業を再開するにおいては、やはり漁協を核として漁業が再開していくべきだと考えており、そういうことを先ほどの国の提言、構想会議にも提案・提言しているところである。
 そのような中で県として、早く漁業を再開して欲しいと思っているので、国とともに県として何が今できるのかということも考えていきながら対応していきたい。