2011年6月22日
住みよい仮設住宅の整備についての申し入れでのやりとり(大要)
【斉藤議員】
仮設住宅の整備も大詰めを迎え、私たちは被災地で毎日のように仮設住宅を訪問してきた。たくさんの要望が出されており、今日は別紙で「仮設住宅の要望一覧」というのを資料で渡したが、それを踏まえて緊急・具体的な10項目について改善をお願いしたい。
1つは、「仮設住宅の入居を希望する全ての被災者が入居できるように、住み慣れた地域への整備など最後まできめ細かな対策を講じてほしい」と。それから「多人数世帯の仮設住宅も整備してほしい」と。これは議会で大船渡に行ったときに、6人7人の多人数世帯が入れない、バラバラになっているという話も出された。
第2点は、「全ての仮設住宅に集会室・談話室を設置し、住民のふれあいとコミュニティを保障すること」と。これは一番大事だと思っている。昨日は、大船渡でも陸前高田でも、中学校・小学校の校庭に仮設住宅を造ったところは、いわば学校の施設を借りればいいということで集会室を設置していなかった。しかし、現実問題として、昼は学校の施設を使えない。50戸以上は集会室をつくるとなっているが、これは片手落ちだったのではないか。孤独化・孤立化というのが一番の問題なので、そういう人たちが毎日触れ合える集会室・談話室の設置が必要ではないか。そして仮設住宅を新しいコミュニティにして、復興を議論できる場が絶対に必要なので、これは是非すべての団地で整備してほしい。
3つ目は、「仮設住宅団地内に商店などを導入・整備して、仮説市街地の形成に務めてほしい」と。要望の中に、やはり「店が近くにない」「車もなく買い物に行けない」という声が多い。だから、50戸100戸単位になれば、その中に店を開けるような仮設の店舗を含めて仮設の市街地形成というのを考えていただきたい。
4つ目は、「グループホーム型の仮設住宅、高齢者等サポート拠点を最大限整備すること」と。これを最大限整備して、圧倒的に高齢者が多いので、高齢者に対する介護サービスを行えるようにしてほしい。この間テレビでも言っていたが、震災後8割の高齢者が介護を必要としながらサービスを受けられていないということだった。そういう施設・設備がない。
5番目は、「断熱材の補強、玄関、窓等への網戸の設置。玄関の風除室を整備する」と。「畳、靴箱も入れてほしい」と。すでに整備されているところもありアンバランスなので、これは共通している問題なので、全ての仮設住宅で整備してほしい。
6つ目は、「風呂場への換気扇の設置、窓のサッシの二重化」で、結露という問題がどこでも出ている。狭いところで換気扇がなければ、開けっ放しで入るわけにはいかないので。
7番目は、「高齢者世帯には手すり・スロープ、団地内の通路は車椅子が通れるような整備、ベンチの設置」である。やはり日中、お年寄りが気軽に憩える場、ベンチなどがあればそこで触れ合うことができるわけで、そういう措置を講じていただきたい。遊具というのは補正予算に出ていたが、子どもはもちろん、高齢者への対策も考えていただきたい。
8番目には、「雨漏り、アリの発生など不良工事への対策」で、これはかなり出されている問題であるので、すぐに手を打っていただきたい。
9番目は、「関係部局・市町村と連携して、店がない・車もないという中で、買い物バス・通院バスの運行、郵便ポストの設置」である。その他、仮設の公衆電話など、日常生活に必要な物の設置は考えていただきたい。
10番目は、「仮設住宅への入居は2年という前提で入居しているので、2年を超えて入居できるとなっているので、そういうことを正確に伝える」と。2年で自分の家を建てるとか、必要な公営住宅が全て整備されるということにはならないので、2年を超えて入居できるということは丁寧にお知らせしていただきたい。
以上がこの間の仮設住宅を訪問して出された要望なので、機敏に徹底した対策をお願いしたい。
【県土整備部長】
仮設住宅は今、建設・整備は県土整備部が市町村と協議しながら担当し、いろいろなコーディネートは復興局の生活再建課が担当、入居に関わる手続き等については市町村が行なっているという状況である。
1つ目だが、一応すべて同じ規格だけではなくあるのだが、たしかに6人とかだと狭いというのは実感で分かる。いろいろな市町村からの要望に基づき整備は進めているが、全てのことをカバーできているかというと、そういうことはあるのだと思う。なるべく近いところという要望については、307団地、グループホームを含めると312団地あるので、ここまで多くやっているところは他にはないのだが、そこではきめ細かい要請を受けていろいろな形で対応はしているという風に我々も考えている。大所帯については、いま13835戸つくるのだが、全て埋まるかというと分からないので、最後空いたときはシャッフルするなどして代わることもあるのではないかと話しているので、その時点で不都合など要望があれば、どうにかして対応できるかということは市町村と考えていきたい。
全ての団地で集会室・談話室を設置できればいいのだが、物理的にできないところもあり、小さな公園で遊具も隙間を縫うようにやっている団地もあり、やはりおおむねできる一定の規模の場所で、いま集会所36、談話室105は何とか対応したいということで進めている。コミュニケーションということも当然大事で、今までは避難者の方々がお互いにプライバシーがない反面、お互いを見合えるという状況だったが、仮設に入ると個々になってしまうので、そこを懸念しており、いろいろな部分で見守りだとか自治会組織をどうするかということも合わせて上にお話は申し上げている。
市街地の形成だが、なかなか市街地まで一緒にというのは難しい状況である。しかし大槌町では、仮設住宅のそばに店舗をつくるといった動きがあるようである。今後、中小企業機構から仮説店舗の話が進んでいるようなので、できるのであれば当然消費者の近いところでやると思うので、そういったところで対応していただければと思う。
グループホームは10団地で120戸、高齢者等サポート拠点施設は7ヶ所整備を予定している。今後の追加要望については、もしあれば保健福祉部や復興局とも協議して、市町村事業として国庫補助事業もあるので、様子をみたい。
断熱材は標準仕様でいき、今後9月までに追加になる。窓は二重サッシになるし、窓には既に網戸は入っていると思うが、玄関はなかなか難しいかと思っている。風除室は7500戸ほどはつくる。
【建築住宅課総括課長】
苦情が多いのは、現場事務所のようなタイプの住宅に集中しているので、そこを重点的に断熱や風除室の設置ということをやっていきたい。ハウスメーカー系のはかなり性能が高いので、苦情はほとんど寄せられていないと思う。
【県土整備部長】
プレハブ業界にも、企画部会と住宅部会と2つあり、企画部会のほうがきわめて苦情や要望が多く、そこに重点的に対応しようと考えている。
風呂場については、標準で天井換気扇が設置されている。
【建築住宅課総括課長】
おそらく、今まで住んでいた住宅の感覚で使っていらっしゃる方もいると思うので、性能の問題や鉄骨の住宅なので結露の問題は、気をつけて使わないとどうしても発生するという面はあると思う。ただ、現場の住宅の状況を見て、今回管理センターも設けたので、対応するようにはしていただいている。
二重サッシは、鉄骨のブレースのものについては、底断熱化をするときに合わせて二重サッシ化をすると。
【県土整備部長】
手すり・スロープについては、入居者で話があれば追加整備することとしている。その旨をチラシで周知する。車椅子は、個別の対応になると思う。
買い物バス・通院バス・郵便ポストについては、復興局および市町村によるが、バスについては、仮設住宅を回るような運行経路をつくるということを市町村は考えているようである。郵便ポストは日本郵政、公衆電話はNTTになると思う。
仮設住宅への入居だが、とりあえず原則2年と言われているので、仮設住宅入居の手引きというのを皆さんに差し上げているが、「やむを得ない場合は」ということで記述している。
【建築住宅課総括課長】
我々はきちんと市町村にも「2年ということではない」ということで説明しており、市町村に聞けば「2年とはなっているが延長も可能」と説明していると思う。
【斉藤議員】
仮設住宅を訪問してみると、やはり2年で出されることへの不安は結構出ている。だから、かっこ書きだと例外規定ととらえてしまう。今はもう例外規定ではない。阪神大震災でさえ5年いたわけなので、2年を超えても入居可能というような説明の仕方をしないと、やむを得ない場合とか例外的に認めるということではないと思う。
【建築住宅課総括課長】
現実的には、他に移るところがない場合に、転居してくださいと言うことはない。
【県土整備部長】
いずれ次の住居が確保されない限りは、退居してくださいということはない。
【斉藤議員】
雨漏り・アリ対策についてはいかがか。
【県土整備部長】
56件雨漏りの話があり、既に対応を支持している。
【建築住宅課総括課長】
アリについては十数件程度だったと思う。
【斉藤議員】
いずれ集会所・談話室が、36ヶ所と105ヶ所ということで、特に集会所が少ない。やはり話を聞いていて、学校の校庭には100戸200戸建っているが、学校を使えばいいということで最初から集会所を整備しなかったというのが大船渡の次長さんの話だった。日中は学校が使えないのである。そういう意味で、日中触れ合う場所がほしいので、物理的用地の問題もあると思うが、これからの復興を考えたときに、それから孤立化・孤独化というのは仮設住宅の最大の問題である。外に出ずに寝たきりになったという声もある。結局周りに知っている人がいないと閉じこもってしまう。お酒の量が増えてしまう。やはりこれからこれが最大の問題だと思うので、ぜひ団地内で触れ合える集会所と談話室の整備は最大限用地を確保して行うと。これは2年3年とコミュニティの維持に関わる大問題なので是非やっていただきたい。ベンチの問題もその通りで、外で憩えることも重要なことである。
玄関の網戸については、住田の仮設住宅は玄関に網戸を付けている。やはり玄関を開けるというのが一番風通しがいい。玄関に網戸が付けられれば。エアコンを使えば電気代がかさんでしまうので。
【吉田まち子常任委員】
魚や冷凍水産物の腐敗の関係で、蚊やハエなど夏にかけて不安になるので、網戸は何とかしてほしいというのが仮設で強く要望されていることなのでお願いしたい。
【斉藤議員】
靴箱の設置についてはいかがか。玄関が狭く、ちょっとした棚があると助かると思う。これも共通して出されている。
【吉田まち子常任委員】
断熱材のところで、少し防音になるようなものにはなるのか。
【建築住宅課総括課長】
多少防音性能も上がると思う。ただ、隣同士というのはどうしてもそれほどの防音性能があるわけではないので、聞こえてしまう。
【吉田まち子常任委員】
子どもさんがいる家で、子どもが泣くのが心配で、子どもがストレスが溜まるとか、ちょっとした音で隣の人が怒ったりということもある。皆さんのおかげで仮設に入れて嬉しいというのが一番だが、落ち着いてくるとそういうところが心配になってきて、子どもたちも校庭が仮設の場所になっており遊ぶところがない。そういう中で子どものストレスも溜まっているという話もしているので、防音の関係も普通並みにしていただきたい。
【斉藤議員】
大詰めを迎えていると思うが、条件が合わなくて入れなかったということもあると思うので、そういう最後の詰めというのが大事である。特に集会所・談話室はこれからの追加工事になると思うので、これは基本的に整備するという構えで是非努力していただきたい。夏場に向けて網戸の整備も前向きにやっていただきたい。
県内業者は2500戸ぐらいいったのか。木造はだいたいどのぐらいか。木造の場合は一戸建てになるのか。
【建築住宅課総括課長】
木造は1600程度で、枠組み壁工法は500程度、二百数十戸が鉄骨である。
木造の場合は、同じような長屋タイプである。
【斉藤議員】
住田で聞いたら、いずれ今は230万円ぐらいで建てているが、これから仮設ではない住宅を500万円ぐらいでつくれるようなものを考えると。陸前高田市長も言っていたが、自力で家を建てられる人は少ないだろうと。そうすれば500万円ぐらいであれば、被災者生活再建支援法その他で手が届くのではないか。1000万円以上かかると大変なので、そういう話も出ているので、次の段階―公営住宅+自前の住宅も安上がりでという検討もしているようなので、知恵を出してやっていただきたい。