岩手県教育長 菅野洋樹 様
2011年6月28日
日本共産党岩手県委員会
委員長 菅原則勝
県議会議員 斉藤信
東日本大震災津波・原発事故に対する教育分野の対策に関する申し入れ
東日本大震災津波から4カ月近くが経過しました。児童生徒の73人が死亡、安否不明18人、教職員では死亡3人、安否不明3人という犠牲者が出るとともに、県立高田高校が全壊など小中・高校等の学校施設に甚大な被害が出ました。すべての学校が再開したもののスクールバスによる仮校舎や他校での分散授業となるなど教育環境は厳しいものがあります。
被害を受けた学校施設の早期の復旧は、未来を担う子どもたちにとっても新たなまちづくりにとっても緊急重要な中心課題です。ところが、岩手県が明らかにした「岩手県東日本大震災津波復興計画基本計画(案)は、具体的な施策が明記されていない抽象的なものです。
また、福島原発事故による放射能汚染も県内の牧草地まで広がっており、学校の校庭・プールなどに対する放射能汚染への不安が広がっています。すべての学校での放射線測定と公表を実施、児童生徒の安全対策を講じるべきです。
この間の被災地現地調査における被災者の要望を踏まえ、以下の通り教育分野での復旧・復興の取り組みを具体的に、スピード感を持って進めるよう申し入れます。
記
1、学校施設の早期復旧・整備について
1) 全壊した県立高田高校については、新入生が地元の高校で学び卒業できるよう、3年以内に整備するよう取り組むこと。
2) 宮古工業高校など県立高校等の施設の早期復旧に取り組むこと。
3) 他校他施設で授業を再開している沿岸24校、内陸の厨川中学校など被災した小中学校の施設の早期復旧に取り組むこと。必要な場合、仮設公舎の整備も行うこと。
4) 仮設住宅建設などで使用できない運動場のために、体育やクラブ活動を行える運動場の確保に取り組むこと。
5) 津波被災による新たな校舎整備などの土地確保について国の補助を実現するとともに補助率の引き上げを求めること。
6) 震度6強で倒壊しかねない老朽校舎の改築改修を最優先課題として取り組むこと。避難場所にふさわしい校舎・体育館の整備を図ること。
2、被災児童の心のケアと行き届いた教育の推進について
1) 大震災津波で両親や家族を失った児童生徒に対する心のケアに中長期的な視野で取り組むこと。カウンセラーの配置とともに教員の増員・加配を行うこと。
2) 沿岸被災地から県内への転校生(小中で612人、高校等46人)について、学用品・運動着等の支給を徹底するとともに、関係校に対する教員の増員・加配など行き届いた対応ができるようにすること。
3、被災した教職員に対する住居の確保について
1) 被災により住居を失った教職員(13校141人)、加配等の教職員に対する住居を確保すること。被災した教職員には仮設公舎の整備とともに日赤並みの生活必需品を配備すること。
2) 被災した教職員に対する心のケアの取り組みを行うこと。
4、福島原発事故に関わる放射能汚染対策について
1) すべての学校で、校庭・プールなどの放射線測定を実施し、継続的に公表するなど、児童生徒の安全確保対策を講じること。
2) 空間線量の高いところは、土壌の放射線量を測定し、必要なら土壌の撤去を行うこと。
3) 県庁各部局横断的な放射能汚染対策チームを設置し、全庁的な対策を強化すること。
4) 放射能汚染対策の費用については全額国の負担とするよう求めること。
以上