2011年6月29日 議会運営委員会
人事案件に対する質疑大要
・人事委員会の選任について
【斉藤議員】
人事委員会の定例会・臨時会は昨年度33回開催されている。議事録を全部見たが、一回あたりの審議会がわずか5分というものもあった。一回あたりの平均審議時間はどうなっているか。
人事委員会の報酬、費用弁償はどうなっているか。時給で換算するとどういう額になるか。
【人事委員会事務局長】
人事委員会は昨年度、定例会・臨時会あわせて34回開催され、公正な人事行政の確保、人事施策の教唆研究などについて審議いただいている。
一回あたりの審議時間は、一回あたり約45分となっている。
人事委員会の委員の報酬は月額17万1千円で、昨年度までは特例減額の対象となっており、22年度は16万2450円が支給されている。
費用弁償については、市内に居住しているため、通常旅費は発生しないが、東北ブロック人事委員会の出張に要する経費など2回分3万1034円が支給されている。なお、委員の時給については、委員会での審議活動のほか委員会内の非公式協議、職員採用試験、現場職員の声を聞く会の参加や、東北ブロック人事委員会議への参加など多岐にわたっており、一概に時給換算することはできないと考えている。
【斉藤議員】
一回あたり45分というのが平均で、月2回程度開催されているようだが、きわめて不十分な気がする。
私は、県議会の一般質問や予算特別委員会、決算特別委員会で、県職員・警察本部のサービス残業問題を取り上げてきた。人事委員会で審議されたか。されたとすれば、いつ、どのような審議・検討がされているか。委員はどのような発言をされているか示していただきたい。
【人事委員会事務局長】
超過勤務についてだが、人事委員会では、労働基準監督機関として、職権を有する全事業者に対し、超過勤務実績の把握方法や超過勤務削減の取り組み等について、文書による調査を行うとともに、必要な実態確認などを行った。その結果については、昨年12月に人事委員会に報告し、各事業者に対する指導内容について、各委員の意見、判断をいただいている。伊藤委員からも積極的に発言をいただいている。また、超過勤務手当については、県議会における、委員長等の答弁内容など逐一人事委員会に報告するとともに、警察本部における超過勤務時間の縮減に関する議論について助言いただいている。
【斉藤議員】
警察本部は、年間335時間超過勤務して、支給時間は194時間である。これは不適正だと議論されているのか。適正だと議論されているのか。
【人事委員会事務局長】
先程も述べた通り、超過勤務に関する調査で、超過勤務の多いところを中心に7事業所実態調査にうかがった。その結果、不適正な事例はなかったということを報告している。その7ヶ所には警察署も入っており、不適切な事例はなかった。
【斉藤議員】
335時間超過勤務して、支給時間が194時間というのは不適正ではないのか。
【人事委員会事務局長】
当委員会としては、適正に職務命令が出た超過勤務については、適切に支払われているものと理解している。
【斉藤議員】
労働基準監督署の役割を果たす人事委員会はまったく不能だと。私が言っているのは、警察本部からの報告である。それでも問題ないと言えるか。
【人事委員会事務局長】
繰り返しになるが、全事業所を対象に調査を行い、超過勤務の多い7ヶ所について実態調査を行った。その結果、不適切な事例はなかった。仮に、職員個々から、不適切な事例が申告等で出た場合は個別に適切に対応していくことは、委員会においても審議された上で回答をいただいている。
【斉藤議員】
どこの警察も、超過勤務時間がいくらで支給時間がいくかだったか、示していただきたい。
【人事委員会事務局長】
個々の警察署の名前だとか、事業者の名前については、調査について明確な回答をいただきたいということで、公表は差し控えさせていただきたい。
【斉藤議員】
委員会では公表されているのか。
【人事委員会事務局長】
個々の警察署の名前は出していないが、それぞれのケースについて報告している。
【斉藤議員】
県議会の報告も委員会で報告されている。私が具体的に指摘しているものも。あなた方のところにいくと「適正」となる。徹底して議論していただきたい。それを議論しなかったら人事委員会の役割を果たせない。まったく具体的な答弁がなかった、まともな議論がされていないと言わざるを得ない。
・人事委員会勧告について
【斉藤議員】
県職員の場合は、特例減額を含めると月8585円・2.33%民間給与を下回っていた。12年連続の給与引き下げにより247億円余の給料の削減、1人当たり126万円の減額となっているが、こうした実態を人事委員会では審議したのか。伊藤委員の発言はどうか。
【人事委員会事務局長】
昨年の勧告については、6回の協議を経た上で議決された。その中で、特例減額の取り扱いについても、十分に検討されており、その結果、制度上の給与水準をもとにして勧告を行うという議決をした。
県職員の給与実態にかかる人事委員会での審議だが、公務員給与の比較にかかる審議と同様に、6回の協議を経た上で議決された。その中で、12年連続の引き下げという県職員の給与実態についても、十分に認識いただいた上で検討されたものと考えている。
伊藤委員の発言については、昨年の勧告にあたっての検討の中でも随時ご意見をいただいている。
【斉藤議員】
議事録を読むと、職員の苦情・相談処理状況、不利益処分についての不服申し立てについてはほとんど審議されていないがどうか。
【人事委員会事務局長】
職員からの苦情・相談については、岩手県人事委員会事務局代専議決規定に基づき、事務局長等の専決事項となっている。その他、委員会の審議を要するものではないが、年に1回処理状況等を委員会に報告し、必要に応じて情報提供を行い、助言・指導をいただいている。
不利益処分についての不服申し立てについては、委員会において事案を受理したことにより、地方公務員法の規定および委員会の議決に基づき、その採決意外の事務については、委員長および事務局長に委任して処理を進めている。
採決については、人事委員会にふにするに当たって、あらかじめ審議の各段階において、各委員に対し随時協議を行い、意見・ご判断をいただきながら進めている。
・公安委員会の人事案件について
【斉藤議員】
公安委員会の議事録は作成されたのか。審議時間は平均どのぐらいか。公安委員会委員の報酬、費用弁償はどうなっているか。
公安委員会あての苦情について、公安委員会で審議されていないのではないか。警察あての苦情の受理件数と対応についてはどうなっているか。
【警務部長】
公安委員会においては、岩手県公安委員会運営規則に基づき、会議の日時・出席者および会議の概要を会議録として記載している。審議時間は、平成22年では、定例会を40回開催しているが、一回あたりの所要時間は176分(2時間56分)となる。
公安委員会委員の報酬、費用弁償だが、報酬は特別職の職員の給与および旅費および費用弁償に関する条例の規定に基づき、委員長は月額18万9000円、その他の委員は月額17万1000円が支給されている。費用弁償についても、規定に基づき、一般職の職員に準じて支給されている。
公安委員会あての苦情および警察あての苦情だが、警察法には、苦情申し出制度が設けられており、県警察の職員の職務執行について苦情がある者は、県公安委員会に対し文書による苦情の申し出をすることができるとされている。この苦情を受理した場合には、関係所属の調査結果に基づき、公安委員会に必ず協議し、申し出者に回答するなど誠実に処理している。なお、協議の場には、警察本部長以下が同席しないため、議事録への詳細な記載は行っていない。警察あての苦情は、警察本部長あてに、警察職員の職務執行に対する苦情を申し出るもので、関係所属で調査の上回答しており、平成22年は47件を受理している。ちなみに、同年の公安委員会苦情の受理件数は10件となっている。
【斉藤議員】
公安委員会の議事録は作成されていないと、概要しかないということか。
公安委員会長はなぜ1年順送りなのか。
【警務部長】
繰り返しになるが、会議の日時、出席者および会議の概要を会議録として記載しているところである。
委員長については、委員の互選により1年ごとに選ばれる。
【斉藤議員】
まともな議事録がないのは異常なことだと思う。
それから、委員長が互選というのは、条例の規定ではないと。申し合わせだと。本当にそれでいいのかということを指摘しておきたい。
・集会などのスパイ活動について
【斉藤議員】
昨年5月19日の公安委員会の会議で、第81回メーデーの取り組み結果について報告されている。これはスパイ活動ではないか。なぜこのような調査報告がされるのか。
【警務部長】
集会・集団行進および集団市民運動に関する条例、いわゆる公安条例では、集会や集団行進および集団市民運動を行おうとするときは、公安委員会への届け出許可を要することとなっている。警察としては、メーデーに限らず、公安条例に基づく集会・集団行進などを受理した場合は、公共の秩序を保持するため、交通整理を含め所要の警備措置を講じているところであり、その結果についても公安委員会に報告している。
【斉藤議員】
公安委員会に届け出が必要だからといって、集会の内容、政治的な内容まで書いている。国会議員が出席したとか、選挙の候補者が出席したなど。これはまさに、政治活動に対する干渉、スパイ活動ではないか。
【警務部長】
繰り返しになるが、警察としては、メーデーに限らず、公安条例に基づく集会・集団行進などを受理した場合は、公共の秩序を保持するため、交通整理を含め所要の警備措置を講じているところであり、その結果についても報告している。
【斉藤議員】
集会の中身まで調査して報告する必要はないと思う。どこにそういう理由があるのか。
【警務部長】
繰り返しになるが、警察としては、メーデーに限らず、公安条例に基づく集会・集団行進などを受理した場合は、公共の秩序を保持するため、交通整理を含め所要の警備措置を講じているところであり、その結果についても公安委員会に報告している。
【斉藤議員】
メーデー以外の記録はなかったが、いかがか。
【警務部長】
会議については、会議の概要を会議録に記載することになっているので、全ての案件について詳細に記載しているわけではない。集会や集団行進等の状況については、定期的に公安委員会に対して報告を行っているところである。
【斉藤議員】
これはきわめて重大なスパイ活動で、労働組合、民主団体、大衆団体の集会・デモの中身まで報告するということは干渉である。
・警察とマスコミの癒着について
【斉藤議員】
5月26日の公安委員会の会議では、警察記者クラブによる警察学校1日体験入校について報告されているが、これでは警察とマスコミの癒着を深めるだけではないのか。
【警務部長】
県警記者クラブ記者による警察学校への1日体験入校については、警察学校で学ぶ新人警察官の意気込みを広く県民に伝えるために、優秀な人材確保に向けた警察官採用候補を目的として昨年初めて試みたものであり、癒着との指摘は当たらないと考えている。
【斉藤議員】
権力を厳しく監視するのがマスコミなので、これはマスコミの皆さんに率直に指摘おきたい。1日体験入校などというのはとんでもない。
・県警のサービス残業について
【斉藤議員】
先ほど県警のサービス残業について指摘したが、公安委員会でどう審議されているか。なぜ解決しないのか。
【警務部長】
警察職員の超過勤務については、公安委員会に対して、超過勤務実績時間、超過勤務手当の支給状況および超過勤務縮減に向けた取り組みを報告しており、公安委員会の督励を受けながら超過勤務の縮減対策など、職員の適正な処遇を図る取り組みを行っている。
超過勤務については、本来予算の範囲内で命じることが原則であり、これに相当する手当を支給するため、不要不急な超過勤務の抑制、要務の効率化・合理化など最大限の努力をしているが、深夜・早朝などの事件・事故への対応など警察業務の特殊性から、やむを得ず超過勤務を強いられる場合もある。こうした事情を勘案しつつ、職員に適正な処遇が図られるよう、必要に応じ、所要の措置を講じるなど適切に対応していきたい。
【斉藤議員】
公安委員会の議論を聞いている。58%しか出ていない。毎年である。サービス残業というのは社会的犯罪である。警察が率先して社会的犯罪を犯していたら取り締まりできない。
【警務部長】
先ほど申し上げたとおり、公安委員会に対して平成23年2月9日に、超過勤務実績時間、超過勤務手当の支給状況、超過勤務の縮減に向けた取り組み等を報告しており、公安委員会から引き続き超過勤務の縮減等、職員の適正な処遇に努めるよう、督励を受けている。
【斉藤議員】
私が言っているのは、サービス残業、不払い残業の話である。なぜ解決しないのか。毎年行われているのである。
【警務部長】
繰り返しになるが、本来予算の範囲内で命じることが原則であり、これに相当する手当を支給するため、不要不急な超過勤務の抑制、要務の効率化・合理化など最大限の努力をしているが、深夜・早朝などの事件・事故への対応など警察業務の特殊性から、やむを得ず超過勤務を強いられる場合もある。こうした事情を勘案しつつ、職員に適正な処遇が図られるよう、必要に応じ、所要の措置を講じるなど適切に対応していきたい。
・東日本大震災での警察職員の取り組みについて
【斉藤議員】
東日本大震災で警察職員が大奮闘しているが、これは公安委員会ではどう評価されているか。
【警務部長】
東日本大震災に関しては、3月11日の発生直後から、警察電話を用いて、被害状況の警察措置について公安委員に報告を行い、その後の公安委員会の定例会に都度、組織をあげて行っている被災者の救助、保護活動、ご遺体の収容等の活動状況、警察施設の被災状況についても報告している。それに対して、委員からは、被災地の治安維持、被災地住民の安心感につながる警察活動の厳戒をはじめ、職員の体調管理に十分配慮することなどの意見をいただいている。