2011年7月8日 6月定例県議会・本会議
議案に対する質疑(大要)
・大震災前に編成された今年度予算について
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。議案第1号、第8号から10号について質問します。
議案第1号は、2011年度岩手県一般会計補正予算(第4号)であります。
第一に、知事に補正予算の考え方について質問します。今回の補正予算は、本来なら知事選挙を踏まえ新しい知事のもとで新規事業を具体化するものでした。3・11の東日本大震災津波という未曽有の大災害を受けた下では、大震災前に編成された今年度予算は大幅に見直されるべきではなかったでしょうか。すでに大震災に対応して災害救助などの応急処理を中心に4000億円を超える補正予算が組まれています。不要不急、国の検証対象ともなった530億円の簗川ダムや164億円の津付ダムは見直すべきだったのではないでしょうか。また、昨年9月県議会で全会一致で採択された住宅リフォーム助成事業の実施は、大震災で住宅改修の要望が被災地でも、県内各地でも高まっていることから具体化されるべき事業だったのではないでしょうか。
【達増知事】
簗川ダム、津付ダム建設事業の見直しについて。昨年9月、国からの検証要請を受けたことから検証作業を行い、その内容を大規模事業評価専門委員会にはかり審議いただいた結果、現対策案が妥当との答申を受けたところである。これを踏まえ本年2月、県の対応方針を「事業継続」と決定したところである。簗川ダムについては、本年4月に検証結果を国に報告したところであり、今後とも簗川の治水対策については、着実に進めていく必要があると考えている。津付ダムについては、東日本大震災津波により、反乱防止区域の1つである陸前高田市街地が大きな被害を受け、ダム検証時点の社会状況と大きく変化したことから、津波対策施設の計画や陸前高田市の復興計画を踏まえ、気仙川の治水対策手法等の再検討をした上で国に報告したい。
住宅リフォームについては、住宅の新規着工が大きく落ち込んでいる中、住宅の質の向上や地域経済の活性化、さらには余震等の不安解消を図る上で必要なものと考えている。リフォーム助成制度については、震災後のリフォーム動向や市町村における取り組み状況なども踏まえながら、引き続き具体的な制度設計について検討していきたい。
・三陸鉄道の復旧について
【斉藤議員】
第二に、三陸鉄道運営支援事業費として1億6173万円余が計上されています。運転資金として2億円を三陸鉄道株式会社に貸し付けるものです。知事に質問しますが、三陸鉄道はまさに被災地の地域住民の生活の足であります。県の対応・国の対応が厳しく問われる課題です。三陸縦貫道などよりも緊急に復旧されるべき課題だと考えますが、被害状況・被害額、復旧の見通し、国の支援の状況について示していただきたい。また、貸し付けではなく助成が必要だったのではないでしょうか。
【達増知事】
三陸鉄道は、東日本大震災津波により、駅舎、線路、橋梁等が流出・損壊するなど甚大な被害を受けた。現在、北リアス線の久慈―陸中野田間、宮古―小本間で運行を再開しているが、これ以外の区間での運行再開の目処はたっていない。
復旧額は、運営会社の資産では、単に原型に復旧するだけであれば約70億円、鉄道施設を耐震構造にしたり、津波に対応した施設を整備した場合、最大で180億円と見積もっている。
復旧時期は、運営会社においては、平成26年4月に全面再開したいとしており、県としてもできるだけ早期に全面再開できるよう支援していきたい。
国の支援に関する検討状況だが、第三次補正予算で、復旧に関わる予算を措置する方向で調整していると承知している。
県としては、三陸鉄道の復旧や当面の運営に関わる国の全面的な支援について、引き続き強く要望していく。
今般、貸し付けにした理由については、国による三陸鉄道の全体支援スキームが固まっていないことから、当面の運転資金として貸付としたものであり、今後国による支援スキームが固まった段階で、貸付金の償還に関わる負担も含めた費用負担について、沿線市町村と協議をする予定である。
・地域経営推進費および新しい公共支援事業費について
【斉藤議員】
第三に、地域経営推進費が2億3000万円、新しい公共支援事業費が8000万円計上されています。被災自治体に思い切って支援すべきものと考えますが、その具体的な内容と配分はどうなっているでしょうか。
【政策地域部長】
地域経営推進費についてだが、県内市町村の東日本大震災津波からの復旧・復興に資する事業を支援するため、2億3000万円を追加計上した。対象事業としては、沿岸市町村における地域産業の振興や復興計画等の策定などの復興緊急支援のための事業や、臨時バス運行事業のほか、沿岸市町村の復旧・復興を支える内陸市町村の地域活性化のための事業を想定している。配分については、今回計上する2億3000万円のうち、被災が甚大な沿岸の12市町村に対しては、復旧緊急支援の事業について、県補助率を2分の1から3分の2に引き上げるなど、全体の約56%にあたる1億3000万円弱の配分を見込んでいる。
新しい公共支援事業費についてだが、この事業は、国からの交付金を原資として、昨年度末に設置した、基金からの繰り入れ金を財源として今年度から2カ年間実施するものである。この事業は、民間非営利組織の自立的な活動を後押しし、行政との共同で実施することが望ましい行政行域などにおいて、民間非営利組織と市町村等の官民連携による取り組みの拡大と定着を図ることを目的としている。今年度は、例示的に申し上げると、仮設住宅におけるコミュニティ形成のための官民共同のモデル的な取り組みなどを想定し、県内からの公募により1件1000万円を限度に助成するものである。配分については、今議会で本事業予算を承認いただければ、今月下旬にも沿岸地域で外部委員による運営委員会を開催し、助成申請者による公開プレゼンの上選定する予定である。
・森林資源・再生エネルギーの活用について
【斉藤議員】
第四に、廃棄物由来再生可能エネルギー利用促進事業費補助として1億8649万円余が計上されています。補正後の総額は4億941万円余となります。二戸市、紫波町、一戸町の公共施設で重油ボイラーからチップボイラーに転換するものです。県内の森林資源・再生エネルギーを活用しようとするものであります。これまでの実績と効果はどうなっているでしょうか。福島原発事故を踏まえて、原発からの撤退も緊急の課題となっています。思い切って森林資源・再生エネルギーを活用すべきと考えますが今後の計画はどうなっているでしょうか。
【環境生活部長】
これまで、奥州市および遠野市が行う木質バイオマスエネルギー利用施設の整備に対して、1億4200万円余の補助をしているところであり、その事業効果は、二酸化炭素排出量の年間換算で206トンの削減効果があり、地球温暖化防止対策の推進に寄与していると考えている。
今後の計画については、この補助金は平成21年度から今年度までを期間する地球温暖化対策等推進基金に基づくものであることから、今年度で終了することになっている。しかしながら、再生可能エネルギーの普及促進が重要である観点から、国に対して、新たな制度の創設と大幅な増額等について要望している。
・児童虐待の対応状況、児童福祉司の配置・増員、震災孤児への対応、保育所の整備状況について
【斉藤議員】
第五に、児童養育支援ネットワーク事業費7817万円余、保育所等施設整備費補助1億1999万円余が計上されています。児童虐待防止対策事業費のその内容ですが、児童虐待の対応状況、児童福祉司の配置・増員はどうなっているでしょうか。震災孤児に対する対応も含めて示していただきたい。保育所等施設整備費補助は、総額では8億8641万円余となりますが、今年度の保育所の整備と定員増、保育児童待機者の実態と解消の見通しはどうでしょうか。
【保健福祉部長】
児童養育支援ネットワーク事業費についてだが、平成22年度の児童相談所の児童虐待相談対応件数は、361件で、前年度比68件の増加となっており、市町村の相談対応件数も514件と57件増加している。その理由としては、子育て不安や不安定な経済状況等の要因のほか、児童虐待の通告義務の周知が図られてきていること等が挙げられる。
児童福祉司についてだが、相談内容の複雑化等に対応するため、平成22年度に1名増員し現在24人となっており、23年度には3児童相談所に各1名臨時職員を配置し、児童虐待通告への対応強化を図っている。また、今般の東日本大震災津波により、被災孤児等に対する個別の調査・相談、家庭的な養育環境の確保など、児童相談所の業務量が増加しているため、他県からの児童福祉司等の派遣を要請する一方、国に対しては、児童福祉司等の増員要望を行なっている。
保育所の整備についてだが、平成23年度においては、10市町13ヶ所の整備を行う予定であり、保育所の定員を370人拡大する予定としている。また、保育所待機児童については、平成23年4月1日現在で、5市町83人となっており、うち1市1町において150人の定員増が図られる見込みとなっている。
・小水力発電の調査事業結果と本格導入について
【斉藤議員】
第六に、小水力発電エネルギー利活用可能性調査事業費が1000万円計上されています。小水力発電は、自然エネルギーの活用として岩手県にとって大きな可能性を持つものと考えます。これまでも調査事業が行われています。これまでの調査事業の結果と本格的に導入する場合の課題、国の動向、岩手県の可能性について示していただきたい。
【農林水産部長】
県では、岩手県土地改良事業団体連合会と連携しながら、平成22年度までに県内17ヶ所で農業用用排水を活用した小水力発電の導入可能性を調査し、約8割の施設でゲートの操作など農業用施設への活用は可能であるものの、現在の発電電力の売電単価では、設置費等の経費の改修までは困難との結果を得ている。現在国では、再生エネルギーの活用に向けた法律案が国会に提出されているが、売電単価の引き上げ等により、小水力発電の導入可能性は広がるものと期待している。本県は、豊かな水と高低差に富む地形の下、基幹的な農業用用排水路約1400キロメートルを有しており、これらの施設を活用した小水力発電の事業化に向けて可能性調査に取り組んでいく。
・建設業総合対策事業費と県内建設業を取り巻く状況、総資本経常利益率について
【斉藤議員】
第七に、建設業総合対策事業費として1000万が計上されています。その内容と県内建設業を取り巻く状況、全国一低いといわれる総資本経常利益率とそれへの県の対応を含めて示されたい。
【県土整備部長】
建設業総合対策事業費の内容だが、建設企業の経営基盤の強化、新分野への進出、あるいは企業再編等の取り組みを支援するため、アドバイザーによる経営指導等に要する経費の助成などを行おうとするものである。
県内建設業を取り巻く現状については、県内の建設投資額はピークだった平成8年度の1兆780億円に対し、平成21年度は5760億円とピーク時の約53%にまで落ち込んだ。東日本建設業保証株式会社の調査結果によると、企業の収益力を総合的に表す総資本経常利益率が本県建設企業においては、平成21年度はマイナス3.48%と4年連続のマイナスに加え、全国でもっとも低い数値となった。今後、災害復旧事業等に伴う建設投資額の大きな変動が見込まれるが、建設企業は今から経営改善に取り組み、本業を中心とした経営基盤の強化に努めていく必要があると考えている。
・花巻空港整備事業について
【斉藤議員】
議案第8号は、花巻空港管理条例の一部を改正する条例であります。平行誘導路の供用開始に伴い、航空機の重量制限を緩和し、旅客ターミナルビルの占用料見直すものであります。平行誘導路の整備事業費、花巻空港整備事業費の総額はどうなるでしょうか。平行誘導路はどう利用されるのでしょうか。本当に必要だったのでしょうか。費用対効果はどうなるでしょうか。花巻空港利用客の推移を含めて示されたい。また、旅客ターミナルビルの占用料は、増額となるのでしょうか。利用客が減少している中で採算がとれるのでしょうか。
【県土整備部長】
並行誘導路の事業費は131億7000万円、花巻空港整備事業費の総額は309億2000万円である。
並行誘導路は、航空機が滑走路から早期に脱出し、駐機場に向かう地上走行移動のための施設であり、これにより滑走路を占用する時間を短縮し、定時制の確保や安全運航等に寄与するとともに、大型機の回転も可能となり、大型機の就航による国際チャーター便の拡大が期待される。
国内定期便の利用者の推移については、平成21年度は4年ぶりに前年度を上回ったものの、平成22年度は名古屋線の運休および機材の小型化が進んだことにより、24万5000人と前年度比31%減となった。なお、花巻空港整備事業の費用対効果は、平成20年度の大規模公共事業再評価によると、1.4である。
旅客ターミナルビルの占用料だが、今般の条例の改正は、国際チャーター便の運行ニーズに対応し、国内定期便と国際チャーター便などを同一の時間帯で受け入れ可能とするため、県有施設として国際線出発施設を整備し、新たに整備する施設について占用料を設定するものである。県としては、平泉の世界遺産登録を契機とした国内外からの観光客の受け入れ体制の充実を図る観点から、今般の施設整備を行ったところであり、今後は空港機能の向上について、海外の航空会社にPRを行うなど国際チャーター便の誘致に一層取り組んでいく。
・県警のヘリコプターテレビ中継システム通信設備等設置工事の請負契約について
【斉藤議員】
議案第9号は、県警のヘリコプターテレビ中継システム通信設備等設置工事の請負契約に関するものであります。これまでの県警のヘリテレの活用状況、東日本大震災での活用状況と、今回のシステムではどう改善されるか示していただきたい。
【警察本部長】
ヘリテレの活用状況についてだが、ヘリテレは災害時の情報収集や遭難者の捜索・救助活動等に活用しているが、主な活用状況については、平成20年には、岩手・宮城内陸地震における被災状況の情報収集や、釜石地区周辺の大規模山林火災の状況把握、平成22年には、チリ地震大津波警報発令時における被災状況の確認、この度の東日本大震災では被災状況の情報収集や総理大臣の警護・警備等に活用している。また、他の都道府県警察からの要請があった場合にも支援にあたっている。
今回の東日本大震災においては、地震発生後直ちにヘリテレ装置を搭載した県警ヘリを沿岸部に向かわせ、津波による被災状況の映像を撮影するなど迅速な情報収集にあたらせた。以降、被災地の被災状況や同時に発生した林野火災、孤立集落の把握等のため、他の県警ヘリの応援を得つつ、ヘリテレ映像による情報収集に努めるなど災害対策に役立てたところである。なお、撮影した映像については、県警本部のみならず、県災害対策本部にも送信しているところである。
新システムでの改善点だが、現在のシステムは運用開始から約15年が経過しており、障害発生の不安定要因を抱えながらの運用となっていたが、この度の工事で通信機器類一式を更新するため安定的な運用が期待できる。また、画像の方式がアナログからデジタル方式に変更されるため、高画質で鮮明な映像が取得できるほか、ヘリコプターに搭載しているカメラの拡大率が現在の約2倍にあたる80倍程度まで向上するため、状況に応じたさまざまな警察活動により迅速・的確に対応することが可能になるものと考えている。
・久慈港の港湾整備事業による工業用地の売却について
【斉藤議員】
議案第10号は、財産の処分に関し議決を求めるものです。久慈港の港湾整備事業による工業用地を北日本造船に売却するものであります。売却されることはよいことですが、港湾整備事業による工業用地等の造成費、当時の売却単価と今回の売却単価はどうなるでしょうか。未売却の用地、赤字分はどうなっているか。どう処理されるのでしょうか。
【県土整備部長】
久慈港半崎地区における工業用地の造成費と売却単価だが、造成費は69億5700万円となっており、平成17年度から平成21年度まで5度にわたり北日本造船株式会社に対して売却している。売却単価は、1平米あたり9900円から9200円となっており、今回は8470円としている。久慈港半崎地区における未売却の工業用地は、今回の売却後、1万4547平米となるが、もっとも海に面している区画であり、湾内の が確保されていない状況では、売却が困難と思われる。
土地の売却金額と造成金額と差額は、一般会計から繰り入れる形となるが、半崎地区の工業用地の売却は、地域の産業振興や雇用拡大につながり、経済効果が大きいものと考えている。
・多くの避難者がいる中での知事選、県議選の執行について
【斉藤委員】
最後に、選挙管理委員長に質問します。今回の補正予算には、知事、県議選の選挙執行費が3億円余盛り込まれています。知事選は8月25日、県議選は9月2日告示となります。福島県、宮城県はさらに延期されるようです。7月4日現在でも行方不明者が2169人、避難者総数が12249人となっていますが、有権者の把握がなされているのでしょうか。被災地はいまだがれきの中にあり、復興とまちづくりは遅々として進まない中で、公正な選挙ができる状況にあるのでしょうか。
【選挙管理委員長】
東日本大震災に伴う地方公共団体の議会の議員および長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の規定により、現在は知事および県議会議員の任期が4年の原則にもかかわらず、例外的取り扱いにより延長が認められているものであり、選挙執行の体制が整い次第、選挙を執行するのが基本であると考えている。
選挙管理委員会としては、市町村の行政機能の回復を踏まえながら、被災市町村を繰り返し訪問し、その実情の把握に努めるとともに、特に被害が甚大な市町村に対しては、選挙の執行体制の構築に向けて支援してきた。
このような中、先般すべての市町村から特例法の期限である9月22日までの選挙執行が可能であるとの意向が示されたこと、すべての市町村において6月2日現在の選挙人名簿の提示登録を完了していること、選挙を延期している多くの市町村において8月までに市町村の選挙を執行する見込みであること等の状況から、期限までに執行できない理由はないものと考え、9月11日に選挙を執行する方針を固めたところである。
選挙管理委員会としては、被災市町村においても、円滑に選挙事務が遂行できるよう、引き続き必要な支援を行いながら大震災からの復興の舵取りを担うリーダーを選ぶという大切な選挙の公正かつ適正な執行に全力を傾注していく所存である。
≪再質問≫
・知事の補正予算に対する考え方について
【斉藤議員】
津付ダムについては再検討するということだったが、簗川ダムもこういう大災害の時には見直すという決断が必要である。花巻空港の問題を聞いたが、約310億円かけている。いま利用客は24万5000人、計画を立てたときは50万人を見込んでいた。半分に利用客が減って310億円を投資した。こういう大規模事業のあり方というのは検証しなければならない。簗川ダムも河川改修に転換したら、もっと安く、そして自然環境の破壊なしでやれる。そういう見直しをすべきではなかったか。
【達増知事】
簗川ダムについては、簗川の治水対策という性質上、本年度予算においても着実に進めていくという判断をしたところである。
・住宅リフォーム助成について
【斉藤議員】
実は去年は19市町村、今年は25市町村に広がった。すでに6月末の段階で、去年の実績を上回る3923件、事業費31億2300万円までになっている。被災地の宮古市や久慈市など6市町村も取り組んでいる。
こういう時だからこそ、本当に地域経済に大きな効果をもたらしている事業を県としても応援すべきではないのか。
【達増知事】
住宅リフォームについては、震災後のリフォーム動向、また震災後、被災地を中心としてのさまざまなその他の建設・建築関係の動向等も踏まえながら具体的な制度設計について検討を行っていくものである。
・原発からの撤退、自然再生エネルギーへの転換について
【斉藤議員】
環境省は、「再生エネルギーの可能性は日本で原発40基分ある」という試算をしている。県内の可能性というのはどう試算されるか。
再生エネルギーの活用を阻んでいるのは、原発推進政策である。原発を民主党政権で14基も増やす、25%から50%まで引き上げるという方針が再生エネルギーの障害になった。福島原発事故について、政治家としての知事にどう受け止めているかお聞きしたい。まったく安全性の確立していない危険な技術で、一度事故が起これば放射能を制御できない。放射性廃棄物の処理・処分の方法もない。今こそ、この原発から速やかに撤退する、期限を決めて自然エネルギー・再生エネルギーに大きく転換していくことが求められているし、全国の世論調査でも82%が「廃炉推進」である。そういう方向に、自然豊かな岩手県の知事が決断してこそ、再生エネルギーの活用が進むのではないか。
【達増知事】
本議会における一般質問でも答えていたように、岩手における再生可能エネルギー、自然エネルギーのより発展、開発により県としてのエネルギー自給率を高めていく方向で臨んでいきたい。
【環境生活部長】
本県の再生可能エネルギーの富存量ということだが、新エネルギービジョン、これは平成10年に策定したものだが、目標値として電力換算で、55万3000キロワットというものを掲げたものはあるが、現時点で太陽光発電だとか、小水力だとかさまざま含めた富存量について取りまとめたデータはない。今後の検討課題とさせていただきたい。
・久慈港の港湾整備事業による売却単価について
【斉藤議員】
造成時の売却単価はいくらだったか。これは全部売っても造成費の半分ぐらいにしかならない。そういう赤字をどうするのか聞いた。
【県土整備部長】
造成費用が全額で69億5000万円と述べたが、売れていないところがあるので、売却済みの造成費用は63億4000万円である。今回のことも含めて、売却金額は27億円になる。差額36億4000万円になる。しかし、北日本造船については、本社社屋50人の従業員、関連企業175人ほどの雇用になっており、今回に際して工場を増設するということで、10〜20人の雇用を見込んでいるとうかがっている。そういうことからして、地域の産業振興に欠くことができないと判断している。
≪再々質問≫
・福島第一原発事故の知事の認識について
【斉藤議員】
福島原発事故を政治家としてどう受け止めているか聞いた。安全神話が崩壊して、今までの原発政策が破たんしたのではないか。
【達増知事】
達増個人として、原発の事故に関しては、きわめて深刻に受け止めている。これは、よほど真剣に事態を考えて、まずは周辺の皆さんの安全の確保、そして放射能の影響が広がらないように、また広がっているのであればその影響を収束させていくように、国家的な危機管理として対応していかなければならないと思っている。