2011年7月13日 最終本会議
発議案第2号「発電・送電分離の法制化と次世代送電網の導入を求める意見書案」に対する賛成討論


 日本共産党の斉藤信でございます。発議案第2号、「発電・送電分離の法制化と次世代送電網の導入を求める意見書案」に賛成の討論を行います。
 福島第一原発事故は、日本と世界の人々に大きな衝撃を与え、原発に依存したエネルギー政策を、このまま続けていいのかという、重大な問題を突きつけました。そして、原発からの撤退と自然エネルギー・再生エネルギーへの大胆な転換への世界的な流れは、この事故を契機に、さらに大きくなっています。
 国内でも、各紙の世論調査で日本世論調査会の調査で「廃炉推進」が82%、朝日新聞の昨日の世論調査では「原発を段階的に減らし、将来は、やめることに賛成」が77%となっています。原発推進政策の根本的な転換、原発からの撤退は国民の圧倒的な声となっています。
 福島原発事故が明らかにしたことは、原発事故には、他の事故には見られない「異質の危険」があること。今の原発技術は、本質的に未完成で危険なものであること。世界有数の地震国・津波国に集中立地することの危険。「安全神話」への固執が深刻な結果を招いたこと。安全な原発などあり得ないことであります。
 重大なことは、異常な原発の推進が、地域独占と総括原価方式で守られてきた「原発利益共同体」によって推進されてきたことです。原発利益共同体は宣伝広告費という手段でマスコミまで取り込んできました。また、原発の推進政策が自然エネルギーの本格的な導入を妨げる障害にもなってきました。
 自然エネルギー・再生エネルギーの本格的な開発と普及のためには、すべての再生エネルギーを固定価格で買い取る固定価格制度が必要です。同時に発電から送電、配電まですべて電力会社が地域独占していることが障害となっており、発電と送電を分離し、現在、東日本と西日本で異なる周波数のために分断されている問題の解決や、スマートグリッド(賢い送電網)などの技術の開発などが促進されるべきであります。
 原発からの撤退を決断し、自然エネルギーの本格的な導入に取り組んでいるドイツでは、発電・送電・配電部門が分離されたことが、固定価格買い取り制度とともに、重要な意義を持ちました。ドイツでは、再生可能エネルギーを2020年までに総発電量の30%に、2050年までに80%の目標で取り組んでいます。
 日本における再生可能エネルギーの可能性は、太陽光、風力、バイオマスなどの合計で約12兆キロワット時とされています。これは、今ある原発の総発電電力の約40倍となるものです。
 福島原発事故を踏まえ、今こそ、原発推進政策を転換し、期限を決めた原発からの撤退を決断し、本格的な再生エネルギー・自然エネルギーの本格的な導入をはかるべきであります。豊かな自然と資源に恵まれた岩手県こそ、自然エネルギー導入の先進地として発展を図るべきであります。これは、エネルギーの地産地消ともなり、エネルギー自給率を高め、地域の産業と雇用拡大にも結び付くものであります。
 今回提案された「発電・送電分離の法制化と次世代送電網の導入を求める」発議案は、原発利益共同体と地域独占体制を解体の一歩となりうるものであり、自然エネルギーの本格的な導入の力となるものであり、賛成するものであります。