2011年7月13日 最終本会議
国家公務員の賃金引き下げ法案の撤回、東日本大震災の復旧・復興と公務公共サービス拡充のために国家公務員の増員を求める」請願の不採択に対する反対討論
日本共産党の斉藤信でございます。請願受理番号126号、「国家公務員の賃金引き下げ法案の撤回、東日本大震災の復旧・復興と公務公共サービス拡充のために国家公務員の増員を求める」請願が民主党・ゆうあいクラブ、自由民主クラブ、地域政党いわてなどの反対で不採択とされました。極めて残念な結果であり、違法無法な賃下げを容認する請願の不採択に反対の討論を行います。
第一に、国家公務員の賃金を1割、3年間にわたって引き下げるという法案は、東日本大震災津波、福島原発事故という戦後最大の大災害に不眠不休で取り組んでいる公務員に対し、それを顕彰するどころか賃下げで対応するという冷たい、逆立ちしたやり方であり許されないものです。私はハローワーク大船渡を訪問してきましたが、ハローワークの職員は2カ月で1年分の仕事をしたとのことです。地方整備局の職員も国道や港湾の復旧に不眠不休で取り組みました。県職員、市町村職員も同様です。こうした公務員に賃金引き下げを押し付けるやり方は許されないものです。
第二に、国家公務員の賃金は、「人事院勧告を受けて決める」というのが国家公務員法第28条で定められたルールです。労働基本権をはく奪した代償としての人事院制度まで無視する賃金引き下げは、人事院自身が反対しているように違法無法なやり方であります。
第三に、国家公務員の賃金引き下げは、地方公務員まで影響を与えます。国家公務員で3000億円の賃下げですが、625万人の公務員が1割の賃金引き下げということになるなら、GDP(国民総生産)で3兆円減少するという試算が労働総研から出されています。日本経済にも、地域経済にも大きな打撃を与えるものです。とりわけ被災地である岩手県の経済に与える影響はさらに大きなものとなりかねません。
第四に、この間、10年以上にわたって公務員の賃金が連続的に引き下げられてきました。県職員の場合12年連続の賃金引き下げで、1人当たり平均126万円の削減となっています。総額では年間247億円で、地域経済へのマイナスの波及効果は380億円に及んでいます。
公務員の賃金が下がれば、民間の賃金も下がるという賃金引き下げの悪循環に陥っているのであります。この悪循環を断ち切ってこそ、地域経済を打開する道が開けてきます。
第五に、日本経済のゆがみを正すことこそ、財政再建と経済の危機打開の道だということです。公務員はもとより民間労働者の賃金もこの10年間で引き下げとなりました。10年間で労働者の賃金が下がった国は、先進国で日本だけであります。一方で大企業はこの10年間余で100兆円も内部留保を増やし、244兆円もの内部留保をため込んでいます。使い道のない手元資金だけで60兆円を超えています。ところが、民主党政権は、こうした大企業・大資産家に対して2兆円もの法人税減税・証券優遇税制を行っているのであります。
第六に、国家公務員の賃金1割、3年間の引き下げは、あまりにも違法無法なことから、国会の委員会でも全く審査がされていません。撤回すべきものであります。国会では自民党の議員も反対の質問を行っています。なぜ、岩手県議会の民主党、自民党は賃金引き下げの推進役を買って出ているのでしょうか。
本県議会には、福島原発事故に関わって、「原発に依存しない自然エネルギーの推進を求める」請願、「原発から期限を決めて撤退し、自然エネルギーの本格的な導入を求める」請願が提出されましたが、7〜8割を超える原発からの撤退を求める国民の声に背を向けて、民主党と自民党は、採決を避け、審議未了、事実上の不採択としました。
東日本大震災津波の救援・復興で不眠不休で頑張っている公務員の賃下げは推進する。原発からの撤退と自然エネルギーの導入を求める国民・県民の願いには背を向ける民主党、自民党の立場は県民から厳しく検証されるべきであることを申し上げ、討論といたします。ご清聴ありがとうございました。