2011年7月22日 
被災した県立病院の早期再建を求める申し入れでのやりとり(大要)


【医療局長】
 今回の未曾有の大震災ということで病院も被災し、そのために地域の皆様方にいろんなご心配・不安を抱かせていることを申し訳なく思う。
 我々としても発災以来、できるだけ早く医療機能を回復したいということで、いま皆さんから入院ベットをという話もあったが、まずは外来を早く立ち上げなければならないということで、外来を中心に取り組んできた。若干資材不足などがあり、なかなか思うようにいかなかったのだが、何とか7月25日に高田病院の仮設診療所がオープンできるところまできた。
 病院の職員の方々の話もあったが、地元の職員がほとんどであるので、家族が被災されたり亡くなられた職員もおり、そういった中で職員の方々は非常に頑張っていただいた。そういった職員の頑張りもあり、何とか仮設のところまでこぎつけたという現状である。
 地震被害の大東病院については、たしかに建物は古かったが、釜石については耐震化ということで元々予定していたが、大東については私も見たがちょっとこれでは危ないなということで、当面の対応として、二次災害の危険性があるので増築棟のほうに外来機能を移転して安全な状態でやれるところで今やっている。
 斉藤議員からは「明確に復興計画に書くべきではないか」との指摘をいただいているが、今後については、いずれ各被災地域の町づくりと連動しながら、どういった医療提供の体制がいいのかということを地元と相談しながら検討させていただきたい。
 それから仮設診療所の場所が山田や大槌は少し離れたところにあり、そこは地元の市町と相談しながら巡回バスといった形でできるだけ足を確保できるような形で不便を少なくする形で回していきたい。
 それから党としても国の方にぜひ要望していただきたいと思うのだが、地震被害と違い津波被害なので、今の補助スキームなり国のスキームでの現状復旧というのは、今ある場所に建てるというもので、津波ということになると、同じところに建てるというのは難しいだろうと。基本的には患者をあずかる以上、安全な高台、ちょっと足の便が不便になるかもしれないが、あるいは町づくりがどういう形で計画されるかにもよるが、基本的には医療機関については高台にもっていかなければならないだろうと思っている。ただ、いまの国の支援スキームがなかなかそこまで追い付いていない状況であるので、財政的な面からいってもなかなか図面が見えない状況である。
 全般的な話では、先ほど経営計画に関して、もともと沿岸地域というのは医師がなかなか手配できない地域というのは実態としてあり、基幹病院もなかなかままならない、宮古病院を例にとっても医師数が足りず、今年に入って2、3人確保し整形が復活したりということにはなっているが、もともと不足している状況の中で、何とか地域病院を支えていくということで医師の確保を考えながら検討させていただきたい。

【斉藤議員】
 被災した3つの県立病院を訪問してきたが、先ほどの回答だと、「被災地域の町づくりと連動して相談しながら検討したい」と。当然だと思う。ただ、市町村は今年中にもだいたい方向を決める。決めないと住宅も建てれず町づくりも進まない。だから県立病院の再建・整備というのは、2年後3年後の話ではなく、そこと一体で年内には病院として再建するということを一緒に考えないと、病院は曖昧ということでは町づくりのプランができない。やはり高田にしても山田・大槌にしても、役場・学校・病院をどうするかが核である。そこと合わせて商店街をどう構築するかという、その中心的柱になる。整備するのは2年後3年後になるとしても、整備の方向を示さないと、高田市長からも要望がきていると思うが、そういうテンポで相談してもらわないと、病院だけ曖昧の町づくりプランということにはならないと思う。
 それから、石木院長に会ったときには、入院ベットは絶対に必要だと。必要でないというのならすぐにでも辞めますという話だった。これまでも高齢者急性期医療に取り組んで黒字に転換して、今度は2病棟拡充というところまでこぎつけての震災で、仮設も一律ではなくて、高田の場合には最初から入院ベットは必要だったのではないか。
【藤倉陸前高田市議】
 石木院長の地域懇談会では、関心したのは、一方的に要望を聞くだけでなく、ワーク形式で班ごとに分けて、どんな病院にしてほしいかなど2つぐらいテーマを設けて議論させる。そうして発表させると、やはり以前のように入院が身近にできる病院がほしいという風なことが出される。地域懇談会のやり方そのものも、本当に信頼関係がもてる形になっている。
 それから、県立病院とともに、2つの市の診療所が訪問診療をやっている。今回4月に二股診療所に医療局から新しい先生を配置してもらったが、その先生も含めて、ワゴン車で100軒を訪問し、5倍ぐらいの人数を広げて頑張っているということで、それと入院システムがセットになれば、本当に安心できるのではないかと思う。この間、整形外科の先生と皮膚科の先生が地元からいなくなったので、医療局に配慮していただいて、整形外科も皮膚科も外来でつくっていただいたので助かっている。
 町づくりの問題では、市長も答弁しているが、今度は高台だと。市役所の近くに病院を置き、患者が待ち時間には商店街で買い物もできるというエリアをつくりたいという話を、震災後最初に市長と院長が会ったときにその話になった。そういうイメージで病院を中心にした復興プランにしたいという話をしていたので、11月までには計画をつくるが、地元の意向を受け止めていただきたい。
【木村山田町議予定候補】
 避難所に毎日のように行っているが、話を聞いて、大槌との合併もあるらしいと聞くと、それに賛成という人はほとんどいない。やはりそれは本当の最後の最後の手段で、山田には1つ、とにかく1つ病院がほしい、それが復興の一番の安心材料でもあると思う。
【斉藤議員】
 統合案というのは、大震災のどさくさまぎれに出てくる話ではない。そして住民不在の一部の動きである。大槌町議会で議論されているわけでもない。やはり地域住民は今までの県立病院の再建を願っている。
【藤倉市議】
 震災が起こって、震災後の医療がどうなるのかという不安がそのようなことにもなっているのではないか。

【医療局長】
 統合して基幹病院並にするとなると、30人から40人ぐらいのドクターを用意しないと無理ではないかと思う。
 
【藤倉市議】
 陸前高田の場合は、行政・都市機能そのものがなくなってしまっている状況で、震災遭ったら最低でも病院はもとの規模の病院に戻すというのが、震災あった県としてそうするのが筋ではないか。
 病院というのは、1つの命についてのお互いが助け合う場でもある。本当に役所以上に大事な存在だと思うので、復旧というのは高台にというのは前提だと思うが、そしてみんなが新しい町づくりに意欲をもって頑張れるような形にしてもらえれば、そういうメッセージをお願いしたい。

【医療局長】
 いずれ被災3病院ベットがない状況なので、その期間については、基本的には二次医療圏の中で、主として基幹病院のほうでカバーしてもらうという形で対応させていただく方向でやっていくことにはなっている。さしあたり入院するベットがないということは避けられると思う。

【斉藤議員】
 大槌では、段階的に考えていた。仮設診療所で一定の取り組みをやって次の段階で病院の再建をしたいと。ただ高田は、早く入院ベットを確保して医療ニーズに応えたいと。
【藤倉市議】
 大船渡病院との関係でも、市長も院長も、大船渡病院自体も高田病院に入院機能があることにより初めて圏域の安心できるシステムになるということは、大船渡病院側も話していた。何とか仮設の中での入院ベットの具体化を追求していただければと思う。

【阿部大槌町議予定候補】
 病院の開設は復興に対しての希望である。今すぐ明日でなくても、そういう方向だというのを聞くと頑張るぞという気持ちになれる。特に私のような離れた地域に住んでいるとより希望の光になる。
【木村山田町議予定候補】
 メンタルな面で、山田病院の看護師たちも被災して、家が亡くなったり家族を亡くしたり人もいる。職員で家が無くなった人たちが入居している県の官舎に支援物資を持っていったときに、小さい子どもを抱えて親を亡くしたという話を聞くと、これからのことを考えると本当に大変だと思う。
【斉藤議員】
 専門委員会の会議でも激論が交わされているようだが、医師会の石川会長は、きちんと病院の再建を早く打ち出して住民の不安に応えるべきと言っている。人口の動向をみるというのもあるが、病院を再建して被災者がそこにとどまれるようにということも大事だという指摘もされている。
 やはり病院は命にかかわる、特に被災地が今希望を求めているときに、被災地で頑張ろうと、それに応えた県の施策というのは町の姿勢じゃなくて、県から復興のメッセージをスピード感を持って打ち出すべきだと思う。
 たしかに沿岸の医師不足は深刻である。ただ全国的には、医学部の増員もあって毎年1000名規模でゆくゆくは増えていく。沿岸は逆格差になっているのではないかと思うぐらい県レベルでは確実に増えてきている。沿岸との逆格差の是正にもう少し医大を含めて取り組んで、被災した病院は必ず再建するというメッセージを町づくりのプランを検討しているさなかに早く打ち出してほしい。
【藤倉市議】
 沿岸の地域医療の格差の問題では、沿岸の地域の中で高田病院がこの間努力して、先生方、看護師が大変な思いしながら、あれは1つの地域医療のモデルだと思う。その信頼が地域の方々、開業医の方々も診療所もそれに連携できると。介護の方とも連携し合うと。ああいう事例が沿岸でもできるということを全国に広げていく意味でも、岩手県の医療というのは大きな力を持っているのではないかと思う。
 財政も厳しいと思うが、被災地だからこそ、財源も重点配分していただいてやってほしい。

【医療局長】
 従来のスキームは復旧型のスキームで、津波なのでこれが移転型でやれるような形でやってほしいと思う。その辺りがまだ見えない。