2011年8月11日 臨時県議会・最終本会議
発議案第1号 菅総理の即時退陣を求める意見書案についての質疑(大要)
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。民主党・ゆうあいクラブから単独で提案された意見書案「管総理の即時退陣を求める意見書」について、提出者に質問します。
第一に、管首相が昨日10日、自ら退陣を表明したようですが、菅民主党政権が、東日本大震災津波対策でも、いまだに本格的な復興の対策を講じようとせず、被災者・被災地置き去りの状況となっていることは許されないことです。福島原発事故問題でも対策が遅れ、収束の見通しさえ立っていません。必要な情報も提供せず、放射線の汚染状況の調査も行わず、県内にとっては対策なしの肉牛出荷停止の指示を出すなど、国民に不安と苦しみを広げていることも重大です。
さらに、消費税の増税やTPP参加を推進するなど自らの総選挙での公約に反し、国民生活破壊の政治を進めていることも許されません。
菅内閣の実態は、あまりにもお粗末で統治能力を欠いていることは明らかです。世論調査でも内閣支持率が10%台に落ち込んでいることは、国民から見放された状況というべき事態です。
菅内閣が、こうしたお粗末な状況に陥った原因をどう認識されているでしょうか。総選挙での公約を投げ捨て、自民党政治と変わらない政策への変更・変質こそ行き詰まりの最大の原因と考えますがどうでしょうか。即時退陣に値する具体的な問題点を合わせて示していただきたい。
第二に、菅政権は、民主党政権であります。菅首相が辞任に値するというなら、民主党自身の内部努力で解決すべきではないでしょうか。これまで、民主党・ゆうあいクラブ、民主党県連は菅政権、管首相に対してどういう対応をしてきたのでしょうか。
菅政権混迷の要因の一つは、民主党内部の権力闘争にあるのではないでしょうか。まともな政党の体を成していないと思いますが、政党のあり方としても異常なことだと考えますがいかがでしょうか。
第三に、東日本大震災津波対策で、民主党・ゆうあいクラブは、菅政権に対して救援復興の課題をどのように要望してきたでしょうか。また、それはどのように実現、具体化されているでしょうか。実現されていないとすればそれは何が問題なのでしょうか。
菅政権には、岩手選出の平野参議院議員が復興担当大臣に加わっています。救援復興対策が進まないのは菅首相だけの問題でしょうか。平野大臣は必要な役割を果たしていると考えているのでしょうか。
総理がどうであろうとも、東日本大震災津波の救援復興に全力を挙げて取り組むことが必要ではないでしょうか。
第四に、民主党の代表であり、総理大臣である菅首相に対して、同じ民主党の県議会会派から、総理辞任を求めるというのは筋違いではないでしょうか。県議会を民主党の権力闘争の舞台に利用しようとするものといわれても仕方がないと考えますが、どう認識されているでしょうか。
【工藤大輔議員】
菅総理の政権運営の問題が質問に出されたが、今回の大災害は予想を超える大きなものであったということはご案内の通りであり、それまで十分想像できなかった、対応しきれてこなかったということは、新しい政権を担うことになったとしても、政権を担う者としての責任であると思う。
本来であれば、これまでそういった大災害においても十分な対応をとれるよう、これまでの内閣においても十分に進めてくるべきであったと私は思うが、現内閣においても責任を同時に考えるべきだと思う。
そういった中で、今後発生する二次被害等、一時の間も置くことなく、あらゆる対応をとっていかなければならない、そういった中にあって、特区構想などまだ認められず地域の計画もなかなか立てられていないということも現状であり、また福島原発事故等の対応に関しては、まさに場当たり的で政府内調整がない中に進めるなど、混乱を招いているというのも事実である。また、国会において他の党との十分な協議も今できないということは、その大きな要因というものが菅総理にあるということは既に各政党発言されていることであり、ご理解があるわけであるが、いずれこういったさまざまな諸課題に対応するためには、やはり新しい体制のもとに新しい政権をつくって与野党一致して協力し、今の国難を切り抜けられる体制を早期につくることが今日本にとって必要ではないかと考えている。当然、被災地においてもスピーディーな対応というものが求められており、そのような体制をつくる必要性があるからこそ、この発議案を提案したものである。
また、今日まで党の活動においてどのようなことをやってきたかということだが、本来ここは議会の場であり、政党の個々の活動について答える必要があるかどうか疑問があるが、あえて答えさせていただくと、さまざま県連において多くの団体や県・市町村から要望をいただいている。それらについてすぐに国や党に上げながら、政策実現に向け取り組んでいるところであり、実際に達成されたものもあるが、いずれそのスピード感が遅いということは私の認識でもある。また、先般官邸に参り、直接菅総理にお会いした際に、被災地の声として要望もしたところである。いずれそのような活動をしてきているということをご理解の上、今後とも災害復旧にともに歩んでいただきたいと思う。
【斉藤議員】
菅内閣の実態は、あまりにもお粗末で統治能力を欠いていることは明らかである。しかしそれは、民主党政権であり民主党自体の問題ではないか。民主党の代表を変えるのは民主党ではないか。民主党自身で変えられないとしたら、それは政党としての体をなしてないということになるのではないか。
東日本大震災や福島原発事故対策というのは、誰が首相であれ、すべての党が力を合わせて最優先で取り組まなくてはならない課題である。しかし、菅内閣・民主党内閣はそうなっていない。例えば、今度の肉牛出荷停止問題について、前沢牛の生産農家が、岩手出身の大物の国会議員に陳情したが、「菅首相のうちは何ともならない」と。こんな対応はあってはならないことである。誰が総理でも、あらゆる手立てを緊急にとる、国民の利益に立つ、そういうことが民主党としてできていないのではないか。
最大の問題は、民主党内部が一つにまとまらず、まとまらないどころか抗争・権力闘争をやっているからではないか。これが県議会が意見を出すというよりも、民主党自身が自らの自浄能力を発揮して一つになり、まともな政党として変わることこそ先決ではないかと思うがいかがか。
民主党が菅政権・菅内閣に対して、具体的に問題を提起して改善を提起したという姿が少しも伝わってこない。民主党は菅政権丸投げではないか。
菅首相は昨日の国会で正式に退陣を表明した。退陣を表明した段階でもこの意見書案は、民主党・ゆうあいクラブ単独で無理やり出す理由があったのか。
【工藤大輔議員】
党内の問題ではないかということだが、当然民主党の代表であり、総理大臣である。野党の党首を辞めろと言っているものではない。日本の総理をやはりここは変えるべきではないかということを申し上げており、決してこの発議案を提案する際、党内抗争であったり、パフォーマンスのことをおっしゃる方もいるが、そういった趣旨で提案したものではなく、一刻も早い復旧・復興を願う県民や多くの国民の意志に沿うように提出をしたものであるので、ご了解いただきたい。
菅政権丸投げではないかという質問があったが、それはおそらく斉藤議員にはそのように映っているのか、そのぐらいしか見えていないのか分からないが、しっかりとそれについては党内において機関決定をしながら、また上げながら、地域の要望や政策課題について取り組んでいるところであるのでご報告を申し上げる。
昨日国会の場や報道機関通して退陣の意志を表明したが、しかしながらこれは現在進行形であり、今なお2つの法案が通ったという過程の中で、それが前提のもとに進んでいるものであり、ここはやはり全国議長会の中で、3県議長から提案された緊急動議の内容と同様のものであり、岩手県議会としてもこのような声を発するべきではないかというような思いの中提案をしたものである。
【斉藤議員】
菅内閣の復興大臣は岩手選出の平野復興大臣である。平野復興大臣は頑張っているのか。それとも菅首相と同じなのか。
私は、今回の菅内閣のあまりにもお粗末な実態というのは、まさに民主党全体の責任。民主党内部の抗争が最大の原因だと思う。それを県議会にこういう形で持ち出すことは、まさに県議会を民主党の権力闘争の舞台に利用するものだと指摘しなければならない。
こうした意見書案にはとても採決に加われない。辞任に値するのは当然だが、そのことを表明して質問とする。
【工藤大輔議員】
岩手を第一に思い、岩手をよく知る平野参議院議員が大臣になられたということで、これからも災害復興に向けた最大の力を発揮していただけるものと期待している。
また、共産党はじめ、多くの政党から菅総理に向けた退陣の要求等が今日までなされた。同様の思いであるならば、ぜひご賛同をいただきますようよろしくお願いしたい。