2011年10月18日 9月定例県議会・本会議
議案に対する質疑(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案に対する質疑を行います。
 議案第1号は、2011年度岩手県一般会計補正予算(第7号)であります。東日本大震災津波の復旧・復興を中心とする853億円余の補正予算であります。

・すべての庁舎の耐震性や自家発電設備など安全対策について

 第一に、地区合同庁舎管理費1億7653万円余は、奥州、北上、花巻の合同庁舎に自家発電設備を設置しようとするものであります。県の庁舎は、本来災害時の対応拠点となるものでありますが、今回の大震災津波の対応はどうであったか。すべての庁舎の耐震性や自家発電設備など安全対策はどうなっているでしょうか。

【総務部長】
 今回の災害による被害状況は、一部壁等の亀裂やガラスや床の破損があったものの、建物の倒壊などはなかったところである。
 県庁舎および15地区合同庁舎については、災害対応の拠点として、情報収集や災害復旧対応を行うことになるが、今回の大震災の際には、県全域における停電が発生したため、自家用発電設備を有しない7地区合同庁舎については、可搬型発電機の確保や近隣の庁舎における対応を余儀なくされた。また、自家用発電設備を設置していた合同庁舎の一部においても、設備の不具合により、同様の対応を余儀なくされるなど、十分な対応ができなかった面がある。
 自家用発電設備については、花巻・北上および奥州の3地区合同庁舎に新設するための補正予算を計上しているほか、一関、遠野、釜石および宮古の4地区合同庁舎においても、本年度、既存の設備を更新中である。引き続き、計画的にその他の庁舎における新設・更新を進めていきたい。
 また、耐震性の確保については、本年度、花巻地区合同庁舎で改修工事を実施中であるが、今後、耐震性能の低い残り8棟の改修を計画的に進めていきたい。


・三陸鉄道災害復旧事業費補助について

【斉藤議員】
 第二に、三陸鉄道災害復旧事業費補助として5億7500万円が盛り込まれています。補助率4分の1となっていますが、国の補助スキームはどうなっているでしょうか。被災した沿岸の市町村も4分の1負担となるのでしょうか。三鉄復興の3カ年計画では、ルートは変えないとのことですが津波対策はどうなるのでしょうか。三陸鉄道の復旧状況、利用状況と合わせて示していただきたい。

【政策地域部長】
 三鉄の復旧にかかる国の補助スキームは、正式にはまだ決定していないところだが、国が2分の1、自治体が2分の1負担する新たなスキームとする方向で調整中と伺っているところである。
 自治体負担2分の1については、県と沿線8市町村が折半することとしており、全体額からみれば、県と市町村がそれぞれ4分の1を負担することとなる。しかしながら、県負担および市町村負担については、国が特別交付税を現年度に交付することで、限りなく実質負担をゼロにする方向で調整中と伺っているところである。
 津波対策だが、津波により被害があった路線については、法面を従来の意石を敷き詰めた岩座張り工法からコンクリート張り工法に改めることで、津波からの強度を高めたり、避難路を整備することで、利用者の安全確保を図ることなどについて、国、県、市町村、運営会社等で現在検討している。
 復旧状況だが、比較的被害が軽微であった北リアス線の宮古〜小本間および陸中野田〜久慈間については、3月中に運行を再開したところだが、その他区間は、国の全面的な支援がなければ復旧が困難であるため、復旧に向けた工事は行っていないところである。なお、今議会に提案している補正予算案をご承認いただいた後には、直ちに復旧工事に着手したいと考えている。
 平成23年4月から9月までの利用状況だが、運行区間がご案内の通り震災前の3分の1程度であるため、15万人弱の利用にとどまっており、昨年同期に比べ約7割の減である。


・災害弔慰金の状況について

【斉藤議員】
 第三に、災害弔慰金負担金が64億4062万円余となっています。災害弔慰金の対象件数と額はどうなっているか。これまでの申請と支給状況はどうなっているでしょうか。関連して震災関連死の申請状況と支給状況はどうなっているでしょうか。

【復興局理事】
 支給対象件数は6666件、金額は250億1250万円と見込んでいる。
 支給状況については、10月6日現在で3950件、117億8750万円支給されている。支給対象、これは支給対象見込みに対しては、件数ベースで59.3%の支給率となっている。
 災害関連死の実態と対策についてだが、市町村において災害関連死の可能性のあるものが133件のうち、災害関連死として支給した件数が、9月22日現在で18件となっている。
 県としては、災害関連死の判断が困難な場合等において、災害弔慰金等支給審査会の事務を市町村から受託し、市町村を支援したいと考えており、今議会において、災害弔慰金等支給審査会の受託にかかる議案を提案しているところである。
 可決された場合は、速やかに災害弔慰金等支給審査会を開催し審査を行っていきたいと考えている。


・仮設住宅の整備状況について

【斉藤議員】
 救助費46億1281万円余は、応急仮設住宅の維持管理や集会所・談話室の追加設置、災害にかかった住宅の応急修理対象戸数の増に伴う経費、他県からの求償の増額に要する経費を補正するものであります。
@応急仮設住宅の断熱、二重サッシ、風除室、畳の設置等の対策はどこまで実施されているでしょうか。いつまでに終了する見通しか。A集会所・談話室が設置されていない団地数とその対策はどうなるでしょうか。集会所・談話室が活用されていない実態がありますが、団地内からの人員配置を含め改善を図る必要があるのではないでしょうか。B応急仮設住宅・団地の維持管理費では、水道の維持管理費、該当の維持管理費が入居者負担となっているのは問題ではないでしょうか。入居者の共益費の負担はどうなっているでしょうか。C住宅の応急修理対象戸数はどうなっているでしょうか。修理できるものは最大限修理して再建をはかることが合理的ですが、宮古市のように県としても独自の補助が必要ではなかったでしょうか。今後も活用できるのでしょうか。

【復興局理事】
 仮設住宅の追加整備だが、断熱および二重サッシについては、断熱性が低い約7700戸の住宅について追加工事を行っており、これまでに全て完了している。また、全ての住宅を対象とした風除室の設置と、入居者の希望に基づき対応している。畳敷きへの変更工事等については、11月中の完了を予定している。
 仮設住宅の集会所・談話室の整備・活用についてだが、集会所・談話室が設置されていない団地数については、全部で319団地のうち、174団地となっており、これらについては、近隣の公民館等の既存施設、あるいは空き住宅の利用などにより対応いただくこととしている。
 集会所等の活用については、県では「応急仮設住宅運営に当たってのガイドライン」を各市町村に提供しているほか、応急仮設住宅団地内の遊具やベンチ、プランター等、コミュニティスペースを確保するよう進めている。
 また、9月末現在、各市町村の社会福祉協議会に生活支援相談員101人を配置し、各仮設住宅団地をまんべんなく訪問するなど、自治会、コミュニティ活動のきめ細かな支援を行っているところである。
 仮設住宅団地の維持管理費等だが、集会所等の水道料および団地内の街頭の電気料については、市町村負担とするか、あるいは入居者負担とするか、各市町村での判断に委ねて対応をお願いしている。
 浄化槽・受水槽の電気料等の共益費についても、同様に市町村に対応をお願いしている。
 災害救助法による住宅の応急修理にかかる補助についてだが、10月12日現在、申込受付件数2789件のうち1980件(71%)の修理を完了したところである。国で定める応急修理の限度額52万円については、当面の応急修理に必要な額として、国が告示しているものであり、本県としては当該限度額を基本として応急修理を実施しているところであり、県としての補助はしていない。
 今後の活用については、災害救助法による応急修理については、被災者が避難所から自宅へ早期に帰宅できるよう、本県においては7月8日付の市町村あて通知により、8月1日を申し込み期限としたもので、すでに締め切りとしている。


・放射能測定器の確保、検査体制について

【斉藤議員】
 第四に、環境放射能水準調査費が1億5733万円余の補正となっています。モニタリングポスト6台、サーベイメーター3台、ゲルマニウム半導体検出器1台を新たに設置・確保しようとするものですが、これまでに予算化されたものはどうなっているでしょうか。県はすでに市町村が実施している地上5センチメートル地点での測定と毎時1マイクロシーベルトを超えた地点についても除染の対象とすると見直したようですが、検査体制はどうなるのでしょうか。今後の検査スケジュールはどうなっているでしょうか。

【環境生活部長】
 今年度上期に県が発注した測定機器の納入予定時期は、サーベイメーター8台が今月下旬、モニタリングポスト3台が12月、ゲルマニウム半導体検出器1台が2月となっている。
 今回の補正予算による測定機器を加えると、年度内にサーベイメーターが計13台、モニタリングポストが計10台、ゲルマニウム半導体検出器が計3台となる予定である。
 これらにより、県全域をカバーする空間線量率の測定体制が整うとともに、水道水、土壌および農林水産物等に含まれる放射性物質の検出体制が大幅に強化されることとなる。
 除染対策にかかるスケジュールについては、各市町村がそれぞれ定めているが、今後においては、市町村の除染実施計画を踏まえ、その対策が円滑に進められるよう今月下旬に納入される予定のサーベイメーターを活用して測定や除染を支援するなど、市町村との連携を一層強化していく。


・地域医療再生臨時特例基金、被災地医療確保対策について

【斉藤議員】
 第五に、地域医療再生臨時特例基金積立金が15億円計上されています。これは具体的に何に使われるのでしょうか。前年度の国の補正予算で120億円が措置されていると思いますが、後の105億円はどう具体化検討されているでしょうか。
 被災地医療確保対策事業費として3036万円が計上されています。今回の補正の内容とこれまでの取り組み状況はどうなっているでしょうか。

【保健福祉部長】
 地域医療再生臨時特例基金積立金だが、国の平成22年度補正予算により措置された地域医療再生臨時特例交付金については、本県、宮城県および福島県の被災3県にたいし、それぞれ120億円が確保され、そのうち15億円については、被災地の医療機能を回復するために緊急的に必要である場合には、前倒しの交付が可能とされている。
 このことから、本県では、国庫補助の対象外の経費となる仮設診療所の整備や運営に対する支援、被災医療施設の応急的な機能回復の支援を図ることとしたほか、調剤薬局も含め、国の災害復旧費補助の対象とならない施設について、当該補助に準じる措置により、その復旧を支援することとしている。
 本県分として確保された120億円のうち残りの105億円については、被災地における医療提供体制の復旧・復興を図るための追加支援策を始めとし、災害時の医療提供体制の確保および三次医療圏を対象とした全県的な医療課題の解決を目的とした施設設備整備、人材育成等のハード・ソフトの事業に充てる方針であり、関係団体等の意見をうかがいながら検討を進めているところである。
 被災地医療確保対策事業費だが、今般の大震災津波により医療機関が甚大な被害を受けた気仙地域に県が整備した仮設診療所のうち、岩手県医師会が被災地の支援のため、内陸部から医師等のスタッフを派遣して、休日等を中心に診療を行うものについて、その運営に要する経費を補助しようとするものである。
 これまでの取り組み状況は、仮設診療所については、県立3病院の仮設診療施設を含めて医科19カ所、歯科14ヶ所、計33カ所を設置する計画で、現時点で県立3病院の仮設診療施設を含めて医科16カ所、歯科10カ所、計22カ所が診療中であり、おおむね11月までに設置が完了する見込みである。


・生活支援相談員の増員配置について

【斉藤議員】
 第六に、生活福祉資金貸付事業推進費補助が2億4847万円の増額補正となっています。市町村社協に対して84人の生活支援相談員を増員配置しようとするものであります。6月補正での118人と合わせると202人の配置となります。被災者の孤立化・孤独化、孤独死を防止するうえで重要な取り組みだと考えます。これまでの実績、取り組み状況、課題はどうなっているでしょうか。今回の補正では内陸の市町村社協にも配置する計画ですが、内陸に避難している被災者の状況はどうなっているでしょうか。この事業は少なくても2〜3年間以上は継続されるべき事業と考えますがどうなっているでしょうか。人件費はどうなっているでしょうか。

【保健福祉部長】
 6月補正予算で措置した相談員118人については、9月末までに予定の人数の配置を終えたところである。
 これら相談員については、すでに応急仮設住宅入居者を中心に、在宅被災者も含めて巡回相談に当たっているほか、被災者の孤立防止等のため、地域住民等が協働で会話や食事を楽しむ場として設置する「サロン」の運営を支援するなど、活発に被災者支援活動を展開している。
 一方、課題としては、被災者支援にあたる関係機関・団体とのネットワークの強化や在宅被災者の状況把握、被災者情報の共有などがあると考えている。
 内陸部に避難している被災者については、いわゆる「みなし仮設住宅」といわれる民間賃貸住宅等の契約件数や応急仮設住宅の設置状況などから推計すると、少なくとも1750世帯が避難していると見込まれ、こうした被災者に対応するため、内陸部にも相談員の配置を行うものである。
 また、設置期間だが、被災者の生活再建を支援するためには、応急仮設住宅が解消されるまで、議員ご指摘のように、一定期間は継続されるべきものと考えており、国に対して人件費や事務費の継続的な支援を要望しているところである。
 なお、人件費については、「生活福祉資金貸付事業推進費補助」の中で、所要額全額が国の負担で賄われているものである。


・介護施設の被災・復旧状況、老人クラブによる仮設住宅の高齢者への訪問活動について

【斉藤議員】
 第七に、老人福祉費6億7019万円余の補正について質問します。被災高齢者グループホーム等利用料負担軽減事業費補助の対象者数と軽減額はどうか。被災地の介護施設の被災状況と復旧の状況はどうなっているか。被災地高齢者友愛支え合い事業費は、高齢者の孤立化や引きこもりを防止し、高齢者の社会的な活動を促進するために、老人クラブによる仮設住宅の高齢者への訪問活動を行おうとするものですが、被災地の老人クラブの実態はどうなっているのでしょうか。実効性のある事業でしょうか。

【保健福祉部長】
 被災高齢者グループホーム等利用料負担軽減事業費補助についてだが、本事業の補助対象者は、認知症高齢者グループホーム等の利用者のうち、市町村が利用料の免除対象者と認定した500人程度を見込んでおり、また、その軽減額は、国庫補助制度のある特養ホーム入所者等の食費・居住費等基準費用額を目安として考えている(1日3350円上限・月額10万円程度)。
 被災地の介護施設の被災状況と復旧状況だが、県内405の入所・居住系の施設のうち、117施設が被災しており、うち全半壊と被害が大きく一時的に使用不能となった施設は14施設である。これまでに、半数の7施設はすでに事業を再開しているほか、5施設については、国庫補助を活用して事業再開を計画しているところであり、2施設については事業再開の意向がないとうかがっている。
 被災地高齢者友愛支え合い事業費について。被災地の老人クラブの実態については、震災前には約14000人いた会員のうち、7月末のとりまとめでは409名が死亡または行方不明となっており、老人クラブ事務所も含め、家屋の全半壊など建物被害もありましたが、被害の小さかった地域を中心に、仮設住宅に入居する高齢者への友愛活動や運動会の開催など徐々に活動を再開するとともに、県老人クラブ連合会では、被災地の老人クラブと協力し、全国から寄せられた元気袋を配布し、安否確認を行っているところである。
 この事業の実施にあたっては、これまでの老人クラブの活動実績と同世代による支え合いのノウハウを生かすとともに、被害が大きい地域には内陸の市町村老人クラブ連合会が支援を行いながら訪問活動を行うなど、地域の実情に応じて、顔なじみの高齢者による見守り活動に取り組むものであり、被災地の高齢者自身が役割を持って主体的に参加することにより、新たなコミュニティづくりの一端をになっていただくことができるものと考えている。


・義援金等の需給による生活保護の打ち切りについて

【斉藤議員】
 第八に、生活保護総務費1394万円余の補正について、質問します。義援金等の需給によって生活保護が打ち切られることはあってならないことですが、県内で打ち切りの例があるでしょうか。あったとしたら県として対応しているでしょうか。

【保健福祉部長】
 義援金等の生活保護制度における取り扱いについては、災害等により損害を受けたことにより臨時的に受ける補償金、保険金または見舞金のうち、「該当被保護世帯の自立更生に充てられる額を収入として認定しないこととし、その超える額を収入として認定すること」とされている。
 その取り扱いにより、平成23年9月30日現在で、生活保護が停止または廃止された世帯は110世帯が報告されている。内訳は、義援金等を受けることを契機に自立し、保護辞退の申し出のあった12世帯、義援金等の収入から「自立更生に充てられる額」を差し引き、その超える額を収入として認定し廃止となった95世帯、停止となった3世帯となっている。
 県では、義援金等の適正な取り扱いが行われるよう保護の実施機関を指導しており、保護の廃止等を行った場合には、自立更生計画書等の提出を求めて、その内容を審査しているところである。


・簗川ダム・津付ダム事業費の減額補正について

【斉藤議員】
 第九に、簗川ダム事業費が2億8385万円の減額補正となっています。減額の中身と付け替え道路整備事業の進捗状況はどうなっているでしょうか。大震災の中で、ダム事業は凍結し見直すべきではないでしょうか。
 津付ダム事業費も3億705万余の減額補正です。事業の見直しを表明しているのですから全面的に見直すべきではないでしょうか。

【県土整備部長】
 簗川ダム建設事業について。減額補正は、国庫内示差額によるものであるが、主なものは、NTT中継所等の移設補償やダム本体の一部調査設計等の減額となっている。
 付け替え道路の進捗状況は、平成22年度末で、国道106号の進捗率は事業費ベースで約95%、県道盛岡大迫東和線は事業費ベースで約83%となっている。
 ダム事業については、昨年度、検証対象ダムとなったことから、国の検証要領に従って検証を行い、大規模事業評価専門委員会の審議の結果を踏まえ、県の対応方針を「事業継続」と決定し、本年4月に検証結果を国に報告したところである。
 国では、この報告内容について、本年7月に国で設置した有識者会議に諮り、審議結果を踏まえて、8月に国としての対応方針を「継続」と決定したところであり、今年度から新たな段階として、ダム本体関係の調査設計の一部に着手する予定である。
 津付ダム建設事業について。国の検証対象ダムとなったことから、昨年度検証を行い、県の対応方針を「事業継続」と決定した後に、東日本大震災津波により、氾濫防止区域の1つである陸前高田市街地が大きな被害を受け、ダム検証時点の社会状況と大きく変化したことから、津波対策施設の計画や陸前高田市の復興計画を踏まえて、気仙川の治水対策手法等の再検討を行い、大規模事業評価専門委員会での審議をいただいた上で国へ報告したいと考えている。
 検証が終わるまでの当面の間は、国からの検証要領に基づき、現在進めている付け替え国道397号の整備等にとどめ、ダムの本体にかかる設計等、新たな段階に入らないこととしているところである。


・交通信号機の復旧状況、警察職員の超過勤務手当について

【斉藤議員】
 第十に、警察施設災害復旧費として、交通安全施設災害復旧事業費が10億5037万円の補正となっています。交通信号機の復旧は住民の安全にかかわる緊急な課題です。6月補正ではわずかに36基分しか措置されませんでした。その復旧状況はどうなっているでしょうか。今回の補正分は被災したすべてが対象となると思いますが、いつまでに復旧する見通しか示していただきたい。
 警察本部職員の超過勤務手当6億8931万円余が増額補正となっています。大震災に対応した超過勤務に支給することは当然でありますが、これは、超過勤務の全額でしょうか。
 県職員全体の超過勤務手当の増額分は12億8024万円余となっていますが、実態を反映したものでしょうか。

【警察本部長】
 6月補正でお認めいただいた信号機36カ所分については、すべて契約済みであり、10月中には2ヶ所を除き滅灯状態が解消する見込みであり、残り2ヶ所についても11月上旬には解消する見込みである。
 今回の補正でお願いしている残る信号機については、市街地が大きく被災した地域で復旧時期を検討中の若干の個所を除き、年内には滅灯状態を解消したいと考えている。
 これらの信号機が復旧するまでの間、交通流量を勘案し必要性の高い交差点については、警察官による交通整理や臨時の一時停止標識を設置し、併せて、交通安全広報を実施しながら交通事故防止に万全を図っていきたいと考えている。
 今回増額補正をお願いしている超過勤務手当6億8931万円余については、震災対応で不足が見込まれたことから、これまでの支給額、今後の体制および超過勤務時間数の見込みから必要額を計上したものである。
【総務部長】
 県職員全体の超過勤務の実態だが、3月11日の発災以降、東日本大震災津波からの復旧・復興に全庁を挙げて取り組む中で、職員の超過勤務については、前年度と比較し、増加している。
 このため、今年度前半における超過勤務の実態を反映した支給を行えるよう、必要となる超過勤務手当の増額補正を提案しているところである。
 引き続き、震災対応により超過勤務が増加している状況を踏まえ、例年以上に超過勤務の実態把握には注力していきたい。


≪再質問≫

・仮設住宅の集会所・談話室の整備について

【斉藤議員】
 集会所・談話室は、319団地のうち174設置されていない、半分以上設置されていない。仮設入居者の孤立化・孤独化を防ぐ最大の保障が集会所・談話室の整備であり、この活用だと思う。ぜひまだ設置されていないところを最大限整備する方向で取り組むべきではないか。

【達増知事】
 50戸以上の仮設団地について、集会所・談話室を設定、そうでないところについては、近隣の公民館だとか仮設住宅の空きスペースを活用する等の答弁があったが、いくつかの仮設住宅団地では、集会所・談話室をつくるということも聞いている。
 いずれにせよ、仮設住宅団地の新しいコミュニティの中に住んでいる方々が工夫をしながら、さまざまなコミュニケーションの方法を工夫していただき、県としてはそれをしっかり支援していく所存である。


・県立高田病院仮設診療所への入院ベットの整備について

【斉藤議員】
 地域医療再生臨時特例基金積立金15億円の中に、高田病院仮設診療所の入院病床の設置経費が入っていると思う。
 いつまでに高田病院の入院病棟は設置されるのか。

【達増知事】
 医療局としては、来年1月末の完成を目指して取り組んでいくと聞いている。


・義援金による生活保護の打ち切りについて

【斉藤議員】
 110世帯で打ち切られたと。これはきわめて重大である。
 津波ですべての財産を失っているのである。わずかな義援金が理由で生活保護が打ち切られることがあってはならない。義援金はそういう性格のものではない。義援金が出されただけで12世帯辞退、義援金が生活費を超えたから95世帯が廃止だと。こんな評価を被災者がするはずない。行政指導である。やはり、被災者が生活を再建するという点で、義援金は再建のために使われるべきであり、日常の生活費にまわっていない。生活保護が切られたら、医療扶助などさまざまな扶助が受けられない。こういうことがあってはならない。こういう実態を知事自身がしっかり把握して改善に取り組むべきではないか。

【達増知事】
 成熟した民主主義国として、さまざまなトラブル等があったとしても、まず食べるには困らないということを全ての国民に保障するという制度であり、これがあるがゆえに、さまざまなトラブルに直面しても、希望を失うことなく生活していくことができるという生活保障の一つの重要な制度と理解している。
 また、生活保護という制度は、制度の性格上常に生活保護の行政側と受給者側とのきめ細かなやりとりの中で、自立、働いて稼いでいくことができる、またさまざまな人のつながりの中で、お金の融通を確保して新たな一歩を踏み出していくことができる、そういった自立への促しということも絶えず行われている制度と理解しており、今回の災害という、一面非常に生活を脅かす危機的状況ではあるが、そこでさまざまな制度的な支援金または善意により新たな自立に向けての一歩を踏み出すことができるのであれば、どんどん踏み出していただきたいという風にも思うわけである。
 もちろんそこは、きちんときめ細かに一人一人の状況を踏まえた上で判断されなければならないわけであるが、ただ制度的に義援金等の災害時における臨時の収入をもって、一部を収入に充てるという計算の仕方については、過去の日本における大災害でもとられている方法と理解している。


≪再々質問≫

・義援金による生活保護の打ち切りについて

【斉藤議員】
 義援金が理由で110世帯打ち切られたと。ぜひ実態を把握していただきたい。
 すでに障害をもった方々が、義援金を理由に切られて、義援金というのはあと1ヶ月2ヶ月で確実になくなってしまう。本来なら生活再建に使わなければいけない。いつまでもこういう方々は生活再建できない。生活再建のために国民が支給しているわけなので。

【保健福祉部長】
 義援金を収入として判断する根拠だが、義援金というのは、その性格は、「災害により損害を受けたことにより受け取る金銭」だが、その全額が被災者の方の心身の苦痛を慰謝するものだけではなく、災害により失われた生活基盤の回復という生活保護の意味合いが大きいという風に考えられるということで、自立更生に充てられた経費以外は収入として取り扱うという基本的な考え方が示されており、それが知事が先ほど申し上げた通り、過去の災害、阪神淡路大震災とか中越沖地震の際も同様の取り扱いをしているところである。
 生活再建に使われる必要があるというのは、議員ご指摘の通りであり、認定をする際に、自立更生計画というのをきちんと出していただくことになっている。どういう風な形で生活再建に義援金を使うのかということを確認し、それについては認定し、それは収入としてはみないと。それをどういう形で認定したかということについても、我々にも資料が来ることになっているので、確認しながら決して生活再建に結びつかない形で事務が進められることのないよう取り扱っていきたい。


・県立高田病院仮設診療所への入院ベットの整備について

【斉藤議員】
 40床という報道もあるが、そういうことでいいか。

【医療局長】
 敷地の関係もあり、当面40床程度を目途に建設を進めていきたい。