2011年10月25日 決算特別委員会
総務部に対する質疑大要
・県財政の状況について
【斉藤委員】
181億円の不要額、いま説明があったので立ち入って聞きたい。災害救助費の78億円余が不要額になったというのは分かったが、広域漁港整備事業で8億5700万円余が、震災の影響により工事の出来高確認ができなかったため不要額と。繰り越しが5億9700万円となっている。この実態を正確に示していただきたい。
【予算調製課総括課長】
不要額となった理由については、大船渡市における事業、市町村事業に対する補助金であったので、これが発災により大船渡市での工事の出来高の確認ができなかった。結果として、当該年度、平成22年度の額が確定できずに、不要額としたものであり、その分については平成23年度に予算措置し支払いするということで、広域漁港の分についてはそういう意味での不要額である。
【斉藤委員】
津波で被災して工事の確認ができなかったと。しかしまた災害復旧しなくてはいけないと。
繰り越しができた分は確認ができたということか。どういう意味か。
【予算調製課総括課長】
震災により、工事現場が流されてしまった場合に、1つの方法としては、そこの部分を自己繰り越しをして、平成23年度に繰り越すという方法もあるが、先ほど述べたように、大船渡市の場合は、出来高の確認もできなかったので、その自己繰り越しをいくら繰り越すかという確認もできずに、不要額で落としたというものもある。
【斉藤委員】
震災関係の不要額が87億円余出た。これはこれで大変大きかったのだが、それにしても181億円の不要額というのは大きすぎるのではないか。100億円近く不要額が出たということである。4億円あれば子どもの医療費を小学校卒業まで無料にできる。20億円あれば国保税1世帯1万円の引き下げができる。それだけの不要額というのは大変なことである。県民の仕事・生活・事業に換算すると。財政規律が緩んでいるのではないかと思う。20億円30億円不要額が出ても昔は問題になった。100億円出ても驚かない、危機感を持たないと。この体質がきわめて問題だと思うがいかがか。
【総務部長】
資金面の懸念を抱えることなく対応せざるを得ないというところで、財政規律が緩んでいるとかそういったことは全くなく、その辺のことも含めて全体像がまだ見通せない段階で計上した。それにともない多額の不要額が出たという面が大きく働いているので、そこの部分については、そういう風な中でのぎりぎりのやむを得ない判断ということでやったことであるのでご理解いただきたい。
一般的に不要額については、縮減していく、なるべく出ないようにしていくと、それは執行のあり方として基本であるので、そこについては引き続きご議論いただいているので、それを踏まえてしっかり取り組んでいきたい。
【斉藤委員】
大震災関係で不要額が出たのは仕方ないと思う。大震災関係で出た不要額は正確にいくらか。
【予算調製課総括課長】
事業を正確に震災関係と通常分に分けることができないので、震災関係の不要額というものをお答えすることはできない。
【斉藤委員】
であれば、総務部長が言った「震災を理由に仕方がなかった」という風にはならないと思う。かなりの額が震災関係を除いても多かったのではないか。100億円近い不要額というのは財政規律の緩み以外の何物でもないのではないか。
県税収入のこの間の減収の理由、法人事業税の推移、税額が発生していない企業数とその割合を示していただきたい。
【税務課総括課長】
平成22年度の県税収入は、21年度決算額に比較し総額で47億7000万円余の減となっている。主な理由としては、個人県民税が景気の低迷による個人所得の減少により24億1400万円余の減、法人事業税の一部が地方法人特別税として国税化された影響により、24億6700万円余の減となっている。
法人事業税の推移だが、平成20年度は277億1700万円余、21年度は149億4700万円余、22年度は124億7900万円余と年々減少している。平成21年度は、20年9月に発生したリーマンショックによる景気の低迷の影響に加え、地方法人特別税の想定する時期によるものととらえている。22年度の法人の業績は、大変負傾向にあったものの、20年10月1日以後に開始する事業年度から適用された地方法人特別税の計年度化が影響しているものである。
税額が発生しない企業数だが、事業税が発生していない法人は14877社であり、68%となっている。
【斉藤委員】
21年度22年度だけの比較だったが、この5年間のピークは平成19年度、県税収入1293億円だった。これが1009億円に減収していると。これは景気の後退が大きいと思うし、いま聞いたように法人事業税に関していえば68%が税額が発生しないと。いわば赤字企業ということである。この赤字企業が今度の大震災で被害を受けたということである。こういう赤字でも頑張っている企業を救済の対象にした復興にしなければならない。
県債残高、主要三基金の推移はどうなっているか。県債残高が大幅に増えた理由、主要三基金が大幅に減少した理由は何か。
【予算調製課総括課長】
県債残高の推移だが、20年度末一般会計の県債残高は1兆4102億円、21年度が1兆4421億円、22年度は1兆4611億円と、22年度末が前年度比190億円増加しており年々増加基調となっている。増加基調の理由は、近年では平成13年度から発行した臨時財政対策債、地方の財源不足を国と地方でそれぞれ折半して、地方は起債の発行で埋めていくものであるが、その発行額の増加によるところが大きいわけだが、全体の規模が拡大した要因としては、社会資本整備が立ち遅れていた本県でその整備を行うため、国の経済対策や前倒しの公共事業を実施したことが現在の県債残高の増加につながっていると思う。
主要三基金の残高は、20年末で128億円、21年度が256億円、22年度が301億円であり、19年度を底としてその後増加している。ピーク時平成8年度に1500億円を超える基金があったが、その後さまざまな地方財政の状況が厳しくなり、あるいは三位一体改革により地方交付税の削減、一般財源等の縮減があったということもあり、そういった財政運営に財源補てん的に補強してきたこと等により、残高が減少しているものである。
【斉藤委員】
県債残高は平成7年は7029億円だった。それが今1兆4611億円なので倍以上に増えたと。
・入札制度の改善、公契約条例の制定について
【斉藤委員】
落札率のこの間の推移、低入札の状況、入札制度の改善の取り組みとその効果はどうなっているか。
【入札課長】
落札率だが、平成20年度の81.4%まで年々低下を続けており、21年度は82.2%、22年度は82.7%と若干ではあるが上昇してきている。
本年4月からは、低入札の対策強化として、資格基準価格の引き上げ等を行い、ここ最近3ヶ月の落札率は85.5%まで上昇して、効果があがっていると考えている。
低入札の状況だが、21年度は48.9%、22年度は51.5%、本年度は62.7%と、その発生率自体は上昇しているが、ボーダーラインが引きあがってきているので、その影響と考えている。
【斉藤委員】
最近の3ヶ月だけを見ると85.5%と改善されつつあると。全国的には最低制限価格が導入されているが、岩手県が導入した失格基準価格の改善について、最低限価格と同程度あるいはそれ以上の効果があると言えるか。
【入札課長】
さまざまな見方があると思うが、全国の中で、最低制限価格を設定している団体については、その対象範囲が、例えば5000万円未満だとか限定された範囲で設定されている。
一方本県の低入札調査制度の中の失格基準価格は、WTO案件以外のすべてのものを対象としているので、そういう意味では対象範囲が幅広く適用されているということで、効果のあるものと認識している。
【斉藤委員】
岩手県の建設業者の利益率はマイナスである。これは全国最低と。ダンピングのような入札結果がもたらしたものである。いま85.5まできているといっても、その数字自体がまだまだ低い。そしてこれで本当に利益になるかという状況である。引き続き入札制度の改善に真剣に取り組んでいただきたい。
こういう低い中での入札になっているので、下請け・孫請けでの下請け代金の未払いとか、賃金未払いという状況がたくさん出ている。これを防止する決定的な対策が公契約条例の制定だと思う。すでに、野田市や川崎市でも導入されているが、公契約条例の全国的な動向、担当課としてこの問題をどう研究しているのか。早く岩手県としても、下請け・孫請けの単価・賃金を守るべきだと思うがいかがか。
【入札課長】
全国の導入状況については、野田市・川崎市のほかに、相模原市で近々条例提案の見込みと聞いている。
本県においては、労働者に適正な賃金が確保されるということ自体は非常に重要なことと考えているが、発注者として当事者間で決定される賃金その他の労働条件に対して、どのように関与していくかということで、非常にデリケートな要素も含んでおり、検討が必要と考えている。
当面、選考団体の運用状況だとか国の動向を注視していきたい。
【斉藤委員】
是非検討していただきたい。ダンピング防止の1つの決め手になってくる。そして今最低賃金が岩手県が全国最低である。どうしてもそういう形の低価格になってしまう。そういうときに、少なくとも岩手県が発注する公共工事については、下請けだろうが孫請けだろうが必要な最低の賃金を確保すると。これは世界の流れである。真剣な検討をお願いしたい。
今度の入札問題に関わって、実は9月26日西松建設事件、陸山会事件の判決が下されて、小沢元秘書3人に有罪判決が下された。その判決の中では、「西松建設が公共工事の談合による受注獲得のために献金をしていた」と。これが認定された。その対象は、岩手県・秋田県の公共事業であった。岩手県が発注した公共事業で、西松建設が受注した件数・額はどうなっているか。
【入札課長】
手元にある資料が平成8年度以降のものだが、平成8年から15年までの間、随意契約も含めて13件、総額は最終契約額で98億円余(JVで受注した工事含む)である。
【斉藤委員】
私が言っているのは去年の判決である。岩手県の公共事業が歪められたというのが裁判で判決で出された問題である。胆沢ダムの談合疑惑については、国会で審議をされて、国は調査したのである。判決でこれだけ指摘されたら、岩手県の西松建設の受注状況は徹底して県が調査すべきだと思う。
例えば、平成15年の簗川ダムの県道盛岡大迫東和トンネル築造工事が26億1400万円余(落札率94.5%)で西松建設がとった。現地調査に行ったら、現場の担当者が「これが西松建設トンネルです」と。西松建設がとったものの中には、県立一戸病院や仙人峠秋丸トンネル、花巻空港の整備事業などたくさんある。花巻空港の整備事業は随意契約で、例えば、落札した契約と最終の契約額が大幅にずれている。随意契約で99%でとって、最後の契約金額はだいたい10億円ぐらいずれるというとんでもない結果になっている。これは徹底して、判決を踏まえて調査すべきだと思うが、西松建設の天の声や談合の問題をどう受け止めて、岩手県の発注した公共事業について、この中身も含めて国がやったように徹底して調査すべきではないか。
【総務部長】
いま現在係争中の事案であるので、それが確定した事実ではないということである。また、県としては、発注側として適正に入札・執行していると、その結果として事業が行われていると認識している。
一般的には、入札制度については、県においては必要な改革・改善をしているということであるのでご了承願いたい。
【斉藤委員】
判決をよく見てほしい。献金した側の供述、そしてそれに基づいて99%で実際に西松建設がとっている。最近全然西松建設はとっていない。この献金をしたときだけである。95%〜99%で落札しているのは。そしてその中身もきわめて問題。そもそも西松建設が献金した理由は公共事業をとるためなのである。それが判決で認定されているのである。裁判所がそういう認定をした。それを踏まえて調査するのは当たり前ではないか。
【総務部長】
訴訟において、当事者ではなく、県の主張なりそれが否定されたというような状況ではないわけで、県としては発注者側として適正な形で入札を行い、そして事業が行われたということで、県としては発注者側であるので、その中で適正な事務処理を行ったということで確認しているので、それ以外のことについてはなかなか県として調査も及ばないところであるので、そこについては県として発注者としての責任という部分をきちんと果たしていく。そのためのこれまでの取り組みは行っているということである。
【斉藤委員】
91社の談合だって県が絡んだかといえば直接は絡んでいない。しかし談合があって、これで課徴金、弁済を求める。こういう事件があるのだから、これだけ裁判で明確になったら、これを重く受け止めて、実態がどうだったのかということを調査するぐらいのことをしないといけないと思う。
・受動喫煙防止対策について
【斉藤委員】
県庁舎の受動喫煙防止、全面禁煙の取り組みはどうなっているか。
【総務事務センター所長】
昨年9月に、職員安全衛生管理委員会において決定した「岩手県職員受動喫煙防止対策基本方針」に基づき、県庁舎等における庁舎内の全面禁煙の実施に向け取り組みを進めてきたところである。
東日本大震災津波の影響により、県庁と宮古地区合同庁舎については、4月からの実施が困難な状況になったが、その後自衛隊の撤収などにより、敷地内に新たな喫煙場所の設置が可能となり、宮古地区合同庁舎が6月11日から、県庁舎は9月1日から庁舎内全面禁煙を実施している。これにより、遠野地区合同庁舎を除く県庁舎においては、庁舎内全面禁煙を実施済みである。遠野地区合同庁舎については、新たな喫煙場所を屋外に設置することが困難な事情があり、引き続き完全分煙を実施している。
県としては、受動喫煙防止対策の一層の推進に努めていく考えである。