2011年10月27日 決算特別委員会
保健福祉部(高すぎる国保税部分)に関する質疑大要
・高すぎる国保税の問題について
【斉藤委員】
県内の国保加入世帯の所得状況、職業状況、平均所得と課税所得、国保税はどうなっているか。
【健康国保課総括課長】
平成21年度における国保税加入世帯の一世帯あたりの総所得金額125万円から基礎控除33万円を引いた課税所得額は92万円である。国保税額は15万4000円となっている。
本県の国保加入者の所得状況は、所得なしが24%、100万円未満が30.7%、100万円から200万円が24.1%、200万円以上が21.2%となっている。
【斉藤委員】
耐えがたい国保税になっている。そして所得なしが24%、100万円以下が30.7%で計54%にのぼる。これではとても払いたくても払えないということになるのではないかと思うが、滞納世帯の世帯数・率・額を示していただきたい。
【健康国保課総括課長】
昨年度の国保税の滞納状況だが、平成22年度末の累積滞納額は約115億円余となっている。
滞納世帯数は、33171世帯で国保加入世帯に占める15.56%となっている。
【斉藤委員】
7世帯に1世帯である。盛岡の場合20%、宮古も20%、大槌町も30%。まさに高すぎて払えないということになっているのではないか。
滞納の主な理由・要因をどう受け止めているか。
【健康国保課総括課長】
滞納の理由については、失業や疾病などに起因する経済的な理由によるものなどと聞いている。
このようなことから、県としても市町村に対して国保税の支払いが困難な被保険者に対しては、きめ細やかな相談に応じ、分割納付や徴収猶予・減免を適切に行うよう会議等を通じて要請しているところである。
【斉藤委員】
滞納が1年を超えると資格証明書を発行される。1年以内の方には短期保険証を発行されて、役場に来なければ短期保険証も発行しない留め置きという事態がある。資格証明書はどのぐらい発行されているか。無保険である留め置きの状況はどうなっているか。
【健康国保課総括課長】
本年9月1日現在で、資格証明書が531世帯、短期被保険者証が10720世帯となっている。
1ヶ月以上未交付となっている留め置きの状況は、資格証明書が11世帯、短期被保険者証が1138世帯となっている。
【斉藤委員】
資格証明書は窓口全額負担である。短期保険証も留め置かれて、1138世帯に届いていない。これも無保険である。1669世帯が無保険である。これで病院にかかれるのか。
そもそも高すぎて払えない、苦労している方々に保険証を取り上げる、短期保険証も交付しないというのは、まさに人権無視ではないか。
私は何度も議会でこういう事態は改善すべきと指摘してきたが、全然改善されていないではないか。金の切れ目が命の切れ目でいいのか。
【健康国保課総括課長】
資格証明書というものの性格だが、これは市町村が滞納者の方と接触し、窓口での国保税納付を直接働きかける機会を確保するために交付しているものである。市町村に対しては、そのような機会を通じて、滞納者の方の生活実態などの状況をきめ細やかに把握した上で交付しているものと認識している。
【斉藤委員】
そういう冷たい発想だから解決しない。
盛岡市が今年度から、資格証明書と短期保険証の発行を基本的に止めた。なぜかというと、資格証明書を発行しても、納入率が改善されなかったと。それでいて保険証が届かないわけなので。それは直接市役所が滞納者の方に会って状況を聞いて解決すると。盛岡市はこうやって今対応している。昨年資格証明書が226世帯だったが今年は16世帯。これは特別の理由がある方である。県都盛岡がこうやって改善している。全体として高すぎる国保税を払えなくて困っている。そういう方々に保険証を届けない、取り上げてしまう。何の効果があったか。盛岡のように改善すべきではないか。
【保健福祉部長】
短期保険証の取り扱いについては、従来の考え方については課長から答弁した通りだが、根本的な問題としては、冒頭の質問の中で委員ご指摘の通り、収入が伸びない中で家計における国保税の負担度が増しているということが根本的な原因になっていると我々も認識している。
このため県としては、国の公費負担割合を拡大し、負担軽減を図るよう国に要望しているところである。
資格証明書の取り扱い等については、よく実態も把握しながら対応については今後いろいろ検討させていただきたい。
【斉藤委員】
ぜひ実態を把握してやっていただきたい。県都盛岡市でそういう改善が始まっている。11市町村で資格証明書の発行がゼロなので。それで何の弊害も起きていないと思う。
それでもっとひどいのは、こうした滞納者の財産を差し押さえるということまでやっている。昨年度の財産差し押さえ件数、差し押さえ額、何を差し押さえているか示していただきたい。
【健康国保課総括課長】
平成22年度における滞納処分の状況だが、差し押さえ件数は3839件、金額が11億2000万円となっている。差し押さえ物件は、例えば預貯金だとか不動産、給与等になっている。
【斉藤委員】
本当に弱いものいじめそのものではないか。そして差し押さえ物件の中には年金が含まれている。こうした方々の生活費は差し押さえてはならないとなっている。これらの方々の年金というのはほとんど10万円いかないと思う。だったら生活費が差し押さえられるということになるのではないか。これは直ちに改善すべきではないか。
【健康国保課総括課長】
給与や年金等についての差し押さえについては、国税徴収法の中の規定の例により、1人につき、本人分として10万円、また生計同一親族がいる場合にはこれに一人あたり45000円を加えた額までは差し押さえができないこととされており、一定の生活への配慮がされていると考えている。
県としては、滞納処分にあたっては、市町村が滞納処分を行う場合であっては、納税相談や財産調査など適切に行った上で分割納付を認めたり、担税能力がない場合には滞納処分の執行停止を行うなど、生活困窮者に対して適切に対応するよう助言してしきたい。
【斉藤委員】
3月にもこの問題を指摘した。給料は会社で差し押さえるので生活確保できる。年金は振り込みである。振り込まれた途端預金になってしまう。だから全部差し押さえられる。そこをしっかり調べていただきたい。振り込まれた年金で生活費が確保できるのか。年金まで差し押さえることは直ちに改善すべきである。