2011年10月27日 決算特別委員会
医療局に対する質疑大要
・花泉診療センターの民間移管問題について
【斉藤委員】
常勤医師不在の実態を具体的にどう把握したか。私は医療局長に9月の時点で不在であると指摘していたが、医療局として、いつどこでどのように把握しているか。
【経営管理課総括課長】
不在という話だったが、常勤医師の退職ということについては、9月30日付で退職願があり、その後16日で最終的に退職したという話を19日に法人から報告があったところである。
【斉藤委員】
入院患者がいて、医師がいなかったらどうなるのか。医療法違反である。オンコール体制がなかったということである。保健所だって指導にいかなくてはいけない。私は1ヶ月も前にこの話をしている。9月は不在のまま患者が2人いたということである。
公有財産賃借契約書、あなた方が医療法人白光と結んだ契約書の中にはこう書いている。「甲(医療局)は契約物件の使用状況および事業の実施状況について実地に調査を行い、または報告を求めることができる。この場合乙(医療法人白光)は調査に協力しなければならない」と。なぜ調査しないのか。
【経営管理課総括課長】
実地調査等についてだが、随時医療局が診療所や法人事務局に出向いたり、あるいは事業実施状況等について確認しているが、直近で申し上げると、9月8日に法人事務局において実地に調査をさせていただいている。
【斉藤委員】
9月8日はどうだったか。
【経営管理課総括課長】
9月の勤務割表により確認させていただいている。その結果、常勤医師の勤務割も確認させていただいたが、その際には9月の外来診療日が4日となっていた。休日・夜間の待機日が1日となっており、最終の外来診療日は9月30日と記録されていた。
【斉藤委員】
辞職の申し出をしたのは7月26日である。それから実際にはまともに勤務していない。ただ管理者なので、いないわけにはいかないから名前だけ残していた。この所長は、8月の時点で入院患者に対して転院を求めている。保健所にも医療局にも「私は辞めます」と通告している。転院をさせたいということまで医療局に伝えているのではないか。なぜそれを真剣に対応しないのか。
【経営管理課総括課長】
常勤医師が7月に退職届を提出したということについては承知していない。
7月に法人から「常勤医師が退職の意向をもっている」ということをうかがっていた。ただし、法人の方で鋭意慰留中であるということだったので、その推移は見守っていた。
常勤医師の退職の意向を受けて、8月下旬から新規の入院患者を調整するということだったが、できるだけ早期に新しい常勤医師を確保するという話だったので、医療局からは新たな常勤医師を早期に確保するよう強く要請して、以後随時状況を法人から確認していたところである。
【斉藤委員】
いま退職をしたと。現在管理者は配置されているのか。
【経営管理課総括課長】
10月19日に法人から報告をいただいた内容だが、10月16日付で前の管理者が退職されて、同日に社員総会を開催し新しい管理者を選定して、17日から診療にあたっていると聞いている。
【斉藤委員】
新しい管理者は何日勤務しているか。
【経営管理課総括課長】
法人から聞いた話では、週間の診療体制ということで、新しい管理者は、月火金に外来の診療を行うと聞いている。
【斉藤委員】
管理者というのは、医師・看護師等を管理する責任がある。たった3日の勤務で管理者の責任を果たせないのではないか。管理者にならない。オンコール体制もとれない。週3日の勤務で管理者になるのか。それとももう入院はこれからやらないということか。
【経営管理課総括課長】
私の方で聞いたのは、新しい管理者が外来の対応をされる日ということでうかがっていた。その他の内勤といった部分については聞いていない。
オンコール体制については、管理者の交代等々があった間についてのオンコール体制については、地元の非常勤医師の方がオンコールの対応をされていたと聞いている。
【斉藤委員】
医療法の第15条で、「病院または診療所の管理者は、その病院または診療所に勤務する医師・歯科医師・薬剤師・その他の従業者を監督し、その業務遂行に欠けるところのないよう必要な注意をしなければならない」と。たった3日だったら常勤医師にもならない。それでなぜ管理者の責任を果たせるのか。週3日勤務の管理者など県立病院であり得るのか。
【経営管理課総括課長】
先ほども述べたが、月火金というのは診療にあたる日ということで、19日の法人からの報告では、管理者の変更届という形で、保健所に提出しているということなので、そういった要件は具備した形での届け出だったと認識している。
【斉藤委員】
いずれにしても、入院患者を迎え入れるような体制ではない。管理者としても成り立たないと思う。
それであなた方は、しっかりした契約書を交わしながら、あなた方自身が実行しようとしていないのはなぜか。この賃借契約書には、「契約締結の日から10年間以上有床診療所として使用すること。それ以外の用途には使用しない」と。10年間有床診療所でなければいけない。全然そうなっていない。
それと、第4条では、毎年事業会計年度が終了した後、遅滞なく事業報告書ほか決算書類を提出することになっている。これはどうなっているか。事業計画が執行されていないのではないか。決算で聞いているところでは6500万円の赤字だと言われている。診療所として成り立たない。その中身を示していただきたい。事業計画に対してどれだけ実行されているか。
【経営管理課総括課長】
有床診療所を10年間という契約だが、地域の皆さんの声もありこういう形で入れさせていただいているもので、いずれ医療法人でも、いま管理者の交代というような一時的な交代ということで、患者の入院調整をさせていただいているが、体制が整い次第入院を受け入れる予定だとうかがっているので、そこの部分についてはそういったような方向で進むように我々の方でも強く要請していきたい。
毎年の事業報告書だが、これは契約書の4条で事業報告書・決算処理を医療局に提出するものという条項に基づき、法人から決算書類は提出をいただいている。法人の決算の書類そのものについては、公表は差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
異常だから聞いている。約束が履行されていない。常勤医師などいなかった。
3回だましている。一昨年、無床化からわずか半年で民間移管を進めるときに、常勤医師2名・非常勤医師3名確保したという事業報告書を出したから、それでいいのではないかということで決まった。しかしそれは真っ赤なウソだった。昨年3月25日、4月からスタートする直前にやっと事業報告書が出た。このときにも、「常勤2名・非常勤医師3名確保した」と。しかし4月からいなかった。こんなだまし方があるか。完全にだまして民間移管を進めた。
私はこのことをずっと指摘してきた。こんなだまし方は許されないのではないか。そして結局こういう状況に陥っている。断固とした立場で、契約の立場で医療局が対応しなければいけない。これだけだましてきた実態をどう受け止めているか。
【医療局長】
医師の確保については、我々も県立病院を抱えているので、大変日常でも苦労しており、苦労してようやく来ていただいた医師でも、長くいてほしいと思って対応しているがなかなか短い人で3ヶ月で辞められるとか、そういう状況もあり、いずれ医師の確保は民間でもなかなか難しいだろうと思っている。
いずれ事業計画通りに何とかやっていただきたいということで、これまでも要請してきたし、引き続きそのように要請していきたい。
【斉藤委員】
だいたい無床化してわずか半年で民間移管を強行することが無謀である。なぜ医療法人白光しか申請しなかったか。半年ぐらいでは医師が確保できないからである。そういうのは常識である。県立沼宮内病院の有床診療所化でも、優良な民間医療機関があってもすぐ受け入れられないのは、医師確保の見通しが立たないからである。病院経営の実態もない、ノウハウもない、評判も悪い。こういう医療法人だけ手を挙げた。だから私は問題にしてきた。しかしこの医療法人の役員は「頼まれてやっている」と言っているそうである。誰から頼まれたのか。知事や医療局が頼んだのか。この民間移管のやり方自身が本当に異常だったと思う。そして実際にその後の経過というのは、その異常さを表すものだった。まともな医療法人が応募できたと思うか。
【医療局長】
決定にあたっては、手続き・審査を踏んで決定している。
先ほど述べた通り、医師の確保では我々もいろいろと苦労しているので、そういった難しさというのは同じなのではないかと。
民間には我々と違って、民間なりのノウハウというのが民間経営の中にあるだろうと思うので、それはそれなりに民間のノウハウを生かして頑張っていただきたいと思っている。
【斉藤委員】
本当に無責任な答弁である。真面目な医療機関は、医師確保に苦労して真剣に努力するから、こんな半年で民間移管というものに誰も手を挙げられない。何の実績もノウハウもない医療法人が手を挙げた。だからこういう事態に陥っている。それを一緒に進めたのは医療局である。そして医療法人がのうのうと「頼まれてやっている」などと言っている。とんでもない話である。
辞めた所長は、医療局に「閉院します」と言ったと言っている。もう入院患者をとる気はないのではないか。そのように言われていないか。
【経営管理課総括課長】
医療法人の方から話を聞いているところでは、いずれ今回管理者が変更ということで、入院の調整をさせていただいて入院患者をとっていないところだが、体制が整い次第入院患者をとるように努力しているとうかがっている。
【斉藤委員】
本当にこの異常な事態がずっと続いている民間移管は、残念ながら失敗だったと。こういう信頼のおけない医療法人に任せる地域医療ではない。
しかし医療法人がだめでも地域医療を守らなければならないので、地域医療を守る方策を考えるべきである。
・被災した県立病院の状況について
【斉藤委員】
仮設診療所でもかなり患者は回復していると思う。震災前と比べてどこまで回復されているか。
大槌・山田では、せめてCTぐらいは欲しいという要望も聞いた。仮設診療所でも、やはり必要な施設の改善・拡充というのが必要ではないのか。
そして、知事が「病院再建を基本に」とせっかく言ったわけなので、仮設診療所が2年3年でいうことであれば、しっかり今からスケジュールをもって病院再建に向かって準備を進めるべきだと思うがいかがか。
【医事企画課総括課長】
被災した3病院が外来診療を開始した7月から9月までの一日平均患者数を、被災前の同年同期と比較すると、高田病院の一日平均患者数は210人で前年同期は213人。大槌病院は一日平均98人で前年同期は159人。山田病院は一日平均76人で前年同期は96人となっている。
【経営管理課総括課長】
仮設診療施設の改善・拡充だが、高田病院については、被災後の気仙保健医療圏が他の圏域に比べて急性期後の入院患者の受け入れが非常に厳しいという状況を考慮し、仮設診療施設に入院機能を整備することとしたところである。
大槌病院については、限られたスペースで診療を行っているような現状であり、今後医局や職員の更衣室を整備していこうと考えている。
山田病院については、具体的な整備についての予定はないが、いずれ各病院とも設備等も含め、各病院の意見を聞きながら対応させていただきたい。
病院再建に向けた取り組みについては、県においては本年度後半から、被災した県立病院の再建を含めた、沿岸地域の医療再建に向けて二次保健医療圏ごとの検討を進めるという形なっている。スケジュールについても、この中で議論を重ねながら検討していくと考えており、現段階で示すことは難しいと考えている。
【斉藤委員】
病院の再建で財源の問題が先ほども議論になったが、これは国会でも我が党が取り上げて、実は医療施設等災害補助金は、現状復旧が基本となっているが、これは厚労相も首相も「現状復旧だけでなく柔軟な対応、適切な対応をするよう心がける」と。そして第三次補正では、地域医療再生基金も積むという答弁があった。そういう基本的には国の資金で再建は図るべきだし、地域医療再生基金は、昨年度の補正で120億円あり105億円残っている。さらに積み増すということなので、災害に対応した国の資金で病院の再建をすべきだと思うがいかがか。
【経営管理課総括課長】
残債、二重ローンの問題とか、建設にかかる企業債の場合の自己資金の問題とか、いろいろ抱えている部分もある。そういった意味で、国からのより手厚い支援をしていただけるとありがたいと考えており、三次補正や24年度当初予算についても期待している。
・看護師の確保対策について
【斉藤委員】
6月17日の5局長通知で、看護師の質を確保すべきだという通知が出された。これを医療局でこそ具体化・実行すべきだと思うが、労働組合との協定で残業は月20時間となっている。しかし去年の8月、月20時間を超えた看護師が703人もいた。中央病院で170人である。これではとても働いていられないとなってしまう。看護師確保のためには、本当に残業を軽減して、協定を厳格にして、看護の質を高めるという対策が必要だと思うがいかがか。
【職員課総括課長】
医療局における具体的な取り組みとしては、勤務環境の改善については、業務の実情に応じた時差出勤などの導入による労働時間の設定改善のほかに、電子カルテの導入、看護補助者の活用などによる看護業務の効率化を推進している。それに加え、院内保育所の設置・運営、看護職員の育児・就業支援に取り組んでいる。人材育成等についても、医療局職員研修計画や看護部門のキャリア開発デザインなどに基づく研修の実施、能力開発に加え国が定めるガイドラインに沿って新人教育を実施している。
どのように改善したかということだが、職員の看護師の配置状況だが、23年度当初には3533人ということで70人ほど増員している。
【斉藤委員】
臨時を含めたら全然増えていないのではないか。
700人も20時間を超えるような残業をしているという深刻な事態を指摘したので、これを改善するような手立てを具体的にとっていただきたい。
・SPD(物流管理システム)の導入について
【斉藤委員】
医療局は、SPDを突然しようとしている。これは県立病院全体の診療材料を県外大手の1つの業者に任せてしまうということである。これは本当にとんでもないやり方だと思う。
今回の大震災のときにも、地元の業者が医療機材や薬剤を運んで震災に対応した。ところが20病院・診療所の診療材料を業者が一括で確保するということになったら地元の業者がまずダメになってしまう。そして病院と連携した診療材料・医療材料の提供システムが崩れるのではないかと思うがいかがか。
【業務支援課総括課長】
SPDについては、定数補充方式により物品の消費データを把握し、必要な物品を必要な数だけ現場に供給するというシステムとなっている。なお、物品の調達については、現状と同様に、卸売業者からSPD業者が調達し、病院に供給することとしており、調達の代行を行うこととしている。
SPD導入にかかる業者の選定にあたっては、公募型プロポーザルによることとしており、その評価項目として、地元卸売業者の活用・育成に配慮した調達に努めること、また、作業員についても原則として地元雇用とすること等を盛り込んでいるところである。
震災における診療材料の搬送についてだが、現状の卸売業者の備蓄機能に加え、新たにSPD業者のセンター倉庫を創設することとしており、その倉庫の備蓄機能を合わせて担うこととなるとともに、自前による日常的な搬送体制を確立することとしているので、災害等に対応できるシステムであると考えている。
【斉藤委員】
このSPDでは、価格交渉権を一緒の業者に与える。全国をかけめぐって一番安いところから診療材料を集める。地元業者など対象にならない。赤字でも対応できるという値引き交渉しかされない。
そして災害のときに対応できると言っているが、この計画をみると在庫をゼロにすると。在庫をゼロにしたらいざというときにどうするのか。いま地元の業者が各病院と連携して絶えず診療材料を提供する、技術支援やさまざまな援助をして手術も何でも進んでいる。それを1つの大手県外業者に委ねたら、病院関係者も大変なことになってしまう。これは本当に県立病院関係者の意見を聞いているのか。そして地元業者育成ということをどう考えているのか。地元業者を最大限活用するというのは建前である。5年間で10億円診療材料を削減するというのが目標である。それができなかったら契約解除となっているのではないか。これは驚くべきやり方だと思う。もっと地域と連携した病院の運営を考えるべきではないか。
【医療局長】
若干誤解があるのではないかと思うが、基本的には医療材料そのものは現在でも県内本店の業者、あるいは本県内に営業所のある卸売業者から病院が直接仕入れている。
SPDはここのジョイントのところに入ってくるだけであり、ここの業務というのは基本的には病院の中で職員の方がいろいろ手間暇をかけてやっている作業のところを効率的にやるというが基本である。SPD業者が調達する相手先というのは、基本的には県内に本店・支店がある事業者・卸売業者の方から調達することになろうかと思う。流通コストを考えると、今の診療材料の流通の状況からいけば、わざわざ東京まで行って運んでくるということは考えられないので、従い委員の御懸念のようなことはないのではないかと思っている。
【斉藤委員】
病院関係者から意見を聞いたのか。価格交渉権をSPD業者に委ねるのか。
在庫ゼロというのが目標になっている。在庫をゼロのときに何かあったら対応できないのではないかと聞いている。あなたの懸念はとんでもない。
【医療局長】
当然こういうものを入れるときには、中の検討委員会で検討もしており、院長宛にもこういう方法でやりたいがと示して、なおかつ個別に懸念を示されている院長には出向いて直接説明をして、各病院の理解はいただいているので、その点についての御懸念の必要はないのではないかと思う。
価格交渉権ということだが、代行的な業務を行うので、一方的にSPD業者が勝手にやるというような運用は考えていないので、基本的には今の診療材料を調達しているシステムの延長線上での運用を考えている。
在庫をゼロにするということだが、一般の企業でも同じだが、基本的には余分な在庫は抱えないというのが基本であり、病院の中においても同じで、不要な在庫を抱えているとそれがコストを圧迫する。災害時にどうかということだが、それは病院に在庫を置かないだけの話であり、SPD業者のほうに場所を移して在庫として管理するし、それから従来通り県内の卸売業者の方でも在庫は管理しているので全く懸念する必要はないと思っている。