2011年11月2日 決算特別委員会
花泉診療所民間移管問題に関する集中審議での質疑大要


【斉藤委員】
 花泉診療所の常勤医師・管理者不在、入院患者不在に至る事実経過についてお聞きしたい。
 医療局は、7月に常勤医師・管理者が退職の意向であるということを把握していたと。8月下旬から新規の入院患者を調整していたと答えた。誰から管理者の退職の意向を把握したのか。知事はこういう経過を報告されていたか。

【経営管理課総括課長】
 管理者が退職の意向であるということについては、7月に訪問した際に、常勤医師が退職の意向を持っているが慰留しているという内容の話を法人事務局の方から聞いた。
 その後、随時電話によりその状況を聞いているものである。
【達増知事】
 いま課長が答えた内容について、10月14日に聞いたところである。

【斉藤委員】
 事実、7月の入院患者は一日平均9人、8月は7人、9月は2人、10月は1人だった。実は、この最後の1人はどうなったか、シルバーヘルスに強制的に転院されて先日亡くなった。夜中に亡くなり、医者が立ち会っていない。ここにも管理者がいるのにも関わらず。翌朝に死亡診断書を書いた。それが実は二例も続いた。
 保健所の担当に聞くが、これは正常なことか。

【医療推進課総括課長】
 医師の死亡診断書の関係については、そのときに主治医たるものがきちんと診断をしていれば、時系列的に判断されればいいとされていると認識している。
 ご指摘の老健施設での事例については、保健所では把握していないが、その辺についてはきちんと詳細を把握した上で評価するものだと思う。

【斉藤委員】
 入院患者が無理やり転院されてこういう事態が起きている。そういう事態が起きたにも関わらず、夜10時に亡くなったのにも関わらず、医師が立ち会わず、電話をかけても出てこない。翌朝に死亡診断書を書いた。これが二例続いた。これがシルバーヘルス、医療法人白光の実態である。
 管理者が交代したと言うが、管理者の勤務は今どうなっているか。

【医療推進課総括課長】
 管理者の変更届については、10月19日に変更にかかる届けが出されて同日に受理したところである。
 現在の状況だが、一関保健所が当該診療所に昨日確認したところ、現在の管理者については、10月中は週4日勤務体制、月火のみの勤務となっており、金土は休暇を取得している。11月からは週4日勤務体制となると説明を受けたところであり、保健所から診療所の運営管理責任を適切に果たすよう注意を喚起したところである。

【斉藤委員】
 医療局からいただいた勤務表では、これは10月21日の医師体制、勤務実態は常勤医師は月火金である。これで管理者の責任を果たせるのか。

【医療推進課総括課長】
 医師体制については、医療法上個別の病院・診療所から逐一状況を確認することにはなっていないが、管理の体制については、管理者・医師として勤務すること、また常勤医師として管理をしていくことが定められている。

【斉藤委員】
 だから週3日の勤務体制で管理者の責任が果たせるかと聞いた。

【医療推進課総括課長】
 管理の体制だが、管理者の勤務について、一時的に休暇や病気等により管理者が勤務をなさないということはあり得ることであり、そのことをもって直ちに医療法に反するという風には考えていないが、これは当面引き続くといったことになれば、きちんと適切に指導していくということである。

【斉藤委員】
 先ほど課長は、週4日・月火金土と言った。土曜日は診療所をやっていない。だから月火金、金土は休暇だと。だったら2日しか勤務していない。これが管理者か。
 管理者は、今まで非常勤で来た人が管理者になったのか。新しい人がなったのか。

【医療推進課総括課長】
 管理者の情報を確認したところ、これまで勤務していた方が新たに管理者になったと理解している。

【斉藤委員】
 だから非常勤の医師が常勤に名前を変えただけで実態は変わっていない。
 医療局長は実態を聞いているか。把握しているか。

【医療局長】
 管理者の届け出が保健所に出されているということで、その内容については了知している。

【斉藤委員】
 そんな無責任なことだからこんな事態に陥ったときに、そんな無責任なことだから対応できない。
 医師が辞めると言ったのは7月である。8月から入院を止めている。そしてついに退職した。こんな非常事態で、誰が次の管理者になるのか。医療局は厳格にそれに対応しなければいけない。今実態は管理者不在である。これが1年数ヶ月の花泉診療所の実態である。
 知事にお聞きするが、新聞報道について、だいたい同じような中身を決算特別委員会で聞いた。私の独自調査でこういう実態は把握していたが、しかし改めて新聞で報道されると重みが違う。特に、今後は「入院患者は受け入れられない」と、「11月には外来も経営も止めたい」と。完全な居直りである。責任放棄である。知事はこの発言をどう受け止めたか。

【達増知事】
 行政として責任ある対応をとるためには、きちんと当事者と直接会って情報の確認、意志の確認をすべきと考えている。

【斉藤委員】
 私は議会でも指摘したし、新聞報道でも同じ趣旨の中身が当人の発言として出ている。第三者ではない。確認しなくても分かるではないか。

【達増知事】
 第三者の伝聞により判断すべき内容ではないと考えており、そこは医療局・保健福祉部においてきちんと当事者の意志あるいは事実関係を確認すると。また現段階で事務当局から確認しているところでは、常勤医師の交代ということで入院を控えているが、入院を再開できるよう努力しているということが正式には県に伝わっているところなので、その確認も含めてしなければならないと考えている。

【斉藤委員】
 医療局長、入院を回復させるために努力していると誰が言ったのか。

【医療局長】
 医療法人の法人局長である。

【斉藤委員】
 会長が発言しているときに、法人局長に聞いても仕方ないではないか。その上司が発言している。
 不思議なのは、なぜ理事長が出てこないのか。法人の理事長は全然出てこない。あなた方も法人の理事長には会おうとしない。法人の理事長は対応能力がないのか。責任能力がないのか。理事長にどのようにこの間対応してきたか。

【医療局長】
 私は会ったことがないが、医療法人は1つの経営体であるので、それぞれの課題・テーマについて、医療法人の理事である会長が対応されるのか、理事長が対応されるのか、それは医療法人の中での役割分担、そうった対応ではなからろうかと思う。

【斉藤委員】
 医療法人の理事長は、県でいけば知事である。理事は部長である。そのぐらい違う。理事長はそのぐらい責任がある人である。そういう人が責任がないというのだったら、それは医療法人白光の実態である。責任者が責任能力がないということではないか。全然出てこない。あなた方もそれに対応しようとしていない。そういう医療法人なのか。理事長が責任もって対応できない、それが実態か。

【医療局長】
 それぞれの法人の執行組織、そういった中でどういった分担で業務を遂行するかというのは、法人固有の運営の仕方だと思う。
 あえて述べると、理事長の発言はたしかに出ていないが、委員おっしゃる通り、医療法人においては理事長が基本的には代表する立場にある。理事はそういう意味ではそういった立場にないので、今いろいろ新聞報道等されているが、理事の橋本氏の発言であるし、いずれ我々としては、医療法人の真意が何なのかということについては今後確認していきたい。

【斉藤委員】
 医療法人がそういう実態だというのは、先ほどの例も含めて指摘した。私は一貫してこの医療法人の信頼性が問われているとまで言ってきた。
 例えば老健について、地域の介護関係者は何と言っているか、「老健施設で一番評判の悪い施設だ」と。医療関係者は、「あそこにだけはやらせてほしくない」と。これが実態を知っている人の発言である。
 それで、実はこの間の新聞報道で一番重大なのは、「コンペに出てくれというから出た」「頼まれたからやった」と。医療局長、頼んだことがあるのか、ないのか。

【医療局長】
 どういう趣旨でそのような発言をされているのか分からないが、医療局で頼んだことはないと考えている。

【斉藤委員】
 実はこの医療法人白光は、3年前の12月に民間移管の方針を持った。そして一昨年の1月18日の新聞に、医療法人白光がまだ無床化も決まっていない時期に民間移管に手を挙げたと。公募があったら必ず応募すると。2月の時点で会長は「花泉診療センターは私たちがやることになった」と第三者に話している。これは医療法人だけでは絶対に言えないことである。違うか。

【医療局長】
 民間の医療法人でどういった定款の変更をされるかどうかということについては、私の方で了知していない。

【斉藤委員】
 一昨年2月の段階で「花泉診療センターを白光がやることになった」と第三者に話したと。そして3月6日にこの医療法人は定款を変更した。4月から無床化になるのだが、診療所運営という定款に入れた。そして4月に無床化され、6月の医療懇談会で民間移管の方針を決める。7月31日〜8月25日に公募し8月25日に申請した。申請したのは医療法人白光だけだった。まったく経過は医療法人白光ありきのシナリオで進んだのではないか。

【医療局長】
 ビジネスチャンスというか、いろんな動きがあるときに、事前にそういった準備行為をして臨むというのは民間の経営においては通常あることであるので、委員のご指摘のような見方もあると思うが、通常の準備行為をやられたものと認識している。

【斉藤委員】
 知事は、この新聞報道の前の12月に、シルバーヘルスに電話をして、会長に電話をしましたね。1月に新聞報道に出てから、医療局はこの医療法人と何度も話し合っている。そういう中で、無床化からわずか2ヶ月3ヶ月で民間移管が決められていく。この経過は違うか。

【達増知事】
 電話の件については、そういう事実はない。
【医療局長】
 無床化の一連の流れの中で、民間移管とかそういった議論もされてきた経緯もあるので、そうした中で、やってみたいという法人があれば、一切受け付けないとかそういう話ではないと思うので、そういう希望のあるところの医療法人や社福法人等あるので、それは事前に話をうかがうことは通常の業務の中であることだろうと思う。

【斉藤委員】
 これは平成21年1月28日の岩手日報だが、当時の田村医療局長は、「具体的な内容を聞いてから市とも相談した上で検討したい。仮にその業者が手を挙げるのならば、新経営計画案がまとまる2月中以降に公募の手続きに入ることになるだろう」と。ここまで話している。医療法人白光目当ての民間移管が進められたということではないか。

【医療局長】
 そういった指摘のような前提で進められたものとは理解していない。

【斉藤委員】
 ただ否定するだけでは意味はない。
 この1月というのは、無床化に反対して、県立診療センター守ってほしいと花泉で5000人の署名が集まっているときである。無床化を許すか許さないかが問題になっているときに、民間移管の話をしている。これが異常である。
 そして、だいたい1つの有床診療所をやるときに、7月31日に公募して締め切りが8月25日、26日間で医師を確保して見通しを立てて手を挙げられる医療法人はあるのか。

【医療局長】
 移管にあたっての手続きというのは、それぞれ地域の懇談会やそういったものを開いて手順を踏んで進めてきたという経緯もある。
 それから、そういう短期間でそのような公募をしてくる法人があるかということについては、医療法人白光が応募してきたということである。

【斉藤委員】
 他の一般の良識のある医療法人は、26日間で医師を確保して来年の4月から有床診療所をやるという準備はできない。医師不足の中でそういうことはできない。だからこれは完全な出来レースだった。ところがこの出来レースは出来の悪いのが相手だった。
 医療法人白光は、8月25日に、事業計画を出した。このときの医師―常勤医師2名、非常勤医師3名、1ヶ月後の県議会で議論したときには全部変わっていた。医師確保の計画は全くデタラメだった。それを確認したい。

【経営管理課総括課長】
 当時の審査の中で、医師については、ヒアリングの際に法人側から医師の年齢を聞いた。その後、事業計画書の中で医師の2人ということで、それについても名前を隠した形でいただいたと記憶している。そういったことで、9月議会の時点で、医師の名前が一部変わっていたということはその通り事実であり、その部分については、医師確保の過程の中で生じた話だと考えている。

【斉藤委員】
 一部ではなく5人みんな違っていた。そんなデタラメな答弁ではいけない。
 8月25日のものを8月27日にヒアリングして、8月31日に選考した。医師確保の見通しが明るいから認めた。これが真っ赤なウソだったら選考されなかったのである。あなた方の公募条件に、虚偽の内容があったらこの申請は止めるとなっている。事実は虚偽の報告であなた方の選考をだましたということにならないか。

【経営管理課総括課長】
 公募に際して、虚偽ということではなく、最初にヒアリングをした際には、医師の年齢だけを口頭で聞いた。口頭で聞いた話だったので、年齢についての若干の相違は生じることもあろうかと思う。
 事業計画の中では、具体的な医師の名前を出していただいているが、その後もあったが、実際に契約をするまでの間にその後も医師の変更は実際あった。それは、実際に法人の医師確保の中での話だと思っている。

【斉藤委員】
 最初事業計画を申請したときに、9月2日の地元の懇談会で報告している。常勤医師36歳42歳、非常勤医師67歳70歳と。9月県議会で履歴書が出された。そのときの年齢は常勤医師75歳35歳、非常勤医師48歳36歳37歳、一人も合っていない。これは公募の事業計画を偽造したということではないか。

【経営管理課総括課長】
 9月2日の懇談会で年齢は話したが、ヒアリングの際に法人から口頭で聞いた年齢をそのまま述べたものである。
 基本的に9月の時点で履歴書を議会に提出したが、その履歴書の方が正しいものと考えている。

【斉藤委員】
 重大な発言である。9月議会の方が正しいと。事業計画書は偽りだったと。偽った書類で医療法人は決まった。本当に重大である。これが誤りの出発点だった。
 4月からスタートするときに、3月25日に改めて事業計画書を提出した。このときに、常勤医師は内科系2名、非常勤医師は外科系3名、それを受けて3月29日に賃貸借契約をしている。しかし4月からこの内科系2名は7月までいなかった。診療する常勤医師・管理者は事実上不在だった。違うか。

【経営管理課総括課長】
 事業実施の4月からの話だが、3月の時点で、契約する前にそれぞれの常勤医師2名、非常勤医師3名の履歴書はいただいたところである。その後、4月のスタートの時点で、常勤医師が1名、非常勤医師が5名という体制でスタートという形になったが、その後7月までの間については、そこにいらっしゃった常勤医師が途中で体調不良によりおいでになれないという状況が生じたものと考えている。

【斉藤委員】
 3月25日に内科系の常勤医師2名確保したと。しかし4月から出てこなかった。体調不良というが最初から体調不良だった。誰ひとり診療していない。名前だけだった。だから事実上管理者不在だった。このときも事業計画をごまかして賃貸借契約を結んだ。これだけだまされて、医療法人を信用することができるのか。申請書類もごまかし、3月25日の事業計画もごまかした。こういう医療法人を信頼するのは無理ではないか。

【達増知事】
 医療局の対応については、医療局の経営の範囲内で経営判断として適切に対応していたと考えている。

【斉藤委員】
 これは適切ではない。これは共犯になる。だました医療法人と医療局は一体となり、この異常な事態を隠してきたと。いま隠しきれなくなったというだけの話だけである。本当にこれは重大だと思う。
 新聞報道でも聞いているが、赤字は6000万円でとてもやれないと。これはきわめて重要な事実である。収支決算報告書は合っているか。これだけの赤字だったらやっていけないのではないか。病院に対する、医師に対する信頼もなくなっているので、ここに頑張ってやらせるというのは無理な話ではないか。

【医療局長】
 経営上の収支については、決算書類等を頂いているが、これは契約書に基づき、先の事業の継続するという観点でいただいている。
 6000万円の赤字と発言されていることは承知しているが、それが6000万円かどうかということについては答弁は差し控えさせていただきたい。

【斉藤委員】
 医師確保という点でも破たんしているし、信頼性もなくなっている。経営的にも破たんしたら、この医療法人にやれと言っても無理である。やはり信頼ある医療法人を本格的に探すとか、その間は県が責任を持つとか、そういうことをやらなかったら、こういうごまかしてきた医療法人に期待するのは無理ではないか。
 家賃の賃貸料は毎月払いになっているが、これはきちんと入っているか。

【経営管理課総括課長】
 昨年分については、4月分が納入されているが、5月分以降については未納となっており、法人と支払い方法等について協議している。

【斉藤委員】
 もう家賃も払えなくなっている。
 この医療法人白光が民間移管を受ける経過、事業計画、実施後の実態、これで本当に任せられるのか。県立花泉病院・診療センターは戦後50年以上にわたって地域医療を守ってきた。それを廃止して任せた。この重みをしっかり受け止めて、責任ある対応を知事を先頭にすべきだと思うが、知事のしっかりした所管をお聞きしたい。

【達増知事】
 医療局の新しい計画の中で、花泉診療所を無床化するということになり、県もそれを了としたわけだが、地域の皆さんの有床への強い要望、また一関市からも同様の要望があり、そして関係者と協議する中で県の無床診療所として存続するよりも、民間の力で有床で存続させたいという思いが10年間有床診療所として存続するという契約に実っているわけであり、かつその間入院できる診療所として、入院の実績もあり外来の実績もあるわけなので、これをしっかり10年間続けることができるようにするということが基本と考えている。