2011年11月2日 決算特別委員会
県土整備部(住宅確保対策部分)に関する質疑大要
・住宅確保策について
【斉藤委員】
東日本大震災津波で被害を受けた住宅の実情について、全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊はどうなっているか。
【建築住宅課総括課長】
全壊と半壊合わせて24721棟の被害となっている。
【斉藤委員】
全壊は20182棟、大規模半壊1407棟、半壊3132棟、一部損壊7208棟、計31929棟である。
県土整備部が、仮設入居者のアンケートをやった。これは住宅要望で57%が自宅を再建したいと。実際に仮設に入っている方々は85%が持ち家の人だった。ある意味では当然の要望だと思う。住宅の再建を考えるときに、第一に自宅の再建をどれだけ支援するかと、ここにかかっている。
岩手県は利子補給対策を打ち出したが、これは半歩前進だと思う。しかし、住宅の再建のきっかけにはならない。被災者生活再建支援法は300万円を500万円にして、都道府県・市町村がさらに100万円200万円上乗せすると。こういう規模にならないと本格的な住宅の再建は進まないのではないか。
今まで全国で災害があったが、全国ではどういう形で独自の住宅支援が行われているのか。
【建築住宅課総括課長】
住宅再建に対する補助についてだが、奥尻島については、住宅取得費助成事業より被災者自らが居住する住宅を取得する場合に補助が行われている。
能登においては、被災者が住宅を建設または補修する場合に補助が行われたと聞いている。
阪神淡路大震災や中越地震などにおいても、それぞれ取り組みが行われている。
住宅確保に対する支援については、先の補正予算で住宅ローンに対する利子補給制度を設けることとしたところだが、岩手県復興基本計画および実施計画においては、住宅再建に向けた各種支援制度の創設および充実を図ることとしており、奥尻や能登の例も参考にしながら支援策を検討していく。
【斉藤委員】
具体的に示していただきたい。奥尻ではいくら支援したのか、能登ではいくら支援したのか。
【建築住宅課総括課長】
奥尻では、義援金を活用し、住宅建設補助に700万円、家財・家具の費用に150万円が助成されている。
能登では、能登ふるさと住まいまちづくり支援事業ということで、一定の条件を満たす住宅を新築または補正する場合に、最大で200万円の補助が行われている。
【斉藤委員】
ぜひそういう支援があれば、自宅を再建したい57%の人たちに最大限応えられるのではないか。
住田町では、仮設を250万円でつくった。できれば500万円ぐらいで低廉な木造の復興住宅を造りたいと言っている。新聞報道では、先ほど話があった岩手型の復興公営住宅が700万円ほどとされている。これは入居する方のパターンがあるので、そういう方であれば、500万円700万円でしっかりした低廉な安全な住宅ということが示されれば、かなり住宅の再建が進むのではないか。
ぜひそういう岩手型の低廉で安全な木造を使ったモデル住宅を早く打ち出す必要があるし、そこに岩手県が100万円200万円出すぐらいのことを検討すべきではないか。
【県土整備部長】
復興実施計画においても、住宅再建に対する支援というものをうたっている。今回はかなり大規模なので限界があると思うが、国に対しては生活支援制度の300万円の上乗せを働きかけていく必要が続けてあるのだと思う。とにかく自宅を再建するというものを基本に進めるということは、当然基本的な姿勢だと思っている。
先ほど住宅ローンの利子補給の部分で「半歩」とお話しされたが、「一歩」進むように今検討を進めているのでよろしくお願いしたい。
【斉藤委員】
いま被災者の方々は、仮設や民間賃貸を含めて大変劣悪な状況に置かれている。しかし、自宅の再建の展望が見えたら頑張れる。いま被災地に必要なのは希望・展望である。そういう点でも一歩踏み出せるようにお願いしたい。
災害復興公営住宅だが、岩手県は4000〜5000戸と早く打ち出した。大変良かったと思う。一番大事な考え方は、災害復興公営住宅に入居を希望する方全員が入れると。このメッセージが必要である。もう1つは、これは基本的には県営でやるのか、市町村営の場合はどうなるのか。
【建築住宅課総括課長】
被災者向けの公営住宅については、被災者に対するアンケート結果や市町村の意向を踏まえて4000〜5000戸程度必要なものとして計画しているところである。
希望者の方ができる限り入居することができるよう対応していきたい。
必要戸数は、県営および市町村営を含めたものとなっており、今後市町村と連携しながら、必要戸数を満たすこととなるよう供給を進めていく。
【斉藤委員】
「できる限り入居ができるように」というのではニュアンスが違う。復興公営住宅というのは、希望者がいれば「全員が入居できるように」という考え方ではないか。おそらくそういうことを踏まえて建設戸数が決められるのだと思う。希望すれば入居できる―これも被災者に安心感を与える。そういうことではないのか。
【建築住宅課総括課長】
現状としては、アンケート結果で公営住宅を希望される方がおおむね2割から3割ということであるので、それを踏まえて4000から5000戸という設定をしている。
その希望の状況は今後変わりうると思っているので、まずは市町村と連携した復興まちづくりだとか、あるいは自宅に対する再建支援ということも合わせて取り組んでいく必要があると思っており、公営住宅の供給については、そうした動向も踏まえて検討していきたい。
【斉藤委員】
基本的には希望者の数に合わせて入居できるように建設するということでいいか。
【建築住宅課総括課長】
被災者向けの公営住宅については、現状での希望が2〜3割ということであるので、それに基づいて設定しているものである。
・住宅リフォーム助成事業について
【斉藤委員】
全県的には、住宅リフォーム助成を早く具体化すべきだと。何度聞いても「具体的制度設計を検討している」ということだが、高田一郎議員が本会議で聞いたときには、26市町村で6831件59億4200万円の事業費に今年度はなっていると。これは去年と比べて急速に県内に広がり、その経済効果が示されているのではないかと思うが、今年度の経済効果はどうなっているか。
先進県の秋田県ではどういう実績が示されているか。
【建築住宅課総括課長】
住宅リフォームの促進については、住宅の質の向上や地域経済の活性化を図っていく上で重要なものと考えている。
県内市町村の実績は、今年度8月末までの補助件数が6831戸、補助額5億6000万円、工事額が59億円となっており、経済効果は約92億円となっている。
秋田県の実績については、今年度のこれまでの補助件数が約1万戸、補助額が13億4600万円、工事額が約200億円となっている。制度創設以降の工事費は約500億円となっている。
【斉藤委員】
今年8月末の段階ですでに92億円の経済効果と。この深刻な被害を受けた中で、これだけ活用されている事業はないのではないか。
県レベルでやっている秋田県では、200億円の事業費だと。こういうときこそ、やはり望まれて、経済効果の波及が大きい住宅リフォームを是非岩手でも早く打ち出していただきたい。