2011年11月30日 12月定例県議会・本会議
給与改定議案に対する反対討論


 日本共産党の斉藤信でございます。日本共産党を代表して議案第1号から4号の県職員の給与改定議案に反対の討論を行います。
 今回の給与改定議案の内容は、県職員の給与・賃金を平均0.37%、1人当たり2万2千円引き下げようとするものであります。その総額は6億2000万円であります。
 反対する第一の理由は、3月11日の東日本大震災津波の復旧・復興に献身的に取り組んでいる県職員に対して、賃金を引き上げることはあっても賃金の引き下げで対応することは、あってはならないことです。こんなことでどうして県職員の意欲を引き出すことができるでしょうか。必要な人員の増員と待遇の改善こそ図るべきであります。
 第二に、県人事委員会は、今回の改定に当たって、東日本大震災津波のために「民間給与実態調査」を行うことができませんでした。県内における民間との格差が調査できない中で、人事院の勧告に追随し、国より大幅な給与の引き下げを行いました。これは、県人事委員会の存在意義を自ら放棄するものであります。民間給与の実態も調査できない中では、本来給与の改定は見送るべきであります。
 第三に、東日本大震災津波の復旧・復興の取り組みで、県職員は通常の仕事に加え、今まで以上の超過勤務を強いられています。ところが、超過勤務手当が一部しか支払われていないのが実態です。給与・賃金の引き下げの前に、超過勤務手当を全面的に支払うべきであります。
 第四に、13年連続の給与・賃金引き下げによって、県職員の年間給与総額は40歳主査クラス(配偶者・子2人)で7,075,000円から5,890,000円に、平均118万円の減少となります。普通会計ベースの県職員の総額では253億9700万円の削減であります。その地域経済へのマイナスの波及効果は398億円に及ぶものです。県職員の生活にとっても、地域経済にとっても重大な打撃となっているといわなければなりません。
 第五に、給与構造改革における経過措置の廃止は、県職員4400人が対象で、5億4000万円の減額となるものであります。1人当たり月額1万円、年額では12万円の賃金の削減です。さらなる賃下げは行うべきではありません。
 第六に、県職員の給与・賃金の引き下げは、市町村職員にも波及し、県職員に準拠している他の労働者にも影響を与えます。さらに、公務員が賃下げしているのだからと民間の賃金も引き下げられる、いわゆる賃金引き下げの悪循環招いています。このことが、国民の購買力を減少させ、内需を冷え込ませている最大の原因です。日本経済、地域経済低迷の最大の原因は、労働者の賃金が13年も連続して引き下がっていることであります。
 一方で、大企業はこの間利益を増やし、10年余で100兆円を超える内部留保をため込みました。ここ2年間でも20兆円も内部留保を積み増し、その総額は260兆円に及んでいます。大企業のぼろもうけを労働者と中小企業に還元させることこそ、経済危機打開のカギであります。
 第七に、東日本大震災津波の復興の取り組みを進めるためにも、そのための人員・技術者の確保が求められています。これまでの県職員の削減路線を根本的に転換し、必要な人員の確保に取り組むべきであります。また、過酷な勤務状況の下で、県職員の健康を守ることも喫緊の課題です。心のケア、メンタルヘルスの取り組みを抜本的に強化するよう求めるものです。
 議案第49号は、控訴の提起に関し議決を求めるものであります。その内容は、県道の工事現場付近においての交通事故に関し、道路法第42条第1項に基づく、道路管理者としての注意義務違反が認定された盛岡地裁水沢支部における県側敗訴の判決に対して控訴を提起しようとするものであります。
 判決によれば、事故当日に工事現場に配置されるべき交通誘導員が配置されていなかったこと。県が事故当日の4日前に確認したという交通誘導員は、請負業である佐々木塗装店も配置していなかったと供述しているように否定されていること。仮設信号機間の距離が94メートルもあったのに、設定時間が20秒となっているにもかかわらず、同時に赤信号の時間がわずか10秒間しかなかったことが認定されています。この事実認定に間違いがなければ、県の管理監督責任、注意義務違反は明らかであり、控訴に値しないといわなければなりません。事実、この事件以後、県は道路管理の徹底を図り、工事現場における交通誘導員の配置と仮設信号機の設置は改善されており、その後事故も起こっていないのであります。工事請負業者との責任割合の問題はあったとしても県の道路管理の責任は免れず、控訴すべきではないと考えるものであります。
 
 以上申し上げ、県職員の給与・賃金引き下げの議案と議案第49号に対する日本共産党の反対討論といたします。