2011年12月8日 12月定例県議会・本会議
岩手県地球温暖化対策実行計画(素案)に対する質疑大要


【斉藤議員】
 岩手県地球温暖化対策実行計画(素案)について質問します。
温室効果ガス排出量の削減目標を1990年比で2020年までに30%とすることを評価するものです。
 第一に、再生可能エネルギーの導入目標を1,156,959kwで2.4倍、原油換算では1.8倍とする目標です。2010年の1997年比の実績は、1.3倍にとどまりました。何が問題で、今後の10年間に2.4倍に拡大する根拠はどこにあるのでしょうか。
 第二に、再生可能エネルギーの推定利用可能量は、電力利用で230億6800万kwhで全国第2位となっています。推定可能利用量にふさわしい1人当たりでは全国一の積極的な目標にすべきではないでしょうか。
 第三に、二酸化炭素排出抑制対策の目標は、2008年比で民生家庭部門で59万7千トン、産業・民生業務部門で43万1千トン、運輸部門で34万6千トンとなっています。2008年の排出量実績は、民生家庭部門が構成比で17.47%、産業・民生業務部門が48.8%、運輸部門が21.0%であります。産業・民生業務部門、運輸部門の削減量があまりにも少ないのではないでしょうか。
 第四に、森林吸収量が191万6千トン、30%削減のうちの13.5%を占めます。2009年度の235万4千トンより減少するのはなぜでしょうか。
 第五に、省エネ住宅の建築や改修への支援など具体的な対策・施策はどのように具体化されるのでしょうか。第二次アクションプランや来年度予算に具体化されるのでしょうか。

【環境生活部長】
 再生可能エネルギーの導入の課題と目標の根拠だが、再生可能エネルギーの導入が進まない一般的な背景としては、発電コストの問題などさまざまな課題が挙げられる。特に、1997年から2010年までの間、1.3倍にとどまったのは、風力発電などの立地が進んだものの、既存の地熱発電の電力量が低下したことが影響している。
 目標については、再生可能エネルギー特別措置法により、固定価格買い取り制度が創設されたことや、これを踏まえた風力・地熱等の事業者への開発計画等の聞き取り結果の内容などを考慮して設定したものである。
 二酸化炭素排出抑制対策の目標について。計画が掲げる各部門の削減目標量は、国の地球温暖化対策にかかる中長期ロードマップが掲げる各部門の削減割合を基本として設定したものである。この結果、基準面である1990年と比較した2008年の排出量が減少している産業・運輸部門については、相対的に削減目標が低くなっている。これに対し、2008年において、排出量が大幅に増加している民生家庭、民生業務部門については、相対的に削減目標が高くなったものである。
 再生可能エネルギーの導入目標だが、開発業者からの聞き取りをもとに、開発に要する期間、例えば、風力発電では計画が決定されてから事業化するまでつうじょう3年から4年要すると言われている。また地熱発電においては、環境影響評価を含めて10年程度要するとされている。こうしたことを考慮し、計画期間である10年間の間に実際に導入が見込まれる数量として設定したものである。
 森林吸収量の見込みだが、森林吸収量は各県の森林に関わるデータ等から、国が京都議定書のルールに基づき算定し各県に提供しているものである。目標年である2020年度の森林吸収量については、これまでの吸収量に大きな変化が見られることから、関係部局とも協議した上で、直近の2007年度から2009年度の3カ年の平均値として見込んだものである。
 省エネ住宅の建築や改修への支援だが、県では、高い省エネ性能を持ち、県産木材や木質バイオマスエネルギーを活用した住宅を岩手型住宅として、新築・増改築に対する助成を行い、その普及を図ってきたところだが、来年度以降の取り組みについては現在鋭意検討中である。また県においては、被災地の復興支援に重点を置いた、復興支援住宅エコポイント制度を10月21日からスタートさせたところであり、この制度の活用が図られ、省エネ住宅や省エネに向けた改修が行われるよう県としても周知に努めたい。