2011年12月12日 決算特別委員会
花泉診療所民間移管問題に関する集中審査での高田県議の質疑大要


・併設する特養の運営について

【高田委員】
 今回一番不安に感じているのは、利用者であり、そこで働く労働者、地域住民である。何の責任もない方々に不利益を与えてはならないと強く思っている。特に現在入所している特養ホームに入っている方々には、人権を守るという観点、絶対に迷惑をかけないというメッセージを関係者に伝える必要があると思うが、医療局長、保健福祉部長の強いメッセージを現地に届けていただきたい。

【医療局長】
 委員ご指摘の通り、我々としても賃貸借契約については基本的には更新しないということで考えており、その場合、特養ホームの入所者の方々、どこかに移っていただくとかそういったことは現実的には不可能だと考えているので、一関市からも強く要請されており、我々としても入所者の方々にご迷惑をかけないような形で方策を考えていきたい。
【保健福祉部長】
 我々としても、いずれ今この特養ホームで満床近くまで入所されている方がいるので、その方々が困らないような形で医療局や関係機関とも協議しながら、あり方について保健福祉部としても検討していきたい。

【高田委員】
 絶対に迷惑をかけない立場で対応していただきたい。
 この間当局は、原則更新しない意向を示しているが、同時に法人は「医療局が更新しないなら辞める」と主張している。今日の資料の中に、社会福祉法人の継続または廃止に関わる論点の整理の中で、1つは、辞めた場合に補助金の返済額はどの程度になるのか。あるいは、入居者の処遇、雇用は誰が責任をもつのか。県はどうこれに関わっていくのか。
 2つ目は、七星会が継続する場合について、今回の公募の経過からみて、これを継続するということは本当に困難だと思う。しかし、午前の質疑の中で、「原則」更新しないということなので、七星会の継続があり得る選択肢も1つあると思う。この継続する場合というのはどういう場合を想定しているのか。
 3つ目は、他の法人が対応するとなると、その選定から決定まで速やかな対応が求められる。この資料説明の中では、特養ホームが継続されれば、補助金の返済を要しない取り扱いも可能だと述べているが、これはどういった内容なのか。

【長寿社会課総括課長】
 現在特養ホームを運営している社会福祉法人七星会が当該事業を継続しなくなった場合、こちらが施設整備の補助金等を受け入れているわけだが、事業継続しなくなった場合は、補助金を交付している一関市の方に補助金を返還するといった取り扱いが生じている。ただし、資料の中に、老人ホームの継続・廃止にかかる場合分けの取り扱いの課題を整理した資料で説明すると、補助金の関係だが、現在の施設を廃止するとなった場合には、補助金の返還というような問題が生じる。ただし、施設自体が継続される場合、七星会が継続する場合は補助金の返還等は当然生じないが、別法人:新たに七星会から施設運営の継承をして他の社会福祉法人や地方公共団体などが実施する場合は、事業継承するという形ならば補助金の返還や財産処分にかかる処理というような問題が円滑に進むことになると思う。別法人に事業継承する場合には、当然施設を運営している七星会との協議をする中で、社会福祉法人が事業を継続しない場合には、法人の解散・合併という問題が生じてくる。これらについては、これから法人側と医療局・保健福祉部あるいは一関市・広域行政組合等の間で十分検討しながら、入所者の処遇の継続ということを含めながら検討していく必要があると考えている。
 補助金の返還が生じた場合だが、これらは現在の取り扱いだと、今年度末までいけば2年間事業が継続したことになるが、これは施設を建てたとか取得したわけではなく、医療局の持っている建物の改修経費であるので、これらについては違った検査の仕方で、県の方で10年以上という条件を付しているので、使用した期間等を勘案しながら返還納付額等については別途検討するという扱いになる。
 七星会が事業継続する場合というのは、現に入所者が入っており、円滑に他の法人事業者等に施設の継承がスムーズにできない場合には、そういった状況が整うまで暫定的に継続してもらうというような状況も生じることが考えられる。
【医療局長】
 契約の継続の関係だが、契約書については先ほど来答弁している通りだが、基本的には公募を選定した経緯、あるいは事業計画を一体的に医療法人とともに認定した経緯等々あり、原則的には契約は更新できないというのが基本的姿勢である。ただ、継続の可能性を否定しないと言った趣旨は、現に入所されている方々に迷惑をかけないような選択肢の1つとして、いろいろあるということである。いずれスタンスとしては、原則更新できないというのが基本的な考え方である。
 ただ、これは1階部分の賃貸借契約、2階の賃貸借契約も同様だが、基本的には民事上の契約であるので、双方がそういった解除に向けた円満に合意を形成するというのは一番重要な点だと考えている。したがい、あまり突っ込んだ中身については、今後の協議・調整を控えているのでお許し願いたい。

【高田委員】
 先日この七星会が運営する特養ホームに訪問して、入所者や施設関係者と懇談してきた。一関広域組合管内の特養ホームでもやっていないような、リハビリの先生を呼んでリハビリの指導をしたり講演会を開催したり、国の基準を超えるようなマンパワーで利用者のサービス提供に努めると。1階の病院との連携もあり、非常に地域から貢献されていると感じた。管理者が違うと、1階と2階で随分違うと感じた。利用者やその家族の皆さんから聞いても、本当に新聞報道を見る度に不安だと。ですから、空白を作らない、利用者に迷惑をかけない立場で、今日の事態に至った県の責任は大きいので、県の責任において不安をなくすような対応をしていただきたい。


・家賃の滞納問題について

【高田委員】
 去年と今年の滞納金額というのは、2法人合わせて1500万円ほどとなっている。これまでの議論を聞いていると、初期投資があってなかなか困難だとか、継続するための支援という議論があるが、これは本当に支払い状況が難しいような経営実態になっているのかどうか。

【経営管理課総括課長】
 法人の経営状況そのものとなると、法人の運営に直接影響を与える可能性もあるので、詳細については差し控えさせていただくが、まず医療法人については、特に外来患者数が伸び悩んでいると。昨年に関しては入院患者も途中からだったということもあり、かなりの欠損が見込まれたと。
 それから、社会福祉法人についても、たしかに4月当初からほぼ満床状態ということはその通りである。いろいろ話を聞くと、経常収支で見ると、何とか今年度は収支均衡まではもっていけるのかなという話だったが、初期投資の返済にどうしても資金を要しているということで、資金収支で見た場合では、現時点でも今年度は厳しいと聞いている。

【高田委員】
 それぞれの法人の理事報酬がどの程度になっているか。

【経営管理課総括課長】
 我々の方で経営実態についていろいろ話を聞いている中では、理事報酬については聞いていない。
【地域福祉課総括課長】
 七星会については、理事報酬はない。

【高田委員】
 医療法人については、なぜ分からないのか。

【医療推進課総括課長】
 医療法上届けられている決算届けに関しては、理事報酬等の記載がないので、医療法上は確認しているものではない。

【高田委員】
 私が知る限りでは、医療法人の報酬は4600万円もあるという話を聞いている。きちんと調査すべきである。家賃の滞納という点については、私は事業を始めたときには初期投資だってある。当面は、赤字になる、2年後3年後は黒字になっていくという事業計画を作る。当然家賃も毎年払っていく計画でやっていく。しかしこの理事報酬の金額を見ても、あるいは社会福祉法人の実態を見ても、支払いが可能な金額だと思う。
 社会福祉法人については、払えるのだが理事長の指示で払わなくてもいいと。県当局が少し甘く見られているのではないか。

【経営管理課総括課長】
 社会福祉法人の方で理事長が払わなくてもいいと言ったことについては我々は承知していない。
 実際にお話を事務方から伺ったところでは、先ほど申し上げた通りの事業収支の中での欠損が生じてくるという話を聞いている。

【高田委員】
 いずれそういう実態があるので、県医療局は少し甘く見られていると思う。しっかりやっていただきたい。

【医療局長】
 医療法人の理事報酬が4600万円ということだったが、診療所事態については先ほど来の話があるような形で赤字要因になっているというのが実態である。
 家賃の関係についても、基本的にはこれまで有床診療所を継続していただきたいという期待に応えるために、何とか継続という視点で考えてきて、家賃を納めるので経営が圧迫するようではまずいだろうという考え方でこれまで対応してきた。したがい、今議会でもいろいろご指摘をいただいているので、その辺も踏まえ対応していきたい。

【高田委員】
 経営が圧迫という話があったが、事業は昨年から始まったばかりである。当然事業計画の中でも最初から赤字になっているのは分かっている。2年後3年後黒字に転化すると。課長は社会福祉法人は収支均衡という話をされた。理事長の報酬も先ほど述べた。こういうことをトータルすると、支払いできる能力がありながら、払っていないということが言えるのではないか。きちんと対応していただきたい。


・有床診療所化での運営について

【高田委員】
 他の議員からも有床診療所にすべきだという意見が相次いだ。私もその通りだと思う。今回ベットを増やしてほしいという地域住民の要望に応えて、そして県医療局も新しい地域医療のモデルケースとして公募した経過がある。こういう一連の経過からすれば、やはり県立の無床診療所ではなく、有床診療所でスタートするというのがこの間の経過からして、当然ではないかと思うがいかがか。

【医療局長】
 委員ご指摘の通り、今回の民間移管については、我々の地域診療センターを休床化したということで、ベットがなくなったということで、そうした中で地域で必要だという声に応えるような形で民間移管を進めた経緯がある。
 今般医療法人の方がなかなか継続が難しいという事態に至っており、3月末が一つの目途になろうかと思うが、形式的に言えばそこでベットがなくなるという形になる。
 医療局による直営の有床診療所の復活という点に関しては、地域の声や要望としては十分思いは分かってはいるが、医療局として県病全体を経営する観点からいくとどうしてもこういう危機的な医師不足の中で再び有床診療所で復活というのは現時点ではなかなか困難だと考えている。

【高田委員】
 やはり地域の要望に応えて努力する姿勢が重要である。
 この間この問題で花泉診療所の関係者の皆さん、地域の医師の皆さんいろんな方と懇談を重ねてきた。やはり開業医でも近くにベットがなければ不安である。それは医療関係者だけでなく福祉の関係者など共通した声である。その中で、県営で有床診療所であればやってもいいという医師がいるという話もされた。そういう人が周りにいるという話もいただいた。そういう地域住民の声に応えて努力するという姿勢が必要だと思うがいかがか。

【医療局長】
 新しい経営計画に基づいて、休床化した地域診療センターが何ヶ所かある。県営医療として、全体を維持していくためには現在の医師不足の中ではなかなか難しい。
 基幹病院においても、沿岸を中心に医師不足の事態になっており、同じ両磐圏域においても、千厩病院を例にとると、ここ10年ぐらいで18名いたドクターが今7名とか、大東病院についても8名いたドクターが3名しかいないなど、診療センターもさることながら、県立病院そのものの維持も非常に困難な状況になっている。そうした中で、医師招へい等々努力しているところである。
 いま委員お話あった通り、県病で有床診療所であればやってもいいというドクターが地元にいらっしゃるのであれば、それは別に高田委員に限らず各委員の皆様方にもご存じのドクターがいれば、ご紹介をいただければと思う。

【高田委員】
 一関市としては、その後の対応については、県と一体となって医師会や地元医療関係者・住民の意見を聞き、花泉に必要な医療を考えていきたいとしているが、前回の議論のときには、たしかに定期懇談会は行われていたが、しかし私は地域住民の声や運動にも参加し分かっているが、偏った人たちの意見だったということもよく言われる。
 今回地域住民の皆さんが、医師は少ない、医師不足ということは分かっている。しかし一方では有床診療所が必要という声もある。ですから、医師会や地元医療関係者。住民の意見をよく聞いて、しっかりと対応していくということがこの間の経験からも必要だと思う。地域の皆さんの要望をしっかり受け止めて、大切にして地域医療の在り方を議論していくということで対応していただきたいと思うがいかがか。

【医療局長】
 現段階では、今後の善後策ということでいろいろ市とすり合わせをさせていただいた段階であり、市長からもそういった趣旨の発言があったので、まずは市と相談しながら地域の対応等についても対応させていただきたい。


・県の責任について

【高田委員】
 先ほどの議論を聞いていると、今回のこうした事態に対して、地域住民の要望に応えたものであって、県としてはかしがないと。民間の有床診療所という期待に応えられなかったということでは残念だが、県としてはかしがないと。
 今日の行き詰った原因には、白光の経営姿勢と県がこうした事態を招いた責任の所在も大きいと思うがいかがか。

【医療局長】
 地域の期待の声に応えるということで、県営ではなかなか有床での維持が難しいという中で、民間のノウハウを活用して有床の診療所を開設し、そして地域の期待に応えていこうということで今般の民間移管が進んだと。それは医療法人側においても、そういった計画通りの努力をしていただいたと思っており、医療局としても可能な範囲で有床診療所を継続できるように努力をしてきたつもりではある。結果的に今のような状態に至っているということであるので、いずれこの辺についても、今後また医療法人・社会福祉法人と協議があるが、こういった経緯についても、一定の目途がついた段階で医療局として検証していきたい。

【高田委員】
 地元の要望に応えることができなかったというお詫び程度で、今日の事態に至った責任を感じていないと感じている。
 今回の問題で問われたのは、この法人に本当に任せていいのかという信頼性である。その柱になるのは医師の確保だった。今日いただいた資料を見ると、常勤医師の体制が議会に報告する度に名前が変わると。私は当時県議会議員ではなかった。一県民として県議会の議論を聞いていたが、毎回医師が変わるという異常さ、そして昨年2月、つまり民間移管が始まる直前に「医事新報」という業界誌に、花泉診療所の医師を公募するという記事が載った。それを見て大変驚いた。そして4月、開院した途端に、常勤医師2名どころかゼロでスタートした。私は5月に斉藤議員と医療局長に直接交渉して、この事態を知っているか、改善をすべきだと要求してきた。そして、結局この1年数ヶ月、常勤医師はほとんど不在という事態がずっと続いた。県もそれはずっと知っていたことではないか。それにも関わらず何の対応もしていなかった。しかも現在の常勤医師も、常勤とはいえ、ここに書いてある通り非常勤である。この1年数ヶ月、まともな常勤管理者が不在だった。こういうことがずっと続いてきたことに対して、ほとんど対応してこなかったという責任もあると思う。その責任は自覚していないのか。
 最後に、今回の白光の理事長のマスコミでの発言について、「頼まれたからやった」という発言。そして最近出した提言、この表現が非常におかしいと思う。おいしい話をもってきて、頼まれたからやって、しかし実際やってみたら大変だったと。だから開き直って、県や市の支援がなければやらないということになったのではないか。19床の有床診療所のときから、実は法人に出入りしている業者から、「やることになった」という話を聞いている。こうした理事長の発言などを聞いていると、これはかなり行政主導でやられたのではないかということが言えるのではないかと思う。そういう点では議会での検証もしっかりやらなければいけないと思うし、県や医療局においてもこの事実関係をしっかり確認して、県民にしっかり説明するという責任があるのではないかと思うがいかがか。

【医療局長】
 いずれこの他の地域においても、民間移管を目指すといったことも想定されるので、今回のケースについては医療局としてもしっかり検証していきたい。
 橋本理事のマスコミでの発言等々については、私は全て詳細を把握しているわけではないので、全て確認しなければならないのかどうかも正直戸惑っているところがあるので、コメントは差し控えさせていただきたい。