2011年12月13日 12月定例県議会・最終本会議
2010年度岩手県立病院等事業会計決算および一般会計決算に対する反対討論
認定第1号、第4号に、日本共産党を代表して、反対の討論を行います。
認定第1号は、2010年度岩手県立病院等事業会計決算であります。
東日本大震災津波の大災害の中で、被災者の命と地域医療を守る医師、看護師等の皆さんの献身的な取り組みに心から敬意を表すものであります。
しかしながら、昨年4月から県立花泉診療センターが医療法人白光に民間移管されました。9月県議会に続き12月県議会で集中審議されたように、常勤医師の辞職によって有床診療所の運営はわずか1年余で破たんしてしまいました。最大の問題は、常勤医師確保の見通しもない医療法人白光の事業計画を県と医療局が追認してきたことであります。一昨年8月に提出した時の医師5人、1ヶ月後の9月県議会に報告された医師5人、昨年3月25日、民間移管の直前に出された常勤医師2人、非常勤医師3人すべて名前が違い、実態がありませんでした。民間移管の4月以降7月までは常勤医師が不在でした。常勤医師が辞めた9月以降も、いまも常勤医師・管理者は不在となっています。
こうした根拠のない事業計画を追認してきた背景には、医療法人白光ありきの県と医療法人との癒着がありました。民間移管の公募前の6月に、医療法人白光の紹介で花泉診療センターに診療所長候補の医師を採用し、試運転させることまで行いました。昨日の社会福祉法人七星会の理事会で、橋本尭夫理事長は、「知事から(民間移管前の公募前に)頼むと電話された」と重大な発言をしたとのことです。これが事実とすれば、県議会での知事答弁は虚偽となり重大な問題です。この疑惑は徹底して追及・解明されなければなりません。
同時に、民間移管による有床診療所が破たんした下では、県医療局が責任を持って地域住民への約束である有床診療所を運営すべきであります。特養ホーム入所者に責任はなく、入所者の命とくらしを守る対策を講じるべきであります。その上で、地域住民の声をよく聞いて、県の責任で福祉・介護と一体の有床診療所の体制を構築すべきであります。
高田、大槌、山田、大東の被災した県立病院の早期再建に取り組むとともに、仮設診療所の改善にも取り組むべきであります。
医師とともに看護師の増員に取り組み、協定違反の超過勤務の縮減に取り組むべきであります。
認定第4号は、2010年度岩手県一般会計決算であります。年度末の3月11日に、東日本大震災津波が発生し、これまでに死者4665人、行方不明者1383人、合わせて6048人と戦後最大の大災害となりました。県職員はもとより沿岸市町村の職員、消防、警察、自衛隊、全国からのボランティアなどの皆さんの献身的な取り組みが行われたことに心から敬意を表するものです。
被災から9カ月が経過したものの、国の本格的な復興予算が11月末になって成立するなど遅れに遅れ、被災地の復興は緒についたばかりであります。被災者の生活再建と生業の再生を最大の課題に位置付け、中小企業の再建と雇用の確保、住宅の確保、県立病院など地域医療の再建に、従来の枠にとらわれず、必要な対策をスピード感を持って進めるよう強く求めるものであります。
2010年度決算に反対する第一の理由は、県民の暮らしに冷たい県政となっていることであります。
県内の国保税は、課税所得92万1千円に対し国保税は15万4千円で、負担率16.72%となっています。高すぎて払えず、昨年度の滞納者は33171世帯、15.56%、7世帯に1世帯以上です。滞納者からの保険証の取り上げとなる資格証明書の発行は992世帯、短期保険証の留め置きは2760世帯で合わせて3752世帯が無保険状態となっています。財産の差し押さえは3839件11億1712万円に及ぶ冷たいものです。盛岡市は今年度から資格証明書、短期保険証の発行を「効果がなく受診の機会を奪う」として中止しました。県政としても県民の命を守ることを基本に根本的な見直しを求めるものです。
介護保険の介護サービス利用料は、月17万7千円で全国最低であり、特養ホーム待機者は6183人、在宅待機者が2203人、早期入所が必要な待機者は1253人となっています。保険あって介護なしの事態の改善が必要です。子どもの医療費助成も県内19市町村が小学校卒業・中学校卒業、高校卒業まで拡充している中、県の助成は就学前までにとどまり、償還払いだけとなっているのは東北で岩手県だけであります。
第二の理由は、雇用対策と中小企業対策が極めて不十分なことであります。
県内の上位10社の誘致大企業によるリストラによる従業員の減少は、4年間で2600人に及びました。県内最大の企業、関東自動車は、正社員は増やさず、期間社員、派遣社員をそれぞれ150人増やしました。青年の非正規雇用は約5割に及んでいます。
常用雇用者数で89%を占める中小企業対策の決算額は、融資を除くと40億8900万円で、決算額全体のわずか5%にとどまっています。県議会で請願が採択された住宅リフォーム助成事業は、昨年度の19市町村から今年度は26市町村に広がり、5億6300万円の補助で59億4200万円の工事費となり、その経済波及効果は92億円となりました。県で実施している秋田県は今年度も200億円の工事費となっています。県議会での請願採択を踏まえ、県としても早急に実施すべきであります。
第三の理由は、農林水産業の決算額が大幅に減少してきていることです。
昨年度の農林水産部の決算額は558億円余でした。10年前の1617億円余の34.5%に減少しています。これでは農林水産業の振興どころか衰退県政と言わなければなりません。さらに、岩手県の農林水産業にとって1682億円もの生産額の減少を招くと試算するTPP交渉参加に、明確に反対を表明しなかった達増知事の姿勢も県民の声に背を向けるものでした。
第四に、35人学級の拡充に背を向けていることです。競争主義的な教育の改善を求めた国連子どもの権利委員会の勧告に背を向けていることも問題です。
一方で、ムダと自然環境破壊の530億円の簗川ダム事業を推進し、利用客が半減した花巻空港整備事業に、ほとんど県費で320億円を投入してきたこともムダ遣いと言わなければなりません。再生可能エネルギーの推定利用可能量が全国第2位にもかかわらず、その活用は第11位にとどまっています。岩手の自然と資源を生かした自然エネルギー活用の先進県をめざすべきであります。
以上申し上げ、認定第1号、第4号に対する日本共産党の反対討論といたします。ご清聴ありがとうございました。