2012年1月13日 東日本大震災津波復興特別委員会
浸水土地買い上げ問題、水産特区問題等に関する質疑大要


【斉藤委員】
 仮設住宅での懇談でもさまざまな要望が出された。
 仮設の場合には、県が対応する問題と市町村が対応する問題があったと思うが、私は、せっかく全ての被災自治体を対象に県議会がこういう調査をしたので、きちんと自治体にも県議会として応えると。懇談した仮設自治会についても、県として対応すべきことについては、このように対応したと、きちんと報告すべきでないか。そういう処置をぜひお願いしたい。

【特別委員長】
 ごもっともなことであるので、そのように特別委員会としても取り組まさせていただきたい。
 なお、議会の場でもぜひ皆さんからのご協力をお願いしたい。


・防災集団移転促進事業について

【斉藤委員】
 今回の復興推進計画、整備計画、復興交付金事業、やっと本格的な復興の取り組みが10ヶ月過ぎて進められるところに大変残念な思いがあるが、中身について聞きたい。
 一番感心があるのが、防災集団移転促進事業である。この事業について、資料では、4分の3補助で、4分の1の地方負担は全て地方交付税で補てんするとなっている。この事業は、土地の造成、さらに下水道、関連道路すべて含めた事業とみていいのか。それから、一定の規模になると、公園の用地だとか、集会所や公民館的な施設も必要になるが、そういうものはこの事業の中に入るのか。

【復興局平井理事】
 移転先での土地の造成については、宅地そのものだけではなくて、それに通ずる道路等も含まれるということである。それも含めて単価設定が行われているということである。
 移転をしていただく建物の種類についても、住宅に限らず、必要な施設、住宅団地に関連する公益的施設、病院等の用地取得も補助対象になったとされることが加わった。

【斉藤委員】
 新聞報道では、公園などは対象にならないと指摘されているし、私が言っているのは、公民館的な、仮設にも設置されているような集会所がコミュニティの確立では必要になってくる。そういうのも入るのか。公園や公民館は公益的施設に入るのか。

【平井復興局理事】
 公民館などが入るかどうかは確認させていただきたい。

【斉藤委員】
 防災集団移転事業で一番住民が心配しているのは、震災前の土地をどう国が買い上げてくれるのかと。少なくとも震災前の土地の価格で購入してほしいと。野田村の試算で、単純に住宅を建設すると2千数百万円かかると。今から2千数百万円の資金を捻出するというのは不可能に近い人が多いのではないか。この浸水した土地の国の買い取りが早く定まらないと、計画そのものも煮詰まらないのではないか。
 それから、例えば市町村が浸水した土地を買い上げた場合に、国の補助があると聞いている。本当なのか。どういうものなのか。そういうことがあるのなら市町村が買い上げて、そして移転費用にもなるということも可能だと思うがいかがか。

【平井復興局理事】
 移転元としての浸水した土地なりを市町村が防災集団移転促進事業の中で買い上げる場合には国の補助がある。4分の3で市町村とも補てんされるということである。
 買い上げの価格については、現在価値が原則ということだが、その土地がそのまま放置されるわけではない場合に、住宅以外の用途で開発されるといった場合には、開発を見込んだ地価を想定して買い上げるということになる。

【斉藤委員】
 現在価格が原則ということになると大変なことである。本当にここを突破するかしないかが住宅確保の決定的な問題になると思うので、今そういう国の方向ということであれば、この見直しを強く求めると。そうしないと集団移転は成功しない。
 市町村が買い上げた場合には4分の3補助があると。そうした場合4分の1については、復興交付金が適用できるのか。市町村の負担になるのか。

【平井復興局理事】
 復興交付金の対象事業であるので、他の事業と同様、基本的には市町村負担分も国が最終的には負担することになる。

【斉藤委員】
 市町村が買い上げた場合には4分の3補助だが4分の1の地方負担も手当されるということですね。ぜひそういう方向でこの事業が進められるように期待したい。


・津波復興拠点整備事業について

【斉藤委員】
 資料の44ページで、津波復興拠点整備事業というのがあるが、ここには広域的施設、学校・医療施設・官公庁などが全面買い取り方式で整備することが可能だとなっているが、陸前高田の場合も大槌の場合も庁舎が全壊した。消防署も学校もそうだが。こういう庁舎・学校・県立病院などの移転費用、建設費用はどのように今度の制度で手当されるのか。地方負担がなくなるのか、どのぐらいの地方負担になるのか。

【平井復興局理事】
 津波復興拠点整備事業というのは、津波防災地域づくりで議決されている事業であり、そういう地域を全面買収方式で土地を市町村が買収できるということである。ただ、ご指摘のあった公共施設の建設や移転に関する補助については確認させていただきたい。

【斉藤委員】
 県立病院、市庁舎、消防署などは移転新築ということになるので、この規模は大変な規模になるので、その手当が今度の復興特別手立てでどうなるのか、しっかり教えていただきたい。


・公営住宅に関わる入居者資格の要件緩和について

【斉藤委員】
 10年まで入居が可能になると資料では読まれるが、復興公営住宅というのは基本的には終の棲家として使えるようなものにすべきではないかと思うが、この中身はどうなっているか。
 復興公営住宅の利用料金も特別の減免があり、そのあたりも含めて示していただきたい。

【平井復興局理事】
 災害公営住宅の建設等が完了するまでの間、最低10年間入居者資格要件を緩和するという措置が今回設定されたが、それと同時に公営住宅を取得していただくというものも併設されたわけであり、耐用年限の規定を4分の1から6分の1に短縮して5年間で買い取り可能ということになり、終の棲家という観点では、そういう方向でも住宅を取得していただけるということが設定されている。

【斉藤委員】
 一部誤解していた。復興公営住宅の建設が遅れるので、10年間、どこに入れるということになるのか。雇用促進住宅など公営住宅に今みなし仮設で入っていると、これが10年間延長されるという意味か。

【平井復興局理事】
 被災者として公営住宅に入居されている方は、特例家賃を適用しているが、その期間が最長10年まで延長されると。その後に災害公営住宅に入居していただいて、それは災害公営住宅の家賃を適用させていただくということである。

【斉藤委員】
 そうすると、県営・市営・雇用促進・民間住宅の借り上げの場合も、10年間まではみなし住宅の形で入居可能だと理解していいか。そしてその場合、例えば、民間住宅であれば2年間は無料である。これが2年経った場合にどうなるのか。仮設の場合はおそらくずっと無料でいくと思う。その辺りは具体的に示されているか。

【生活再建課総括課長】
 民間賃貸住宅等を応急仮設住宅として借上げさせていただいているが、期限は2年間ということになっている。一方、プレハブ型の仮設住宅については、原則では最長2年3ヶ月ではあるが、建築基準法の改正等があり、年度ごとに延ばすことができるとされているということを受け、県としては国に対し民間賃貸住宅の2年間となっている借上げ期間について延長してほしいと要望させていただいているが、国からはまだ回答はいただいていない。引き続き要望していきたい。

【斉藤委員】
 そうすると、10年間まで入居が可能だというのはどの住宅か。そしてその場合の入居費用はどうなるか。

【平井復興局理事】
 確認して後ほど示したい。

【斉藤委員】
 住宅の確保がもっとも切実な被災者の要求なので、今回の中身を是非正確にお知らせいただきたい。

【生活再建課総括課長】
 みなし仮設住宅については、先ほど申し上げた通り、プレハブ型の仮設住宅については、2年3ヶ月が年度ごとに更新されるということで、民間賃貸住宅については、2年間となっているがそれについては国に要望している。雇用促進住宅については、平成24年の3月末までということで、県営住宅については、入居から2年間となっている。
 12ページに書いているのは、公営住宅の入居資格の特例措置の延長という話で、現在被災者の皆さんに住んでいただいているみなし仮設住宅の年数が10年まで延びるということとは違う話なのでご理解いただきたい。

【斉藤委員】
 ここで書かれている「10年間延長される災害公営住宅」というのは何かと聞いている。何々がこの適用になるのか。

【生活再建課総括課長】
 公営住宅の入居者の要件の緩和措置が、現行制度では災害発生の日から3年に限り、緩和されているものが最長10年までということである。

【斉藤委員】
 公営住宅といった場合に、県・市営の公営住宅にみなし仮設住宅で入っている人たちは適用になると。雇用促進住宅はどうなのか、民間住宅の借上げはならないということか。2年で切れてしまうのか。民間借り上げもかなりの数が入っているので、2年ぐらいで新たな住宅を確保する見通しはないわけで、正確にその辺りを教えていただきたい。

【生活再建課総括課長】
 民間賃貸住宅については、特例措置で10年間延長されることではなく、公営住宅に入る場合には、収入基準などがあり、緩和の年数が3年間ということで、緩和しているものが最長10年間延長されるということである。

【斉藤委員】
 公営住宅には、雇用促進住宅も入るということでいいか。

【平井復興局理事】
 公営住宅法の記述であり、通常3年のところを10年間に延長するということで、それに雇用促進住宅が入るかどうかは確認させていただきたい。


・鉄道ルートの変更にかかる手続きの特例について

【斉藤委員】
 「鉄道ルートの変更等について規定された場合には鉄道事業法上の認可の手続きを不要とする。他の復興事業と一体的に鉄道ルートの変更を円滑かつ確実に実施する」となっており、大変大事な中身だと思う。
 陸前高田市では、JRのルートを山側に変更したいと。大船渡の場合には、かさ上げという要望も出ている。このルート変更、かさ上げにはどのように対応されるのか。
 そしてJR側は、ルート変更した場合には地元負担だと言っている。かさ上げした場合でもそれは地元負担だと言い、自治体が二の足を踏む状況にあるが、ルート変更してもかさ上げしても、その試算はJRの試算である。基本的には1兆5千億円の内部留保を持っているJRが責任をもってやるべきだと思うがいかがか。

【佐々木復興局参事】
 JR線については、東日本では、原形復旧までは自己財源を使うと。それを超える部分については、ぜひ新たな財政スキームをつくっていただきたいということで、県の方もJRの要望を受けて、国に対しては先に宮城県と岩手県と福島県の共同3県で、国交省はじめ関係省庁に、JRも相当の被害者であり原因者ではないわけで、新たな構築部分については、新たな財政スキームをつくっていただきたいということで要望している。

【斉藤委員】
 そうすると、これは協議中だと。地方の負担になったらとんでもない話になる。そして、JRのルートというのは、まちづくりの入り口である。大船渡の場合には防潮堤としての役割も位置付けている。ここが早く定まらないとまちづくりも進まないということなので、ぜひ基本はJRの責任、そして必要なら国の支援と、地方負担なしということで進めていただきたい。


・水産特区の問題について

【斉藤委員】
 漁業権の優先順位をフラップにするということで、宮城県の要望を受けて復興基本計画に入ってしまったというもので、岩手県は関係ないと、そういうことはすべきでないと思っているが、この関わりはどうなのか。

【産業再生課総括課長】
 「地元漁業者のみでは、漁業の再開が困難なために」というのが前提になっている。
 本県の場合は、漁協を中心として、すでに養殖業の施設整備を行い順次整備が進んで、特にワカメ養殖が一番最初に収穫が得られるもので、それについては、要望するところの漁協についてすべて施設整備をしているので、すでに漁業者を中心とした養殖が再開されているので、この件については本県については該当しないということであり、漁業者からも要望等はない。


・産業の再建、雇用問題について

【斉藤委員】
 陸前高田の場合は、被災604企業のうち89しか再建していない。これは全体の県内被災企業の復興状況、水産加工の復興状況をあとでお知らせいただきたい。

【産業再生課総括課長】
 水産加工業の復興状況だが、工業統計によると、水産加工場・事業所は130、我々の調査ではその約半数が再開しているということである。これについては、グループ補助等を使い、現在も再生について進めているので、順次再開していくようさらに支援していきたい。