2012年3月1日 商工文教委員会
補正予算(雇用創出、中小企業対策等)に関する質疑(大要)
・雇用促進費について
【斉藤委員】
全体で50億円削減になって、その大きな内訳は、緊急雇用創出事業費が市町村分で42億5千万円余が削減と。これは、予算がいくらで42億円削減になったのか。また、おそらくこれは市町村が事業化できなかったということだと思うが、その要因は何か。
【雇用対策課長】
予算だが、市町村の補助分については、82億円程度の当初予算、それから4月・6月の補正予算でもって122億円補正されている。うち今回42億円余が減額補正となっている。
減額の主な理由だが、1つは、沿岸市町村を中心に減額が多いわけだが、被災当初、沿岸の各市町村においては、雇用創出をしなければならないということで、相当な金額をまず予算要求して事業化を進めていた。その過程において、特に昨年後半において、民間の雇用情勢が改善してきたこともあり、そういった意味では、当初ほど雇用人数が伸びなかったことが大きな要因ではないか。
【斉藤委員】
せっかく予算化しながら42億円が使えなかったのは残念である。沿岸の被災地の雇用情勢が変わっているわけではないので。何か対応策が必要である。
122億円の予算化で80億円が使われたと。それによる雇用はどのぐらいか。
【雇用対策課長】
市町村分の雇用創出人数は、1月末で6255人となっている。
【斉藤委員】
いずれにしても、3分の1は使い残したと。もっと市町村にどういう支援が必要なのかよく考えて対応していただきたい。
・臨時職員緊急雇用事業費について
【斉藤委員】
2億425万円余削減になっているが、これは県が採用すべき臨時職員ということか。これはなぜこれだけの減額になったのか。どれだけ採用されて減額になっているのか。
【雇用対策課長】
2月29日現在で延べ495名となっている。当初の任用予定数が450名ということで、人数的にはクリアしている。
減額の理由については、任用期間あるいは事業の収用等により減額されたものがある。
【斉藤委員】
これは基本は6ヶ月雇用か。延べと実人員はどうなるか。
【雇用対策課長】
任用期間は、当初は6ヶ月で予定していたが、その後6月補正で今年3月分まで任用するということで予算化している。ただ、事業によっては、事業そのものが無くなっているものがあるので、そういったものについては業務が終われば終了ということになる。
・災害緊急雇用事業推進費について
【斉藤委員】
24億円の減額になっているがなぜか。
【雇用対策課長】
発災当初、4月の補正と12月の補正を合わせて24億円ということになっているが、発災当初は県の方で直接民間企業等に委託して雇用創出しようということで、事業を当初は発災当初だったので、具体的な事業がはっきりしない部分があり、とにかくまず枠的にとっておいて、それを具体的な事業として各部が行うということで、今回2月補正にあたり、各部でやっている予算の中にそれを振り分けたということである。
被災者の人材育成事業もその24億円の一部として行っていたものである。
【斉藤委員】
そうすると、各部では事業化されたと。単純なマイナスではないと。
・事業復興型雇用創出事業費補助について
【斉藤委員】
8億7500万円削減となっている。これは始めたばかりの事業ではないかと思うが、なぜこうなるのか。これはどこまで実績として使われているのか。
【雇用対策課長】
これは12月補正に、当時まだ国の3次補正の内容が十分明らかになっていない状態で、県で先行して事業化したものである。当時我々の方で持っている情報の中で、全体で3年間で一人当たり225万円の単価で助成すると。それから1年目は一人単価120万円を助成するということだけが分かっており、遡及適用等についてはまだ分からなかったのだが、その時点で1250名分を1年目の単価120万円に掛け合わせて、総額15億円を予算化した。その後、国の制度がはっきりしてきて、本県の扱いとすると、初年度140万円助成するということにしていたが、その分の前金として140万円のうち50万円を前金で支払うと。今年度は50万円×1250人分の見込みでもって今回補正すると。その分の差が8億7500万円ということである。
実績だが、2月6日からこの制度を全県下に対して、グループ補助対象企業に対してダイレクトメールを出して申請を促しているが、昨日現在で申請は2件である。
【斉藤委員】
2月6日からやって申請がまだ2件だと。予算化そのものは12月補正で頑張った。なぜこれだけ良い制度がこういう申請数にとどまっているのか。これから急速に伸びるのか。
それで、今年度対象にしているのは、グループ補助の企業である。対象がはっきりしている。対象企業数がいくらで、なぜたった2件にとどまっているのか。
【雇用対策課長】
2月6日以降、沿岸地区4ヶ所で説明会を開催し、直接ダイレクトメールを出した方々に説明会をしている。そういった中で、電話等の照会は2月29日現在で93件、1日当たり約5〜6件程度きている。
電話等の話を聞くと、3月以降新採用、地域学卒者等を雇いたいというような相談等もあり、見込みとすると、これから徐々に伸びていくのではないかと思う。
対象企業数は、グループ補助の対象と同じ295社である。
【斉藤委員】
この事業はかなり効果的な取り組みだと思う。できれば11月20日以前に遡及してほしいということを一般質問でも取り上げたが、年度末で忙しいのか、しかし年度内から活用できるので、これはプラスになるので、是非良い制度は積極的な活用ができるまで大いに取り組みを強めていただきたい。
・被災求職者雇用人材育成事業費について
【斉藤委員】
この中身で、15事業者で469人という説明だったが411人になったのはなぜか。この予算額で割ると、一人当たり200万円弱である。月にすると30万円でかなりの支援策だと。ただ、ほとんどが派遣会社である。10月からなので、3月までやっても6ヶ月である。どのぐらい研修の期間、条件その他があるのか、ないのか。そして、一応採用される形だが、おそらく半年もないわけだから、問題は、こういう実務研修が研修先で雇用されるということが一番求められる。この成果が出るのは新年度ということになるのか。今の段階ですでに新たな雇用定着がきまっているということがどれだけ把握されているか。
【雇用対策課長】
当初計画していた469人から411人に減った理由だが、この事業は、昨年10月から委託を始めている事業で、15社の就職支援会社の事業計画によると、当初の採用予定は462名だった。それが実際募集活動をして十分に人が集まらない、あるいは途中で自己都合等で辞めた方々を含めて1月末の段階で411人ということである。
6ヶ月間の実習期間の中での研修の内容だが、研修期間等については、特に基金の性格上限定はないが、一定を研修、いわゆる座学研修に振り向けるというような規定があり、そういった事業計画により研修をしていただくと。
継続雇用の有無だが、現時点では、このうちまだどのぐらいが継続雇用になるかという確定した数字は把握していないが、これまで同様の事業を行った中では、おおむね6割以上の方が継続雇用となっている。
【斉藤委員】
これは新規ではないか。これまでの実績で6割というのはどういうことか。中身を見ると、総合広告社47人、企業復興情報の情報発信を通じた人材育成、フォークリフトからホームヘルパー2級まで一つの派遣会社がやるなど、とても大胆である。
例えば、こういう派遣会社に採用された場合の給与、先ほど5分の3は座学研修ということだったが、この事業費の何割が人件費に充てられるのか。
【雇用対策課長】
実績の6割の関係だが、これはこの進路ではなく、今年度当初に実施していた若年者を対象にした同様な事業があり、いわゆる学校を卒業したが就職が決まっていなかったような方を、スキルアップして勤勉して実施していただいて継続雇用につながるという事業であった。この事業でもって見ると、だいたい6割の方が何らかの形で継続雇用されているということである。今回の場合は、一般の方であるので、おそらくもう少し率が高くなるのではないかと思う。
それから座学研修の割合を5分の3と述べたが、全体事業費のうちの半分以上が当該失業者の人件費として使っていただくと。残りの半分のうちの5分の3以上を研修費として使ってほしいということで、そういった意味では全体の事業費のうちの少なくとも半分以上は人件費に回される。
個々の人件費の給与の確保については、それぞれの企業の給与規定に基づくものである。
【斉藤委員】
おそらく3月までの1つの事業なので、これはよく効果を検証して、それなりの事業費なので、本当に効果的なのか、派遣会社優遇の事業なのか微妙なところがある。本当にこれがきちんと安定した雇用に結び付けば良いと思うが、よく検証してやっていただきたい。
・職業訓練校の就職実績について
【斉藤委員】
今年度の就職実績について示していただきたい。
【労働課長】
23年度における内定状況だが、1月31日現在で、23年度終了予定者の内定率は93.6%で、前年同月比では4.3ポイントの上昇である。
県内就職内定率に関しては、全体で60.9%となっており、前年同月比で11.5ポイントの減となっている。
・三陸復興海洋エネルギー導入調査事業費について
【斉藤委員】
1億4000万円計上されているが、これは委託料の1億3300万円余に対応するのではないかと思うが、どこにどういう形で事業費をやるのか。2月補正なので、ほとんど繰り越しということになるのか。契約は年度内に済むということか。相手はどこなのか。
【科学・ものづくり振興課総括課長】
実際の運用については、全額平成24年度に繰り越させていただきたいと思っている。
事業の形だが、海洋コンサルや大学等のさまざまな調査、個所があるので、1ヶ所に企業やそういった委託ではなく、できれば複合体でチームを組んでもらって委託という方向で検討している。
【斉藤委員】
この委託料とは関係しないのですね。
【科学・ものづくり振興課総括課長】
含まれている。
・中小企業東日本大震災復興資金貸付金について
【斉藤委員】
41億5000万円計上されている。融資枠全体が580億円ということになると思うが、使われているのは結構だが、一方で、中小企業経営安定資金貸付金が43億円減額である。経営安定資金よりも使い勝手がいいということで、こちらに移動したと。一方で中小企業経営安定資金は、だいたい同額規模減額補正ということになり、実際の利用実績はあまり変わらないのではないかと思うが、全体の融資残高はどのぐらい増えているか。
【経営支援課総括課長】
信用保証協会での補償実績だが、経営安定資金の場合は740件で110億9700万円ということで、これは中小企業経営安定資金の利率が2.1から2.5%ということで、利率が高いということもあってのことかと思う。こういったこともあり、復興資金貸付金の方が活用されている。
【斉藤委員】
聞きたかったのは、経営安定資金も含めて、総額としては融資残額はこれぐらい増えているのかということを聞きたかった。予算上から見ると、減額と増額はほとんど変わらない。だから融資残額としては、これだけの被災を受けた中で2割増えているのか、3割増えているのか、それとも同程度なのか。
【経営支援課総括課長】
12月時点での全体のものについては、12月時点のものでお答えすると、前年度の比較で52%ほど増えている。
【斉藤委員】
そうすると、減額ほどではなく融資は進んでいると理解する。
・中小企業被災修繕費補助について
【斉藤委員】
1億9415万円減額になっている。そして繰越明許費で4億1600万円と。修繕費補助は直近でどこまで利用実績があるか。減額、繰越した理由は何か。
【経営支援課総括課長】
2月24日現在で、修繕費補助件数が438件になっている。減額した理由だが、12月補正で一度増額したわけだが、申請されていた企業の中でグループ補助を活用された企業があり、その分が512件と見込んでいたが、70件ほどグループ補助を使われて、その分減ったということである。
繰り越しについては、修繕が年度内に終わらないということで、繰り越さざるを得ないということで繰越明許費に記載させていただいた。
【斉藤委員】
438件の補助額も示していただきたい。
そして減額するのだったら、内陸の被災した事業者も対象にすべきだったのではないか。内陸の事業者も同じ大震災の被災なので。そして数はそれほど多くない。そういう対応もできたのではないか。
【経営支援課総括課長】
県・市町村合わせて、15億6500万円である。
内陸の企業も対象にということだが、事業の創設の考え方が、沿岸の甚大な被害を受けた市町村で事業をやっているところの修繕を早急にしなければならないということで立ち上げ、経済活動や雇用の確保のためにしなければならないということで、沿岸の地域経済の復興のために事業が行われたと考えている。
【斉藤委員】
1億9400万円の減額ということは、市町村補助と合わせると約4億円ということになる。大歓迎された制度で、もっと活用できたのではないか。岩手県がいち早く事業者への独自支援を打ち出して全国的にも注目された。減額ということではなく、最大限活用するという手立てが必要だったのではないか。良いものは最大限活用すべきである。
・岩手産業復興機構支援事業費について
【斉藤委員】
これは二重ローン対策だと思うが、2億5000万円減額になったのはなぜか。
そして、相談件数も少なく債権買取件数も少ない。これから支援機構も立ちあがるが、抜本的な改善を図らないと、せっかくの二重ローン解消というものも活かされないのではないか。最近の相談件数を見ると、ほとんどない。浸透するどころかだんだん使われない。この事態をどう受け止めているのか。
【経営支援課総括課長】
減額の理由だが、年度内の執行の見込みが当初ほどではなかったということである。これは、買取に必要な額をそれぞれ求めに応じて機構に集めるという形だったので、実際に買取の額がそこまで至らなかったということである。
買取の件数は2件だが、今後30件ほどの買取や返済猶予をするということの対応を予定されている企業がある。
利用状況だが、沿岸地域に行き説明会を開催するなどして、事業者に利用の促進を図っており、現地での相談の窓口にもなっている商工団体との対応で応じている。
【斉藤委員】
二重ローンの問題はこれからが本番だと思うが、例えば、復興相談センターの運営状況の資料では、1月10日大船渡地区:相談者1名、2月20日大船渡地区:相談者1名、12月20日宮古地区:相談者2名、12月13日宮古地区:相談者3名、12月7日大船渡地区:相談者2名と。当初はまだ多かったが、本来なら浸透しなくてはいけないのに、相手にされていない。せっかくの作られた新しい画期的な制度なので、相談されればいろんな形で業者が助かる。それが十分使われていない問題は何かということを、きちんと把握・検証して対応することが必要ではないか。
県議会で宮古の商工会議所で調査したときに、「最初の説明は『3年間黒字で震災で赤字になった企業が対象だ』という説明があった」と。その後訂正されたということだった。その経過もしっかり検証しなければならないが、そういう考え方で対応したら、ほとんど対象にならなくなってしまう。そういうことを含めて、相談体制も含めて、使える制度に抜本的に改善を図るべきではないか。
【商工労働観光部長】
最近の利用実績について検証してみたい。我々もこれは県知事が真っ先に5月13日に国に要望して、二重ローン対策を他県に先駆けて作った肝いりの制度である。思いは皆さんと同じであり、ぜひ使っていただきたいということでやってきた。しっかり検証して使われるように改善していきたい。
・中小企業被災資産復旧事業費補助について
【斉藤委員】
これは新規で、全壊・流出についても今回1800万円で今年度からやろうと。これは高く評価したい。ただこれから予算が決まってやるとなると、今年度分も本当に活用できるような取り組みを是非やっていただきたい。これは遡及して適用するということで、市町村と共同歩調でやっているか。市町村もおそらく今開催されている議会で事業化して一緒にやるということになると思うが、その取り組み状況はどうか。
【経営支援課総括課長】
2月補正で、2市ですでに予算化している。当初では6市町村で措置する予定と聞いている。2市町村では6月補正ということで、県とおおむね同じ時期に事業が開始できると思う。
2月補正で措置した分が1800万円で、予定されているのが2市だが、さらに県では債務負担行為をとっており、さらに増えた場合にも交付できるように対応している。
【斉藤委員】
いま答弁聞いたら3月議会対応は2市だと。少しもったいないなと。今年度からやれば事業者にもプラスになるし、皆歓迎している。なぜ2市にとどまるのか。そういう点での取り組み方はどうなのか。これは広がる可能性はないのか。
【経営支援課総括課長】
市町村は2市で可決済みと聞いている。利用の状況だが、県でも2月補正で措置するということで各市町村に伝えたが、体制の関係もあり、当初予算からというところが多かった。
いずれ2市においても、受付を開始するので、増えた場合には先ほど述べたような対応をしていきたい。
・被災工場再建支援事業費補助、企業立地促進資金について
【斉藤委員】
それぞれ2億2000万円、13億円の減額となったが、これは企業立地が思うように進まなかったのか。
【企業立地推進課総括課長】
被災工場再建支援事業費補助だが、今回の減額は全額の減額である。この間、補助の要件を満たすものとして、3件認定していたが、それぞれグループ補助等の活用という有利な制度を活用したということで、実際の利用には至らなかったということで、現在1件相談がある状況である。
企業立地促進資金貸付金だが、原形予算額は40億円ほどあるが、うち半分が過年度分の貸付であり、今回の減額補正は、新規貸付分として要していた20億円にかかる分の利用実績の確定によるものである。実際の利用は7件あり、震災の影響というよりも、若干あったものと考えているが、そのようなことでの減額である。